今さら聞けないビジネスマナーとは?必要な理由や種類を解説

ビジネスマナーは社会人として欠かせないものですが、ある一定のマナーを身に付けている人でも、業務経験がない領域はカバーできていないこともあります。この機会に、知っておくべきビジネスマナーについて、学んでおきましょう。

ビジネスマナーとは

お辞儀をする女性

(出典) pixta.jp

ビジネスマナーとは、社会人として仕事をする上で必要なマナーです。会社員として企業に所属して働く場合はもちろん、フリーランスやアルバイトの立場などでも、基本的なビジネスマナーは身に付けておく必要があります。

まずは、ビジネスマナーの定義や、一般的なルールとの違いを押さえておきましょう。

仕事を円滑に進めるための礼儀作法

社内外で良好な人間関係を築き、仕事をスムーズに進めるための礼儀作法がビジネスマナーです。学生の立場から社会人として就職する際には、所属先の企業から、ビジネスパーソンに必要な振る舞いを教えられるのが一般的です。

しかし、企業や職種によっては、新人研修にさほど時間を取らないケースもあります。実際、それまでのキャリアにおいて、ビジネスマナーを教えられた経験がない人も珍しくありません。

ビジネスマナーが身に付いていなくても仕事はできますが、周囲に不愉快な思いをさせたり、社会人として信用を失ってしまったりする恐れがあります。どのような仕事をする上でも、基本的な部分は身に付けておくことが大事です。

ルールとマナーの違い

一般的にルールとは、それに関わる人が守るべき規則や規範などを指し、交通ルールのように全ての人が対象となるものも少なくありません。

ルールを守らないと罰則があることが多く、法令のように必ずしも罰則が明確ではないケースでも、破った者に何らかのペナルティーがある場合がほとんどです。

それに対してマナーとは、相手を尊重した振る舞いや思いやりを行動に表したもので、基本的に規則として定められているものではありません。

一人一人が重んじるべき礼儀作法であり、守らなくても罰則はないものの、常識や慣習として順守すべきとされています。

ビジネスマナーはなぜ必要?

体の前で手を組む女性

(出典) pixta.jp

ビジネスマナーは一般的に守るべきとされている振る舞いであり、無視しても罰則はないものの、会社員の場合は上司からとがめられたり、注意されたりする可能性があります。ビジネスマナーは社会人にとって、どうして必要なのでしょうか?

スムーズなコミュニケーションのため

ビジネスシーンでは、上司や同僚、あるいは顧客とのコミュニケーションが欠かせません。相手を尊重し、思いやりを込めた振る舞いをすれば、周囲とのやりとりがスムーズになり、互いに気持ちよく仕事や取引ができるようになるでしょう。

また、相手と関係がこじれることなく円滑な意思疎通が可能になり、商談をまとめやすくなったり、上司や同僚と共通の目標に向かって行動しやすくなったりする効果もあります。

仕事をしやすくするだけではなく、ビジネスパーソンとして正当な評価を受けるためにも、ビジネスマナーを守ることが大切です。

信頼関係を築くため

顧客や社内の人々との信頼関係の構築は、どのような業種でも必須です。

ビジネスマナーを守ることで顧客からの支持を得やすくなり、成約率の向上にもつながるでしょう。上司や同僚ともよい関係を築きやすく、フリーランスの場合も、ビジネスパートナーとスムーズに仕事を進められます。

さらに、周囲とよい関係を構築できていれば、仕事の成果も認められやすく、キャリアアップの可能性も高められるでしょう。同じ経験やスキルレベルの人ならば、マナーがよく周囲に好かれている人の方が、昇進のチャンスも得やすくなります。

自社イメージ・CS向上のため

ビジネスマナーを守ることは、所属先の企業イメージの向上にも役立ちます。

社外の人たちに対して常に適切な対応をすることで、自社の信頼性を高めることが可能です。また、商品やサービスだけではなく、接客などでも適切なコミュニケーションを取れれば、CS(顧客満足度)の向上にもつながります。

