臭いが原因のスメルハラスメントとは?問題視される理由と対処法

ビジネスシーンでは特に、体臭や香水の臭いなどに注意が必要です。臭いで他者を不快にしてしまうと、スメルハラスメントと見なされ、組織の生産性低下につながる恐れもあります。スメルハラスメントが問題視される原因や、対処法を確認しましょう。

スメルハラスメントとは?

においを気にする男性

(出典) pixta.jp

スメルハラスメントとは「臭い」に関するハラスメントであり、「スメハラ」という略称で呼ばれる場合もあります。どのようなものなのか、基本的な定義から押さえておきましょう。

臭いで人を不快にすること

さまざまな臭いにより他者を不快にしてしまうのが、スメルハラスメントです。気が付かないうちに周囲に迷惑をかけている可能性があるため、注意しなければならない行為の1つとされます。

多くの人が働く組織では、パワーハラスメント(パワハラ)やモラルハラスメント(モラハラ)など、多くのハラスメントがありますが、スメルハラスメントも問題視されている1つです。

体臭や口臭など、自分の体が原因となる場合もあれば、香水やたばこの臭いなどが他者を不快にしてしまうケースも少なくありません。

香害との違い

香害とは、一般的に洗剤や柔軟剤などに含有されている化学物質が原因となり、健康上の被害が発生することです。

洗剤や柔軟剤以外にも、香水や化粧品・制汗剤などの合成香料が引き金となり、頭痛や吐き気・ぜんそく、一種のアレルギーなどの身体症状が発生する可能性があります。

自分の体に異常が起こる場合はもちろん、家族をはじめ、周りの人に被害が発生する恐れもあるので注意しなければいけません。合成香料が含まれている製品を使う際には、適正な量を守る必要があります。

一方スメルハラスメントは、周囲に明らかな健康被害をもたらさない場合でも、臭いによって不快感を与えることを指します。

不快な臭いは他者に対して集中力の欠如をもたらしたり、焦燥感・煩わしさなどを与えたりする可能性があるので、十分に注意しなければいけません。

参考:香害と化学物質過敏症について(ご理解・ご協力をお願いします)|宝塚市公式ホームページ

スメルハラスメントの主な原因

喫煙

(出典) pixta.jp

スメルハラスメントの原因となる臭いはさまざまです。体臭・口臭や香水・柔軟剤などが原因となる場合や、たばこ・アルコールの臭いが他者に不快感を与えるケースもあるので、注意が必要です。

体臭・口臭

スメルハラスメントの代表例として、多くの人が思い浮かべるのが体臭や口臭です。体臭の種類はさまざまで、汗やわきが・加齢臭などが挙げられます。

これらは汗を小まめに拭いたり、制汗剤を使ったりすることで防げるケースもありますが、わきがは手術が必要になる場合も少なくありません。

また口臭は、虫歯や歯周病が原因となる場合が多いですが、空腹時などに口から臭いを発する場合もあります。毎日歯磨きを複数回するだけでなく、必要に応じてマウスウォッシュ(洗口液)や、口臭予防のガムなどを使用するのがおすすめです。

香水・柔軟剤

香水や柔軟剤は、基本的に良い香りの部類に入るように作られています。しかし使いすぎることで他者を不快にさせてしまったり、上記のように健康被害をもたらす香害の原因となったりする恐れがあります。

日々使っているうちに香りに慣れてしまい、必要以上に香水や柔軟剤などを使っているという場合も多いので、十分に注意しましょう。

また、化粧品や整髪料なども、過度に使うと周囲に不快感を与える可能性があります。使い慣れると量が増えてしまう可能性があるので、容量を守って使うように意識しましょう。

たばこ・アルコール

たばこやアルコールの臭いも、スメルハラスメントになり得るものです。たばこは口臭の原因になる上、髪の毛や洋服にも臭いが移ることで、非喫煙者に不快な臭いを感じさせてしまいます。

またお酒の飲みすぎも、口臭の原因になるのに加えて、体からアルコール臭を発して、周りの人に迷惑をかけてしまう可能性があります。

お酒好きの人は自分の臭いに気付かない場合もあるので、市販のアルコールチェッカーなども使用しながら、周囲を不快にさせないように気を付けましょう。お酒自体が基本的に体に良いものではないので、量を控えることも重要です。

スメルハラスメントはなぜ問題?

