若者世代が使う「タイパ」は、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか?概要や言葉の使い方を紹介します。タイパが注目されている背景や、ビジネスでタイパを上げるための方法も確認しましょう。「タイパが良い」とされる具体例も紹介します。
「タイパ」とは何?簡単に紹介
三省堂「今年の新語2022」で大賞に選ばれた「タイパ」は、多くの人に認知されるようになった新語です。使い方や意味、似た用語であるコスパ・スペパとの違いを解説します。
時間対効果を意味する言葉
「タイパ」は「タイムパフォーマンス」の略です。英語の「time」と「performance」を組み合わせた和製英語で、「ある物事にかかった時間に対して得られる効果」を表します。
時間に対して得られる効果には、満足感や処理性能などが挙げられます。タイパは、かかった時間で得られた満足感や効率を意味する言葉といえそうです。
なお、タイムパフォーマンスは英語として一般的な表現ではありません。そのままの意味で英会話に使うのは難しいでしょう。
タイパを単に言い換えるのであれば「time efficiency」、時間を効率良く使う意味として用いるのであれば「use time efficiently」と表現できます。
言葉としての使い方
「タイパ」は、主に時間を使って勉強・仕事・趣味・家事などの作業をするときに使われます。短時間で多くの物事を処理できれば「タイパが良い」、長時間で少ししか処理できなければ「タイパが悪い」のような使い方が可能です。
「タイパを重視する」は、「時間を効率良く使えるかどうかを重視する」と言い換えられます。そのほか、「タイパ向上」「タイパを意識する」などの使い方をするのも特徴です。
なお、早く処理できればできるほど効率的とは限りません。かかった時間以上に満足感や良い結果を得られれば、多少時間がかかっていても「タイパが良い」となります。
コスパ・スぺパとの違い
コスパは「コストパフォーマンス」の略です。日本語では、「費用対効果」とも呼ばれます。かけた費用に対して、得られた効果を意味する言葉です。
「コスパが良い」「コスパが悪い」といった、タイパと似たような使い方をします。コスパはかかった費用、タイパはかかった時間を意味するのが主な違いです。
スペパは、「スペースパフォーマンス」の略です。新語として、メディアで使われ始めています。「空間対効果」とも呼ばれ、限られた空間を効率良く使おうとする考え方を指す言葉です。
どの言葉も、「無駄を省きたい」「有効活用したい」と考える人が多いからこそ流行しているといえるでしょう。
タイパの概念が注目される背景
現代では、時間を有効に使おうとする考え方が広まり、「タイパ」が注目されています。背景にある事象や、世代による考え方の変化について見ていきましょう。
ネット・デジタルコンテンツの普及
ネットや動画などのデジタルコンテンツは、日々大量に生み出されています。読み放題・見放題サービスも多く、情報があふれています。
多くの情報の中から、自分が見たい情報のみを探し出すのは簡単ではありません。時間をかけず効率的に、重要な情報や自分に合うコンテンツを見つけ出すことが重要視されています。
興味のあるコンテンツを予測する機能や、適切な情報を探し出しまとめてくれる会話型AIは、タイパを意識する時代を象徴したサービスです。
時間の捉え方・考え方の違い
世代を問わず、「時間が足りない」と感じている人は多いものです。特に、若い世代は勉強・習い事にも時間を割かれる上、デジタルコンテンツの情報を取捨選択しなければなりません。
時間をかけてゆっくり楽しむ考え方は薄れ、いかに短時間で満足感を得るかが重視されています。
仕事でも、人手不足や作業量の増加により効率化が急務です。残業が当然だった昔とは違い、効率良く仕事を終わらせて定時で帰宅したいと考える層も増えています。
タイパが良いとは?具体例を紹介
「タイパが良い」は、よくある使用例です。具体的に、どのような状態を「タイパが良い」とするのでしょうか?コンテンツや食事、ビジネスについての例を紹介します。
コンテンツにおけるタイパ
動画コンテンツは、タイパを意識したものが多くなっています。例えば、ショート動画は数秒から1分程度で楽しめるコンテンツです。最初から最後まで飽きずに楽しめるものが多く、時間もかからないため人気を集めています。
そのほか、作品のまとめ記事やネタバレ動画も、自分が楽しめる作品なのかを判断するために活用されるコンテンツです。ショート動画・まとめ記事・ネタバレ動画は全て、「タイパが良いコンテンツ」といえます。
ながら見・動画のスキップ・倍速視聴は、若い世代を中心に流行しているコンテンツの消費方法です。動画をつけたまま別の作業ができる「ながら見」、勉強・趣味が効率良く進む「スキップ機能」「倍速視聴」は、タイパの良い視聴方法といえるでしょう。
食におけるタイパ
タイパの良い食事は、主に「短時間で作れて満足できる料理」「すでに完成している料理」「栄養摂取効率が良く簡単に食べられる食品」に分かれます。
普段から調理をしている人にとっては、時短調理が可能になるアイテムの利用が中心です。洗い物が減るレンジ調理や、冷凍食品の活用が該当するでしょう。
調理時間を省きたいと考える人は、コンビニ・お総菜店などの利用が中心です。買い物・下ごしらえの時間が短縮できる「ミールキット」も、人気を集めています。外食や宅配も、タイパを重視する人に利用されています。
