警備員は、商業施設や学校、工事現場など、さまざまな場所や状況で安全を守る重要な役割を担います。警備員になる上で、必要な条件はあるのでしょうか?警備員に向いている人の特徴や必要なスキル、主な仕事内容、長く続けるポイントを紹介します。
警備員に向いている人の特徴は?
警備員という職業に興味のあるものの、自分に務まる仕事なのだろうかと気になる人もいるでしょう。警備員に向いている人の特徴として、責任感、柔軟な対応力、忍耐力、コミュニケーション能力の4つが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
強い責任感・使命感で仕事に取り組める
警備員は、人々の生命や財産を守る上で重要な任務を担う仕事です。そのため、自分の担当業務に対する強い責任感や使命感、誠実かつ正確な遂行が求められます。また、万が一トラブルや事故が発生した場合には、迅速かつ冷静に対処する能力も必要です。
個々の警備員が「自分の仕事が人々の命に関わる」という意識を持つことで、重大な事故やトラブルの防止につながります。「まさか自分の目の前で事件・事故は起きないだろう」という慢心は、トラブルの種になり得るでしょう。
特に重要人物の身辺警備に携わる場合は、いつ襲ってくるか分からないトラブルから、要人やアーティストなどの命を守るのが使命であるため、その責任の重さをさらに実感することになります。
融通が利き柔軟な対応ができる
警備員は、さまざまな場所や状況下で仕事をします。例えば施設警備では、建物内外の巡回や入退場者の管理を担当しますが、その施設の規則や特性に応じて、対応方法は異なります。
交通誘導警備では、道路工事やイベントなどの現場で交通誘導を行いますが、その日の天候や交通量によって状況は大きく変化するため、柔軟な対応が求められます。
場合によっては夜勤が発生するケースもあるため、シフトの融通が利く人の方が採用される確率が高まるでしょう。
このように警備員は、常に変わり続ける環境に適応し、柔軟な対応が可能な融通の利く人が向いています。
忍耐力・体力に自信がある
警備員はその仕事の特性上、長時間立ちっぱなしだったり、歩き回ったりするケースが多いでしょう。さらに、夜勤や早朝勤務など不規則なシフトで働く場合もあるため、忍耐力や体力が必要です。
特に夏場や冬場は、厳しい暑さや寒さにも耐えなければなりません。体調管理や健康維持に気を配れるという点も重要です。
また警備員は、長時間にわたりルーティンワークに従事する一方で、慢心せず非常事態にすぐ対応できるよう注意力も求められます。就業中は気を緩めることなく、辛抱強く待機する姿勢が重要です。
コミュニケーション能力が高い
警備員は人としゃべらないからコミュニケーションが苦手でもできると考える人も、一定数いるのではないでしょうか?
しかし警備員は、施設の利用者や来場者、工事関係者、イベント主催者など、さまざまな人と接する機会があります。その際には、丁寧で分かりやすい言葉遣いや態度で対応することが重要です。
また、トラブルやクレームが発生した場合には、相手の感情を理解し、適切な説明や謝罪も必要です。コミュニケーション能力が高い人は、警備員として信頼されやすく、仕事にもやりがいを感じやすいでしょう。
警備員になるために必要なスキル
警備員になる上で、特別なスキルは必要ありません。しかし、仕事を遂行するにあたり役立つスキルもあるので、確認しましょう。
特別なスキルは必要ない
警備員になるために、特別なスキル、資格、学歴は基本的に必要とされません。ただし警備業法に基づき、警備会社による「基礎研修」を修了する必要があります。
この研修では、警備業法や刑法、交通法規などの法律、警備に関する基本的な知識や技術を学びます。研修を受けることで、初めて警備を務められるようになる点は覚えておきましょう。
また、誰でもなれると思われがちですが、人々の生命や財産を守る仕事のため、破産手続き中の人や、直近5年間で警備業法に違反した人などは警備員になれないという点に注意が必要です。
上級救命講習を受けておくと仕事に役立つ
警備員は、仕事中に人命救助が必要な場面に遭遇する可能性があります。例えば、施設の利用者が倒れたり、現場で交通事故が起きたりするケースもあるでしょう。そのような場合には、救急車が到着するまでの間、応急処置の実施が求められます。
そのため、消防署で上級救命講習を受けておくと、仕事に役立つでしょう。上級救命講習は、心肺蘇生法やAEDの使用方法などを学ぶものです。この講習を受けることで、救命技能者の資格を得られます。
参考:東京消防庁<安全・安心情報><救急アドバイス><救命講習のご案内>
警備員の主な仕事内容は?
