懲戒解雇は転職に不利?バレる理由や転職を成功させるポイントを解説

職場で問題を起こしたり、長期にわたって無断欠勤を重ねたりした場合、懲戒解雇になる可能性があります。懲戒解雇されると、その後の転職活動に影響はあるのでしょうか?懲戒解雇がバレてしまう理由や、解雇後でも転職を成功させるポイントを解説します。

懲戒解雇は転職時に不利になる?

懲戒規定

(出典) pixta.jp

解雇には普通解雇や整理解雇などもありますが、その中でも懲戒解雇は最も重い懲戒処分であり、企業に損害を与えたり犯罪行為に手を染めたりした場合に適用されます。現職を懲戒解雇されてしまった場合、その後の転職では不利になるのでしょうか?

採用担当者に問題視される可能性はある

懲戒解雇された場合、転職の選考時に問題視される可能性があり、転職活動上は不利になるといえるでしょう。懲戒解雇は日本の人事制度において、めったに受けるものではなく、よほどのことがないと懲戒解雇にはなりません。

そのため転職希望先の採用担当者は、採用後にも同じ事態になるのではないかと不安になり、懲戒解雇された人の採用を見送る可能性があります。

懲戒解雇の事実が明らかにならず転職に成功する人もいますが、後述するように懲戒解雇がバレてしまう原因はさまざまです。現職で問題を起こしても、転職すれば問題ないと考えるべきではありません。

懲戒解雇になる原因は?

懲戒解雇は、企業が当該社員を解雇せざるを得ない、重大な問題を起こした場合に適用されるものです。例えば、社員の立場を利用した犯罪行為や、プライベートでの問題行動により企業に多大な損失を与えた場合などは、懲戒解雇の対象となります。

有名企業の社員が犯罪行為で逮捕され、懲戒解雇処分を受けた事例は多く、ニュースでもよく報道されているので、目にしたことがあるのではないでしょうか。

また犯罪行為だけでなく、重大な経歴詐称や長期にわたる無断欠勤なども、懲戒解雇の事由となる場合があります。

懲戒解雇は転職時にバレるのか?

履歴書とペン

(出典) pixta.jp

懲戒解雇の事実は転職時に不利になる可能性がありますが、転職希望先に懲戒解雇の事実は知られてしまうものなのでしょうか?結論としては、懲戒解雇の事実があっても転職先に知られないケースもあるものの、状況によってはバレてしまう可能性は十分あります。

状況によってバレる可能性はある

前職を退職した理由について、基本的に履歴書や職務経歴書に詳しく記載する必要はないため、懲戒解雇の事実を自分から明かさなければバレない可能性もあります。

しかし離職票を求められた場合、解雇について記載されているため、内容を確認した採用担当者には知られてしまうでしょう。ただし、一般的に転職希望先から離職票の提出を求められるケースはありません。

また、面接でも前職の退職理由を聞かれなければ、答えなくても問題ないものの、面接担当者から質問された場合には、正直に回答する必要があります。

転職の面接では、前職の仕事や退職理由を聞かれるケースが多いので、懲戒解雇の事実を隠そうとしても、結局はバレてしまう可能性があります。

懲戒解雇が転職希望先にバレる理由

履歴書をチェックする面接官

(出典) pixta.jp

懲戒解雇の事実が必ずしも転職先に知られるとは限りませんが、以下の理由から露見する可能性があります。懲戒解雇がバレてしまうパターンを紹介します。

応募書類や面接

転職希望先の用意した応募書類に退職理由を記載しなければならない場合や、面接担当者に退職の理由を聞かれた場合、正直に答える必要があります。そのため、内容から解雇の事実が判明する可能性が高いでしょう。

履歴書や職務経歴書は、退職理由や賞罰について記載しなくてもよいフォーマットのものも多いですが、面接時に担当者から聞かれるケースは十分にあります。

詳しくは後述しますが、面接でうそをつくと後から問題になる可能性が高いので、面接担当者から聞かれた場合は、正直に答えるようにしましょう。

離職票

離職票には退職理由をチェックする欄があるため、応募先から提出を求められた場合、その内容からバレてしまう可能性があります。

ただし、離職票は失業給付を受けるために必要な書類であり、企業の採用フローで活用されるケースはまず考えられません。従って、応募先の採用担当者が目にする機会は多くはないでしょう。