手軽に栄養を摂取できる完全栄養食やサプリメント、乳酸菌飲料といったジャンルも効率の良い食品です。
ビジネスにおけるタイパ
ビジネスでは、時間の効率を意識すると生産性がアップします。例えば、Excelの自動入力・関数は、「タイパの良い機能」といえるでしょう。設定をしておくと自動で入力・計算がされ、ルーティン業務の効率が大幅に上がります。
各地に拠点を持つ企業や、取引先が全国に分布している企業であれば、Web会議を取り入れるのも「タイパの良い」会議の方法です。交通費をカットできるだけでなく、移動にかかる時間を削減できます。
ビジネス書・自己啓発本を読むに当たって、時間が取れないことを悩むビジネスパーソンには「書籍要約サービス」が役立ちます。
大まかに内容を知っておくだけで問題ない書籍であれば、10分程度で読めるようになり、本当に必要な作業に時間を振り分けられるでしょう。
タイパを追求するメリット・デメリット
タイパを追求することにはメリットだけでなく、デメリットもあります。具体的にどのようなメリット・デメリットがあるのか、見ていきましょう。
メリット
タイパの本質は、「無駄を省いて本当に使いたいところに時間を振り分ける」ところにあります。単調な作業・面倒な入力作業にかける時間を省き、重要な仕事にじっくり取り組めれば、パフォーマンスが上がるという考え方です。
仕事や作業を早く終わらせ、趣味・余暇の時間をつくれるのも、タイパを意識するメリットです。だらだらと作業をしていると時間がかかりますが、不要な工程を省けばリラックスできる時間を増やせるでしょう。
「時間をかけなくても済む作業を効率的に終わらせる」ためであれば、タイパを追求するメリットを最大限に得られます。
デメリット
タイパへのこだわりが強すぎると、時間に追われて慌ただしくなってしまいます。必ず最短で仕事・家事を終わらせないと気が済まないようなやり方では、疲れを感じてしまうかもしれません。
時間を有効に使える代わりに、コストが上がるデメリットもあります。例えば、普通電車・車での旅より、新幹線・飛行機の方が移動時間を短縮できますが、料金は高くなるでしょう。宅配や冷凍食品、外食なども調理をせずに済む分、コストが高くなりがちです。
そのほか、趣味・勉強でタイパを意識すると、十分な効果が得られないリスクもあります。要約・ネタバレだけを見ても、作品・コンテンツを楽しめなかったり、頭に入ってこなかったりなどの問題が出てくるはずです。
満足度を高めることが「タイパ」を追求する本質である点は、忘れないようにしましょう。
ビジネス上でタイパを上げる方法
ビジネスでタイパを上げると、上司や同僚からの評価も高まります。どうやってタイパを上げるのか、主な方法を紹介します。
業務に優先順位を付ける
ビジネス上の「タイパ」を「業務効率化」と考えた場合、業務の優先順位を判断するのがタイパを上げる近道です。優先順位が分かっていないと、放っておいてもよい仕事にこだわり、パフォーマンスを落としてしまいます。
主要な仕事や「今日中に終わらせてほしい」と頼まれた仕事が終わらず、慌てて作業をするとミスを誘発し、評価を下げる恐れもあるでしょう。「重要な仕事」と「急がない仕事」の判断は、周囲や上司とコミュニケーションを取り、判断するのが大切です。
業務量自体が多い場合は、効率化できる方法の提案や、ミスできない部分を優先して作業するなど、時間内に終わるよう組み立て直す方が先決です。
集中力を高められる環境を整備
集中力を維持できる環境では作業がスムーズに進み、タイパが上がります。とはいえ、社内のルールや備品によって作業環境は決まっており、自分でカスタマイズできるのはごく一部です。
マウス・キーボード・イヤホン・マイクなど、私物の持ち込みが許されるのであれば、使いやすいものに変えると作業効率がアップします。
もし、上司や同僚を説得できる自信があれば、作業効率を高めるオフィスレイアウト・ツールの導入を提案してもよいでしょう。パーソナルスペースが確保できれば、集中して作業に取り組めます。
ツールの導入においては、セキュリティリスクを排除し、自社が使用しているシステムとの相性が重要です。
スケジュールに余裕を持たせる
タイパを上げるには、ゆとりのあるスケジュールを組むことが前提です。仕事を詰め込み急ぐだけでは、作業効率が悪くなる可能性があります。
短時間で仕事を終わらせようとすればするほど、疲労や精神的な負担が増え、ミス・突発的なトラブルを招きがちです。あくまでも、効率の良いやり方を模索した上で、余裕が生まれる程度のスケジュールを組みましょう。
あらかじめ余裕をつくるだけで、突発的なトラブルへも慌てずに対処できるようになり、急な仕事への対応も可能になります。
余裕を持ったスケジュールを組むには、「自分が可能な最大のパフォーマンス」と「全体の仕事量」を把握した上で、多すぎず少なすぎない量を申告しなければなりません。
タイパを意識して柔軟な働き方を実現しよう
タイパとは、かけた時間に対して得られる満足度・効果を意味します。ビジネス・プライベートを問わず使える新語です。
転職においては、求人サイトの活用も「タイパを上げる」ことにつながるでしょう。「スタンバイ」で求人を探し、比較すると自分に合う条件の転職先が見つかりやすくなります。タイパを意識して、時間を有効に使いましょう。