「また会話が途切れてしまった」「何を話せばいいのかわからない」など職場でのコミュニケーションに悩んでいる人は少なくありません。コミュニケーション不全により、職場の人間関係に影響が及んでいる人もいるでしょう。会話が続かない原因は人によって異なり、原因によって効果的な対策も違ってきます。コミュニケーションに苦手意識を持っている人向けに、タイプ別の具体的な改善方法を解説します。職場での人間関係を円滑にする第一歩を踏み出しましょう。
この記事のポイント
- ・コミュニケーションが苦手な原因は大きく分けて3タイプ
- 初対面の人に緊張してしまう人は人見知りタイプ・自分の言いたいことを上手にまとめられない人は話し下手タイプ・相手の話を遮ってしまう人は聞き下手タイプといえます。
- ・苦手意識を改善するにはタイプ別の改善方法を実施することが大切
- 苦手を感じる原因に即した対処法を実践することで、効率的に「会話が続かない」を克服できる可能性があります。
- ・コミュニケーションが苦手な人に適している仕事を選ぶのも選択肢の1つ
- コミュニケーションの機会が少ない仕事を選べば、心理的なストレスを感じることなく仕事にまい進できます。
コミュニケーションが苦手だと感じる原因3選
コミュニケーションが苦手と感じる原因は、人それぞれの特性によって異なり、大きく3タイプに分けられます。タイプ別の特徴を理解することで、自分自身の課題が明確になり、効果的な改善策が見つかるでしょう。コミュニケーションが苦手だと感じる原因をタイプ別に解説します。
人見知りでコミュニケーション自体が苦手
初対面の人と話すことに緊張し、言葉が出てこない人は、人見知りタイプといえるでしょう。人見知りの人は大人数でのやりとり、特に交流のない人とのコミュニケーションに強いストレスを感じます。程度によっては、会話開始時に動悸や発汗などの身体的な反応が起こることもあるでしょう。
人見知りになる原因としては、過去の否定的な経験やコミュニケーションの失敗体験が挙げられます。うまくいかなかった体験が心理的なブロックとなり、次第に人との会話自体を避けるようになるのです。
感覚で話す・自分に自信がない話し下手
伝えたいことを上手にまとめられず、相手に真意が伝わりにくい人は、フィーリングで話をしてしまう話し下手タイプといえます。自分に自信がないことが原因で声が小さくなったり、話の途中で言葉に詰まったりする人も、話し下手タイプに分類可能です。
話し下手の原因は論理的思考の訓練不足にあります。整理された情報を伝える経験が少ないと、話の要点が定まらず、結果として長々と説明してしまうのです。また、自信のなさから話し下手に陥っている人は、過去のネガティブな経験が自信を失わせる原因になっているといえます。
最後まで人の話を聞けない聞き下手
相手の話を途中で遮って自分の話を始めてしまう人は、聞き下手タイプといえるでしょう。このタイプは自分の意見や主張が強く、相手の話よりも自分の話を優先する傾向があります。相手が話している内容よりも、自分が次に何を言うかを考えている節があるため、情報を正確に把握できないこともあるでしょう。
聞き下手の原因はその人の性質にあります。せっかちすぎて相手の話が終わるのを待てなかったり、他人に興味がなく聞き役に徹することを退屈と感じたりする人は、聞き下手に陥る可能性が高いといえるでしょう。
人見知りタイプの改善法3選
人見知りでコミュニケーションが苦手な人に試してほしい3つの実践的なアプローチを紹介します。職場での人間関係改善に悩んでいる人は試してみてください。
無理に話そうとせずまずはあいさつから