しかし、応募先から離職票の提出を求められるケースもゼロではないため、離職票から懲戒解雇の事実が露見する可能性は考えられます。

雇用保険被保険者証

応募先で正社員として勤務する場合、雇用保険の被保険者証が必要です。

雇用保険はハローワークで加入手続きをしますが、応募先の人事担当者が、雇用保険番号などを確認するために履歴をチェックする場合があります。そのタイミングで、懲戒解雇の事実を知られる可能性もある点は、覚えておきましょう。

一般的には履歴照会をされる可能性は低いですが、加入手続きがスムーズに進まない場合、人事担当者が履歴を照会し、離職理由に記載されているコードを目にする場合が考えられます。

コードの内容を知っている人ならば、離職理由が懲戒解雇であると分かってしまうでしょう。

退職証明書

応募先企業が前職の退職証明書の提出を求めた場合、その内容から懲戒解雇がバレる可能性もあります。退職証明書は、当該企業を退職した事実を証明するための書類で、雇用されていた人が企業側に対して請求するものです。

退職証明書には退職日や退職の理由が記載されており、解雇されたのであれば、その経緯が記載されている場合もあります。そのため退職証明書を確認されると、懲戒解雇の事実が明らかになる可能性があるのです。

ただし離職票と同様、企業が応募者に対して退職証明書の提出を求める機会は減っています。そのため、これらの書類から懲戒解雇の事実が露見する可能性は高くありません。

前職に関係する人からの情報

企業が応募者の身元調査のため、前職の企業に問い合わせた場合や、前職の社員からの情報により、懲戒解雇がバレてしまう可能性も考えられます。

ただし、企業が応募者の前職について調査する中で、退職理由を詳しく調べるのは、本来は不適切な行為です。ほとんどの企業は、応募者本人の同意なく、前職に関する情報収集をすることはありません。

しかし応募先企業や前職の企業のコンプライアンス、採用担当者の意識などによっては、まれに前職調査で退職理由が露見してしまう可能性がある点は、覚えておきましょう。

また、応募先に前職の企業の関係者や、社員の知人・友人などがいた場合、密告によって、懲戒解雇が発覚するケースもあります。

転職後の言動

応募書類や面接などで懲戒解雇の事実が知られなくても、入社後に自ら前職での解雇に関して発言してしまい、上司や人事部門などに知られてしまう場合もあります。実際のところ、転職後しばらくして口を滑らせてしまう人は、決して少なくありません。

すでに入社しているので問題ないと考えて、過去の言動を自ら暴露してしまう人もいますが、問題に発展する場合もあります。

日頃の何げない雑談や、飲み会の席での発言などには十分に注意しましょう。たとえ明確な問題にならなくても、人事評価に悪い影響が出る可能性もあります。

SNSでの発信

SNSでの発信により、懲戒解雇の事実が明らかになる場合もあります。SNSを日常的に利用している人の中には、前職の話題を投稿している人は少なくありません。

たとえ匿名のSNSであっても、投稿の内容から関係者にバレてしまう場合があり、特定されて懲戒解雇の事実が露見するかもしれません。

懲戒解雇の事実が問題にならなくても、投稿内容が問題視されて、処分を受ける可能性もあるでしょう。SNSを頻繁に利用している人は、投稿内容に注意する必要があります。

転職時に懲戒解雇の事実を隠すリスク

腕組みをする男性

(出典) pixta.jp

転職の応募書類には、必ずしも前職の退職理由を明記する必要はなく、面接時にも退職理由を聞かれなければ、自分から懲戒解雇の事実を伝えなくても問題はありません。

しかし、応募書類に退職理由を明記するように求められている場合や、面接担当者から質問を受けた場合は、正直に答えなくてはいけません。懲戒解雇の事実を伝える必要があるにもかかわらず、隠していた場合は、後から問題になる可能性があります。

明確なうそをつくと経歴詐称になるので注意

面接担当者からの質問には、基本的に正直に答えなければいけません。懲戒解雇の事実を隠すために明確にうそをついたり、履歴書や職務経歴書に虚偽の内容を記載したりした場合、経歴詐称と見なされる可能性があるので注意しましょう。

自ら懲戒解雇の事実を示す必要はありませんが、退職理由について質問を受けた場合には、隠さずに事実を話さなければいけません。うそをついたことが内定後に露見し、経歴詐称が明らかになると、内定が取り消しになってしまう可能性があります。

