航空会社の客室乗務員は女性に人気の高い職種の1つで、多くの人が就職・転職を目指しています。客室乗務員になるための条件や働き方、求められるスキルについて解説するので、これから目指す人は参考にしてみましょう。おすすめの資格も紹介します。
客室乗務員になるには
客室乗務員はCA(キャビンアテンダント)とも呼ばれ、女性に人気の高い職種として広く知られています。まずは新卒・既存のそれぞれの場合において、客室乗務員になる方法を確認しておきましょう。
新卒で就職する場合
新卒で航空会社に就職し、勤務をスタートするのが客室乗務員の一般的なキャリアです。客室乗務員になるために特定の学部・学科を出ている必要はなく、大学・大学院・短大・専門学校を卒業後、航空会社への就職を目指すことになります。
客室乗務員として活躍している人の学歴はさまざまで、いずれも各航空会社の採用試験に合格した上で勤務しています。
ただし、就職で有利になるために、航空業界への就職に特化したスクールにも通っていたり、観光学部などにある客室乗務員に特化したコースで学んだりしている人は少なくありません。
既卒で就職する場合
航空業界以外の業界に就職し、社会人として経験を積んだ後、既卒枠で客室乗務員になるケースも多々あります。客室乗務員は人気の高い職種のため、新卒の段階では採用に至らなかったものの、夢を諦められずにもう一度挑戦する人は少なくありません。
また、一度別の業界で英語力や接客スキルなどを身に付けてから、客室乗務員として活躍したいと考える人もいます。
新卒・既卒のどちらが有利かは一概にはいえませんが、いずれも狭き門である点は変わらないため、早い段階で自分の進むべきキャリアを考えて準備を始めることが大切です。
高卒でも客室乗務員になれる?
高卒でも客室乗務員として採用される可能性はゼロではありません。しかし、JALやANAといった大手をはじめとして、ほとんどの航空会社で専門学校卒業以上の学歴が求められるのが実態です。
現在高校生で客室乗務員を目指している人は、まずは大学や短大、専門学校への進学を検討するのがよいでしょう。
専門学校卒業以上の学歴があると、客室乗務員以外の職種に関しても選択肢が広がります。大学や短大を出るまでに、自己分析を通じて本当に客室乗務員を目指したいのか、自分なりに確認するとよいでしょう。
前述の通り、別の業界を経験した後に、航空業界に転職する道もあります。
客室乗務員になるための条件は?
客室乗務員として活躍するためには、以下の条件を満たしている必要があります。心身の健康はもちろん、身長・体重や視力などの条件をクリアしなければいけません。しっかりと確認しておきましょう。
心身の健康
業務に支障を来すような既往歴がなく、心身共に健康な人でなければ客室乗務員は務まりません。
呼吸器や循環器などに病歴がない点が募集条件となっており、心身に問題がある人は、それが解消されなければ応募資格を得られないので注意が必要です。
客室乗務員には華やかなイメージを持っている人も多く、実際に航空会社の顔として活躍できる仕事ではありますが、基本的に体力が必要な仕事である点を忘れてはいけません。
早朝や深夜に仕事を担当する場合もあり、また長時間に及ぶフライトも多いので、十分な体力が求められます。
身長と体重
一部の航空会社では、心身の健康に加えて、身長・体重などに条件を設けているケースもあります。例えば、身長は160cm以上で、BMI値が22程度といった条件です。
しかし国内の航空会社では、客室乗務員の身長制限は特に設けられていません。160cm未満の応募者が内定を獲得した例もあるので、そこまで気にする必要はないでしょう。
ただし保安上の理由から、ある程度の身長と、緊急時に素早く動けるだけの体型を維持している必要があるため、航空会社によっては、明示されていない条件がある可能性は考えられます。
視力
視力は裸眼、またはコンタクトレンズの矯正視力が、両眼とも1.0以上必要です。客室乗務員は原則としてメガネの着用を禁止されているため、裸眼で1.0に至らない場合は、コンタクトレンズを使わなければいけません。
ある程度の視力が要求されるのは、勤務中に乗客の状態を広く確認しなければならず、緊急時に視界が悪い状況でも的確に指示を出す必要があるためといった理由があります。
また、メガネを着用していると、航空機の揺れによって不意に外れてしまう可能性があるため、基本的に裸眼かコンタクトレンズでの勤務が求められるのです。
客室乗務員の働き方
客室乗務員の勤務先は、大きく日系航空会社と外資系航空会社に分けられます。それぞれ働き方を確認しておきましょう。
日系の航空会社で働く
客室乗務員の仕事は基本的に、どの航空会社でも同じではありますが、役割や責任の範囲が日系と外資系では異なるとされています。日系の航空会社では、乗客をもてなすことが客室乗務員の主な役割で、待遇や教育体制が手厚いのが特徴です。
