ITエンジニアは人材へのニーズが高く、他の職種よりも転職しやすい傾向にあります。しかし理想とする職場に転職するためには、応募資料の作成に力を入れなければいけません。応募書類の記載事項の中でも特に重要な、志望動機の書き方を解説します。
ITエンジニアの志望動機の書き方は?
ITエンジニアの志望動機の書き方は、基本的にほかの職種と変わりません。ただし、軽い気持ちで書いてしまう人もいるので、事前にしっかり準備してから書き始めましょう。
まずは志望理由を明確に
志望動機を書く際には、まず自分の中で志望理由を明確にする必要があります。転職活動の応募書類でも、その場の思いつきで書いてしまう人は決して少なくありません。しかし面接での受け答えで一貫した主張をするためにも、自分の中で整理が必要です。
将来のキャリアプランを明確にし、応募先の企業理念や業務内容などを、入念に調べておきましょう。収集した情報を基に志望理由を考えることで、転職成功率を大幅にアップできます。
前向きな理由を考えることも大事
ITエンジニアに限らないものの、例えば「給料が低い」「職場の人間関係が嫌」「上司との関係がよくない」など、どちらかといえばネガティブな理由で転職を決意する人は多いのが実態です。
しかし、ネガティブな志望動機は採用担当者に良い印象を与えず、転職後も同じような理由で早期離職してしまうのではないかといった不安を抱かせてしまいます。
転職理由としてネガティブなものが大半だったとしても、前向きな理由を考えたり、表現を変えてみたりする工夫が求められます。
志望動機でうそをつかない
転職を成功させたいがために、志望動機にうそを書いてしまう人もいます。しかし、入社後にミスマッチが発生する可能性もあるので、うそはつかないようにしましょう。
企業側に迷惑をかけてしまうだけでなく、結果的に合わない企業に就職・転職してしまう可能性があるので、自分にとってもマイナスになります。
また、志望動機でうそを書いても、面接での受け答えなどで矛盾が生じたり、回答の整合性が保てなくなったりするので、人事担当者に見抜かれてしまう場合も珍しくありません。
企業は志望動機のどこに注目している?
転職につながる志望動機を書くためには、企業が応募者の志望動機のどこに注目しているか、知っておく必要があります。エンジニアの場合、それまでの経験やスキルに加えて、入社後のキャリアパスやコミュニケーション力などが主な評価の対象です。
エンジニアとしての経験やスキル
中途採用の場合、それまでのITエンジニアとしての経験やスキルは、特に重視されます。どういったプロジェクトに関わってきたか、どのような役割を担ってきたかといった点を、積極的にアピールしましょう。
エンジニア自体が業界全体で人手不足の傾向にあり、多くの企業が経験豊富な人材を欲しています。エンジニアとしての実績に加えて、入社後にどういった活躍ができるか具体的に記載すると、より説得力のある志望動機になります。
入社後に望んでいるキャリア
企業は応募者に対して、入社後にどのようなキャリアを歩みたいのかを確認することで、自社で活躍してもらえるのか、自社の価値観に合っているかという点をチェックしています。
企業側と応募者側でキャリアに対する認識が異なると、早期離職の原因となり、どちらにとってもマイナスになりかねません。
現時点で望むキャリアが漠然としていても、転職後にどういったポジションを目指すのか、どのようなプロジェクトに関わりたいのかなど、できるだけ明らかにしておきましょう。
コミュニケーション力
エンジニアはどのような仕事に関わるにせよ、コミュニケーション能力が必須です。チームで開発を進めるケースが多いため、周囲のエンジニアとの意思疎通はもちろん、営業部門をはじめ、エンジニア以外の職種とも密に連絡を取り合わなければいけません。
企業は応募者に対して、入社後に問題なく業務を進めてもらえるか、コミュニケーションの面でも評価します。
特に、将来的にプロジェクトマネージャーや管理職を目指すならば、周囲と協調して仕事ができる点について、実績を交えてアピールするとよいでしょう。
魅力的な志望動機を書くための準備
企業の採用担当者に刺さる志望動機を書くためには、事前準備を入念に行う必要があります。以下のように応募企業の情報を調査・分析し、志望動機でアピールすべきポイントを整理しましょう。
応募する企業を調査・分析する
まずは、応募企業についてしっかり調査・分析しましょう。複数の企業に応募する場合、どれも似たような志望動機になってしまう人は多いものですが、企業によって書き分けるのが基本です。
応募先が公式サイトやSNSで発信している情報、業界紙なども参考にし、どういった人材を求めているのか、どのような価値観を持っているかという点を把握しましょう。収集した情報をうまく盛り込むことで、応募先企業にとって魅力的な志望動機になります。
