クリティカルシンキングとは?ビジネスに欠かせない思考力を培おう

ビジネスにおいては、クリティカルシンキングと呼ばれる考え方が求められる傾向にあります。クリティカルシンキングとは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。ビジネススキルを高めるためにも、この機会に確認しておきましょう。

クリティカルシンキングとは?概要を解説

考える女性

(出典) pixta.jp

クリティカルシンキングは、批判的思考と呼ばれるケースもあります。ここでは、クリティカルシンキングが具体的にどのような考え方を指すのかを解説します。

特定の仮説を客観的に考慮する

ビジネスシーンにおいて、クリティカルシンキングは課題の解決を目的として何らかの主張とそれを裏付ける仮説を立て、本当に正しいかを考えるときに用いられます。基本的なステップは以下の通りです。

  1. 解決しなければならない課題を設定する
  2. 何らかの仮説を立てる
  3. 立てた仮説の正しさを立証するデータを探して検証する
  4. 検証結果から具体的な解決策を導き出す
  5. 解説策を実行する

基本的な手順は上記の通りですが、手順3の検証を進めていると、仮説の間違いや論理の矛盾に気付く場合もあります。間違いや矛盾から新たな仮説を立て、さらに検証する必要があります。

クリティカルシンキングは、仮説を立てて検証するというプロセスを繰り返すことで、課題に対する解決策を発見する思考法といえるでしょう。

要素を整理した上で分析する

複雑な物事を要素ごとに分解して構造化し、論理的なつながりを重視して思考することもクリティカルシンキングには欠かせません。具体的には、以下のように細分化して考えます。

  • 解決しなければならない課題の背後にある要素を可視化する
  • 可視化した複数の要素の間にある論理的なつながりを解明する
  • どのようにアプローチして解決を目指すのが効果的か考える

1つの課題の背後に隠れている原因が1つだけであるとは限りません。複数の原因が複雑に絡み合っている場合は、要素ごとに分解して、それぞれの関係性を考えなければ解決するのは難しいでしょう。

クリティカルシンキングの基本的な流れ

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(出典) pixta.jp

仮説を立ててから検証し、解決策を考案するまでの流れを詳しく解決します。クリティカルシンキングのスキルを高めたいと思っているなら、日々の業務で課題解決に取り組むときに以下の流れを意識するのがおすすめです。

課題に対する主張と仮説を考える

何らかの課題を解決するため、仮説を立てて検証を繰り返す方法でアプローチするのがクリティカルシンキングの基本です。そのため、まずは解決を目指す課題と仮説を考えましょう。

例として、売り上げが低迷しているという課題があるなら、以下のような仮説を立てられます。

  • 販促活動が十分ではない
  • 商品がユーザーのニーズを満たしていない
  • 競合製品に比べて優位に立てていない

考えられる仮説を一通り書き出してみるとよいでしょう。検証しなければならない仮説が決まったら、次の段階に進みます。

立てた仮説を裏付ける証拠を探す

仮説を立てたら、その仮説が正しいことを裏付ける証拠やデータがないか探してみましょう。上記の例で考えると、以下のような証拠やデータを探します。

  • 販促活動が十分ではない:マーケティングの効果測定データ
  • 商品がユーザーのニーズを満たしていない:ユーザーアンケートの結果
  • 競合製品に比べて優位に立てていない:競合製品のパンフレットや仕様書

証拠やデータを集めたら、そこから何を読み取れるかを考えましょう。例として、マーケティングの効果測定データから思ったような反応を得られていないことが判明したときは、マーケティング施策そのものに問題があるといえます。

証拠から課題を見つけ出す

集めた証拠から問題点が明らかになったら、その背後に潜む課題をさらに深く探求します。単にマーケティング施策に問題があると指摘するだけではなく、具体的な課題を調査すると、以下のような点が明らかになることもあります。。

  • 数ある施策のうち、Webマーケティングの効果が薄い
  • 新聞折り込みの形で出した広告のみほとんど反応がない
  • ターゲットとしているユーザー層にアプローチできているのに購入につながらない

