研究・開発・企画・設計など、専門性が高い職業に転職することが多いのが理系の特徴でもあります。しかし、一言で理系の転職といってもさまざまなルートがあります。理系の職業選びで意識したいポイントやおすすめの業界を詳しく見ていきましょう。
理系の職業選びで意識したい3つのポイント
実際に転職先の職業を選ぶときは、専門性・スキル・将来性の3つを意識することが大切です。ここでは後悔しない転職を実現するために、それぞれのポイントでどのようなことを考えればよいかを解説します。
自分の専門性をさらに高められる職業を選ぶ
理系の強みは専門性です。理学・工学・農学・医学などのさまざまな学問がありますが、どれを学んでいたとしても、その分野において高度な専門知識を有しているでしょう。
前職でも研究・開発・企画・設計といった専門的な業務に携わっていたのであれば、その専門性も高く評価されます。そのため、自分の専門性を高められる職業を選ぶことが大切です。
専門的なスキルは、転職市場における自分の市場価値を高めるものでもあります。
前職の経験やスキルを生かせる職業を選ぶ
転職においては、前職の経験やスキルを生かせる職業を選ぶことも欠かせません。特にキャリアアップを目的としていて、より高度な業務に携わりたいと思っている場合や、年収アップを目指したい場合もそのようにいえます。
まずは自分がこれまでどのような経験をしたのか、スキルレベルはどの程度なのかを考えてみましょう。その上で、自分の専門性を生かせる職種を選ぶことで、後悔しない転職を実現しやすくなります。
将来性に期待できる職業を選ぶ
転職先の職業・業界・業種の将来性も忘れずにチェックしましょう。将来性に期待できない企業に転職すると、業界の縮小や売上の減少をはじめとした、さまざまな要因で望まない転職を強いられるようになる可能性があります。
そのため、業界全体の将来性を考慮した上で転職先を選ぶことが大切といえるでしょう。転職先を選ぶときは、以下のポイントに着目することをおすすめします。
- 将来的に需要がどのように変化すると予測されているか
- 新技術によって仕事を奪われるのではなく活用する側に回れるか
人間の生活に欠かせない職業や、さらなる発展が見込まれている職業など、将来有望な転職先を選ぶことが大切です。
理系の職業に転職する際におすすめの業界5選
将来性に期待でき、理系の転職先としておすすめの業界を詳しく紹介します。転職先選びで迷っている人は、下記で紹介する業界の中で魅力的に感じるものがないか探してみましょう。
「IT業界」需要が高く将来性にも期待できる
多くの業界において、競争力の強化や新たなビジネスの創出を目的としてDXに取り組む企業が増えています。それに伴い、IT業界の重要性が高まり続けているのは事実です。
さらに、IT業界では多くの人から注目されている新技術が次々に開発されており、継続的に発展することが予想されます。需要が高く将来性にも期待できるため、転職先としておすすめといえるでしょう。
理系の転職でおすすめなのはエンジニアですが、一言でエンジニアといっても活躍する分野は以下のようにさまざまな業界があります。
- Web業界
- ソフトウェア業界
- ハードウェア業界
- ネットワーク業界
- セキュリティ業界
まずは自分がどの分野を目指すのか明確にし、必要なスキルを学びつつ転職を目指しましょう。
「建築業界」市場規模が大きく専門性が高い
建築業界も工学関連の知識やスキルを生かせる業界の1つなので、転職先としておすすめです。建築業界といっても、その中には多種多様な職種が含まれています。建築業界でおすすめの職種は以下の通りです。
- 技術開発
- 設計
- 品質管理
建築業界で活躍する場合、建築施工管理技士や1級建築士などの資格を取得するとよいでしょう。資格を取得するには深い知識や十分な実務経験が求められるものの、自分の市場価値を高めることにつながります。
「製造業界」開発・設計分野の需要が高い