逆に、基本的なビジネスマナーが守れていないと、顧客からの評判も悪くなり、結果的に売り上げの減少につながる恐れもあるので注意しなければいけません。

近年は社員の振る舞いがSNSなどで拡散される可能性もあるので、自社の評判を落とさないためにも、ビジネスマナーの順守が必要です。

基本のビジネスマナー

ネクタイを整える男性

(出典) pixta.jp

まずは、どのような職種でも求められる基本的なビジネスマナーを紹介します。身だしなみや言葉遣い、社内外の人に対するあいさつなどは、誰にでも常識として求められるので、しっかり身に付けておかなければいけません。

身だしなみ

身だしなみは、ビジネスマナーの1つとして非常に大切です。きちんと身だしなみを整えることで、よい第一印象を与えられるので、その職種のプロフェッショナルとしての信頼を得やすくなります。

スーツにしわがないか確認し、髪形や爪などもよくチェックしましょう。身だしなみで大切なのは、清潔感とTPOに合った服装であることです。

近年は営業職をはじめとして、さまざまな職種でスーツを着用しない企業も珍しくありませんが、いわゆるビジネスカジュアルの場合でも、普段着のような服装は避けましょう。

言葉遣い

社内外のさまざまな立場の人々と、スムーズにコミュニケーションを取るためには、適切な言葉遣いが必要です。

直属の上司をはじめとした、上のポジションにいる人に対しての言葉遣いだけでなく、同僚や部下にも横柄な言葉や態度で接しないように注意しましょう。一言で敬語といっても尊敬語・謙譲語・丁寧語があるので、しっかり理解する必要があります。

社内の目上の人や顧客・取引先などには、尊敬語や謙譲語を使用するのが常識で、両者の区別をきちんとつけなければいけません。同僚とのビジネス会話では丁寧語が基本であり、状況に応じて使い分けをすることも大事です。

あいさつ・お辞儀

ビジネスシーンに限らず、あいさつは人によい印象を与え、良好な関係を築くために大切な要素です。どういった立場の人に対しても必要で、人間関係の基本と考えておかなければいけません。

相手に不快な思いをさせないためにも、きちんとあいさつをして、逆にあいさつをされた場合には、必ず返すようにしましょう。

また、お辞儀は日本独特のあいさつの1つです。お辞儀には会釈・敬礼・最敬礼の3種類があり、相手やシチュエーションによってお辞儀の際の角度が変わります。

厳密な角度まで意識する必要はありませんが、大体の目安として、親しい間柄での会釈は15°程度、取引先へのあいさつなどは30度程度の敬礼を意識しましょう。

身に付けておくべきビジネスマナー

向き合う二人のビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

個人のキャリアやスキルセットの一種として、身に付けておくべきビジネスマナーとしては、時間を守ることと、報告・連絡・相談を徹底することが挙げられます。それぞれ解説するので、どういった点で重要かきちんと理解しておきましょう。

時間厳守

時間・期日・約束などを守ることは、社会人として身に付けるべきビジネスマナーの1つです。どれほど優秀な人であっても、時間や約束などを守れない場合、仕事相手と信頼関係を築くことは困難になります。

特に、顧客や取引先に影響の出る事柄に関しては、必ず時間や期日を守らなければいけません。多くの場合、契約に関わる部分でもあるので、守ることができなければ、その後の取引や売上にも影響が出てしまうでしょう。

企業全体の評判にも影響するので、基本的なマナーとして身に付けておく必要があります。

報告・連絡・相談

組織で働く上で、報告・連絡・相談は重要なビジネスマナーです。上司や同僚への報告や連絡はもちろん、必要に応じてきちんと相談をすることで、スムーズに業務を進められるようになります。

いずれかが欠けてしまうと、後々に大きなトラブルに発展する恐れがあるので、必要な相手に必要なタイミングで報告・連絡・相談をすることを徹底しましょう。

細かい部分まで報告したり相談したりするのは、相手にとって迷惑になる可能性もあります。しかし、内容やタイミングの判断は社会人として経験を積むことで、徐々に判断できるようになります。

経験の浅いうちは、ささいな事柄でも報告・連絡・相談を怠らないことが大切です。

仕事上で必要なビジネスマナー

名刺交換

(出典) pixta.jp

仕事をこなす上で求められるビジネスマナーについても、きちんと押さえておく必要があります。名刺交換やビジネス文書の作成、電話対応など、状況別に解説するので、ここで基本を理解しておきましょう。