具体的な課題が明らかになると、解決しなければならないこともおのずと見えてきます。ある程度方向性が決まったら、次の段階に進みましょう。

課題解決策を考えて実行する

解決しなければならない問題が明確になったら、具体的な解決策を立案します。以下のようにできるだけ具体的に考えることが大切です。

  • ウェブマーケティングの効果を高めるためにコンテンツマーケティングのプロの力を借りる
  • 新聞折り込みをやめて、余った資金でSNSマーケティングを強化する
  • ユーザーのニーズを知るためにアンケートを実施し、結果に応じて商品を改良する

上記のように具体的な施策が明確になれば、実行しやすくなります。関係する部署や取引先などと協力し、施策を実行しましょう。

クリティカルシンキングで重要な要素

デスクワークをする女性

(出典) pixta.jp

仮説を立てて検証を繰り返すプロセスにおいては、陥りがちなわながいくつかあります。ここでは、クリティカルシンキングに取り組む際に意識したい3つのポイントを紹介します。

前提条件をうのみにしない

ビジネスを展開するに当たって、特定の前提条件を定める場合もあります。しかし、その前提条件が正しいとは限りません。

例として、自社のプロダクトはデジタルネイティブと呼ばれるZ世代に支持されると予想していたとします。しかし、利便性の高さから外出するのが難しい高齢者にも多く支持されていることに気付くケースもあるでしょう。

そのため、前提条件に対して「これは本当に正確なのだろうか?」と疑うことが求められます。

客観的な証拠に基づいて検証する

検証するときに使用する証拠は、客観的なものでなければなりません。自分の考えや実感ではなく、データを重視することが大切です。データとは以下のようなものを指します。

  • ユーザーアンケートの結果
  • SFAやMAから抽出したデータ
  • 調査会社が好評している市場シェアに関するデータ

検証に特定のデータを使用するときは、客観的なものであるか、仮説の検証に役立つものであるかを見極めましょう。

主観的なものと客観的なものを分けて考えることが、クリティカルシンキングにおいては’欠かせません。

矛盾をなくす

立てた仮説とそれを裏付ける証拠、導き出した結論の間をつなぐ要素は論理の整合性が取れていなければなりません。そのため、どこかに矛盾がないかを忘れずにチェックしましょう。

例えば、マーケティングのやり方に問題があり、対象ユーザーにアプローチできていないという課題があるとします。それに対し、商品の機能を高めるという対策を立案した場合は、論理に整合性が取れていないといえます。

対象ユーザーにアプローチしやすいSNSマーケティングに注力するなど、課題と解決策の間に論理的なつながりがあるようにしましょう。

特定の結論が出たら、仮説から結論に至るまでの全ての要素を書き出し、矛盾がないかを検証してみるのが重要です。

クリティカルシンキングが必要な理由

資料を見る女性

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さまざまな場面で必要とされるクリティカルシンキングですが、なぜ重要視されているのでしょうか。ここでは、ビジネスにおいてクリティカルシンキングが欠かせない3つの理由を紹介します。

コミュニケーションに欠かせないため

関連する要素同士のつながりを明らかにして論理を整理するスキルは、円滑なコミュニケーションに欠かせません。

クリティカルシンキングを培うとさまざまな要素を論理的に整理でき、相手を納得させられる話し方ができるようになります。さらに、要点や伝えたいことを明確にすることで、誤解のないコミュニケーションが可能になるでしょう。

どのようなビジネスにおいても、関係者との間で認識を擦り合わせることが大切です。そのためには、物事を正確に伝えるコミュニケーションを求められます。

証拠に基づいた判断が求められるため

日々の決定においては、証拠に基づいた判断が求められます。なぜ改善が必要なのか、考慮した施策がなぜ有用なのかを説明するには、客観的な証拠に基づいていなければなりません。

証拠に基づいて説明できなければ、社員やステークホルダーなどの関係者を納得させられないでしょう。

普段から主観だけで判断するのではなく、客観的な証拠に基づいて判断することを意識していれば、重要な場面においても自然にできるようになるでしょう。

マネジメントに欠かせないため

マネージャーとして活躍したいと考えている人にとって、クリティカルシンキングは特に重要なスキルの1つです。マネージャーとして人を動かすには、相手を納得させなければなりません。

クリティカルシンキングを培っていれば、話したことの正しさを証拠によって裏付けられるようになります。さらに、特定の結論に至ったプロセスも明らかになるため、相手は本当に正しいのか判断しやすくなるでしょう。

マネージャーとして人を引きつけ、目的を達成するために欠かせないスキルだといえます。

クリティカルシンキングを培う方法

デスクワークをする女性

(出典) pixta.jp

クリティカルシンキングを培い、スキルアップするには継続的な努力が求められます。具体的には、以下のトレーニングに励むとよいでしょう。

得た結論を再び考え直す

ビジネスの最前線で検証や改善に携わっているのであれば、仮説を立てて検証するプロセスには日常的に携わっているでしょう。それをさらに深めるために、得た結論を別の観点で再び考え直してみることをおすすめします。

1つの観点からは正しいと思えた結論でも、別の観点から見ると間違っていたり、矛盾が生じていたりする可能性があるためです。考え直すことで、新たな問題が発覚することもあります。

売り上げが低迷しているのはマーケティングの不備が原因であるという結論を得た場合、次は製品のクオリティーには問題がなかっただろうかと考えてみましょう。

その結果、製品に不具合が多いことが判明し、マーケティングと製品の双方を改善しなければならないことに気付く場合があります。

多くの観点から課題と根拠のセットで考える

多面的に考えるときは、それぞれの観点で課題とそれに対する根拠をセットにすることが大切です。それぞれの観点でどのような問題が考えられるか仮説を立て、裏付ける証拠がないかを考えます。

日頃からさまざまな物事に対して、多面的に考えるトレーニングをするとよいでしょう。ニュースを見て興味を抱いたものに対し、上記のことを試してみることをおすすめします。

日々トレーニングに励むことで、自然にクリティカルシンキングを発揮できるようになるでしょう。

クリティカルシンキングと混同しやすい思考

オフィスで働く女性

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世の中にはクリティカルシンキングとよく似た思考法があります。正しく理解していないと混同しやすいものもあるため、ここで違いを詳しく確認しておきましょう。今回は、ロジカルシンキングとラテラルシンキングをピックアップして紹介します。

ロジカルシンキング(論理的思考)

クリティカルシンキングと類似した考え方の1つが、ロジカルシンキングです。ロジカルシンキングは、表面に現れた物事を原因と結果に分解し、そのつながりを考えるものです。

クリティカル・シンキングは、特定の物事を深く理解するために仮説を立てて問答や検証を重ねながら追求する思考パターンです。一方、ロジカルシンキングは表面化している原因と結果の間にある関係を整理する考え方といえます。

論理を証拠に基づいて展開するなど、共通点が多く類似した考え方であるものの、同一の思考法というわけではありません。

ラテラルシンキング(水平思考)

既存の思考パターンや固定観念にとらわれず、さまざまな方向から物事を考えることをラテラルシンキングと呼びます。なかなか答えが出ない問題に対処するときや、新たな発想が求められるときに有用な考え方といえるでしょう。

常識だと思われていることをうのみにせずに思考を広げるため、今まで思い付かなかったことを思い付く可能性があります。イノベーションにも欠かせない考え方といえるでしょう。

多面的に考えるという点は、クリティカルシンキングと共通しています。一方、クリティカルシンキングは、課題解決を主目的にするのに対し、ラテラルシンキングは新たな発想につなげることを目的とするのが大きな違いです。

クリティカルシンキングを磨いて転職を成功させよう

ミーティング風景

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転職においても、物事を論理的に考えて課題を解決するのに欠かせないクリティカルシンキングは、重要視される傾向にあります。目指す職種で必要な専門的なスキルにプラスして、クリティカルシンキングをはじめとした、応用が利くスキルを習得するとよいでしょう。

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