介護支援専門員とは?役割や働く場所、転職する方法について解説

介護支援専門員は介護保険サービスのスペシャリストです。どのような職業なのかを知ることで、転職活動をよりスムーズに進められるようになるでしょう。介護支援専門員の役割や活躍できる場所、転職する方法について解説します。

介護支援専門員とは

ケアマネージャー

(出典) pixta.jp

介護支援専門員はケアマネジャー(ケアマネ)とも呼ばれる職業です。仕事内容や活躍できる場所など、まずは介護支援専門員の概要について解説します。

介護保険サービスの専門職

介護支援専門員とは、要介護・要支援の状態にある高齢者やその家族の相談に応じ、状況に応じた適切な介護サービス計画(ケアプラン)の立案を主な仕事とする職種です。

介護支援専門員になるためには、都道府県が認定する公的資格を取得する必要があります。一定期間の実務経験を経て試験に合格し、さらに実務研修を修了すれば介護支援専門員として働けるようになります。

介護支援専門員が働く主な場所は、居宅介護支援事業所や入居介護施設です。仕事内容は多岐にわたり、働く場所によって実際の業務内容は異なります。

介護支援専門員の主な役割

ヒアリングをするケアマネージャーの女性

(出典) pixta.jp

介護支援専門員にはさまざまな役割があります。主な役割に応じた仕事内容を見ていきましょう。

ケアプランの立案

介護支援専門員は、介護サービス利用希望者の要介護度に合わせたケアプランを立案します。ケアプランとは、どのような種類の介護保険サービスをどの程度利用するのか決めることです。

ケアプランを作成する際は、希望者の課題を分析するアセスメント能力が求められます。課題分析を通して希望者の目標を立て、目標達成に向けた計画を立てていきます。

給付管理に関する業務も、介護支援専門員の重要な仕事です。要介護度に応じた給付枠内に収まるようにサービスを選定し、保険者に介護報酬の請求を行います。

サービス事業所と利用者の調整

利用者に適した事業所を代わりに探したり、事業者への要望・クレームを聞いたりするなど、介護支援専門員はサービス事業所と利用者との橋渡し役も担います。

介護サービス利用希望者に提供するサービスが決まったら、介護支援専門員は事業所とサービス開始についての打ち合わせを行います。サービス開始後も定期的な状況確認が必要です。

利用者側とも定期的にやりとりを行い、介護サービスの選定が適切なものだったかをチェックします。サービス内容に問題がある場合は、ケアプランを見直さなければなりません。

介護認定調査

要介護者が介護保険サービスを利用するためには、介護認定を受ける必要があります。要介護認定とは、要介護・要支援の状態にある人が、どの程度の介護を必要としているのかを決めることです。

認定調査を受けるためには本人または家族の申請が必要ですが、申請することが難しい状態にある場合は、介護支援専門員が申請業務を代行します。

また、介護支援専門員が認定調査の委託を受けた場合は、サービス利用希望者を訪問して調査を実施しなければなりません。認定調査では、身体機能・生活機能・認知機能などのチェックや、住環境・家族状況・医療に関する聞き取りを行います。

介護支援専門員が働く場所

介護施設の様子

(出典) pixta.jp

介護支援専門員の仕事内容は、働く場所によっても異なります。主な就職先や働く場所ごとの業務を把握しておきましょう。

居宅介護支援事業所

居宅介護支援事業所(ケアプランセンター)とは、要介護者の在宅介護をサポートする事業所のことです。一般的には介護支援専門員が常駐職員として働いています。

居宅介護支援事業所に勤務する介護支援専門員は、利用者の自宅を訪問して状況をチェックし、利用者ごとのケアプランを立案するマネジメント業務が主な仕事です。

在宅介護ではさまざまな介護サービスを利用することになるため、外部サービス事業者とのスムーズな連携も求められます。請求業務などの事務仕事も多くなるでしょう。

入居介護施設

介護支援専門員は入居介護施設で働くこともあります。介護支援専門員の配置が義務付けられている主な施設は次の通りです。

  • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 小規模多機能型居宅介護

居宅介護支援事業所で働く介護支援専門員に比べ、1人でより多くの利用者を担当することが多い傾向があります。介護に携わったり雑務を行ったりすることがある点も特徴です。

地域包括支援センター

地域包括支援センターとは、高齢者に関する相談を受け付けている公的な窓口です。介護支援専門員・保健師・社会福祉士などの専門スタッフが常駐しています。

地域包括支援センターで働く介護支援専門員の主な仕事は、要支援者のケアプランを立案することです。地域住民からの介護に関する相談に応じることもあります。

地域包括支援センターに勤務する介護支援専門員のほとんどは、上位職種である主任介護支援専門員です。地域の介護支援専門員の育成業務を行うケースもあります。

介護支援専門員になるメリット

介護職員

(出典) pixta.jp

一般の介護スタッフとして働いている人は、介護支援専門員になることでさまざまなメリットを受けられます。どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