名刺交換

名刺交換はビジネスシーンにおいて、初対面の人とやりとりをする際の第一歩です。多くの企業では新人研修の際に具体的な手順を教えていますが、業種によっては学ばないケースも少なくありません。

実際の場面で失敗がないように、正しいやり方を覚えておきましょう。名刺交換は次の手順で進めるのが一般的です。

  1. 名刺を名刺入れから取り出し名刺入れの上に乗せて、相手側から正しく見えるように準備する
  2. 自己紹介として、社名と所属先・役職とともに自分の名前を名乗る
  3. 自分の名刺を右手で差し出し、左手に持った名刺入れの上で、相手の名刺を受け取る
  4. 名刺を受け取って着席する際には、名刺入れの上に相手の名刺を乗せておく

名刺は、立場が下の者から差し出すのがマナーです。相手の名刺を受け取る際には、相手の会社や氏名などに、自分の指が当たらないように配慮しましょう。さらに「頂戴いたします」とあいさつして、受け取ることが大事です。

ビジネス文書

ビジネス文書には、社内文書と社外文書の2種類があります。いずれも基本的な体裁は横書きであり、文体を統一して、数字を記載する際にはアラビア数字を使いましょう。

周りへの指示や連絡・報告などのために作成する社内文書の場合、相手がすぐに要点を理解できるように、ポイントをまとめて分かりやすい文章を作成しなければいけません。

一方、実務に関する社外文書は内容の記録というトーンが強いため、正確な事実の記載が求められます。

電話応対

電話対応は互いに顔が見えないコミュニケーションのため、対面でやりとりする以上に、声のトーンや話すスピードなどに注意しなければいけません。上記のように、敬語の使い方にも十分に注意しましょう。受電の場合は3コール以内に出るのが基本です。

また、取り次ぎをする場合は、内容を素早くかつ正確に伝える必要があります。新人のうちは慣れない対応に戸惑う人も多くいますが、経験を積むうちにスムーズに受け答えや取り次ぎができるようになるので、自分なりに練習を積んでおくとよいでしょう。

なお、ビジネスシーンにおいて社外の人に対し、社内の人の名前を出す場合には、敬称を付けるのはNGです。電話での受け答えに限らず、対面でも守るべき基本的なマナーなので、忘れないようにしましょう。

訪問

顧客先や取引先を訪問する場合は、社内で仕事をしているとき以上に、身だしなみに気を使う必要があります。

持って行く名刺の数や資料などは、必ず事前に確認しておきましょう。忘れ物をしてしまうと、内容によっては訪問した意味がなくなってしまうので、十分注意が必要です。

約束の時間に遅れないのはもちろんですが、早く到着しすぎると相手方の迷惑になってしまうので、約束時間の5~10分程前に到着することを心掛けましょう。時間を調整して訪問することが大事です。

また、訪問先の企業に入る前には、スマホをサイレントモードにしておきましょう。

メール

メールは電話と同じく、ビジネスで重要なコミュニケーションツールです。

ビジネスメールを作成する際には、件名で内容が分かるようにするのに加えて、理解しやすい構成で簡潔に内容を記載する必要があります。情報量が多い場合には箇条書きを使用するなど、相手が内容を確認する際に、負担にならない文章を心掛けましょう。

また、個人情報や機密情報を記載したファイルを送る場合には、パスワードを設定することも大事です。

情報漏えいは重大な被害につながるので、社内ルールをよく確認し、たとえ社内で明文化されていない場合でも、セキュリティーには十分配慮するようにしましょう。

テレワーク

働き方改革やコロナ禍などをきっかけとして、多くの企業で定着しつつあるテレワークにも、守るべきビジネスマナーがあります。

ビジネスチャットを使うときの言葉遣いをはじめ、社内の人々や顧客・取引先などと、オンラインミーティングをするときにもマナーが必要です。安定したネット環境や身だしなみ、話すときの声のトーンや目線、照明の明暗などにも気を配る必要があります。

