タイムマネジメントとはどのようなスキル?具体的な手順やコツを紹介

タイムマネジメントという言葉は知っていても、うまくできていないと考えている人も多いのではないでしょうか。ビジネスにおいて必要なスキルなので、身に付けておくことがおすすめです。具体的な手順や、失敗しないためのコツを紹介します。

タイムマネジメントの意味とは?

腕時計を見ている男性

(出典) pixta.jp

タイムマネジメントには時間を管理するという意味がありますが、ただ単に決められた予定を順番にこなすだけではありません。正しい意味や、タイムマネジメントが必要な理由について解説します。

効率的に時間を使うこと

タイムマネジメントとは、効率的に時間を使って仕事の生産性を上げるスキルを意味します。生産性を上げるとは、例えば1時間に10の成果を上げていた仕事を、時間を効率的に使って50や100に上げられるようにすることです。

多くの成果を上げるといっても、手当たり次第に目の前のタスクをこなしていくわけではありません。限られた時間の中で、優先すべき仕事からいかに計画的かつ効率的に進めていくかということです。

ビジネスシーンのさまざまな場面で必要になる取り組みといえるでしょう。

スケジュール管理との違い

「タイム=時間」と「マネジメント=管理」という言葉から、スケジュール管理と混同してしまう人もいるかもしれません。スケジュール管理とは、単純に時間ごとの予定を把握したり調整したりすることです。

例えば、「15時に〇〇会社の××さんと打ち合わせ」という予定をスケジュール帳などに書き込んで、忘れないように管理することを指します。

一方タイムマネジメントは、時間ではなく行動や仕事を管理することです。「15時に〇〇会社の××さんと打ち合わせ」という予定があれば、その日全体の業務を効率的に進めるために、どのように仕事を割り振るかを決めて取り組みます。

タイムマネジメントの必要性

タイムマネジメントが必要とされる理由の1つとして、日本の生産年齢人口の減少が挙げられます。総務省の「令和4年版 情報通信白書」によると、2021年の15~64歳の人口は7,450万人でした。

それが2050年には、5,275万人まで減少すると予想されています。生産年齢人口が減少する中で、これまでの生産量や品質を維持するには、組織の生産性向上が必須の課題です。

また近年は、働き方改革によるワークライフバランスの向上が注目されており、長時間労働の見直しも求められています。

とはいえ、単に労働時間を短縮すればよいわけではありません。残業時間の削減などを実現しつつ、生産性を高めることが必要です。

参考:令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少|総務省

タイムマネジメントのメリット

腕時計を操作する

(出典) pixta.jp

タイムマネジメントに取り組むと、どのような効果があるのでしょうか。主なメリットを3つ紹介します。

業務を効率化できる

優先度の高い仕事から着手することで、業務を効率的に進められるようになります。目の前の仕事をランダムにこなしていくのではなく、全体を俯瞰して計画的に進めていくのが、タイムマネジメントです。

例えば、「資料作成など集中力のいる業務は午前中に実施する」「事務処理は準備を整えて午後にまとめて終わらせる」などのように、時間に期限を決めて取り組みます。

結果的に生産性が向上し、ひいては組織全体の効率化にもつながるでしょう。個人の業務効率化を図れるだけでなく、チームマネジメントにも役立ちます。

無駄なコストを削減できる

個々の作業効率が上がることにより、残業により発生する人件費や光熱費などのランニングコストを削減できます。経費の削減は企業にとって大きな課題の1つであり、経営の効率化を高めるためにも重要です。

タイムマネジメントによって時間当たりの生産性を上げ、コストを削減できれば、経営全体の効率化につながります。

また、長時間労働が課題となっている職場では、勤務時間の短縮によって社員の満足度が上がるという効果も期待できます。職場環境への不満が改善され、離職率が下がれば、人材採用などに要するコストの削減も可能になるでしょう。

ワークライフバランスが向上する

タイムマネジメントは、企業だけでなく個人にとってもメリットのある取り組みです。業務の効率化によって労働時間が短縮すれば、その分プライベートの時間を充実させられます。

例えば、それまで仕事に使っていた時間を、スキルアップやキャリアアップのために使うことも可能です。

仕事や時間に追われることが少なくなり、趣味や家族のために使う時間が増えるなど、メンタルヘルスにも良い影響を及ぼす可能性があるでしょう。仕事とプライベートを両立させやすくなり、ワークライフバランスが向上します。

