web適性検査に落ちる確率と原因。受かるためにはどんな対策が必要?

採用選考では、応募者の能力や性格を測るために「web適性検査」が実施されます。選考に落ちないためには、どのような対策が必要なのでしょうか?能力検査と性格検査の違いや、正答率を上げるポイントを解説します。万全な状態で本番に臨みましょう。

web適性検査で落ちることはある?

並んでタイピングする二人

(出典) pixta.jp

新卒採用だけでなく、中途採用の採用選考でもWeb適性検査を導入する企業は少なくありません。Web適性検査の結果が採否に影響する可能性はあるのでしょうか?

企業がweb適性検査を実施する目的

適性検査は、応募者の能力や性格を判断するための試験です。昔はペーパーテストが一般的でしたが、近年はオンラインで実施する企業が増えています。

web適性検査を行う主な目的は、応募者が自社に合う人材かどうかを判断することです。能力や性格を定量的に測定できれば、採用担当者の主観で採否が決まる事態が防げるでしょう。

検査内容は「能力検査」と「性格検査」に大別され、検査からは以下のようなことが分かります。

  • 応募者と自社のマッチ度
  • 応募者の基礎的な知的能力・学力
  • 応募者の性格特性
  • 業務・職務に対する適合性

検査の結果、自社が求める人材とかけ離れていたり、最低限の学力レベルに満たなかったりすれば、不採用になる可能性があります。

落ちる確率は企業による

web適性検査で落ちる確率は企業によって異なります。企業ごとにweb適性検査の種類が違う上、通過のボーダーラインもさまざまです。

大手企業や人気企業は、応募者が多すぎて一人一人のエントリーシートをチェックしている時間がありません。候補者の絞り込みを行うため、7~8割以上の正答率を通過の目安にしているところが多いようです。

一方、応募者の人柄を重視する企業の中には、ボーダーラインをあえて設けないところもあります。とはいえ、結果を全く考慮しないわけではなく、最終判断の材料として活用します。

各社のボーダーラインや判断基準が分からない以上、高得点を目指す努力が必要でしょう。

web適性検査で落ちる原因

パソコンを前に悩む女性

(出典) pixta.jp

企業が定めた基準以上の点数を獲得できない人は、次の段階に進めない可能性があります。web適性検査で落ちる原因は1つだけではありません。さまざまな角度から原因をリサーチした上で、落ちないための対策を考えましょう。

基礎的な知識や能力が足りない

能力検査では、応募者の基本的な知的能力・学力を測り、業務上で必要な能力や資質を有しているかどうかを判断します。

点数が一定水準に満たない場合、「業務を遂行するための能力が足りていない」として、落とされる可能性があるようです。求める能力水準は企業によって異なるため、A社は通過できても、B社は落ちるといったケースもあります。

知識や能力が全てではありませんが、中学~高校レベルの基礎学力は身に付けておくのが望ましいでしょう。過去からの知識量だけでなく、論理的思考力や判断力、読解力などを測る問題も多く出題されます。

企業が求める人物像と合わない

いくら能力が高い人材でも、企業が求める人物像とかけ離れていたり、組織風土になじめなかったりすれば、早期離職につながります。

応募者の内面的要素を書類上で判断するのは難しいため、性格検査の結果を参考に、自社とのマッチ度を見極める企業は少なくありません。

性格検査では、性格特性や考え方、目標への向き合い方などを測定します。正解・不正解は存在しませんが、応募者の持つ性格特性や価値観が組織風土に合わない場合、不採用となる確率が高いでしょう。

回答に一貫性がない

性格検査は、応募者の本質をチェックするテストです。本来は、ありのままの自分で臨む必要がありますが、自分をよく見せたいために、虚偽の回答をする応募者が少なからず存在します。

自分の実態とかけ離れた回答をすると、検査結果に矛盾が生じます。うそをついているのではないかと疑われ、不採用となる可能性があるでしょう。

多くの企業は、性格検査の結果を入社後の人材育成に活用しています。運よく入社できたとしても、組織風土になじめなかったり、仕事内容が自分に合わなかったりして、苦労をするかもしれません。