さらに最近では働き方改革の影響もあり、週2日勤務が可能など、勤務スタイルが変わりつつあります。育児や介護などが必要な社員に対しては、より柔軟な勤務が可能というケースが増加中です。
人材教育体制も整っており、質の高いサービスを提供するために、チーフの客室乗務員への報告・連絡・相談などが重視されます。
外資系の航空会社で働く
外資系の航空会社は新卒・既卒で採用枠が分けられていないのが基本で、応募要件も航空会社によって異なります。
応募する場合は、事前に条件をよく確認しておきましょう。人材の育成にも注力している日系の航空会社と比べて、外資系はより即戦力を求める傾向にあります。
また日常業務は基本的に英語で進められるため、国内の航空会社よりも語学力が求められるでしょう。日本人が搭乗してきた場合には、通訳としての役割も求められるので、英語が堪能でなければいけません。
なお、外資系の客室乗務員は副業が可能で、さまざまな国から通勤しているケースもあるなど、日系の航空会社以上に働き方の自由度が高いのも特徴です。
客室乗務員に必要なスキル
客室乗務員に求められるスキルとしては、語学力やコミュニケーション能力、自己管理能力などが挙げられます。それぞれ確認しましょう。
語学力
乗客との円滑なコミュニケーションを図るために、客室乗務員には一定の英語力が求められます。
日系航空会社の場合、国内線でも国際線でも、近年は一定の割合で外国人が搭乗する可能性があるため、英語を中心にスムーズなやり取りができなければいけません。外資系の航空会社では日常的に英語が必要なので、より高い英語力が必須です。
いずれの場合においても、応募にはTOEIC600点以上(あるいは同程度の英語力)といったように条件があります。応募を検討している航空会社の応募要件をよく確認しておきましょう。
コミュニケーション能力
客室乗務員は、さまざまな乗客に対応する必要があるため、コミュニケーション能力も必須です。礼儀正しく適切な態度で接客する必要があり、乗客のタイプに応じて、臨機応変な対応が求められるシーンも多々あります。
航空会社の顔として、美しい言葉遣いや立ち居振る舞いが求められる存在です。これから客室乗務員を目指す人は、敬語や丁寧なお辞儀の仕方なども、学んでおくとよいでしょう。
さらに、チームで業務を担当するのが基本なので、周囲とうまく協調する力も必要です。
自己管理能力
客室乗務員は立ち仕事を含む、長時間の勤務が求められるケースが多く、勤務時間も不規則です。自己管理能力が必要で、多少の負担では体調を崩さない身体的な強さも必要といえます。
基本的に体力勝負であり、疲れていてもサービスの質を落とさず、うまく対応を続ける力がなければいけません。
不規則な生活に耐えられる人でなければ、長く活躍を続けるのは難しいでしょう。応募する前に、自分が問題なく業務をこなせるか、冷静に考えてみることが大事です。
客室乗務員におすすめの資格
客室乗務員に特別な資格は必要ありません。ただし、医療や看護に関するものや、ビジネスマナーに関する資格を有していると、就職・転職で有利に働く可能性があります。
赤十字救急法救急員
赤十字救急法救急員は、日本赤十字社が定める緊急時に役立つ資格です。救命手当・応急手当のための知識と技術を身に付けられます。
3日間の日程で基礎講習と救急員養成講習を受けた上で、最終日に筆記試験・実技試験に合格することで、赤十字救急法救急員の資格が得られます。
客室乗務員は緊急時・災害時に乗客の生命を守り、安全を確保する重要な役割を持っているので、同資格を有しているといざという場面で役立つでしょう。
秘書検定
秘書検定は、秘書として仕事をする上で必要な知識や技能を身に付けていることを証明する資格です。秘書業務に求められるスキルに加えて、一般常識や言葉遣い、電話対応などの能力を身に付けられます。
客室乗務員の仕事に照らすと、乗客に好印象を与える言葉遣いや振る舞い・態度など、必要な技能を有していることを証明できるので、取得を検討してみるのもよいでしょう。
3級から1級までの段階に分かれており、準1級以降は特に難易度も高めとなり、受験者数も少なくなります。
憧れの客室乗務員を目指そう
客室乗務員は常に人気の高い職種であり、新卒・既卒にかかわらず狭き門とされています。
これから客室乗務員を目指すならば、早い段階で計画を立てて行動を始めることが大事です。航空会社によって応募条件が異なるので、よく調べておきましょう。
客室乗務員として就職・転職をするならば、航空業界にも求人が多い「スタンバイ」がおすすめです。さまざまな案件が掲載されており、こだわりの条件で絞り込みが可能です。転職に関する有益な情報も得られるので、この機会に利用してみましょう。