人見知りで悩んでいる人は、元気にあいさつすることから始めてみましょう。いきなり長い会話を始めようとすると、緊張して言葉が出なくなるため、まずは「おはようございます」「お疲れ様です」といった短いあいさつから始めることが効果的です。
あいさつは相手との会話の糸口になるだけでなく、コミュニケーションの基本でもあります。初めは会釈だけでも構いません。それを毎日続けると、少しずつ緊張が和らいでいきます。あいさつが習慣化したら、次は「今日は暑いですね」と天候について一言添えて、話を広げるのもおすすめです。
笑顔を意識する
人見知りでコミュニケーションに苦手意識を持っている人は、普段から笑顔を意識しましょう。笑顔は相手に好印象を与え、話しかけやすい雰囲気を作ってくれます。特に人見知りの人は表情が硬くなりがちなので、笑顔を心がけるだけで印象が大きく変わります。
笑顔は相手の反応をも変えるコミュニケーションツールです。笑顔で話しかければ、相手も自然に笑顔で返してくれることが多く、会話のハードルが下がります。笑顔という非言語コミュニケーションを味方に付ければ、職場での人間関係改善の第一歩となるでしょう。
うまく話せなくても対話の場を避けない
人見知りタイプの人は、対話の場を避けないことが大切です。コミュニケーションが不得意な人にとって、うまく話せないという不安から対話の場を避けてしまうのは自然な反応です。
しかし、対話の場から逃げ続けていると、どんどん苦手意識に拍車がかかるばかりか、周囲からの協力も得られにくくなってしまいます。「完璧に話せなくてもいい」という心構えを持ち、小さな会話の機会を逃がさないようにしましょう。
たとえ言葉に詰まっても、「すみません、うまく表現できなくて」と素直に伝えれば、多くの人は理解してくれます。完璧を求めず、失敗を恐れない姿勢が大切です。
話し下手タイプの改善法3選
コミュニケーションが苦手でも、正しい技術を身に付ければ、相手にこちらの真意を伝えつつ、信頼関係を構築できるようになります。話し下手タイプの人に効果的な改善方法を3つ紹介します。
結論から話す癖を付ける
結論から話すことは、コミュニケーションが苦手な人の最も効果的な改善策です。特に話し下手タイプの人は、話の要点が定まらず長々と説明してしまう傾向があります。
結論を最後まで伝えずに話し続けると、聞いている人は相手の真意をなかなか把握できず、最後までもやもやすることになります。結局何が言いたいのか、わからなくなってしまうこともあるでしょう。
こちらの真意をわかりやすく伝えるには、結論を先に述べ、後からそのように感じた・決めた理由を伝えるのが正解です。結論から話す癖を付けるだけで、職場での情報伝達が格段に改善します。
5W1Hを意識する
話し下手な人が、他人に明確に情報を伝えるには、5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)を意識することが効果的です。無意識で会話を進めると、自分の言いたいことが行方不明になってしまう恐れがあります。
例えば「明日の会議の資料をお願いします」と伝えるより、「明日午後2時からの部門会議で使用する売上資料を今日の17時までにメールでお送りいただけますか」と伝える方が、相手は正確に指示内容を理解できます。
5W1Hを漏れなく伝えることで、コミュニケーション不足による業務の手戻りや遅延を防止できるでしょう。
聞き役に回ってみる
話すことが苦手な人は、聞き役に徹すると改善の糸口が見つかるでしょう。聞き役に回ることで会話のプレッシャーから解放され、自然とコミュニケーションの場に参加できるようになる可能性があります。
