離職率が高い会社は何がいけないのか?原因とデメリットを解説

会社が公表する情報に「離職率」があります。離職率が高いと、不安に感じる人もいるでしょう。なぜ離職率が高くなるのか、特徴と原因を解説します。離職率が高い会社を見抜く方法や、離職率が高い会社に就職・転職するメリットはあるのか見てみましょう。

離職率が高い会社の特徴・原因

遅くまで働く男性

(出典) pixta.jp

会社の採用情報を調べると、「離職率」という項目が記載されているケースが増えています。企業の公式サイトやIR情報でも確認できるでしょう。この「離職率」が高い会社に共通する特徴や、原因を解説します。

長時間労働

離職率には、「労働時間の長さ」が影響している可能性があります。残業・休日出勤・休業日の設定によって、労働時間は変わるためです。

会社に拘束される時間が長くなるとリフレッシュの時間が取れず、肉体疲労や精神的なストレスの原因になります。

離職率が高い会社の待遇を確認し、休みが少なく平均残業時間が多い場合、長時間労働が原因の1つになっていると判断できます。

心身の疲労で早期離職を選ぶ社員が多くなり、離職率が高くなっている可能性は高いでしょう。

人間関係が良くない

待遇に問題がない企業でも、離職率が高くなるケースがあります。中でも人間関係のトラブルは、主な原因の1つとされます。

仕事自体は楽しいとしても、人間関係が悪いと居心地が良くありません。特に、入社した社員が辞めるよう追い込むトラブルメーカーや、周囲を巻き込んで対立している社員がいると定着は難しいでしょう。

通常、企業との相性の良しあしだけでは、毎年極端に離職率が高くなるとは考えられません。待遇や仕事内容に問題がないのに離職率が高い場合、すぐに辞めたくなるような人間関係のトラブルが隠れている可能性があります。

適切な評価が行われない

上司の人格や評価の基準に問題があると、離職率が高くなります。会社自体の評価制度や、特定の上司の評価に問題を感じ、転職を選ぶ社員が多くなるのです。

結果を出しても評価されず、頑張りも認められないとなると、モチベーションが維持できません。納得できる理由がなければ、社員の心は会社から離れてしまいます。

もしくは、評価基準が厳しい会社である可能性もあるでしょう。ごく一部の社員が認められていても、大半の社員は評価基準を満たせず、不満がたまります。

ミスマッチな採用が行われている

入社する社員の希望と、企業の実態に差があると早期離職の原因になります。また、社員が持つスキルと企業が求める人物像に違いがある場合も、離職につながるでしょう。

主な原因は、企業側が実情を伝え切れていない、採用する人材のスキル・特性を見極められていないといった点にあります。

自社の魅力だけをPRしている企業の場合、応募者側には悪い面が見えません。また、採用担当者と現場の見解がズレているときも、入社してから違和感を抱く原因になるでしょう。

離職率が高い会社の見抜き方

スマホを手に考える男性

(出典) pixta.jp

離職率が公開されていない場合、どうやって見抜くのでしょうか?離職率が高い会社かどうか判断するためのポイントや、基準を紹介します。

社員数と募集人数の割合を確認

社員数と募集人数にズレがある場合、離職者が多い可能性があります。

特に、新事業の展開や事業拡大のような理由もなく、通年で規模に見合わない人数を募集し続けている企業には注意が必要です。辞める人が多いと見越して、常に募集をかけている可能性があります。

しかし、社員数と募集人数だけでは、短期離職が多いかどうかははっきりと分かりません。単に定年退職が重なったケースや、既存社員の福利厚生を整えるため、増員を検討している企業もあるでしょう。

過去の募集状況や、新卒募集との差など総合的な情報を調べると、判断しやすくなります。

ネットや口コミの確認も有効

離職率を公開していない会社でも、口コミをチェックすると傾向が判断できます。ネットの口コミサイトや、実際に働いていた人からの口コミを参考にしてみましょう。

早期離職をしたという口コミが多いか、収入・労働時間・人間関係に関する評価が低い場合、離職率が高い可能性があります。

しかし、口コミが全て真実とは限りません。本人の主観で話している内容や、意図的なうそが紛れている可能性もあります。

悪い口コミだけを信じるのではなく、良い口コミも含めて参考程度に捉えるよう心掛けましょう。

「就職四季報」を参考にする

主に就活で使用される「就職四季報」には、離職率以外にも役立つ情報が記載されています。有給休暇取得の状況や、残業時間数も確認が可能です。

基本的には新卒向けの情報が記載されているため、初任給や試験情報など活用できない情報も含まれています。そのほか、企業によっては「回答なし」もあり、全ての情報が確認できるとは限りません。

就職四季報に掲載されているのは、5,000社程度です。自分が転職したいと考えている応募先が掲載されていないケースも、考えられるでしょう。

出典:就職四季報2025-2026|就活には就職四季報

離職率が低い会社は理想的?

