近年、若い世代の間で「ゆるブラック企業」が話題になっています。ブラック企業とまではいかないものの、ホワイト企業ともいえないのがゆるブラック企業です。ゆるブラック企業の特徴や、メリット・デメリットについて解説します。
ゆるブラック企業とは
ゆるブラック企業は「ブラック」という言葉が含まれているように、どちらかといえばネガティブな意味合いで使われることが多い言葉です。ゆるブラック企業の特徴や、増えている背景を知っておきましょう。
居心地はよいが成長できない企業
ゆるブラック企業とは、ブラック企業とホワイト企業の中間にある企業という意味で使われる言葉です。ブラックに近い色であるパープル(紫)を使い、「パープル企業」ともいわれています。
ブラック企業は、長時間労働・パワハラが多いことが特徴で、居心地も悪い企業です。ゆるブラック企業には、これらの要素がほとんどありません。
ただし、ゆるブラック企業では成長が見込めず、やりがいも感じられないため、ホワイト企業ともいえないのです。
ゆるブラック企業が増えている背景
ゆるブラック企業が増加している背景には、働き方改革により残業が減ったことがあります。かつては、法律上残業時間の上限はありませんでしたが、働き方改革によって設けられ、それを超える残業ができなくなりました。
パワハラ対策が企業の義務となったことも、ゆるブラック企業が増えている一因です。部下に対して慎重・丁寧に接する上司が増えたため、職場でのパワハラが減っています。
すなわち、ゆるブラック企業は、あくまでもブラック企業をベースに考え出された言葉といえます。ブラック企業から残業・パワハラが減っただけで、プラスになる要素はほとんどありません。
出典:時間外労働の上限規制 | 働き方改革特設サイト | 厚生労働省
出典:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)|厚生労働省
ゆるブラック企業で働くメリット
ゆるブラック企業には、メリット・デメリットがあります。まずは、どのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。
働きやすい
ゆるブラック企業のメリットの1つに、スキル不要で楽にできる仕事が多いことが挙げられます。誰でもできる単調な仕事を繰り返すだけのため、精神的・肉体的なストレスがほとんどたまりません。
職場の雰囲気が悪くないことも、ゆるブラック企業の大きなポイントです。ブラック企業では、パワハラで職場の雰囲気が悪くなることもありますが、ゆるブラック企業ではパワハラを恐れずに働けます。
パワハラがほとんどなく、楽にこなせる業務が多いため、ゆるブラック企業は仕事でストレスをためたくない人におすすめです。
残業が少ない
残業が少なく定時で退社できることが多い点も、ゆるブラック企業のメリットです。ブラック企業の特徴の1つに残業の多さがありますが、ゆるブラック企業では残業がほとんどありません。
帰宅後に十分なプライベートの時間を確保できるため、ワーク・ライフ・バランスを実現しやすいでしょう。家族と過ごす時間・趣味の時間が長くなり、仕事とプライベートを両立しやすくなります。
ゆるブラック企業は、プライベートを重視したい人におすすめです。心と体をリフレッシュしやすくなるため、仕事のストレスもたまりにくいでしょう。
ゆるブラック企業で働くデメリット
ゆるブラック企業にはさまざまなデメリットがあり、人によっては向かないケースも多いでしょう。どのようなデメリットがあるのかを解説します。
成長できない
ゆるブラック企業は、楽な仕事が多いためスキルが身に付きません。仕事を通して成長できないことが、ゆるブラック企業の大きなデメリットです。
毎日単調な仕事を繰り返し、時間だけが過ぎていくため、経歴のわりにスキルがないという状況に陥ってしまいます。経験を積んでいると思っても、実際には成長していない人も少なくありません。
責任のある仕事を任せてもらえないことから、モチベーションも上がりにくいでしょう。成長できる環境に身を置きたい人には、ゆるブラック企業はおすすめできません。
収入が増えない
ゆるブラック企業で働くデメリットとして、収入が増えないことも挙げられます。仕事が楽な半面、いくら働いても収入がなかなか上がりません。
ゆるブラック企業で働き続けた場合、年を取ると同年代との収入差が広がりやすくなります。収入が増えないことが、モチベーションの低下につながってしまうリスクもあります。
仕事がきつくても頑張り次第で給料が上がる企業に就職したい人や、稼いだお金でプライベートをより充実させたい人には、ゆるブラック企業は不向きです。
やりがいを感じられない
ゆるブラック企業で与えられる仕事は、やりがいを感じられないものがほとんどです。単調な仕事ばかりで働きがいがなく、毎日仕事をするのが苦痛になりやすいでしょう。
仕事に熱心に取り組んだからといって、会社や上司から評価されることもほとんどありません。頑張っても評価されなければやる気も起こらないため、淡々と仕事をこなすだけの毎日になってしまいます。
ゆるブラック企業には、現状に満足している人も一定数存在しています。周囲に覇気のない人が多ければ、職場の雰囲気も頑張らない方向で落ち着いてしまうため、ますますやりがいがなくなるでしょう。
転職の際に不利
ゆるブラック企業では、自分の強みとなるスキルが身に付かないため、転職の際に不利です。採用担当者に「前職では何をしていたのか」と思われてしまいます。
転職活動時の面接では、前職で培ったスキル・経験をアピールする必要があります。しかし、ゆるブラック企業では身に付くものがほとんどないため、アピール材料が用意できません。
ゆるブラック企業で働く期間が長くなるほど、経歴とスキルのギャップが大きくなり、ますます転職しにくくなるでしょう。転職を考えているなら、早めに退職する必要があります。
ゆるブラック企業で危機感を覚えたら?
ゆるブラック企業で働いていることに不安を感じる場合は、自己成長を図れる企業に転職しましょう。転職前に自分磨きをしておくことが、転職を成功させるためのポイントです。
成長が見込める企業に転職する
転職する際は、再びゆるブラック企業に就職してしまわないように、自分が成長できる転職先かどうかを確認することが大切です。
仕事にやりがいが持てるよう、転職先の評価制度も可能な範囲でチェックしておきましょう。努力や成果を評価してくれる企業なら、モチベーションも上がりやすくなります。
また、企業自体が成長していく見込みがあるかどうかを見極めることも重要です。企業が成長していけば、それに伴って自分も成長する機会があります。
転職前に自分磨きをしておこう
ゆるブラック企業は残業がほとんどないため、自分の時間を確保しやすくなります。現職が残業が少ない場合、空いた時間を利用してスキルアップに励んでおくのがおすすめです。
現職では成長が見込めないことや、仕事以外の時間にスキルを磨いたことを面接で述べれば、適切な退職理由と転職に向けた熱意を併せて伝えられます。
また、転職前に異業種の人脈を増やしておくのもよいでしょう。さまざまな情報をインプットできるほか、現職の雰囲気が当たり前ではないことも再認識できるため、転職に向けて意識を高められます。
ゆるブラック企業から転職して自己成長を図ろう
ゆるブラック企業は居心地がよい半面、自分の成長を期待できません。収入が増えないことややりがいを感じられないことも、ゆるブラック企業で働くデメリットです。
転職の際にも不利になるため、早めに退職して環境を変えるのがおすすめです。転職前にスキルアップを図り、応募企業にアピールできる材料を用意しましょう。
ゆるブラック企業から転職したい場合は、「スタンバイ」の活用がおすすめです。豊富な求人が掲載されているため、自己成長を図れる企業を探してみましょう。