相手の話を聞く際は、適度にうなずいたり「なるほど」「それで?」などの相づちを打ったりすることが重要です。ときには5W1Hを意識した質問を投げかけると、会話をさらに発展させられます。聞き役を積極的に買って出れば、「コミュニケーションが苦手」という印象も薄れていくでしょう。
聞き下手タイプの改善法3選
聞き下手タイプの人に実践してほしい3つの改善法を紹介します。ステップを踏みながら、少しずつ自信を付けていきましょう。
最後まで話を聞く
聞き下手タイプの人が最も改善すべき点は、相手の話を最後まで聞く姿勢です。
自分の意見をしっかり持っている人ほど、「主張したい」との思いがあふれて、相手の話を遮ってしまうことがあります。しかし、このような行為は「相手を軽んじている」と捉えられる可能性があるため好ましくありません。
「相手の話を最後まで聞く」を実践するための効果的な方法として、相手の話が終わって3秒数えてから返答する習慣を付けることがあります。この小さなポーズが、相手の話を遮らない意識付けになります。
相手に興味を持つ
聞き役に徹するのが苦手な人が、真の対話力を高めるには、相手に対する純粋な興味を持つことが不可欠です。相手の話を最後まで聞けない人は多くの場合、自分の話ばかりに意識が向き、相手の存在に目を向けられていません。
相手に興味を持てば、自然と相手の考え方や歩んできた道のりを掘り下げる質問が浮かんでくるはずです。「それはどんな感じだったのですか?」「なぜそう思われたのですか?」といった質問は、相手との会話を広げるきっかけになります。
また、相手の発言に共感を示すことも重要です。「それは大変でしたね」「素晴らしい成果ですね」などの一言が、相手との心理的距離を縮めます。
相手の表情にも注目する
聞き下手の人は言葉だけでなく、非言語コミュニケーションにも注目しましょう。相手の表情は、言葉では表現されていない感情を読み取る重要な手がかりとなります。
眉や目、口元の動きからは、相手が話の内容に興味を持っているか、困惑しているか、同意しているかなどを判断できます。例えば、眉をひそめている場合は疑問や不満を感じている可能性があり、対応を変える必要があるかもしれません。
相手の表情に注目する癖を付けることは、「察する力」を養う訓練にもなります。察する力の向上は、そのままコミュニケーション能力の向上につながるはずです。
全タイプ共通で試せる改善法
全てのタイプに共通する効果的な改善法を紹介します。コミュニケーションスキルは一朝一夕で身に付くものではありませんが、継続的な努力で必ず変化を実感できるはずです。
コミュニケーションがうまい人を見つける
コミュニケーションが苦手な人がレベルアップするには、まず会話上手な人を見つけることから始めましょう。職場や友人関係の中で「この人は誰とでも自然に話せている」「周りから慕われている」と感じる人を見つけ、観察します。
特に注目すべきは、その人がどのように会話を始め、相手の話に興味を示し、質問や相づちのタイミングを取っているかです。コミュニケーション上手な人は、相手の表情や反応を見ながら会話を進める特徴があります。まずは観察から始め、自分のコミュニケーションスタイルを見直すきっかけにしましょう。
まねができるところを探して少しずつ実践
コミュニケーション上手な人の技術を観察したら、次は実際にまねしてみましょう。全ての技術を一度に取り入れようとするのではなく、実践できそうな部分からまねを始めるのがおすすめです。
例えば、相手の目を見る習慣や会話の最初に質問を投げかける技術など、小さな要素から取り入れていきましょう。
コミュニケーションに苦手意識を持つ人こそ、意識的に「小さな成功体験」を積み重ねることが重要です。「今日は相づちを意識的に打ってみよう」など、具体的な目標を立てて取り組みましょう。
コミュニケーションが苦手なままだと?
