司書は図書館に勤務し、蔵書を取り扱う業務全般を担当します。司書の選考を突破するには、どのような志望動機を書けばよいのでしょうか。基本的な書き方や押さえておきたいポイント、例文を紹介します。選考に向けて十分に備え、採用を目指しましょう。
志望動機を書く前に仕事内容を押さえよう
説得力のある志望動機を書くには、仕事内容を正しく理解することが欠かせません。司書が担当する主な仕事を、2つ紹介します。
レファレンスサービスの提供
何らかの情報を求めて図書館を訪れる人に対し、必要な情報や資料の探し方などを教えるのがレファレンスサービスです。
利用者が抱える疑問点に対する答えを得るのに役立つ書籍を案内したり、具体的な調査方法を教えたりします。勤務している図書館の蔵書だけでは解決しない場合は、別の図書館や教育施設などと連携する場合もあるでしょう。
レファレンスサービスは、司書として行うメインとなる仕事の1つです。調査活動などで困っている人を助ける、やりがいがある仕事といえるでしょう。
蔵書の管理・整理・陳列・修理
図書館にある膨大な蔵書の管理も、司書の仕事です。利用者が探しやすいように陳列したり、開架図書と閉架図書を選別したりします。さらには、新たな本の購入や破損した本の修理も担当する業務です。
蔵書の整理は一見すると地味な仕事ですが、館内の資料を適切な状態に保ち、きちんと管理するために欠かせません。
貸し出されたまま返却されていない本がないか、管理用のバーコードがきちんとスキャンできて登録内容に問題がないかといった点も、併せてチェックします。
司書を目指す人が知っておきたい転職事情
司書を目指そうと考えている人は、転職事情を正しく理解しておきましょう。司書への転職にあたり、意識したい3つのポイントを紹介します。
正規雇用を目指すなら司書資格が必須
司書として正規雇用で働くには、司書資格が必須です。司書は文部科学省が所管する国家資格で、以下で紹介するいずれかのルートで取得できます。
- 大学(短大を含む)で必要な科目を履修した上で卒業する
- 大学(短大を含む)または高等専門学校卒業生が司書講習を修了し資格を得る
- 司書補としての実務経験を3年以上積んでから司書講習を修了する
大学(短大を含む)で司書になるのに必要な科目を履修した場合は、卒業すれば資格を取得できますが、それ以外の場合は司書講習を受けなければなりません。なお、非正規雇用で働く場合は、司書資格が必須というわけではありません。
求人数は全体的に少なめ
これから司書に転職しようと考えている人にとって、就職の難易度は気になる情報です。司書の求人数は全体的に少なく、難易度が高い傾向があります。求人数が少なければ、司書の資格を取得したとしてもその後の転職に苦労する可能性があるでしょう。
都道府県や市区町村が運営している公立図書館への転職を目指す場合は、公務員試験を受ける必要があります。大学図書館をはじめとした私設図書館に比べて、より難易度が高まるため、長期的に転職活動に取り組まなければならない可能性もあるでしょう。
転職では図書館勤務の経験が求められる
司書に転職する場合、図書館勤務の経験が求められるのが一般的です。経験者のみを対象にした求人や経験者を優遇する求人が多いため、司書資格を取得して最初の転職は苦労する可能性が高いでしょう。
未経験から司書を目指すのであれば、まずは非正規で働いて経験を積んだ後に、正規雇用を目指すのがおすすめです。
まずはどのような求人があるかチェックし、未経験者も対象にしたものがないか探してみましょう。
図書館司書を目指す人によくある志望動機
司書への転職を目指している人によくある、志望動機の例を紹介します。自分がなぜ司書を目指そうと思ったのかを考え、それを主軸に志望動機を展開することが大切です。
司書との交流経験が心に残っている
過去に司書と接した経験があり、それが司書を目指す理由になるケースがあります。司書との交流でよくある例は、以下の通りです。
- 学生時代の調査活動をサポートしてもらった
- 読書感想文を書くのにおすすめの本を教えてもらった
- 図書館が主催するイベントに参加した
調査活動で司書のサポートを受け、適切な書籍を紹介してもらえたり有益な情報を教えてもらえたりした経験があれば、心に深く残っていることでしょう。
志望動機を書くときには、自分の経験を盛り込むと説得力が高まります。自らの経験を振り返り、司書を目指すきっかけになった出来事を思い起こしてみましょう。
図書館を通じて地域貢献したい
図書館は、書籍や資料、歴史的記録などを収集・保存して公開することで、教育や調査活動をサポートする目的で設置される施設です。そのため、公共性が高く地域貢献につながりやすい仕事といえます。
地域貢献できる仕事を探しているうちに、司書を発見するケースもあるでしょう。図書館の利用経験が多い人であれば、とりわけ司書に魅力を感じやすいといえます。
すでに司書資格を取得している場合、図書館で司書として働くことで地域に貢献するのはおすすめの道でしょう。地域貢献したいという願いも、説得力がある志望動機の1つです、
調査・研究・学習をサポートしたい
レファレンスサービスを通じて司書と交流した経験がある人の場合、自分もレファレンスなどの分野で調査・研究・学習をサポートしたいと考えるケースも、あるかもしれません。