極端な回答がある

極端な回答は採用担当者を不安にさせます。設問によっては、回答の仕方で評価が大きく下がるケースがある点に注意しましょう。

例えば、「自分は我慢強い方だと思う」の設問に「全く当てはまらない」と答えた場合、「仕事で困難があるとすぐに辞めてしまうのではないか」と判断されます。

うそをつくのはよくないにしろ、極端すぎる回答は避けるのが望ましいでしょう。「あまり当てはまらない」「少し当てはまる」「どちらともいえない」などの選択肢をうまく使い分けるのがポイントです。

未回答の質問が残っている

web適性検査には制限時間があります。1つの回答に時間がかかりすぎると、他の問題を解く時間が少なくなり、未回答のまま提出せざるを得なくなります。

数問程度なら大きな影響はないとされていますが、未回答が多ければ、落ちる可能性は高くなってしまうでしょう。出題数が300問で、制限時間が30分の場合、1問にかけられる時間はわずか6秒しかありません。

特に、性格検査は全問回答が基本です。未回答数が多くなれば、決断力がない・注意力に欠けているといったマイナス評価につながるでしょう。

中途採用で活用される代表的なweb適性検査

パソコンを操作する男性

(出典) pixta.jp

web適性検査には複数の種類があります。中途採用の選考でよく活用されるのは、「SPI3(エスピーアイ3)」「SCOA(スコア)」「CUBIC(キュービック)」です。それぞれの特徴をチェックしておきましょう。

SPI3

SPI3は、リクルートグループの人材関連サービス会社が開発した適性検査です。SPI利用企業の約67%は従業員数300人未満の中小企業で、新卒採用・中途採用の両方で活用されています。適性検査の中では最もメジャーな検査の1つであるため、事前対策は欠かせません。

検査内容は、性格検査と基礎能力検査の2本立てです。性格検査では、性格を4側面18種類に分類し、応募者の人柄や仕事への適性などを判断します。出題数が300問と多いため、あまり悩まずに先に進みましょう。

基礎能力検査は、言語と非言語の分野に分かれます。言語分野では、言葉や話の要旨を的確に理解できるかどうかを測ります。非言語分野では、論理的思考力の有無や数的な処理能力を問う問題が中心です。

SPI3公式サイト│リクルートの適性検査

SCOA

SCOA(SCOA総合適性検査)は、日本経営協会総合研究所(NOMA総研)が1985年に開発したテストです。知識に偏らないように、知・情・意の3つの側面から多面的に個人を評価します。検査のラインアップは、以下の4つです。

  • 基礎能力 SCOA-A・F
  • 基礎能力 SCOA-i
  • パーソナリティ SCOA-B
  • 事務能力 SCOA-C

検査内容の組み合わせは企業ごとに異なりますが、基礎的な知的能力や学力を測る「基礎能力」は、多くの企業で採用される傾向があるようです。

基礎能力 SCOA-i(Web方式)では、「言語」「数・論理」「空間」「知覚の正確さ」の4つの尺度から応募者の知能を測ります。回答形式は、選択式・記述式(数値入力)で、回答時間は20分です。

SCOA総合適性検査 | 株式会社 日本経営協会総合研究所

CUBIC

CUBICは、組織活性化と人的資源の有効活用を目的に開発されたツールです。採用選考のほか、人事異動や人材開発にも活用が可能で、2020年の時点で既に約1万社が導入しています。

採用選考では、基礎能力検査分析や個人特性分析などが用いられます。

基礎能力検査分析は、地頭のよさや論理的思考力を含めた基礎能力を測るもので、出題範囲は、言語・数理・図形・論理・英語の5科目です。

個人特性分析では、個人の資質を多面的に評価します。検査時間は15分程度とみておきましょう。

CUBIC(キュービック)総発売元 の株式会社CUBIC | 人材・組織診断・採用適性検査

【能力検査編】Web適性検査の対策

適性検査

(出典) pixta.jp

能力検査では、応募者の知的能力や学力、地頭のよさなどを測定します。出題範囲が広いため、「直前に対策をしても無意味」と考える人もいるかもしれません。実際のところ、出題の傾向を押さえておくだけで、結果は大きく変わります。

問題集で傾向を捉える

能力検査の問題集は書店やネットショップで販売されています。できるだけ多くの問題に触れ、出題の傾向をつかんでおきましょう。適性検査に慣れていない人の場合、問題の意味を理解するのにも時間がかかります。

