整体師になるには?資格を取得する意義や必要スキルを解説

整体師になるには、手技やカウンセリング技術などを身に付ける必要があります。資格を必須としない仕事だからこそ、自分の知識・技術に磨きをかけることが重要です。未経験者が目指すまでの道のりや仕事に役立つ資格・スキルを紹介します。

整体師になるまでの道のり

整体師の女性

(出典) pixta.jp

整体師とは、手技によって体のゆがみを整えたり、不調を和らげたりする施術者を指します。

体をリラックスさせる「セラピスト」としての役割が大きく、整体・カイロプラクティック・各種セラピーの資格取得者を整体師と呼ぶケースもあります。未経験者が整体師になるためのルートを見ていきましょう。

知識・技術を学ぶ

まずは、整体に関する知識・技術を学ぶ必要があります。社会人の場合、以下の方法を選択するのが一般的です。

  • スクールに通う
  • 通信講座で学ぶ
  • 独学する

効率を重視する人は、スクールに通う方法がおすすめです。実践的技術がしっかり身に付く上、スクールによっては就職支援があります。仕事や家事で忙しい人は、土日コースや夜間コースを選択しましょう。

通信講座(在宅学習)では、スクールが発行するテキストやDVDを使用します。申し込みの際は、スクーリングや実技研修の有無も確認しておきましょう。

独学の場合、市販のテキストや動画などを使用して学習するのが一般的です。費用が抑えられるのはメリットですが、講師の直接指導が受けられない分、正しい手技を身に付けるのに時間を要します。

ひと口に整体といっても、施術方法はさまざまです。どの方法を選択する場合も、「何をどの程度学ぶか」を明確にし、目標を立てて取り組むことが重要です。

関連資格を取得する

整体師に必須の資格はなく、知識や技術を習得すれば、誰でも整体師を名乗れます。無資格でも就業や開業が可能なため、自分の夢を形にしやすいといえるでしょう。

ただし、自分のスキルを証明できる資格があると、就職・転職に有利です。未経験OK・無資格可の求人は見習い期間が長く、雑用ばかりで必要なスキルを習得できない可能性が高いでしょう。

仕事に役立つ資格には、民間資格と国家資格があります。代表的な民間資格としては、以下のようなものが挙げられます。

  • カイロプラクター
  • リフレクソロジスト
  • 各種セラピスト

仕事の幅を広げたい人は、「あん摩マッサージ指圧師」「柔道整復師」などの国家資格を取得しましょう。国家資格を取得する場合は、指定の養成施設で学んだ後、国家試験を受験する必要があります。

参考:あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行|厚生労働省

参考:柔道整復師国家試験の施行|厚生労働省

整体師の求人を探す

整体師の働き方は幅広く、自分でサロンを開業したり、フリーランスの出張整体師として活躍したりする人もいます。

未経験者は、整体師を募集する施設で経験を積み、人脈を築いてから独立するのが望ましいでしょう。主な就職先は以下の通りです。

  • 整体院
  • カイロプラクティック院
  • リラクゼーションサロン
  • スポーツジム
  • 福祉系施設

仕事内容や待遇、労働条件について詳しく知りたい人は、求人検索サイト「スタンバイ」をチェックしましょう。雇用形態・勤務地・キーワードで絞り込めるため、理想の職場がスピーディーに見つかります。

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整体師になるには何が必要?

腰をもむ

(出典) pixta.jp

プロの整体師として活躍するには、さまざまな知識やスキルを習得する必要があります。お客さまに施術をする上で必ず身に付けておきたいのが、「解剖生理学の知識」「施術の技術」「カウンセリングスキル」です。

解剖生理学の知識

解剖生理学は、解剖学と生理学を合わせたもので、体の仕組みや機能、役割について学びます。

整体師の元を訪れるお客さまの中には、体に何らかの不調を抱えている人がいます。不調や違和感の原因を探るには、正常な体のつくりや働きを理解しておくことが重要です。

また、解剖生理学を学んでいれば、的確な施術位置を特定できるので、効果の高い施術を行えます。お客さまの体に負担をかけないためにも、基本的な知識は身に付けておきましょう。

