未経験でもテーブルコーディネーターになれる?目指す方法を解説

結婚式場やホテルのパーティー会場では、テーブルコーディネーターが食空間を彩ります。幅広い知識と美的センスが求められる専門職であり、プロになる道のりは決して楽ではありません。仕事内容や活躍のフィールド、未経験から目指す方法を解説します。

テーブルコーディネーターとはどんな仕事?

料理を並べたテーブル

(出典) pixta.jp

食空間は、食事のおいしさに大きな影響を与えます。ホテルのレストランやパーティー会場では、テーブルコーディネーターがテーブルを飾り付け、食事する空間を美しく創り上げます。テーブルコーディネーターの役割や、仕事内容について理解を深めましょう。

食空間を演出するプロフェッショナル

テーブルコーディネートは、ヨーロッパで発達した食卓芸術の1つです。食事をする人をもてなすため、テーブルクロスやカラリー、花などでテーブルを飾ります。

テーブルコーディネーターは、食空間を美しく演出するプロフェッショナルで、ホストの好みやTPOに合わせてテーブルをセッティングします。ホテルのレストランやパーティー会場などにおいては、不可欠な存在といえるでしょう。

コーディネートに使用する小物類は、あくまでも料理の引き立て役です。テーブルコーディネーターは、いかに料理を美味しく見せられるかを考えながら、セッティングを進める必要があります。

食文化・色彩・インテリアなどに精通

テーブルコーディネーターには、さまざまな分野の知識が求められます。特に、食文化・年中行事・テーブルマナー・カラリーに関する知識がなければ、心地よい食空間を演出できないでしょう。

テーブルをいくら美しく飾っても、ゲストが不便を感じたり、文化的なタブーに触れていたりすれば、その場は台無しになってしまいます。

料理は五感で味わうものです。使用する小物の色や形、質感によって、料理のおいしさが変わるため、色彩心理学やインテリアにも精通している必要があります。

基本の形やルールはあるものの、マニュアル通りが求められているわけではありません。多くのテーブルコーディネーターは、常日頃からアンテナを張り、美的センスを磨く努力をしています。

ホテル・ブライダル業界を中心に幅広く活躍

テーブルコーディネーターが活躍する場面は幅広く、結婚式やパーティーなどの特別な日のコーディネートを担当するケースもあれば、日常的なテーブルセッティングに携わる場合もあります。

主な就職先は、ホテル業界やブライダル業界です。とりわけ、結婚式場やホテルのパーティー会場・レストラン、ブライダル関連会社などに高いニーズがあります。

そのほかに、インテリアショップや住宅展示場、ケータリング会社などで活躍するテーブルコーディネーターも少なくありません。

ケータリングとは、顧客が指定した場所に出向き、テーブルセッティングを含めた料理を提供するサービスです。単なる料理のデリバリーとは違い、準備から後片付けまでを一貫して提供します。

テーブルコーディネーターの主な仕事内容

カトラリー

(出典) pixta.jp

テーブルコーディネーターは、食空間を創り上げるクリエイティブな職業です。顧客のハレの日を盛り上げるため、多くの下準備をして当日に臨みます。テーブルコーディネーターの仕事の流れを詳しく見ていきましょう。

顧客との打ち合わせ・プランニング

テーブルコーディネーターの仕事内容は、所属する会社や担当する案件によって異なります。

まずは、イベントの主催者などの顧客と打ち合わせを行い、希望のスタイルをヒアリングするのが最初のステップです。相手の話を丁寧に聞き、ニーズを正確に理解するスキルが求められるでしょう。

続いて、テーマ・客層・会場の雰囲気・料理・季節などを考慮しながら、全体のプランニングを行います。関係者やスタッフと共に作業を進めていくため、コミュニケーション力や提案力が欠かせません。

アイテム選び・セッティング

プランニングの後は、テーブルを飾るアイテムを選定します。テーブルウェアやクロスのほかに、花やキャンドル、花器などの小物類が必要です。

アイテムをセッティングする際には、顧客の要望をかなえると同時に、会場との調和も意識しなければなりません。

小物の色が1つ違うだけでも、会場の雰囲気は大きく変わります。細部へのこだわりはもちろん、全体を見渡せる広い視野と優れたバランス感覚が求められるでしょう。

結婚式場やホテルでは、1日のうちに何組ものカップルが挙式・披露宴を行います。テーブルコーディネーターは、会場スタッフを指揮しながら、手際よくセッティングを進めていきます。

テーブルコーディネーターを目指す方法

料理を配膳する手元

(出典) pixta.jp

プロのテーブルコーディネーターとして活躍するには、幅広い知識を身に付け、より多くの経験を積む必要があります。未経験者がテーブルコーディネーターを目指すには、何から始めたらよいのでしょうか?

