退職時にもらう書類や返却するものを紹介。退職後の手続きの流れも

現在勤めている会社を辞めようと思っているなら、退職時にもらう書類を知っておくのがおすすめです。必要な書類をそろえておくと、退職後の手続きがスムーズに進むでしょう。退職時にもらう書類や会社に返却するもの、退職後の手続きの流れを解説します。

退職時に会社からもらう書類

退職届を書く

(出典) pixta.jp

会社を辞めるときには、会社からさまざまな書類が渡されます。中には後から手続きに必要となるものもあるため、漏れなく受け取れているかチェックが必要です。

雇用保険被保険者証

「雇用保険被保険者証」は、雇用保険に加入済みであることを示す書類です。会社に在籍している間は基本的に会社が保管し、退職すると一時的に被保険者が所持することになります。

雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」と一体化した、横に長い見開きの書類です。ハローワークに再発行を依頼した場合は、雇用保険被保険者証の部分のみが発行されます。

雇用保険被保険者証は、転職時や失業手当の給付手続き時に必要です。加入条件を満たさず雇用保険に加入していない人には、そもそも雇用保険被保険者証が発行されません。

源泉徴収票

会社が従業員に給与を支払う際は、所得税を源泉徴収しています。源泉徴収とは、支給前の給与から所得税を差し引き、会社が従業員の代わりに納税する制度です。

従業員が退職する場合、会社は「源泉徴収票」を発行して従業員に渡す義務があります。源泉徴収票は、その年に支給された給与の金額や源泉徴収税額、各種控除の金額などが書かれている書類です。

源泉徴収で差し引かれる金額はあくまでも概算による金額であり、最終的な所得税は年末調整後に確定します。退職したのと同じ年内に再就職する場合は、再就職先に源泉徴収票を提出しなければなりません。自分で確定申告を行うケースでも、源泉徴収票が必要です。

年金手帳

「年金手帳」とは、公的年金に関する情報が記載された小さな冊子のことです。平成9年1月(1997年1月)~令和4年3月(2022年3月)に発行された年金手帳は青色、それ以前に発行されたものはオレンジか茶色のどちらかになっています。

就職する際、厚生年金保険の資格取得手続きのために国民年金の基礎年金番号を会社から求められるため、年金手帳を会社に預けている人も多いでしょう。

会社によっては、年金手帳をコピーした後、すぐに従業員へ返すケースもあります。まずは手元にあるかどうか確認し、見当たらない場合は会社に聞いてみるとよいでしょう。

2022年4月以降に新しく公的年金に加入する場合、小さな冊子は発行されず、基礎年金番号通知書が発行されます。

離職票・退職証明書

「雇用保険被保険者離職票」は、新しい仕事が決まっていない状態で離職し「失業手当」を受け取るときに必要となります。59歳以上の離職者には、本人が希望するか否かに関係なく、離職票が発行されるルールになっています。

離職票は失業手当の手続きに必要となる書類です。既に再就職先が決まっている場合は失業手当を受け取れないため、離職票を使う機会はありません。

「退職証明書」は、在籍していた会社を退職した事実を証明する書類です。会社側に退職証明書の発行義務はありませんが、退職者から発行依頼を受けた場合は必ず発行しなければなりません。

退職証明書が必要になるのは、主に退職後の転職活動中に応募先から提出を求められた場合です。応募先は退職証明書を見て、前職の地位・業務・給料などの正確な情報を把握できます。

退職時に会社へ返却するもの

社員証とパソコンとスマホ

(出典) pixta.jp

会社を辞める際に返却するものを紹介します。会社から指示を受ける前にできる範囲で準備しておけば、スムーズに退職できるでしょう。

健康保険被保険者証

「健康保険被保険者証」とは、勤務先が加入する健康保険の被保険者であることを証明する書類です。一般的には保険証と呼ばれます。

会社が健康保険組合を組織していれば組合健保、そうでなければ協会けんぽに加入しているでしょう。公務員は共済組合に加入しています。

会社を辞める際は、健康保険被保険者証を会社に返却しなければなりません。転職先が決まっていない場合は、任意継続被保険者制度を利用するか、国民健康保険に加入する必要があります。転職先が決まっていれば、転職先で新たに加入手続きを行います。