解剖生理学は、大学や医療系の専門学校、各種スクールで学べます。整体師やセラピストを養成するスクールの中には、「解剖生理学コース」を設けているところがあります。

施術の技術

整体師になるには、「原因を特定する知識」と「原因・部位に応じた施術の技術」を習得する必要があります。原因が不明なまま施術をすれば、状態が悪化する恐れがあるでしょう。

施術の技術は、実際に人の体に触れることで磨かれていきます。整体師に必要な知識は、通信講座や独学によって学べますが、通学制のスクールに比べると実技の時間が圧倒的に少なく、講師による直接的な指導がほとんど受けられません。

施術の感覚を十分に磨かないまま整体師になった場合、効果がないばかりか、思わぬけがにつながる可能性があります。

カウンセリングスキル

施術の技術だけでなく、カウンセリングスキルにも磨きをかける必要があります。初めて来院したお客さまは、「不調の原因は何か」「どんな施術を行うのか」「効果は見込めるのか」といった不安や疑問を抱えています。

カウンセリングスキルがあれば、お客さまに的確な施術方法を提案できる上、気持ちに寄り添った助言で安心感を与えられるでしょう。

具体的には、施術前に問診や触診を行い、体の不調や悩みを丁寧にヒアリングしていきます。カルテを作成することで、コンディションの経過を把握できるため、2回目以降はより適切な施術が可能です。

整体師が資格を取得しないデメリット

足をほぐす整体師

(出典) pixta.jp

整体師に資格の取得は義務付けられておらず、資格を取るかどうかは個人の自由です。整体師を目指すに当たり、無資格のまま活動するデメリットも把握しておきましょう。

信頼が得られにくい

1つ目のデメリットは、他者からの信頼が得られにくいことです。お客さまの立場になって考えた場合、無資格の整体師と資格のある整体師とでは、どちらの施術が安心できるでしょうか?

整体師としてのレベルを証明する民間資格や国家資格がないと、「この人に任せて大丈夫だろうか?」という不安が生じます。

また、資格が1つでもあれば、自分のスキルをアピールしやすくなり、就職・転職が有利に進む可能性があるでしょう。

できる施術が限られる

国家資格がない場合、できる施術が限られるのがデメリットです。例えば、肩こりや腰痛の一般的な対処法といえば、マッサージや指圧です。

マッサージや指圧は、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を持った人しか行えない行為とされており、無資格者による施術は法律で禁じられています(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第1条)。

また、骨折や脱臼、捻挫などに対する非観血的治療(出血を伴わない治療)は、柔道整復師や医師の国家資格がなければ行えません(柔道整復師法第15条)。できる施術の範囲を広げたい人は、関連する国家資格を取得しましょう。

参考:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 | e-Gov法令検索

柔道整復師法 | e-Gov法令検索

整体師を目指す人におすすめの民間資格

腰をねじる

(出典) pixta.jp

整体に関する民間資格は複数あり、「どのような施術をしたいのか」によって、取得すべきものが変わります。おすすめの民間資格をピックアップして紹介します。

国際ホリスティックセラピー協会の認定資格

整体には、さまざまな施術があります。一般社団法人国際ホリスティックセラピー協会では複数の認定資格を展開しており、自分に必要な資格を自由に選択できるのがメリットです。以下は、整体に関連する認定資格の一例です。

  • メディカルトレーナー
  • ケアセラピスト
  • リフレクソロジストオリエンタルスタイル1級
  • 小顔デザイナー
  • 筋膜リリースセラピスト

認定試験は技術試験と学科試験で、合格者に認定証が発行されます。ヨガやアロマ、スポーツ関連の認定資格もあり、整体師としてできる施術を大きく広げられます。

資格を取りたい|IHTA 国際ホリスティックセラピー協会

整体セラピスト資格認定試験

整体セラピスト資格認定試験は、日本メディカル心理セラピー協会が認定する資格です。「整体に必要な基礎的知識を有していること」を証明する資格で、資格取得者は整体セラピストとして施術や講師活動などが行えます。

