ファンドマネージャーの仕事内容。主な役割と勤務先、目指し方を解説

投資信託の運用のプロであるファンドマネージャーは、豊富な経験と知識が求められる職種です。具体的な仕事内容や勤務先、ファンドマネージャーを目指す方法を解説します。将来、投資信託の運用に携わりたい人は、基本情報として押さえておきましょう。

ファンドマネージャーとは?どんな仕事?

胸元に手を当てる男性

(出典) pixta.jp

ファンドマネージャーは、投資信託の運用を担う専門家です。アナリストやエコノミストなどと協力しながら、顧客から集めた資産を運用し、利益を上げる重要な役割を担います。まずは、ファンドマネージャーの役割や年収について解説します。

投資信託の運用を主導する役割

信託銀行や保険会社などに所属し、顧客の投資信託の運用を主導するのが、ファンドマネージャーです。どの投資銘柄をどのタイミングで売るかを決定し、ファンドの運用益を上げる役割を担っているので、豊富な知識と投資運用経験が求められます。

株式や債券、不動産や為替など、多くの投資分野に精通している必要があり、運用するファンドを成長させるため、どの銘柄をどれぐらい組み込むかを考え、実際に運用する仕事です。

投資商品に長く関わっていなければ務まらず、投資信託会社や信託銀行などに所属し、経験を積んだ人しかファンドマネージャーになることはできません。

平均年収はどれぐらい?

金融関連職の中でも、ファンドマネージャーは特に年収が高めであり、実力次第でかなりの高収入が期待できます。厚生労働省のデータによると、国内でファンドマネージャーやそれに類する仕事をしている人は、約83,000人で、平均年収は1,030万円程度です。

国税庁の「令和3年分民間給与実態統計調査」によれば、日本人全体の平均年収は443万円なので、他の職種に比べて、かなりの高収入といえるでしょう。

出典:
ファンドマネージャー 職業詳細|job tag(職業情報提供サイト)
令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁

ファンドマネージャーの仕事内容

プレゼンする男性

(出典) pixta.jp

ファンドマネージャーの仕事内容は多岐に渡りますが、主にファンド(投資信託)の作成・運用とそのための情報収集、投資家に対する運用状況の説明などです。それぞれみていきましょう。

ファンド(投資信託)の作成と運用

ファンドマネージャーの主な仕事は、ファンドを作成・運用することです。アナリストやディーラーなどと協力しながら目的に合ったファンドを作成し、組み込む銘柄を選定します。さらに、作成したファンドを管理する責任者としての役割も担います。

ファンドを目的通りに運用するには、明確な投資戦略を策定して資金を集め、ポートフォリオに組み入れる株式や債券などを慎重に選択しなければいけません。リスク管理をしつつ投資を実行し、定期的に投資成績を評価します。

金融市場や企業の情報収集

数ある銘柄の中から有望なものを選択し、安定して利益を出すファンドを運用するには、金融市場の情報収集と緻密な分析が欠かせません。

ファンドに組み込む銘柄(企業)の継続的な分析も重要な仕事であり、アナリストと分業しているケースも多くあります。各銘柄の動きを予想するとともにリスクを分析し、必要に応じて組み込む銘柄を取捨選択することで、適切にリスクを管理します。

運用状況の説明やレポート

自ら運用しているファンドの状況をまとめ、顧客である投資家に説明するのも、ファンドマネージャーの重要な仕事です。ファンドの収益率や価格変動の状況などを整理し、投資家に分かりやすくまとめて報告します。

投資家から銘柄の選択・売却の理由や、運用の見通しなどを聞かれる場合もあるので、顧客を納得させる理由を説明しなければいけません。さらに、運用レポートを作成して広く発信するのも重要な役割です。投資関連の情報誌に、市場の状況やファンドの運用情報を寄稿しているファンドマネージャーもいます。

ファンドマネージャーの主な勤務先

デスクでの打ち合わせ

(出典) pixta.jp

ファンドマネージャーは主に、投資信託会社や信託銀行、保険会社などに勤務しています。ファンドマネージャーを目指している人は、それぞれの勤務先の特徴を押さえておきましょう。

投資信託会社

投資信託会社は、顧客である投資家から広く資金を集め、銘柄を購入・運用することで利益を上げる企業です。ファンドの運用成果に応じて収益を得た後、投資家に利益を還元する金融機関であり、ファンドマネージャーが運用する株式や債券などの投資銘柄を選定し、ポートフォリオを構築・運用します。

ファンドマネージャーといえば、投資信託会社において、ファンドを運用する責任者という認識を持っている人が多いでしょう。なお、企業年金を主に運用する投資顧問会社もあり、ファンドマネージャーが顧客の投資に関してさまざまなアドバイスをしているケースもあります。

信託銀行

信託銀行は、個人および法人から委託された金融資産を管理・運用している銀行です。預金や貸出といった一般の銀行と同じ業務を運営しながら、株式や債券、不動産など、顧客から信託を受けたさまざまな資産を管理するのが特徴です。

信託銀行で顧客の資産を運用しているファンドマネージャーも多く、都市銀行や地方銀行でも、信託業務を運営しているところが多くあります。

保険会社

保険会社でも、ファンドマネージャーが活躍しているところが多くあります。顧客から預かった保険料を運用して資金を増やし、利益を出すとともに保険金の支払いに充てています。

特に保険会社では長期の保険契約に基づき、リスクとリターンを考慮して、慎重に投資戦略を実行しなければいけません。ファンドマネージャーは投資のリスクヘッジのために分散投資を実行し、ポートフォリオのパフォーマンスを評価しつつ、適宜戦略の修正やポートフォリオの再構築などを行っています。

ファンドマネージャーを目指すには?