コミュニケーションが苦手なままでいると、職場でさまざまな問題が発生する可能性があるため、注意が必要です。コミュニケーションに対する苦手意識を放置する弊害を解説します。
仕事上の報連相が難しくなる
コミュニケーションが苦手な人は、職場での報連相(報告・連絡・相談)が適切にできなくなる傾向があります。情報共有が不十分になると、チームの業務効率が低下し、ミスやトラブルの原因となることも少なくありません。
人見知りタイプは「迷惑をかけたくない」という思いから相談をためらい、話し下手タイプは伝え方に自信がないため報告を先延ばしにしがちです。また、聞き下手タイプは指示を正確に理解できず、業務の手戻りが発生することがあります。
報連相の不足は上司からの信頼低下に直結する重大な問題です。「あの人は仕事の進捗を報告しない」という印象が定着すると、重要な仕事を任せてもらえなくなり、キャリア形成にも悪影響を与えます。
程度によっては職場で孤立する可能性も
コミュニケーションが苦手な状態が長く続くと、職場での孤立という、より深刻な問題に発展する可能性があります。
飲み会や雑談の場に参加しない、あるいは声をかけてもらえない状況が続くと、業務上の情報だけでなく、非公式な情報からも遮断されてしまうかもしれません。このような状態は「職場内の見えない壁」を生み出し、さらなるコミュニケーション不足の悪循環を招きます。
職場で孤立してしまうと、業務上の困り事やトラブルに直面したときに、同僚を頼れなかったり、チームの中での「自分の価値」を見失い、働くモチベーションを失ってしまったりする危険性があります。
どんどん自分に自信がなくなる恐れも
コミュニケーションに対する苦手意識をそのままにしていると、気づかぬうちにどんどん自己肯定感を失っていく恐れがあるため、注意が必要です。周囲とうまく意思疎通ができないと、「自分は駄目な人間だ」という思い込みが強化され、悪循環に陥りやすくなります。
コミュニケーションに対する自信を失えば、無意識に発言機会を避けるようになり、それによって自分の能力を発揮する場が減少します。また、コミュニケーションの失敗体験が蓄積されると、「どうせうまくいかない」という諦めの気持ちが生まれ、新しい挑戦を避ける傾向も強まっていくでしょう。
会話・対話が苦手な人におすすめの仕事
会話や対話が苦手な人は、コミュニケーション力以外の強みを生かせる職業を探すのも一案です。人との接触が少なく、マイペースで進められる仕事を紹介します。
工場の作業員
工場の作業員は、コミュニケーションが苦手な人に向いている職業の1つです。
製造ラインでの作業は基本的に単独で行い、集中力が求められるものも多いため、人とのコミュニケーションはほとんど発生しません。業務内容も明確に定義されており、マニュアルに沿って進めるため、複雑な意思疎通の機会は限られています。
工場内は騒音があることも多く、自然と会話が最小限になりがちです。指示系統も一方向であることが多いため、多方面との調整や交渉といったコミュニケーション能力を要する場面が少ないのも特徴です。
配送・配達ドライバー
ドライバーは、コミュニケーションが苦手な人に適した職業の1つといえます。
配送業務の大半は単独で行われ、対人コミュニケーションの機会は限定的です。基本的なあいさつや荷物の受け渡し時の簡単なやりとりが主で、長時間の会話や複雑な調整を必要としません。
運転中は自分だけの時間となり、人間関係のストレスから解放されます。指示系統も明確で、配達先や順路が事前に決められているため、判断に迷う場面も少ないでしょう。
WEBライター・イラストレーター
WEBライターやイラストレーターは、コミュニケーションが苦手な人に最適な職業といえます。クライアントとのやりとりは主にメールやチャットツールを通じて行われるため、対面での会話スキルに自信がなくても問題ありません。
また、WEBライターやイラストレーターは在宅勤務が基本となるケースが多く、職場の人間関係に悩まされる心配も少なくなります。一人で集中して作業できる環境は、コミュニケーションが苦手な人にとって大きなメリットです。
苦手なコミュニケーションも努力で克服を!
コミュニケーションに対する苦手意識を放置していると、ビジネスシーンでさまざまな困難に直面する可能性が高くなります。タイプ別の改善方法を実践して、人見知り・話し下手・聞き下手を克服する必要があるでしょう。
苦手意識が強く、今の仕事に悪影響が出ている場合は、人との接触機会が少ない仕事に転職するのもおすすめです。国内最大級の求人情報一括検索サイト「スタンバイ」を活用して、自分に合った仕事を見つけましょう。