関連業界に転職して経験を積むのが近道

専業のテーブルコーディネーターはごくわずかで、結婚式場やホテルにおいては、社内スタッフがテーブルコーディネートを担当する場面も多く見受けられます。

結婚式場では、結婚式をプロデュースする「ウェディングプランナー」が、テーブルコーディネーターを兼任するケースもあるようです。

実際、テーブルコーディネーターというポジションでの求人は、それほど多くはありません。未経験者がテーブルコーディネーターを目指すには、ホテル業界やウェディング業界などに転職し、知識やセンスを磨いていくのが理想です。

転職を検討する際は、求人検索サイト「スタンバイ」を活用しましょう。ホテル・ウェディング業界をはじめ、さまざまな業界の求人情報が掲載されています。

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プロ養成の専門学校で学ぶ方法も

プロのテーブルコーディネーターを目指す場合は、関連業界に転職して経験を積みながら、プロ養成の専門学校で学びを深める方法があります。

第一線で活躍するエキスパートから直接指導を受けられるため、コーディネートの技術が大きく向上します。同じ志を持つ仲間たちと切磋琢磨し合えるのも魅力でしょう。

経験やスキルを身に付けた後は、テーブルコーディネーターとして独立する道が開けるかもしれません。インストラクターとしてのポジションを獲得し、サロンやスクールを開く人もいます。

テーブルコーディネーターに役立つ資格3選

勉強する女性

(出典) pixta.jp

テーブルコーディネーターにはさまざまな知識やスキルが求められます。必須の資格はありませんが、自分の知識やスキルを証明できるものがあると、転職活動や顧客獲得に有利です。おすすめの資格を厳選して紹介します。

食空間コーディネーター

食空間コーディネーターは、「食空間コーディネート協会」が主催する民間資格です。

2008年までは、「テーブルコーディネーター資格」という名称でしたが、食空間全体がおもてなしの気持ちに満ち溢れたしつらえであるという点を受け、現在の名称に変更されました。

認定試験の内容は、テーブルコーディネートの知識と技能を問うもので、3級・2級・1級・認定講師の4つの等級があります。

3級は筆記試験のみですが、2級からは実技試験が加わります。1級資格保有者で別途要件を満たした人は、最上級資格である「認定講師」の受験が可能です。

参考:NPO法人 食空間コーディネート協会【TALK-TCS】|TALK食空間コーディネーター資格制度 資格試験

フードコーディネーター

フードコーディネーターは、「日本フードコーディネーター協会」による民間資格です。食の開発・演出・運営に携わるクリエーターを目指す資格で、主に食の分野で働く人が受験しています。

認定試験は、3級・2級・1級です。スタート地点となる3級では、「文化」「科学」「デザイン・アート」「経済・経営」の幅広い知識が試されます。

2級を受験するには、専門的な知識に加え、実践的な企画力が必要です。1次試験と2次試験があり、2次試験ではオンライン講座の受講後に企画書を提出します。

1級では、プロとしての実践的な知識と技術が問われます。1次試験は企画書審査、2次試験はプレゼンテーション・面接による審査です。

参考:特定非営利活動法人 日本フードコーディネーター協会

色彩検定

料理を美味しく、空間を美しく見せるためには、色の力が欠かせません。色に関する知識を証明する資格があれば、業界での転職が有利になったり、テーブルコーディネーターとしての仕事が増えたりする可能性があります。

色彩検定は「色彩検定協会」が主催する民間資格で、文部科学省が後援しています。メインの認定試験は、3級・2級・1級ですが、2018年には、UC(色のユニバーサルデザイン)への知識を深める「UC級」が新設されました。

色彩検定協会では、2級を実務に応用したい人向け、1級をプロフェッショナル向けと位置付けています。初めて色について学ぶ人は、3級からスタートしましょう。色彩心理や色彩調和をはじめとする、色に関すえる基礎知識が試されます。

参考:色彩検定協会/カラーコーディネーター

活躍できるフィールドは本人次第

フルコース

(出典) pixta.jp

テーブルコーディネーターは、食空間を彩るエキスパートです。ホテル・ブライダル業界をはじめ、食に関わるさまざまな業界でニーズがあります。

事務職や営業職と比べて求人案件は多くありませんが、活躍のフィールドは本人次第で大きく広がります。スキルやセンスを磨き続ければ、多くの会社・個人から声が掛かる可能性もあるでしょう。

これからテーブルコーディネーターを目指す人は、関連業界に転職するところからスタートするのがおすすめです。