また、テレワークでは、誰がどのような仕事をしているか把握しづらい場面も出てくるので、特に報告・連絡・相談が大切です。上司へのコンタクトだけでなく、同僚やチームメンバーとのコミュニケーションを密にして、スムーズに業務を進められるようにしましょう。

他にもあるビジネスマナー

書類をチェックする手元

(出典) pixta.jp

ここまで説明してきたビジネスマナーに加えて、業務では以下のマナーにも配慮しなければいけません。

ビジネスシーンにおいて知った情報を外部に漏らさないだけでなく、取引先の応接や会議などの場における、席次に注意することも重要です。それぞれ見ていきましょう。

守秘義務

顧客情報や人事情報・従業員の個人情報など、業務上知り得た機密情報に対して、社員には守秘義務があります。万が一機密が漏れた場合には、企業の信頼が失墜する恐れがあるため、十分に注意しなければいけません。

意図せず情報漏えいが発生するケースがほとんどなので、重要なデータは基本的に社外に持ち出さないことや、社外で顧客や取引先、社内の情報をむやみに話さないことが大事です。

席次

誰がどこに座るかという席次も、重要なビジネスマナーの1つです。応接室や会議室・会食の席・車内・エレベーター内などにおいて、どこに誰を通すか(上座・下座)を知っておく必要があります。

直属の上司の場合、ほとんど気にしない人もいますが、顧客や取引先が関わってくる場合には、特に注意しましょう。

例えば、応接室の場合、目上の人が座る席(上座)は入り口から最も遠いところであり、最も近いところが下座となります。

会議室の場合も同様で、出入り口から最も遠い席を上座とするのが一般的です。他にも、車内の場合や接待の席など、さまざまな状況で上座・下座を考える必要があるので、自分なりに調べておくとよいでしょう。

ビジネスマナーの学び方

セミナーの様子

(出典) pixta.jp

ビジネスマナーを学ぶには、以下のように社内研修やセミナーに積極的に参加する方法や、書籍で学ぶ方法、あるいは周囲の人から教えてもらう方法などがあります。

新人研修で基本的なビジネスマナーを学ぶ人は多くいますが、自信がない場合や学んだことがない人は、自分なりに勉強してみましょう。

社内研修やセミナーなどに参加

社内で実施されるビジネスマナー研修や、外部のセミナーなどに参加すれば、効率的にビジネスマナーを身に付けられます。

新人研修では基本的な部分しか教えられない場合もあるので、自分から積極的に学ぶことで、キャリアアップに結び付く可能性もあるでしょう。

特に外部のセミナーの場合、内容や期間・具体的な研修方法など、自分に合ったものを選べます。対面で学べる研修に加えて、近年はオンラインで学べるところも少なくありません。

書籍や周囲の人から学ぶ

ビジネスマナーに関する書籍を読み、自分なりに実践することで、少しずつビジネスマナーを学ぶのも有効です。外部の研修やセミナーを受けるよりも手間や費用がかからず、自分のペースで一つ一つ身に付けられるのがメリットです。

また、周りにいるビジネスマナーが身に付いている同僚や、上司などの立ち居振る舞いをまねるのもよいでしょう。書籍を読んだだけで身に付けるのが難しいマナーに関しても、見本となる人の動きを確認しながら実践できます。

さらに見本にした同僚や上司から、自分のビジネスマナーに関してフィードバックをもらえば、より効率的かつ確実にマナーを身に付けられるでしょう。

ビジネスパーソンに不可欠なビジネスマナー

お辞儀をする女性

(出典) pixta.jp

ビジネスマナーは、社会人として働く上で欠かせないものです。日常業務をスムーズに進めるために、昇進やキャリアアップのためにも、積極的に身に付けておく必要があります。

ビジネスパーソンとして信頼を得るために、身だしなみや言葉遣いなどの基本を順守すること、そして、名刺交換や電話対応など、状況に応じた守るべきマナーを知っておくことが重要です。

会社員の場合は新人研修の際に学ぶのが一般的ではありますが、自信のない人は振り返りやブラッシュアップのために、自分なりに学び直してみるのもよいでしょう。

マナーに関する研修やセミナーに参加したり、書籍で学んだりする他に、同僚や上司に実践を通じて教えてもらうのもおすすめです。