仕事の範囲が広がる

介護支援専門員になるとケアプランの立案を行えるようになるため、業務の幅が広がります。より多くの経験を積めるようになることがメリットです。

介護業界で長く働きたいと考えている場合は、業務の幅を広げることでスキルアップやキャリアアップにつながりやすくなります。モチベーションアップも期待できるでしょう。

利用者やその家族から感謝されることも、介護支援専門員になるメリットの1つです。自分が作成したケアプランで利用者の状況が改善すれば、達成感ややりがいを感じられます。

収入アップを望める

業界の中でも上位の資格となる介護支援専門員は、収入の水準も一般の介護スタッフより高めです。基本給が上がったり資格手当が支給されたりするため、収入アップを望めます。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」を見ると、介護支援専門員の平均給与は36万2,290円となっています。保有資格のない職員に比べ、約9万円高い金額です。

介護業界で収入アップを目指すなら、介護支援専門員の資格取得に向けて勉強するとよいでしょう。

参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果 P182 | 厚生労働省

仕事とプライベートを両立しやすくなる

介護支援専門員の仕事は、デスクワークや利用者訪問がメインとなります。基本的には夜勤やシフト制勤務がないため、仕事とプライベートを両立しやすいことがメリットです。

一般の介護スタッフに比べて身体的な負担も少ないため、長く続けやすい仕事だといえます。ワークライフバランスを実現しやすい職種です。

ただし、入居介護施設で働く介護支援専門員は、一般の介護スタッフと同様の業務を担当する場合もあります。夜勤が必要なケースもある点に注意が必要です。

介護支援専門員に求められる能力

高齢者と話す介護士

(出典) pixta.jp

介護支援専門員に必須のスキルを紹介します。どのような能力が求められているのかを把握し、自分に向いている仕事なのかどうかを判断する参考にしましょう。

コミュニケーション能力

介護支援専門員は、さまざまな人とやりとりを行いながら業務を進めていかなければなりません。適切なコミュニケーションを取れる能力が必須です。

例えば、要介護者やその家族とコミュニケーションを取る際は、相手に合わせた対応が求められます。介護に対する認識が人により大きく異なるためです。

また、介護支援専門員の仕事では、サービス事業者や行政とのやりとりも頻繁に発生します。より適切な介護サービスを提供するためには、各方面との高い交渉力が不可欠です。

事務処理能力

書類作成などの事務仕事も、介護支援専門員の重要な業務です。人手が足りない職場では事務仕事が多くなるため、事務処理能力の高い人は介護支援専門員に向いています。

また、介護支援専門員はさまざまな業務を並行して行うことが多いため、マルチタスク能力や時間管理能力も不可欠です。

例えば、入居介護施設で働く場合、本来の業務と介護業務をうまくこなしていく必要があります。時間配分を考えながら複数の業務に柔軟な対応を取れれば、どのような職場でも活躍できるでしょう。

介護支援専門員になるには

資格の勉強をする女性

(出典) pixta.jp

介護支援専門員になるための方法を紹介します。資格取得後に上位資格を目指せることも覚えておきましょう。

資格を取得する必要がある

介護支援専門員になるためには、所定の資格を取得後に5年の実務経験を経て試験に合格し、さらに研修を修了しなければなりません。試験は各都道府県が実施します。

受験資格を満たしていれば、最短1年程度で介護支援専門員になることが可能です。所定の資格を持っていて実務経験がない場合は最短5年、無資格で業界未経験なら最短8年かかります。

受験資格を満たすために取得できる資格にはさまざまな種類がありますが、介護業界で役立てられる介護福祉士を取得するのがおすすめです。未経験から介護支援専門員を目指すなら、まずは介護現場で3年以上の実績を積んで介護福祉士の資格を取得しましょう。

参考:令和5年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験 | 公益財団法人 東京都福祉保健財団

資格取得後は上位資格も目指そう

介護支援専門員の資格を取得した後は、さらに上位資格である主任介護支援専門員を目指せます。

主任介護支援専門員は介護相談のスペシャリストです。地域包括支援センターでの配置が義務付けられており、介護支援専門員の育成業務や社会資源の情報収集活動に携わります。

介護支援専門員として専属で勤務した経験が5年以上あれば、主任介護支援専門員の受験資格を得ることが可能です。都道府県独自の受験基準を設けているケースもあるため、自分が住んでいる都道府県に確認してみましょう。

転職で介護のスペシャリストにチャレンジ

笑顔の女性介護士

(出典) pixta.jp

介護支援専門員は、主にケアプランの作成を行う職業です。介護支援専門員になるためには、都道府県が認定する公的資格を取得する必要があります。

仕事の範囲が広がることや収入アップを望めることが、介護支援専門員になるメリットです。自分の現在の状況に合わせて、転職にチャレンジしてみましょう。

介護支援専門員の資格を取得したら、「スタンバイ」で仕事を探すのがおすすめです。全国各地の豊富な求人を掲載しており、自分に合った介護の仕事が見つかるでしょう。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら