ビジネスマナーを学び始めたものの、覚えることが多すぎて何から身に付ければよいのか悩んでいる人もいるでしょう。新人のうちは、基本から身に付けていく方法がおすすめです。
ビジネスマナーを身に付けると、社会人としての適切な振る舞いをしやすくなり、周囲から信頼を得やすくなります。この記事では、新人が最低限押さえておきたいチェック項目を16個紹介します。
チェック項目を活用し、ビジネスマナーを身に付けましょう。
この記事のポイント
- 基本のビジネスマナーは5つ
- あいさつ・身だしなみ・表情・言葉遣い・態度の5つが、ビジネスマナーの基本です。
- ビジネスメールや電話対応は丁寧に
- ビジネスシーンでコミュニケーションを取る際は、用件を分かりやすく伝えることや、必要事項を聞き取れるように準備することが大切です。
- 訪問時は到着時間に注意
- 余裕を持って到着するようにスケジュールを組むと慌てずに済みますが、受付を済ませる時間に注意しましょう。
【基本のビジネスマナー】5つのチェック項目

ビジネスマナーには、基本となる5原則が存在します。職種に関係なく、社会人であれば身に付けていなければならない項目ばかりです。
どのような企業でも評価の対象になりやすいため、まずは5つの基本からチェックしましょう。
関係を良好にする「あいさつ」
あいさつはコミュニケーションの基本です。学生時代からあいさつの重要性を学ぶ機会は多いだけに、できていないと悪い意味で目立ちやすいでしょう。
新人は明るさや元気の良さを意識すると好印象を与えやすくなり、良好な人間関係を築くのに役立ちます。
「おはようございます」「お疲れさまです」「お先に失礼します」など、定番の言葉だけでなく、その場の状況に合わせた適切なあいさつができるように準備しましょう。
最初は先輩や上司を見て、どのような言葉を選んでいるかを学ぶことも大切です。
清潔感を意識「身だしなみ」
ビジネスシーンでは、第一印象がその後の関係を大きく左右することがあります。清潔感のある身だしなみは、良い印象を与えるために効果的です。
髪・爪・衣類などの身だしなみのチェックリストを使用し、乱れがないようにしましょう。
- 髪形が整えられている
- 髪にフケや寝癖がなく、セットされている
- 爪が伸びすぎないように手入れされている
- 体形に合った清潔な衣類を着用している
- 衣類にほつれやシワ、汚れなどがない
- 過度に使い古したかばんや靴は着用しない
上記は男女に共通する一般的な項目となります。接客や調理などをする職種は、髪色や化粧などに関する独自のルールが設けられている場合もあるため、あらかじめチェックしましょう。
良い印象を与える「表情」
職場の人や取引先、顧客などに対して、明るく生き生きとした表情で接することが重要です。無表情や機嫌の悪そうな表情だと、「親しみにくい」と感じさせる原因になります。
いついかなるときも笑顔でいる必要はありませんが、話しかけやすいと周囲の人に感じさせる雰囲気をつくるためには、柔らかい表情を心掛けましょう。
特に、初対面の人に対しては、意識して明るい表情で接した方が好印象を与えられます。自信がない人は、鏡の前で表情を作る練習をするとよいでしょう。口角を上げるように意識するだけでも、印象が変わって見えます。
TPOに合った「言葉遣い」
ビジネスシーンでは敬語が基本です。間違った言葉遣いをすると「常識がない」「学生気分が抜けていない」など、マイナスの評価を受けやすくなります。初心者が間違えやすい部分だけでも、あらかじめ押さえておくようにしましょう。
謝罪するときは、「すみません」ではなく「申し訳ございません」と言いましょう。指示に対して同意を表す際は、「分かりました」ではなく「承知いたしました」「かしこまりました」を使用します。
一人称は、男女問わず「わたし」もしくは「わたくし」です。また、社外の人と話す際、社内の人には敬称を付けません。慣れるまでは間違えやすいため、意識して使い分けるようにしましょう。
社会人らしい「態度」
仕事に対する姿勢は、社内外の人から見られています。また、納期などの時間厳守も基本的なルールです。ビジネスシーンでは、積極性があり真面目な勤務態度が求められます。
【NG例】
- 頬づえを付く
- 腕組みをする
- 脚を組む
- あくびをする
- 返事が小さくはっきりとしない
上記は、どれも意識せずにやってしまいがちです。気付かないうちに癖になっている場合があるので、やらないように注意しましょう。
【メールのビジネスマナー】4つのチェック項目

社会人になると、社内外の人とメールでやりとりをする機会が増えます。基本的な書き方を学び、ミスがないようにしましょう。基本となる4つのチェック項目を紹介します。
件名は内容がひと目で分かるように工夫する
ビジネスメールの件名は、簡潔に分かりやすく記載しましょう。仕事中は1日に何十通ものメールが届くことが珍しくありません。
相手が件名からある程度の内容を把握し、優先度を付けられるようにすることが大切です。本文の要約を記載するようにしましょう。
【例】
- 5月17日に発生したシステム不具合に関する調査結果のご報告
- 【至急】打ち合わせの日程調整につきまして
- 〇〇のお問い合わせについての回答(株式会社〇〇/名前)
初対面の人にメールを送る際は、件名に会社名や名前も入れると、誰からの用件なのかが分かりやすくなります。【】などを使用し、重要度を示す方法も一般的です。
件名の書き方を間違うと、迷惑メールだと誤解されてしまう恐れがあるため、注意しましょう。
本題に入る前に宛名とあいさつを書く
本文の冒頭には、誰が誰に送っているのかを明確にするため、宛名とあいさつを入れます。
【例】
株式会社〇〇(相手の会社名)
〇〇部〇〇課 〇〇さま(相手の所属部署名・名前)初めてメールをお送りします。
株式会社〇〇 〇〇部〇〇課(自分の会社名と所属部署名)の〇〇(自分の名前)と申します。
初めてメールをする相手なのか、いつもやりとりをしているのかなど、状況に合わせて書き方を工夫しましょう。
久しぶりにメールをする相手なら、「大変ご無沙汰しております」と始めます。常日頃からやりとりしている相手なら、「いつもお世話になっております」などと始めるとよいでしょう。
目的や理由を明確に伝える
宛名とあいさつを書き終えたら、メールを送る目的や理由を伝え、詳細を書く流れです。
【例】
来週、本社で行われる定例会議の日程について、ご連絡いたします。
以下の日程で、ご都合のよろしい日時をご連絡いただけますと幸いです。
- 5月19日(月)10:00~11:00
- 5月20日(火)13:00~14:00
- 5月21日(水)16:00~17:00
日時の候補を連絡する際は、相手が選択しやすいように3〜5つ程度提示し、具体的な時間帯も示します。
メールで伝える用件の種類はさまざまです。書き方に迷ったときは、いつ・どこで・誰が・誰に・何を・なぜするのか、などの要素ごとに分けて、簡潔に伝えられているかチェックしましょう。
締めのあいさつと署名を入れる
用件を伝え終えたら、締めのあいさつを入れます。基本の結びの言葉は、「引き続き、よろしくお願いいたします」「以上、よろしくお願いいたします」などです。
返信が欲しいときは、「お手数をおかけしますが、ご連絡をお待ちしております」などのひと言を添えましょう。返信期日がある場合、「ご多忙のところ恐縮ですが、〇日までにご返信ください」のように伝えます。
メールの末尾には、自分の署名を入れましょう。署名は、会社名・部署名・氏名・電話番号・メールアドレス・住所・自社ホームページのURL・SNSアカウントなどで構成します。
企業によっては、証券コードやプライバシーマークなどの要素を入れる書式を採用している場合もあります。
【電話を受ける際のビジネスマナー】2つのチェック項目

新人の場合、社内にかかってきた電話の取り次ぎを任されることもあります。電話対応に慣れていないと、慌ててしまうでしょう。
ポイントを押さえれば、スムーズに対応できるようになります。電話を受ける際の基本的なビジネスマナーを押さえておきましょう。
3コール以内に出るように心掛ける
電話に出る際は、3コール以内に出るのが基本です。企業によっては、2コール以内に出ると定められている場合もあるので、職場のルールに従いましょう。
出るのが遅くなったときは、「お待たせいたしました」のひと言を添えます。会社名・部署名・自分の名前を正確に言えるように練習しておきましょう。
電話の相手にストレスを感じさせないためには、意識して明瞭な発声をすることが求められます。保留や転送の仕方など、事前に電話機の操作方法を学んでおくことも重要です。
メモを取る準備をしておく
電話の内容を正確に把握し必要な相手に伝えるため、メモを取れるようにしておきます。ペンを使う利き手を空けておき、もう片方の手で受話器を取ることが基本です。
電話の相手が話したい人が席を外している場合もあります。誰宛てか・誰からの電話か・用件・かかってきた日時などを書き取れるように準備しましょう。
相手が名乗らない場合は、「大変失礼ですが、どちらさまでしょうか」と尋ねます。相手の名前や用件を聞き取ったら、復唱して確認しましょう。電話を終えるときは、先方が電話を切るのを待つのがマナーです。
【訪問時のビジネスマナー】3つのチェック項目