多くの製品を生産する製造業界も、理系の転職先として人気があります。製造業界に転職する場合、メーカーが有力な選択肢になるでしょう。製造しているものによって、メーカーは以下のように分けられます。
- 化学メーカー
- 電気機器メーカー
- 自動車メーカー
- ハウスメーカー
まずは自分が携わりたい分野や、これまでの経験を生かせる分野が何かを明確にしましょう。理系の人材は新たな技術を生み出す研究開発職や、製品の仕様を決める企画設計職で特に求められています。
「医療業界」専門的な知識・資格を生かせる
医療業界での需要は人間が存在する限り消失することは考えにくく、今後も高い需要が見込まれます。専門的な知識や資格をもっている医師・歯科医師・薬剤師であれば、臨床現場で働くのが有力な選択肢になるでしょう。
工学を学んで製品の設計や技術開発に携わっていた人であれば、医療機器・医薬品メーカーを目指せます。医療機器・医薬品メーカーでは研究開発も盛んに行われているため、研究開発職の需要も高いといえます。
医療業界への転職を検討している人は、自分が保有している資格やスキル、これまでの経験を生かせる転職先が何かを考えてみましょう。
「金融業界」データ分析や予測で活躍できる
文系のイメージが強い金融業界でも、多くの分野で理系の人材が求められています。具体的な職種は以下の通りです。
- ディーラー
- 証券アナリスト
- ストラテジスト
金融商品の売買や投資戦略の策定には、集まったデータを分析して得た情報を論理的に考えることが欠かせません。理系はデータ分析や統計に強い傾向にあるため、上記の分野で求められています。
数学や、コンピューター関連の知識を生かせるチームへの転職を検討するとよいでしょう。
理系におすすめの職業
自分が目指す業界を明確にしたら、具体的にどのような職業を選ぶのかを考えましょう。ここでは、理系の転職でおすすめの職業を4種類紹介します。それぞれ担当する仕事内容を解説するため、参考にしましょう。
「エンジニア」何らかのものづくりに携わる
製品の企画・設計・開発・製造など、何らかのものづくりに携わる職人を総称してエンジニアと呼びます。具体的なエンジニアの例は以下の通りです。
- ITエンジニア
- メカニカルエンジニア
- セールスエンジニア
エンジニアとして働く際には、工学に関する広範な知識が欠かせません。ITエンジニアであれば情報工学、メカニカルエンジニアであれば機械工学の知識・スキルが求められます。
職種によっては、熱力学・量子力学をはじめとした理学分野の知識も必要です。いずれにせよ理系人材が活躍しやすい分野といえるため、自分に合ったエンジニア職を探してみましょう。
「企画・設計」商品開発のデザインを担当する
商品開発に携わる企画・設計職への転職もおすすめです。企画・設計職は以下の通りです。
- 機械設計
- 建築設計
- 構造設計
- 回路設計
いずれの分野でも、社会から求められている要素を、製品という具体的な形に落とし込むのが主な仕事です。
機械工学・建築工学といった工学分野の知識と、物理学・科学・生物学などの理学分野の知識を組み合わせて夢を実現する職業といえます。
自分の経験やスキルを生かせる企画・設計職にはどのようなものがあるかチェックし、転職先の1つとして検討してみましょう。
「マーケティング」販促活動を展開する
市場調査や集客をはじめとした、販促活動全般を担当するのがマーケティング職です。マーケティングは文系職種というイメージが強く、理系の転職先としてはあまり一般的ではないでしょう。
しかし、効果的なマーケティングには、理系人材の力も必要です。施策の立案や効果測定を含めた、さまざまな分野でデータ分析をはじめとした数学関連のスキルやロジカルシンキングが欠かせません。
そのため、理系人材にとってもこれまで培ってきた知識やスキルを生かせる環境であるといえます。
「研究」研究室で新技術や新素材を実用化する
今まで実用化されていなかったものを実用化するには、研究職の活躍が欠かせません。研究職は主に以下の分野を担当します。