男性の後姿

(出典) pixta.jp

離職率が高い会社とは逆に、離職率が低い会社もあります。離職率が低いと、理想的といえるのでしょうか?主な特徴や、注意点を紹介します。

離職率が低い会社の特徴

離職率が低い会社には、社員が仕事を続けたくなる魅力があるはずです。例としては、以下のような特徴が挙げられます。

  • 福利厚生が充実している
  • 休暇を取りやすい環境が整っている
  • 給与水準が高い
  • 仕事や人間関係のストレスが少ない
  • 残業が少ない
  • 社員教育やスキルアップ制度が充実している

全てが該当するとは限りませんが、何らかの魅力があり、離職率が低くなっていると考えられるでしょう。反対に、離職率の高い会社は上記の条件を満たしておらず、働きにくい可能性があるともいえます。

離職率が低い会社へ転職する際の注意点

離職率が低い会社は、総合的な満足度が高い会社といえます。しかし、必ずしも全員が満足できるとは限りません。

たとえ待遇が良く、優しい上司ばかりだとしても、やりがいが感じられない単調な仕事も存在します。たとえ多くの人が安定した収入と好待遇に魅力を感じるとしても、物足りなさを感じてしまう人もいるかもしれません。

また、全員の待遇をキープするために、著しい結果を出した人の評価がそれほど上がらない会社であれば、満足できない人も現れるでしょう。

離職率の高い会社であっても、能力の高い人に好待遇・高収入を用意しているケースもあります。どちらが向いているかは、会社の方針や考え方によるでしょう。

離職率が高い会社にもメリットはある?

考え事をする男性社員

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離職率が高い会社を選ぶメリットは、あまりないようにも感じられます。しかし、デメリットばかりとはいえません。主なメリットについても確認しましょう。

昇進しやすい面もある

離職率が高いと、多くの先輩・同期・後輩が退職していきます。多くの人が退職するとしても、会社として機能している以上、残って働き続ける人はいるはずです。

自分が「残って働き続ける人」になった場合、昇進のチャンスは早く訪れます。上の役職に就いていた人が辞めると、誰かがその役割を任されるためです。

ただし、役職者のほとんどが経営者一族で占められているケースや、離職者の大半が3年目までの若手ばかりでは、あまり昇進を早める効果はないでしょう。

離職率が高い会社には、「能力・成果主義で多くの人が脱落する会社」と「労働条件や人間関係などに問題がある会社」の2種類があると考えておき、自分にとってメリットがあるかを見極めることが大切です。

離職率の高さを改善する方法とは

業務過多

(出典) pixta.jp

企業は、離職率の高さをどうやって改善しようとするのでしょうか?主なケースを紹介します。勤務先や転職を検討している企業が、何らかの改善策を打ち出そうとしている場合、今後環境が変わっていく可能性があるでしょう。

業務量・労働時間の見直し

離職率の改善には、業務量の見直しが効果的です。特に、残業・休日の少なさ・業務量の多さが原因で離職者が出ている場合、1人当たりの業務量を減らし、労働時間を見直すと離職率が改善する可能性は高くなります。

主な方法として、人員の確保・業務の効率化・社員のスキルアップなどが挙げられるでしょう。

人員を確保するには、人件費に見合う利益が求められます。コストをかける価値があるか、効率化できる部分が残っていないかを判断しながら、見直しが進められるでしょう。

職場・人間関係の風通しを良くする

職場では、社員同士のコミュニケーションの活性化が離職率の低下につながるケースがあります。職場でのコミュニケーションは、「仲良くする」「業務外の時間を使って一緒に楽しむ」という意味ではありません。

円滑に業務を進めるため、同僚・上司と会話の機会を設け、指示や意図を理解することが目的です。

例えば、定期面談で悩みや今後の展望を聞き出す機会をつくると、コミュニケーションの活性化につながります。

オープンチャットや交流向けのシステム導入を、検討するのもよいでしょう。気軽に発信できる環境をつくると、意見・提案も集まりやすくなります。

評価制度の改善

企業が評価制度を見直し、社員の頑張りや成果が適切に評価される環境をつくると、離職率の低下につながります。

あいまいな基準を避け、多くの人が納得できる制度に改善できれば、能力のある人が辞めていく連鎖を断ち切れるでしょう。

評価制度の改善には現状の把握に加えて、業種・職種に合う制度の導入が近道です。社員にとって、現在の評価制度のどこが問題なのか、納得感を得られない理由は何かを上層部が理解した上で、変更を検討しなければなりません。

制度を作るだけでなく、運用体制も整える必要があるでしょう。管理職や人事部が適切な運用をしているか、チェックする場も求められます。

離職率は働き先を決める際の1つのポイント

面接のイメージ

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離職率は、転職先候補を絞る際に役立つ判断基準の1つです。全ての会社が公開しているわけではありませんが、離職率が高ければ働きにくい要素があると考えられるでしょう。

しかし、離職率が高いからといって「悪い会社」とも限りません。総合的な判断が求められます。

転職先を探しているのであれば、求人サイトを活用し、各社の労働条件・待遇を確認するのがおすすめです。「スタンバイ」で情報を比較し、離職率だけでなく全体的な印象を踏まえて転職先を絞り込みましょう。

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