打ち合わせや営業などで他社や顧客を訪問する際は、普段以上にビジネスマナーに注意する必要があります。企業の一員として恥ずかしくない振る舞いが求められるためです。訪問時にチェックしたい3つの項目を見ていきましょう。
早めに到着できるように準備する
初めて訪れる訪問先では、道に迷うことなども考えて、約束の時間より10〜15分程度余裕を持って着くようにします。車で訪問する際は、道が混む可能性も考慮することが大切です。
早めに着いても、受付は約束の時間の3〜5分ほど前まで待って済ませましょう。あまり早い時間に受付をしてしまうと、相手を急かせることになってしまいます。
待ち時間はスケジュールやメモの確認、身だしなみのチェックなどをするのがおすすめです。スマホをマナーモードに切り替えておくのも、忘れないようにしましょう。
建物の外でコートを脱いでおく
冬場はコートやマフラーを身に着ける機会が増えますが、訪問先の人に会う前に脱いでおくのがマナーです。建物に入る前に、脱いでおきましょう。
廊下やエレベーターなどで脱ごうと考えていると、訪問先の人にばったりと出会ってしまう恐れがあります。
コートは表地が裏になるようにたたみ、マフラーや手袋といった小物類はバッグの中にしまいましょう。コートを裏に返すと、屋外からほこりや花粉などを持ち運ばずに済むメリットがあります。
案内された席に着席する
取引先の会社や顧客宅を訪問する際、基本的には下座に着席しますが、訪問先の案内に従って着席するのがマナーです。一般的に、部屋の入り口から遠い席が上座、近い席が下座になります。
庭がある部屋や絵画を飾っている応接室などは、景色が良い席を上座としているケースもあります。
自社の会議室などでは、どこを上座とするかが事前に分かっていますが、初めて訪れた場所だとはっきりとしたことは分からないため、先方に指示された通りに着席しましょう。
自社にお客さまを招く際も、どの席に座ればよいのかを案内すると親切です。
【名刺交換のビジネスマナー】2つのチェック項目

ビジネスシーンで初対面の人と会う際は、名刺交換が欠かせません。企業や自分の名前を良い意味で覚えてもらうために、正しいマナーを押さえておきましょう。名刺交換における、2つのチェック項目を紹介します。
立場が下の人から差し出す
名刺交換の際は、訪問した側から名刺を差し出します。立場が下の人から、上の人に差し出す順番が基本です。
その場に複数人がいるときは役職が上の人から名刺を出し、社名・部署名・名前を言って渡します。上司と行動する際は、上司が名刺交換を終えるのを待って渡す流れです。
もし、相手から先に名刺を出されてしまっても慌てずに受け取り、「申し遅れました」とひと言添えて渡せば問題ありません。
受け取った名刺は丁寧に扱う
相手から名刺を受け取るときは両手を使用し、「頂戴いたします」と言います。同時交換する場合は、名刺入れを受け盆のように使いましょう。
受け取ったら相手の名前を復唱し、読み方が分からない場合は尋ねます。こうすることで、コミュニケーションをスムーズに進められるでしょう。
受け取った名刺は、座席の並び順で机の上に置きます。名刺を乱暴に扱うと、相手をないがしろにしているような印象を与えるので注意しましょう。
打ち合わせや商談などが終わり、相手が交換した名刺をしまってから自分も名刺入れに収納するようにすると丁寧です。
ビジネスマナーを身に付けよう

ビジネスマナーは一朝一夕で身に付くものではなく、誰もが仕事をしながら覚えていきます。新人のうちは戸惑うことも多いので、上司や先輩の振る舞いを見て学びましょう。分からない点はそのままにせず質問することが大切です。
基本のビジネスマナーだけでも意識してできるようにすると、職場でのコミュニケーションが取りやすくなります。
慣れないうちは大変ですが、注意するポイントを覚えてしまえば、後は同じことの繰り返しです。迷ったときは基本に立ち返り、仕事相手や一緒に働く人たちを尊重する気持ちを忘れないようにしましょう。