レファレンスは司書が担当する主な仕事の1つで、来館者のサポートとしても欠かせません。そのため、司書として多くの人の調査・研究・学習をトータルでサポートしたいというのも、十分な志望動機です。
人々をサポートしたいという願いは、転職後に司書としての業務を担う中でも大きな力になります。
説得力がある志望動機を書くためのポイント
これから選考を控えている人に向けて、司書の志望動機を説得力のある形に仕上げるためのポイントを紹介します。自分を魅力的な人材としてアピールするためにも、以下で紹介する3つのポイントをきちんと盛り込むことを意識しましょう。
司書を目指す理由を明確に示す
志望動機は、なぜその求人に応募したのかを示すものです。そのため、最初に司書を目指す理由を明確に書きましょう。「司書として調査・研究をサポートし、多くの人に貢献したい」などのように、シンプルかつ明確に伝えるのが基本です。
この段階で重要なのは、具体的な内容を提示するという点です。「本が好きで多くの本の魅力を伝えたいと思った」など、当たり障りのないものはあまり効果的ではありません。
なぜ司書に転職したいと思ったのか、司書でなければいけない理由は何かを、明確に示しましょう。
目指すきっかけのエピソードを簡潔に示す
司書を目指す理由を明確に記したら、続く部分になぜそのように思うようになったのかを盛り込みましょう。きっかけを書くときには、自分の経験や具体的なエピソードを盛り込めると効果的です。
「調べ物をしているときに司書に相談したら、最適な資料を教えてくれて疑問が解決した」などのように、自分の経験を含めるとよいでしょう。
司書に転職したいと思っている場合、司書という職業に魅力を感じた理由があるはずです。なぜそのように思ったのかを振り返り、自分の言葉でまとめましょう。
就職後にやりたいことを簡単に伝える
転職後にやりたいことを簡潔に盛り込めれば、採用後の働いているイメージを採用側も持ちやすいため効果的です。「レファレンスに注力し、調査活動を目的として図書館を利用するユーザーをサポートしたい」など、明確に記しましょう。
応募先の図書館で特に力を入れているサービスがあれば、そのサービスと絡めるのも効果的です。
まずは応募した図書館の特徴や提供しているサービスの内容などをチェックして、その中で自分が働いている姿をイメージすることをおすすめします。
司書の志望動機の例文を紹介
これから志望動機を書く人に向けて、参考になる例文を紹介します。司書を目指す際に効果的な例文と、NGな例文を1つずつ確認します。例文を参考に、ポイントを押さえて、自分の魅力を最大限に伝えられるオリジナルの志望動機を作成しましょう。
効果的な志望動機の例文
私はさまざまな疑問を抱いて図書館を訪れる人に対し、レファレンスサービスを通じてサポートしたいと思い司書に応募いたしました。
以前、近代史に関して調査していたところ、明治時代の隠れキリシタンの発見についてどうしても不明な点があり、図書館を利用したことがあります。
資料が見つからず困って司書の方に相談したところ、親身になって協力してくださり、別の図書館から必要な資料を取り寄せてくれました。その結果、疑問が解決し、大変感動したことを覚えております。
今度は自分が司書として、取得した資格を生かし、レファレンスサービスに注力することで、多くの人の調査・研究活動をサポートしたいと考えております。
最初に司書を目指す理由を簡潔に記し、続く部分でなぜそのように思ったのかを、具体的なエピソードを交えて伝えています。自分の経験を盛り込み、なぜ司書なのかという点を明確に記した志望動機で、効果的といえるでしょう。
転職後に注力したい仕事についても明示しており、志望度の強さが分かりやすい志望動機です。
NGな志望動機の例文
私は昔から本が好きで、本の魅力を多くの人に伝えたいと思い、司書に応募いたしました。世の中にはまだ知られていない本がたくさんあるため、イベントを通じてその魅力を発信していきたいと考えています。
そのためには、たくさんの本がある図書館で働くのが、最善の道であると感じました。転職後はイベントだけでなく普段からおすすめの本を紹介するなど、たくさんの人に本の魅力を伝えるための活動に注力したいと考えています。
上記の例文では、本が好きでその魅力を伝えたいという志望動機は理解できるものの、なぜ司書なのかが分かりません。
「たくさんの本がある環境」には書店もあるため、図書館でなければいけない理由としても弱いでしょう。
「絶版になった書籍も多数保管している図書館で、過去の名作を含めておすすめの本を紹介したい」など、図書館にしかない特徴を盛り込むと改善できます。
念入りな準備で司書の志望動機を作ろう
司書の志望動機を書くときには、自分が司書を目指す理由を簡潔に盛り込み、体験談を記すのが効果的です。さらに、転職後に働いている姿をイメージできる要素を盛り込めるとなおよいでしょう。
司書は求人案件が少なく、転職難易度が比較的高い仕事です。1回の選考を貴重なものと考え、準備不足で失敗しないように気を付けましょう。念入りに準備することで、採用に近づけるはずです。
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