説明するスーツの男性

(出典) pixta.jp

それでは、ファンドマネージャーを目指すには、どういった道を進めばよいでしょうか?全くの未経験から、ファンドマネージャーとして転職することはまず不可能です。以下のように、投資信託会社や投資銀行などで、投資に関する経験を積み、スキルを磨く必要があります。

投資信託会社や投資銀行でキャリアを築く

ファンドマネージャーは、ファンドの運用に長く関わった者のみが就ける仕事であり、金融に関する高度な専門知識が求められます。特別な資格は必須ではありませんが、経済学部から新卒で投資信託会社に入社して経験を積んだり、金融系の職種から転職したりする人が多くいます。

全くの未経験からファンドマネージャーに転職はできないので、まずは上記のように、投資信託会社や信託銀行、保険会社などに転職し、投資運用の経験を積まなければいけません。まずは、これらの企業への就職・転職を目指しましょう。

ファンドマネージャーに向いている人

プレゼンする男性

(出典) pixta.jp

ファンドマネージャーは幅広い金融知識と、投資経験が求められる仕事です。安定した収益を上げるファンドを運用するために、以下のように高い分析能力や情報収集力に加えて、仕事に対する強い責任感や、ストレスに負けない力などが求められます。

高い分析能力を有する人

ファンドマネージャーには、企業や金融市場のトレンドなどを分析し、有望な銘柄を発見できる力が必要です。

銘柄の分析やポートフォリオ管理においては、高度な分析が求められるので、基本的に数字に強い人が向いているでしょう。実際、大学や大学院で数学や計量経済学、金融工学などを学んでおり、高度な分析能力を有する人が多くいる職種です。

責任感を持って仕事ができる人

顧客の資金で銘柄を購入し、ポートフォリオを構築・運用するのが仕事なので、責任感を持って役割をこなせる人が向いています。ファンドの運用は常に成功し続けられるわけではなく、時には損失を出してしまう場合も珍しくありません。

含み損により実質的に顧客の資金が減り続けている場合でも、責任を持って軌道修正をして、運用益を上げる必要があります。

ストレスやプレッシャーに強い人

企業によっては十分な運用成績を残せないと、解雇されてしまう可能性もあります。厳しい状況で強いプレッシャーがかかる中でも、しっかりと成果を上げられる人でなければ務まりません。

投資運用そのものに忍耐力が求められるので、ストレス耐性が強くタフなメンタルを持っている人が望ましいでしょう。運用成績が芳しくない場合には、思い切って銘柄を切り替える決断力も求められます。

ファンドマネージャーを目指すのに役立つ資格

資格の勉強をする女性

(出典) pixta.jp

ファンドマネージャーには特別な資格は必要ありませんが、多くのファンドマネージャーが取得している資格があります。将来、ファンドマネージャーとしての活躍を目指しているならば、取得を検討してみるとよいでしょう。

日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)

日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)は、金融および投資のプロとして活動するのに必要な、投資銘柄の分析や評価をするためのスキルを証明できる資格です。企業財務や経済の知識、ファイナンス理論まで、幅広い知識を求められます。

文字通り証券アナリストはもちろん、ファンドマネージャーやリサーチアナリスト、ベンチャーキャピタリストとして活躍している人の多くがCMAの資格を保有しています。

取得するには6つの学習分野からなる第1次レベル講座を受講する必要があり、受講後に3科目の試験を受験して全てに合格しなければいけません。

さらに第2次レベル講座を受講し、全学習分野からなる第2次試験に合格した後、3年以上の実務経験を認定されれば、CMAの資格称号を使えるようになります。詳しくは日本証券アナリスト協会の公式ページを確認してみましょう。

参考:CMAとは|日本証券アナリスト協会

ファンドマネージャーを目指してみよう

金融関係の打ち合わせ

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ファンドマネージャーの仕事内容や、向いている人の特徴などを解説しました。ファンドマネージャーは数ある金融関連職の中でも、とりわけ高収入が期待できる職種です。ファンドの運用に加えて、運用にかかる情報収集や銘柄の分析、顧客への運用状況の報告などが主な仕事です。

高度な金融知識と投資運用経験が求められるので、投資信託会社や信託銀行などで経験を積む必要があります。これから目指す人は、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)の資格の取得を目指すのもよいでしょう。未経験から就ける仕事ではないので、長期的な視点でキャリアプランを立てることが大事です。

なお、ファンドマネージャーの求人案件を探すならば、業界トップレベルの求人数を誇る「スタンバイ」を利用してみましょう。ファンドマネージャーだけではなく、金融業界のさまざまな職種の求人も掲載されています。未経験の人は、まず金融業界への転職を目指すことをおすすめします。

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