ただし上記のように、志望動機でうそをつかないように注意しましょう。あくまでも自分の目指すキャリアや望んでいる職場環境などと、整合する範囲で記載する必要があります。
アピールすべきポイントを整理する
自分の経験やスキルの棚卸しを行い、応募企業を調査した内容と照らし合わせて、応募先を選んだ理由としてまとめましょう。その企業のどこに魅力を感じて応募するに至ったのか、将来望んでいるキャリアなどと合わせて、入社意欲を示すことが大事です。
単に志望理由を並べるだけでなく、具体的なエピソードを交えて記載すると、採用担当者にとって魅力的な動機に仕上げられます。応募先の企業でなければならない理由をうまく伝えましょう。
ITエンジニアが志望動機を書くポイント
ITエンジニアが志望動機を書く際には、以下の点も意識する必要があります。細かい部分にも気を配ることが、魅力的な志望動機を作成するポイントです。
書くべき内容を絞り込む
応募先の企業や職種を選んだ理由を明確にし、入社後のイメージが企業のニーズに合っている点を端的に伝えましょう。盛り込むべき情報を精査し、具体的に記載する必要があります。
採用担当者に良いイメージを持ってもらうため、さまざまな情報を盛り込んでしまう応募者は少なくありません。しかし、無駄な情報が多いと本当に伝えたい部分がうまく伝わらず、何を言いたいのか分からない文章になる可能性があります。
志望動機の一般的な文字数は200~300文字程度、多くても400文字には収める必要があります。余計なことを書かずに、必要な情報にのみフォーカスして書くことが大事です。
全体の構成を工夫する
志望動機の構成に厳密な決まりはありませんが、結論から始めて、その根拠やエピソードを記載し、入社意欲を示す流れにすると効果的です。
まずは応募先でエンジニアになりたい理由と、動機の根拠やエピソード、企業に提供できる価値、入社意欲といったような構成にするとよいでしょう。
前述のように、具体的なエピソードを語ることで、説得力のある文章になります。さらに入社後にどういった活躍ができるか、分かりやすくアピールすることも重要です。
面接時に聞きたくなる内容を意識する
面接時に担当者が聞きたくなる内容を盛り込むのもポイントです。
具体的なエピソードはもちろん、エンジニアとして経験した問題・課題とその解決策、チームとして成し遂げたことなど、数字を交えて記載すると採用担当者は興味を持ちやすくなります。
面接で聞いてみたいと思うようになるので、ほかの応募者よりも書類選考を通過しやすくなるでしょう。
事前に応募企業について調査した内容を深掘りして、どういった情報が採用担当者の興味を引くか考えてみるとよいでしょう。エンジニアとして役立つ資格を有している場合は、その情報を盛り込むのもおすすめです。
ITエンジニアの志望動機の事例
ITエンジニアの志望動機のサンプルを紹介します。あくまでも一例なので、全体の構成を参考にしながら、自分なりの志望動機を作成しましょう。
システムエンジニアの志望動機の例文
前職で関わったプロジェクトにおいて、貴社の業務用アプリケーションの開発精度に感銘を受けたことが応募の理由です。これまで不動産会社の業務システムの開発に携わっており、システムエンジニアとして約4年のキャリアを積んでまいりました。
その中で貴社のエンジニアの方と関わり、さまざまなお話を聞かせていただく中で、クライアントの細かい要望まで実現する姿勢に感激し、ぜひ一緒に働きたいと思うようになった次第です。
開発実務に携わった経験に加えて、昨年からは2人のエンジニアを管理するリーダーを務めてまいりました。
貴社の開発現場でも、要件定義から開発・実装まで一貫して担当できるのに加えて、クライアントとのやり取りや、新人のエンジニアの教育にも対応できると自負しております。
プログラマーの志望動機の例文
昨年、貴社が参加されたテックイベントにおいて、プログラマーのA氏の講演を拝聴し、興味を持ったのが応募のきっかけです。
貴社のプログラマーの考え方や姿勢が、私の目指す方向性に近く、さらに手がけている業務用アプリケーションに実際に触れ、ユーザーの細かいニーズに対応している点に感銘を受けました。
これまで3年以上、金融機関向けのシステム開発にプログラマーとして携わっており、C言語やJavaを使用してきたので、貴社の開発案件にも問題なく対応できると自負しております。
培ってきたスキルを生かし、よりユーザーに寄り添ったアプリケーション作りに携わりたいと考えております。
志望動機を工夫して転職を成功させよう
ITエンジニアの応募書類では、スキルや経験、入社後に望んでいるキャリアなどが評価の対象となるため、志望動機にうまく盛り込むことが大事です。
企業の採用ニーズと自分が望んでいるキャリアなどを照らし合わせ、全体の構成を工夫して、魅力的な文章に仕上げましょう。
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