受験方法は在宅受験で、資格検定の試験内容は以下の通りです。

  • 血液の成分と役割
  • 血管の働き
  • 筋肉調整テクニック
  • 仙腸関節矯正テクニック
  • 腰椎伸展テクニック
  • 施術用器具の種類と使用方法

資格試験のテキストは市販されていないため、効率良く学びたい人は、通信講座を活用しましょう。

整体セラピスト(整体資格) | 日本メディカル心理セラピー協会【JAAMP】

ゆがみ矯正インストラクター資格検定試験

スマホの普及やパソコン作業の増加により、猫背や腰痛に悩む人が増えています。体のゆがみにアプローチしたい人は、ゆがみ矯正インストラクター資格検定試験に挑戦しましょう。

日本インストラクター技術協会が認定する試験で、以下のような知識・テクニックを有していることが証明されます。

  • 施術用の器具の種類と使用方法
  • 筋肉調整テクニック
  • 仙腸関節矯正テクニック
  • 腰椎伸展テクニック
  • 整形学検査法
  • 神経学検査法
  • 症状別の整体テクニック
  • 整体と美容の関係性
  • 年代別の整体のテクニック

受験方法は在宅受験のみで、年齢や学歴に関係なく受験が可能です。

ゆがみ矯正インストラクター(整体資格) | 日本インストラクター技術協会【JIA】

仕事の幅が広がるおすすめの国家資格

整体を受ける男性

(出典) pixta.jp

国家資格を取得すると、仕事の幅が広がります。今後のキャリアプランをしっかりと立てた上で挑戦するのが望ましいでしょう。

整体師を目指す人におすすめの資格として、「柔道整復師国家試験」と「あん摩マッサージ指圧師国家試験」を取り上げます。

柔道整復師国家試験

柔道整復師の国家資格を取得できれば、打撲・捻挫・挫傷・骨折・脱臼などのけがに対して「柔道整復」が行えます。

柔道整復は、武道から派生した伝統医療が原点です。手術や投薬を用いずに治療をする方法で、「ほねつぎ」や「整骨」などとも呼ばれています。柔道整復師の資格があれば、整体と整骨の両方の看板を掲げられるでしょう。

柔道整復師の国家試験を受けるには、文部科学大臣の指定した学校または都道府県知事の指定した柔道整復師養成施設で3年以上学ぶ必要があります。試験は筆記試験のみで、解剖学や生理学などの幅広い専門知識を問われます。

柔道整復師国家試験の施行|厚生労働省

あん摩マッサージ指圧師国家試験

本来、整体師は「マッサージ」と称する施術をメニューに取り入れられませんが、あん摩マッサージ指圧師の国家資格があれば、あん摩・マッサージ・指圧の手技による施術が行えます。

例えば、お客さまに肩こりや腰痛がある場合、もむ・たたく・なでる・押すといった方法で刺激を与え、血行を良くしたり、ゆがみを矯正したりして、不調や痛みの緩和・改善を図ります。

あん摩マッサージ指圧師国家試験を受けるには、文部科学大臣の認定した学校または厚生労働大臣の認定した養成施設で3年以上学び、必要な知識・技能を学ばなければなりません。

あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行|厚生労働省

技術の習得からスタートしよう

整体師の男性

(出典) pixta.jp

これから整体師を目指す人は、自分の理想やゴールを明確にし、知識や技術を学ぶところからスタートしましょう。

資格がなくても整体師を名乗れますが、自分の能力を証明するため、または仕事の幅を広げるために、資格の取得に励む人が多いのが実情です。

仕事に役立つ資格は複数あり、難易度や受験の要件、できる施術は資格ごとに異なります。国家資格は指定された学校や養成施設に通う必要があるため、早めの行動が望まれます。