警備員の仕事内容は、大きく分けて施設警備・交通誘導警備・運搬警備・身辺警護の4つに分類されます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
施設警備
施設警備(1号警備)とは、建物や敷地内外の安全管理を行う仕事です。例えば、オフィスビルや商業施設、学校や病院といった施設の警備を担当します。施設警備では、以下のような業務を行います。
- 入退場者の確認や管理
- 施設内外の巡回や監視
- 火災や盗難などの防止や発見
- 緊急時の対応や関係機関への連絡
国内の警備業務の約半数が施設警備に該当するほど、多くの需要のある仕事です。
交通警備
交通警備(2号警備)とは、工事やイベントなどの現場で交通整理を行う仕事です。例えば、道路改修工事や建築現場、マラソン大会やパレードなどが対象として挙げられます。交通警備で担う業務は、以下のようなものです。
- 交通規制や交通誘導
- 交通安全の確保
- 交通事故の防止や発生時の対応
- 道路使用者や関係者との連携
多くの人や車両が行き交う現場で、折々の状況を見ながら優先度を考えて対応することが求められるため、とっさの判断力が重要といえます。
運搬警備
運搬警備(3号警備)とは、貴重品や核燃料物質などの運搬に伴う安全確保を担当する仕事です。
例えば、現金や貴金属、美術品といった盗難の恐れがあるものの安全を確保する「貴重品運搬警備業務」、核燃料物質をはじめとする危険物の運搬に立ち会う「核燃料物質等危険物運搬警備業務」の2種類に分けられます。
運搬警備における具体的な業務は、以下の通りです。
- 防護服や警棒を装備した警備業務
- 運搬車の運転
- 運搬中の注意喚起や周囲の安全確保
- 運搬事故の防止や発生時の対応
警備業法により破産手続き中の人が警備職に就けない理由の1つとして、貴金属などの盗難の危険性があるものを取り扱うという点が挙げられます。
身辺警備
身辺警備(4号警備)とは、個人や団体の身辺を守る仕事です。例えば、政治家や芸能人、企業・団体の幹部などが対象とされます。
身辺警備では、以下のような業務を担います。
- 依頼者の移動や行動のサポート
- 依頼者の周囲の状況把握や危険予測
- 依頼者に対する暴力や脅迫などの阻止や排除
- 依頼者に対する救命処置や緊急連絡
警備業法により、刑務所を出所して5年が経過していない人や反社会的勢力関係者は警備職に就けないとされています。例えば政界の要人を護衛するといった場合に、これらの要素がトラブルの元になるのは想像に難くないでしょう。
警備員を長く続けるポイント
警備員として働く上で、「未経験でも始めやすい」「社会的意義が大きい」「スキルに応じて昇給や昇格が可能」といったメリットがあります。一方で、「体力的な負担が大きい」「生活リズムが乱れやすい」「ストレスがたまりやすい」という点がデメリットです。
それでは、警備員を長く続けるポイントとは何なのでしょうか?
自分なりのやりがいを見つける
警備員は、人々の安全を守るという重要な使命を帯びた仕事です。しかし、単調な業務を日々繰り返す中で、モチベーションが下がったり、仕事に飽きたりするケースもあります。
そのような場合には、自分なりのやりがいを見つけることが大切です。例えば、以下のような方法があります。
- 仕事で得た経験やスキルを生かして、資格や検定を取得する
- 出会った人との交流を深めて、人間関係を充実させる
- 仕事で感じた課題や改善点を提案して、職場の環境や制度を改善する
- 貢献したことや成果、受け取った感謝を振り返って、自分の成長を実感する
警備員に向いている人の特徴を確認しよう
警備員は、人々の生命や財産を守るという重要な役割を担っています。そのため、強い責任感・使命感を持つ人や融通が利き柔軟な対応ができる人、忍耐力・体力に自信がある人、コミュニケーション能力が高い人に向いている職業です。
警備員は、さまざまな場所や状況で仕事ができるため、飽きずに働けます。また、人々の安全を守るという社会的意義が大きく、やりがいを感じやすい仕事です。
警備員に興味がある人は、豊富な求人情報を掲載している求人検索サイト「スタンバイ」をチェックしてみましょう。自分の希望に合う求人が見つかるはずです。