- 新技術・新素材の開発
- 既存技術・既存素材の改良
- 開発・改良したものの実用化
新しいものを開発し、すでにあるものを改良するのが研究職の役割です。研究職なくしては技術の進歩は起こり得ないともいえるでしょう。よりよいものを生み出すことで社会のニーズに応える職種です。
研究職を目指す場合、企業の研究室や研究機関で働くことになるでしょう。
理系の職業の転職市場を取り巻く環境
望んでいる転職を実現するには、転職市場の様子を正しく理解する必要があります。ここでは、理系の転職を取り巻く環境について紹介します。
職業選択の幅が狭い
理系は専門性を武器にして転職市場で戦うのが一般的です。機械工学を専門としているのであればメーカーが、情報工学を専門としているのであればIT企業がメインの選択肢です。
そのため、汎用性が高く幅広い転職先から自分に合ったところを探せる文系転職と比較して、職業選択の幅が狭くなります。専門性を発揮すれば強い半面、それ以外の分野では市場価値が低いといえるでしょう。
従って、転職するときは同業種・同職種を中心にし、これまで培ってきた知識やスキルを生かせるところを探すのが得策です。
人材不足を背景に積極的に採用する企業が多い
さまざまな技術が進歩していることに伴い、理系人材の重要性が高まっています。しかし、需要の高まりに比べて供給が足りない傾向にあります。
そのため、必要とする理系人材を確保する目的で、積極的に採用活動を展開する企業が増えています。十分な知識やスキル・経験があれば、有利な条件で転職しやすいといえるでしょう。
キャリアアップや待遇改善を目指しているのであれば、積極的に転職を考えることをおすすめします。
転職市場において理系の職業に求められるスキル
有利な条件で転職するには、転職市場で高く評価されるスキルを有している必要があります。ここでは、理系の転職で求められる主な4つのスキルを紹介します。
即戦力として活躍できるレベルの専門性
理系人材の転職では、入社後にこれまでに培った専門知識や、スキルを生かして即戦力として活躍することが求められます。担当する業務を遂行するのに必要なスキル、通称テクニカルスキルが重要です。
研究の進展に伴い、どのような分野でも知識やトレンドの技術は大きく変化する可能性があります。最新の動向に遅れずついていくためにも、日頃から専門分野について勉強する時間を確保することが大切です。
日々の努力を欠かさないことで、スキルや知識が陳腐化せず、有利な転職へとつながります。
自分の専門分野に関連する知識
自分が専門としている分野の知識だけでなく、関連する別分野の知識も求められます。例として、IT業界でソフトウェアエンジニアとして働く場合を考えると、以下の関連知識・スキルが欠かせません。
- ハードウェア:ソフトウェアを動かすため
- ネットワーク:通信環境を構築するため
- セキュリティ:ソフトウェアの安全性を確保するため
まずは自分が目指す分野に関連することは、どのようなものがあるかを調べてみましょう。その上で少しずつ学習し、必要な知識・スキルを習得すると、転職市場における自分の価値を高められます。
ロジカルシンキング
論理的思考力とも呼ばれるロジカルシンキングは、原因と仮説の間を根拠に基づいて論理的に考え、矛盾がない結論を導き出すための思考法です。
例として、製品のフレーム部分が破損しやすいという問題に直面した場合は、以下のように考えます。
- 仮説の提示:単純な強度不足が原因ではないか
- 検証:フレームに使われている樹脂の強度を検証する
- 結果:樹脂の強度が求められる強度の1/3だった
- 改善策の提示:樹脂ではなく金属を使用すればよいのではないか
- 改善策の検証:金属は熱伝導率が高くフレームには向いてない
- 新たな改善策の提示:カーボンなら問題を解消できるのではないか
- 検証:求められている強度を有していて熱伝導率にも問題はない