会社から支給された身分証や備品

会社から貸与されているものがある場合は、退職時にすべて返却する必要があります。貸与品の代表例は、身分証・社章・名刺・定期券・制服・鍵・パソコン・携帯電話・事務用品などです。

仕事で作成した顧客名簿や企画書などを持っている場合も、会社に返却しなければなりません。制服は洗濯するかクリーニングに出した後で返却しましょう。

返すべきかどうか迷うものは、とりあえず返却しておくのが無難です。業務で使ったものや作成したものを手元に残していると、後からトラブルに発展する恐れもあります。

退職後に必要な手続き

失業手当関係資料

(出典) pixta.jp

退職後すぐに働けない場合は、国民年金と健康保険の切り替えを行う必要があります。住民税も自分で支払わなければなりません。失業手当をもらう場合も手続きが必要です。

国民年金、健康保険の切り替え

会社員は給与から年金保険料が天引きされますが、失業中は自分で納めるか家族の扶養に入って負担してもらうかを選ぶことになります。

自分で納める場合は、住んでいる地域の役所で切り替えの手続きが必要です。家族の扶養に入る場合は、家族の勤務先で手続きを行います。

健康保険の切り替えは3つの選択肢から選ぶことが可能です。条件を満たせば「任意継続被保険者制度」を利用でき、最長2年間はそれまで加入していた健康保険に加入できます。

失業手当の給付手続き

再就職までに失業手当をもらいたい場合は、居住地を管轄するハローワークで給付手続きを行う必要があります。手続きの際は離職票・個人番号確認書類・身元確認書類などを持参しましょう。

受給要件を満たしていることが確認されれば、受給資格の決定が行われます。自己都合退職の場合、すぐに失業手当をもらえるわけではない点に注意が必要です。

受給資格が決定したら「雇用保険受給者初回説明会」に参加し、初回の失業認定日が知らされます。失業の認定は原則として4週間に1回行い、認定ごとに給付を受けられる仕組みです。

住民税の支払い

会社員は住民税も給与から天引きされています。退職後は自分で住民税を納めることになりますが、退職月によっては最終月に天引きされる金額が異なる点に注意しましょう。

6~12月に退職した場合は、退職月分まで通常通り天引きされ、翌月以降は自分で納めます。一方、1~5月に退職した場合は、1~5月分の住民税が退職月にまとめて天引きされます。

例えば、1月に退職するケースでも、1~5月分の住民税が一気に給与から差し引かれるのです。すぐに再就職しない場合は、最終月の手取りが少なくなる可能性があります。

転職時に必要な書類とは?

源泉徴収票

(出典) pixta.jp

再就職が決まった場合、転職先にさまざまな書類を提出する必要があります。退職時にもらった書類と退職後に準備する書類に分けて解説します。

退職した会社からもらった書類

退職時に会社から受け取った書類のうち、転職先に提出するものは雇用保険被保険者証・源泉徴収票・年金手帳の3つです。

これらの書類は必ず提出しなければならないため、辞めた会社から受け取ったら大事に保管しておきましょう。

源泉徴収票を提出することで、新しく勤務する会社で年末調整を行ってもらえるようになります。年末前に転職先を辞めた場合や、年末まで再就職しない場合は、確定申告で源泉徴収票を使用します。

退職後に準備する書類

新たに準備する主な書類には、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書・健康保険被扶養者(異動)届・給与振込先同意書があります。転職先から書類を渡されるのが一般的です。これらの書類は自分で記入して提出します。

企業によっては、健康診断書・身元保証書・入社誓約書などの提出を求められる場合もあります。免許や資格を持っていることを申告しているなら、証明書が必要になるケースもあるでしょう。

退職証明書の提出を求められた場合、退職時に会社からもらっていなければ、会社に発行を依頼しましょう。

退職時にもらう書類を確認しよう

退職届と社内規定

(出典) pixta.jp

会社を辞めるときにはさまざまな書類を受け取ります。いずれも退職後や転職時の手続きで必要なものばかりです。

書類をなくしてしまうと手続きがスムーズに進まなくなるため、退職時にもらう書類をしっかり確認し、必要になるときまで大事に保管しておきましょう。