においを気にする男性

(出典) pixta.jp

パワーハラスメントやモラルハラスメントは、すでに社会的に問題視されていますが、スメルハラスメントに関してはまだ意識の低い人も少なくありません。しかし特にビジネスシーンにおいては、臭いも十分に注意しなければならない要素です。

臭いの感じ方は人による

臭いの感じ方は人によって異なるため、同じ臭いでも何も感じない人と、敏感に臭いと感じてしまう人がいます。一部の人から臭いに関して相談があったとしても、多くの人は気にしていないケースも珍しくありません。

しかし敏感な人にとっては、わずかな臭いでも集中力を欠いてしまったり、気分が悪くなってしまったりする可能性もあります。

特定の人の臭いがスメルハラスメントに該当するかどうかは、一概に決め付けることはできません。しかし自分が発する臭いに慣れており、周囲への迷惑に気付かない人も多いので、解決が難しい問題の1つとされています。

指摘しにくい

スメルハラスメントは、悪意によって引き起こされるハラスメントではない場合がほとんどで、本人に対して指摘しにくいという点も、解決が難しい理由の1つです。

ビジネスシーンで常識とされる身だしなみとして、管理者が指摘したり注意を促したりするのは有効ですが、体臭や口臭に関しては、病気で発生している可能性もあります。

プライバシーに関わるデリケートな問題である場合もあるため、指摘する側にも十分な配慮が必要です。

体調不良を引き起こす

臭いは体調不良を引き起こすこともあるので、スメルハラスメントには企業としてしっかり対策を講じなければいけません。人によっては頭痛が起こり、仕事に集中できなくなる場合もあるでしょう。

集中力を欠くと仕事の効率が低下する傾向があるため、モラルの問題としてだけではなく、組織の生産性の観点からも十分な対策が求められます。

スメルハラスメントへの対処法

体調不良の女性

(出典) pixta.jp

スメルハラスメントを防止するには、個々人が臭いに注意するとともに、ハラスメントについて相談できる環境を構築することが大切です。組織としては、社員に臭い対策をしてもらうのに加えて、ハラスメントを相談できる場を設ける必要があります。

消臭アイテムを利用する

消臭効果の高いマスクは、被害者・加害者にならないために手っ取り早く使えるアイテムです。また、消臭剤などを自分のデスク周りに置くのも、簡単にできる対処法として有効でしょう。

ただし、香りのするタイプは、逆に周囲に迷惑をかける可能性があるので、無香のものを選ぶのが基本です。

また、周囲にスメルハラスメントと見なされないために、基本的な対策を徹底する必要があります。毎日の身だしなみに注意するとともに、口臭対策や香水・整髪料の使いすぎにも注意しましょう。

社内の相談窓口に相談する

スメルハラスメントは当事者同士で解決を図ろうとすると、人間関係を悪化させかねません。また、相手によっては指摘しづらいケースもあるでしょう。その際は上司や人事部門などに相談し、解決してもらうことが大事です。

特定の人に改善を要求しなければならない場合もありますが、基本的にはオフィス全体で、スメルハラスメントの対策に取り組んでもらう必要があります。

臭いは個人によって感じ方が異なるため、どういった対策が有効かは組織の環境次第といえるでしょう。ただし各自が臭いに関して配慮するように啓発することで、ハラスメントの発生を抑えられるので、地道な努力や工夫が求められます。

スメルハラスメントはデリケートな問題

においを気にする男性

(出典) pixta.jp

スメルハラスメントは、パワーハラスメントやモラルハラスメントと同様に、近年ビジネスシーンで問題視されているハラスメントの1つです。

体臭や口臭をはじめとして、香水や化粧品の臭いなども周囲に迷惑をかけてしまう可能性があるので、十分に注意しなければいけません。

スメルハラスメントの加害者にならないためには、日常的に身だしなみに気を付けるのはもちろん、個人的な臭い対策も必要です。

他者の臭いが原因で集中力を欠いてしまったり、気分が悪くなったりしている場合は、上司や人事部門などに相談しましょう。組織全体で臭い対策に取り組むことが重要です。