破損しやすいという問題に対し、素材をカーボンに変更することで解決するまでの流れを示しています。上記のように、仮説の提示から最終的な結果までの間に矛盾や論理の飛躍がないようにする考え方が、ロジカルシンキングです。
外国語スキル
専門的なスキルだけでなく、外国語を学ぶことを意識しましょう。外国企業とやりとりする機会もあるため、外国語スキルが高ければ活躍の幅を広げられるためです。
他にも、最新の技術文書や論文が外国語で書かれている場合もあります。自分で情報収集できるレベルの外国語スキルがあれば、最新のトレンドについていきやすくなるのも大きなメリットです。
英語や中国語・スペイン語といった話者人口が多い言語を優先的に学ぶことをおすすめします。
理系の職業に転職する際のミスマッチを防ぐポイント
転職に失敗すると、ミスマッチによって短期間で再び転職することを検討する必要があります。転職後のミスマッチを防ぐには、以下で紹介する4つのポイントを意識しておくとよいでしょう。
キャリアを振り返ってスキルを可視化する
まずは自分のキャリアを振り返り、武器になるスキルや経験を可視化しましょう。これまでに携わった仕事や、発揮したスキル・成果を書き出すことをおすすめします。
併せて、自分が業務を遂行する上で意識したことや、発見した課題・反省点も書き出しておきましょう。
転職に役立つさまざまな情報を書き出すことで、自分にどのような強みがあるのか、転職で何を意識すればよいかが明確になります。
転職目的を明確に掲げる
スキルや経験の可視化をしたら、転職目的を明確にしましょう。よくある転職目的には、以下のようなものがあります。
- 上位職種へのキャリアアップ
- 将来有望な業界へのチャレンジ
- 待遇面の改善
- ワークライフバランスの改善
どのような目的で転職するかによって、重視するポイントが異なります。転職の軸となる重要なポイントであるため、転職先を探す前に明確に決めておきましょう。
目的が明確に決まっていないと、転職活動中に軸がブレてしまい、後悔しかねません。
転職先企業に求める条件は優先順位を付ける
転職目的によっては、企業に求める条件が異なります。具体例を挙げると以下の通りです。
- キャリアアップ目的:より上位の職種を担当でき、報酬アップを実現できる
- 将来性がある職種への転職:継続的に成長していて、今後も続くと予想される
- 待遇面の改善:業務内容に見合った適正な報酬額を提示している
- ワークライフバランスの改善:労働時間や時間外労働・休日出勤の量が適正か
転職先に求める条件は人によってさまざまですが、全て満たすところを探すのは現実的ではありません。そのため、転職の軸と照らし合わせて、確実に実現したいものと状況によっては、諦めてもよいものに分けましょう。
転職後に後悔することを防ぎつつ、いつまでも転職先が見つからないという状況に陥ることを防げます。
目的を実現できる企業を探す
企業選びの条件が決まったら、実際に求人情報をチェックして、条件を満たしている企業がないかを探します。理系の転職は専門性が高い分幅が狭く、求人の絶対数が少ない傾向にあるため、情報量が多い転職サイトを使用するのがおすすめです。
条件を満たした企業を発見したら、応募して選考を受けます。合格率を高めるためにも、きちんと準備を整えておきましょう。無事に入社が決まれば、転職活動は完了です。
理系の職業選びは専門性にフォーカスしよう
理系の強みは高い専門性であるため、自分の専門分野やスキル・経験を生かせる転職先を探すことが大切です。そのためには、一度これまでの経験やスキルなどを書き出し、自分の強みを明らかにすることが重要です。
その上で、多くの求人を比較・検討しながら転職先を選びましょう。できるだけ多くの求人情報に触れることを意識します。
スタンバイでは、理系人材が重宝される業界・業種の求人も多数掲載しています。勤務地やキーワードで求人を検索できるため、利用してみましょう。扱っている求人情報も多く、自分に合った求人を見つけやすいのが魅力です。