事前対策では、問題の答えを丸暗記する必要はありません。自分が苦手な分野を中心に、問題解法の手順や考え方をチェックしていきます。

1問ごとに制限時間が設けられている検査もあるため、素早く問題が解けるように練習を重ねましょう。さまざま形式の問題を解いていくうちに、知識が身に付いてきます。

基本レベルの学問を復習しておく

能力検査で出される問題の多くは、中学~高校レベルといわれています。国語・数学・社会・理科に関しては、教科書や問題集などを活用し、過去に学んだことを復習しておきましょう。

電卓が使用できるかどうかは、検査の実施方法や内容によって異なります。電卓が使えないケースも考慮し、四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)はしっかりとマスターしておきたいところです。

言語系では、語句の用法や二語の関係、熟語の意味などが多く出題されます。語彙力・読解力を強化するために、日頃から多くの文章に触れるようにしましょう。商社や外資系企業では、英語能力検査が加わるケースが多いようです。

【性格検査編】web適性検査の対策

パソコンを操作する女性

(出典) pixta.jp

能力検査と違い、性格検査には正解・不正解がありません。事前の学習は不要ですが、準備を全くせずに検査に臨むと、全ての設問に答えきれない可能性があります。「未回答を増やさないこと」「回答の一貫性を保つこと」を徹底しましょう。

制限時間内に最後まで進める

性格検査には制限時間があります。検査の種類によっては、約300問を30~40分でこなさなければならないため、悩んでいる時間はありません。制限時間内に最後まで進められるように、回答スピードの目安を把握しておきましょう。

性格検査では、回答の内容だけでなく、簡単な作業を素早くこなせるかもチェックされています。未回答のまま時間切れになったり、回答漏れが多かったりすると、マイナス評価につながるため、集中力を途切れさせないことが重要です。

正直に回答する

自分をよく見せるためにうその回答をすると、結果に矛盾が生じます。入社できても、組織風土や仕事内容が合わずに苦労してしまうため、ありのままに回答することを心掛けましょう。

とはいえ、あまりにも極端な回答は控えるのがベターです。表現によってポジティブにもネガティブにも変わるため、相手はどう思うかを考えながら回答を選ぶ必要があります。

性格診断ツールを使い、性格検査の回答がどのような結果になるのかをシミュレーションしてみるのもおすすめです。

企業が求める人材を把握しておく

適性検査を受ける前に、企業が求める人材を把握しておく必要があります。性格検査の目的の1つは、企業と応募者のマッチ度を測るためです。

例えば、協調性を重視している企業において、個人主義で自己主張が強い人は受け入れられない可能性があります。正直に回答する姿勢は重要ですが、企業側の目線も忘れないようにしましょう。企業が求める人材を把握する方法の一例を紹介します。

  • コーポレートサイトで企業理念や行動指針を確認する
  • 経営者のインタビュー記事を読む
  • 企業の公式SNSをチェックする
  • OB・OG訪問で企業の雰囲気をつかむ

性格診断ツールで練習する

本番当日は、緊張や不安で普段の力を発揮できない人は多いものです。事前準備なしで本番に臨むと、回答のスピード感がつかめずに、未回答を残したまま制限時間切れになるかもしれません。

性格検査に特別な準備は必要ありませんが、無料の性格診断ツールや学習サイトを活用し、本番を想定した予行練習をしておくのがおすすめです。回答のスピード感がつかめる上、回答の仕方で結果がどう変わるかが把握できます。

性格診断を行うと、自分自身への理解が深まります。自己分析の結果は、次の面接対策にも役立つでしょう。

Web適性検査に落ちないための入念な準備を

パソコンを見ながら勉強する男性

(出典) pixta.jp

多くの企業では、採用プロセスにweb適性検査を導入しています。検査の結果によっては不採用になってしまうため、落ちないための事前準備は欠かせません。

仕事をしながらの転職活動は何かと慌ただしくなりますが、隙間時間を有効活用して、検査の対策をしっかりと行いましょう。

能力検査は、日々の積み重ねが功を奏します。性格検査は出題数が多いため、性格診断ツールで回答のスピード感をつかむことが重要です。