タイムマネジメントの具体的な方法

手帳と腕時計

(出典) pixta.jp

タイムマネジメントを行う方法も確認しておきましょう。取り組む際の流れやポイントを3つ紹介します。

やるべき項目を洗い出す

まずは、やるべき項目を洗い出しましょう。この段階では、仕事の優先度や重要度を考慮する必要はありません。

「今やるべきこと」「これからやること」「やっておいた方がよいこと」など、さまざまな角度から全て書き出すのがポイントです。業務の洗い出しに、ロジックツリーやブレインストーミングを活用する方法もあります。

例えば、ロジックツリーを活用して事務処理に必要な業務を細分化したり、ブレインストーミングで仕事の大小を問わず列挙したりするのもよいでしょう。優先順位にとらわれず、洗い出しに専念することが大切です。

優先順位を定める

洗い出した業務の優先順位を定めていきます。順位を決める際は、「アイゼンハワーマトリクス」と呼ばれるフレームワークを活用するのがおすすめです。

アイゼンハワーマトリクスを使うと、重要度や緊急度に応じて、業務を以下の4つの領域に分けられます。

  • 第1の領域:重要度・緊急度どちらも高い業務
  • 第2の領域:重要度は高いが緊急性のない業務
  • 第3の領域:緊急性はあるが重要度は低い業務
  • 第4の領域:重要度・緊急度どちらも低い業務

重要度と緊急度だけで決められない場合は、コストやリスクと成果の大きさを掛け合わせて考える「フィジビリティスタディ」も併せて活用し、決定するとよいでしょう。

目標を設定して実行する

業務の優先度が決まったら、ゴールとなる目標を設定して実行します。目標はできるだけ細分化し、心理的なハードルを下げて継続しやすくするのがポイントです。

目標の設定には、「SMARTの法則」を使うとよいでしょう。SMARTとは、以下のように、目標の達成に重要な事項の頭文字を組み合わせたものです。

  • S(Specific):具体的で明確か
  • M(Measurable):達成度を測定できるか
  • A(Assignable):役割や権限が割り当てられているか
  • R(RealisticまたはRelevant):達成可能かまたは関連性があるか
  • T(Time-related):いつまでに達成すべきか

SMARTの法則を使うと、より具体的かつ達成しやすい目標の設定が可能です。また実行後に、目標を達成できたか否かの振り返りもしやすくなります。

タイムマネジメントスキルの身に付け方

スマホを見ている男性

(出典) pixta.jp

いきなり効率化に取り組むのは難しいと感じる人もいるでしょう。しかしタイムマネジメントは、仕事の成果を上げるために有効なビジネススキルの1つです。スキルを身に付ける方法を2つ紹介します。

アプリやツールを活用する

タイムマネジメントのアプリやツールを活用するのもおすすめです。アプリやツールを使うと、業務にかかった時間などを客観的に把握できます。

継続して使うには、簡単に操作できるものを選ぶのがポイントです。カスタマイズ性の高いものもありますが、慣れないうちは使いこなせない可能性もあります。

また、自分の目的に合っているものを使うことが大切です。目的とずれていると、そもそもアプリを使う意味がありません。

作業時間・稼働率・生産性などが視覚化されて、改善点を見つけやすい形にデザインされていれば、効率化のスキルも身に付きやすくなるでしょう。チーム内で共有できるものを選べば、組織全体の業務管理も可能です。

研修を受けて体系的に学ぶ

タイムマネジメントの基本的なスキルから身に付けたい場合や、いきなり実践するのが困難な場合は、研修で体系的に学ぶのもよいでしょう。

例えば、料理や家事など、日常生活における身近なテーマを題材として、作業の優先度や時間の割り振りを学ぶのもおすすめです。

業務の優先順位を決められないなど、改善したい課題に適した内容の研修を受ける方法もあります。個人で受けるだけでなく、チームで受ければ組織全体の効率化にも有効です。

タイムマネジメントができない理由は?