懲戒解雇の事実は転職時に不利になるのは間違いありませんが、事実を隠して後から詐称がバレた場合、そちらの方が採用担当者の印象が悪くなります。採用見送りの可能性があるとしても、うそはつかないようにしましょう。

転職先でも懲戒解雇になる可能性がある

懲戒解雇の事実を隠して転職に成功した場合でも、転職後に露見して、再び懲戒解雇になるリスクもあります。

前述のように、選考時のうそは経歴詐称と見なされる恐れがあり、特に前職での経験・成績などを選考基準とする転職採用では、重大な信義則違反と判断され、処分の対象になる可能性が考えられるでしょう。

懲戒解雇に至らない場合でも、企業との信頼関係が崩れてしまい、今後のキャリアに悪影響を及ぼす場合もあります。周囲からもネガティブなイメージを持たれる可能性があるので、将来のためにも、選考の時点で事実を包み隠さず伝えた方がよいでしょう。

懲戒解雇の事実は職歴にどう記載する?

職務経歴書に記入する

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懲戒解雇された企業の職歴を記載する場合、どうすればよいのでしょうか?前述のように、懲戒解雇された旨を明確に記載する必要はないものの、虚偽の内容を書いてはいけません。以下のように、詳しい理由は書かず「会社都合により退職」と記載するのが一般的です。

「会社都合により退職」と記載する

履歴書や職務経歴書に退職理由の記載欄がある場合、懲戒解雇と明記する必要はなく、一般的には「会社都合により退職」と記載しておけば問題ありません。懲戒解雇は企業が社員に言い渡す処分なので、会社側の都合での退職扱いとなります。

なお、よくある「一身上の都合」という表現は、家庭の問題などをきっかけとして、自ら退職を願い出たケースに該当します。従って、懲戒解雇の場合は虚偽の記載と判断されるリスクがあるので、使わないようにしましょう。

懲戒解雇されても転職を成功させるには?

面接官の男性

(出典) pixta.jp

懲戒解雇の事実は転職選考時にバレてしまう可能性があり、採用を見送られてしまう場合もあるでしょう。しかし、懲戒解雇を理由に採用に至らなかったとしても、以下のポイントを意識し、粘り強く転職活動を続けることが大事です。

解雇された理由を明確に伝える

退職理由を聞かれた場合、うそをつかずに正直に答えなければいけません。それに加えて、解雇に至った理由を明確に伝えることが重要です。解雇された背景によっては、情状酌量の余地があると採用担当者に判断してもらえる可能性もあります。

その場でうそをついても、後から露見して問題になるケースもあります。結果的に採用には至らなかったとしても、退職理由は正直に伝えるようにしましょう。

懲戒解雇に対する反省の態度を表す

いかなる理由で懲戒解雇に至ったとしても、しっかりと反省の態度を示すことが大事です。自分の改善すべき点をまとめておき、転職後にどう仕事に向き合うか、面接担当者にしっかりと伝えられるようにしておきましょう。

説得力のある話ができれば、採用担当者からプラスの評価を得られる可能性もあります。前職での出来事よりも、面接の受け答えを重視する担当者は多いので、事前準備を怠らないようにしましょう。

応募する企業をしっかり検討する

上場企業をはじめ、応募者のそれまでの経歴を重視する企業の場合、前職での懲戒解雇が悪影響を及ぼす可能性が高いでしょう。

ただし、スタートアップ企業や前職とまったく異なる職種の企業、人手不足に悩む企業などの場合、懲戒解雇の事実があっても受け入れてくれる可能性があります。

応募する企業をしっかりと検討し、少しでも採用される見込みの高いところを、慎重に選ぶことが大事です。懲戒解雇の影響が大きそうな企業は、初めから候補から外しておくのがよいでしょう。

懲戒解雇されても諦めずに転職活動を

面接

(出典) pixta.jp

懲戒解雇は日本ではまれなケースであり、よほどのことがない限り、懲戒処分にはなりません。

懲戒解雇された場合、転職に不利になる点は否定できないでしょう。ただし、応募企業を絞り込んで、しっかりと反省の意を示せば、雇い入れてくれる企業もあります。諦めずに粘り強く、転職活動を続けることが大事です。

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