悩むビジネスマン

(出典) pixta.jp

タイムマネジメントがうまくできないのは、何か原因があるためです。考えられる理由を3つ挙げて解説します。

優先順位の設定が適切でない

仕事の優先順位を決めていないか、順位の付け方を間違っている可能性があります。優先順位を決めずに仕事に着手すると、ダラダラと続けてしまったり、目立つものや好きな仕事からやってしまったりしがちです。

作業の途中でも、別の仕事に関して催促されると、そちらを先に進めてしまうケースもあるでしょう。タイムマネジメントの観点では、マルチタスクは効率的な仕事の進め方とはいえません。

優先順位を適切に設定していないと、目先の仕事に振り回され、納期に遅れが出たり常に忙しい状態に陥ったりする事態になるでしょう。

実作業時間の見積もりが誤っている

仕事の優先順位を付けても、作業に必要な時間を正しく把握していないと、適切なタイムマネジメントはできません。作業時間の見積もりを誤ると、いつ始めるかがあいまいになったり、想定以上の時間を取られてしまったりする結果になりがちです。

予定通りにタスクをこなせず、やらなければならない仕事がどんどん後回しになってしまいます。集中力が続かない仕事・長時間かかる作業・隙間時間にできるタスクなど、業務によって必要な時間を把握しておくことが大切です。

また、想定外の事態が起こる可能性を考えて、ある程度のバッファを持たせておく必要もあります。

コミュニケーションが不足している

コミュニケーション不足も、タイムマネジメントがうまくできない原因の1つです。周囲とのコミュニケーションが足らず、業務に必要な情報が不足していると、効率的に仕事を進められません。

例えば、他の社員が担当していた仕事を引き継ぐ場合、業務の進め方や段取りを聞いておかないと、手順を間違えて余計な時間がかかってしまう可能性もあります。

また、時間内に仕事が終わらない場合、自分の能力を超えた業務を割り振られている可能性もあるため、上司に相談してみることが必要です。

タイムマネジメントで失敗しないコツ

デスクワークをする男性

(出典) pixta.jp

タイムマネジメントで失敗しないためのコツを知っておきましょう。主なポイントを3つ紹介します。

業務を先送りしない

まずは業務を先送りしないことがポイントです。簡単に終わる仕事でも「すぐにできるから」と後回しにしていると、どんどんたまってしまったり、他のタスクに埋もれて忘れてしまったりする可能性があります。

簡単な作業は、朝一番や昼休憩の後など、仕事のモチベーションが上がりにくい時間帯に済ませてしまうとよいでしょう。

また、苦手な仕事や難しい業務を先送りすると、時間内に終わらなくなる可能性もあります。ただし、重要度が高く、時間がかかる業務がある場合は、手早くできる仕事から片付けて、作業時間を確保するのも効果的です。

定期的な振り返りで進捗状況を見直す

タイムマネジメントは、優先順位や目標を決めて実行すれば完了というわけではありません。定期的に振り返って、予定通りに進んでいるか、時間配分を間違えていないかなどを確認することが大切です。

なかなか進まない仕事があれば、続ける必要があるのか、そもそも自分がやるべきことなのかを見直してみましょう。重要度の低い仕事なら、いったん保留にするという選択肢も検討します。

ギリギリになって仕事が終わらないという事態に陥らないよう、週に一度は振り返りの時間を持ち、必要があればその都度軌道修正することが大切です。

優先順位の低い仕事は他者に任せる

自分にとって優先順位が低い仕事は、他の誰かに任せるという判断も必要です。優先順位が低いといっても、仕事の重要度が低いというわけではありません。

他の人の方が専門的な知識を持っており、スムーズに仕事を進められる可能性があるということです。全ての仕事を1人でやろうとすると、結果的に期限内に終わらない恐れもあります。

自分が本当に注力しなければならない業務に時間を使うためにも、何を優先させるべきかしっかり見極めることが大切です。

タイムマネジメントのスキルを身に付けよう

腕時計を見ている会社員

(出典) pixta.jp

タイムマネジメントは、業務の効率化や生産性の向上に欠かせないスキルです。コスト削減や経営の効率化など、企業にとってのメリットにつながるだけでなく、ワークライフバランスの向上など、個人にとってもポジティブな効果をもたらします。

アプリやツールなども数多くあるので、初めて取り組む人は利用してみるとよいでしょう。スキルを身に付けておくと、転職の際にもアピールポイントとして使えます。転職活動には、求人情報が豊富なスタンバイを活用してみましょう。

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