職場で嫌なことがあったときや、思い通りの仕事ができなかったときに、働きたくないと感じて思い詰めてしまう場合があります。出勤しようとすると不調に陥るなど、深刻な状況に悩んでいる人もいるでしょう。
中には、特に理由もないのに働きたくないと感じる人もいます。この記事では、働きたくないと思ったときの原因や対処法、働きたくない人におすすめの働き方などを紹介します。
自分に合う仕事の探し方も併せて確認し、自分らしく働くための方法を探りましょう。
この記事のポイント
- 働きたくなくなる主な理由は？
- 職場の人間関係が悪い、仕事が自分に合っていない、十分に評価されていないなどの理由が考えられます。
- 働きたくないときはどうすればいい？
- まずは原因を探り、自分で解決できるものに取り組みましょう。長期休暇を取得してリフレッシュするのもおすすめです。
- 働きたくない人に合った働き方は？
- 人と接する機会が少ない、在宅勤務ができる、インセンティブが支払われる仕事などがあります。
働きたくないと思うのは甘え？
「働きたくないのは、甘えでは？」と感じて、自己嫌悪に陥る人もいるでしょう。他人にとっては平気なことでも、自分にとっては耐え難い場合もあります。
つらいと感じる尺度は人それぞれです。何を甘えだと認識するのかも、人によって異なります。また、働きたくないと考える人は多く、一概に甘えだとは決めつけられません。
2022年に労働政策研究・研修機構（JILPT）がまとめた報告書によると「できれば仕事はしたくない」と考えている若者の割合が、上昇傾向にあることが分かります。
出典：労働政策研究報告書No. 213｜労働政策研究・研修機構（JILPT）
働きたくないと感じる理由・原因は？
働きたくないと感じている人もいれば、積極的に働きたいと思っている人もいます。なぜ、そのような違いが現れるのでしょう。考えられる理由や原因を紹介します。
人間関係に難がある
職場の人間関係に問題があり、働くことが嫌になっているケースが考えられます。例えば、「周りと仕事のペースが合わない」「上司や先輩が厳しい」などが原因で、人間関係の難しさを感じて働きたくないと感じる場合があります。
周囲とうまくコミュニケーションが取れないと、ストレスが増えるでしょう。直接的な被害がなくても、険悪な空気の中で働くことに大きな負担を感じる人もいます。
たとえ仕事をすること自体は好きでも、職場の雰囲気が原因で会社に行きたくなくなることもあるのです。
今の仕事が自分に合っていない
現在の仕事内容が自分に合っていないため、働くことが憂鬱になる場合もあります。例えば「人見知りの面があるのに営業職に就いてしまった」「思っていた業務内容と違った」といったケースが当てはまります。
自分の能力や長所とマッチしていない仕事では、本来の力を発揮できません。業績が伸びず、叱責される機会が増えれば、モチベーションの維持がしづらくなるでしょう。
また、やりたくない仕事を続けるのは大きなストレスを伴います。自分に合う仕事が見つかれば、楽に働ける可能性があります。
今の仕事の給与・待遇に不満がある
仕事の量や責任と比較して、給与や待遇に満足できていないことも、働きたくないと感じる原因の1つです。難しい仕事をこなしているのに給与が低いと、評価されていないと感じ、モチベーションが下がるでしょう。
給与は生活の質を左右するため、頑張っているのに生活が苦しい状況では、やる気がなくなってしまいます。
交渉しても取り合ってもらえない場合や、同業他社と比較して著しく待遇が悪いなどの問題があるのであれば働きたくなくなるでしょう。
仕事上のミスで自信をなくしている
仕事で大きなミスをしてしまい、自分に自信がなくなると、働きたくないと感じることがあります。「またミスをしそうで怖い」「周りに迷惑をかけているのではないか」などと考えてしまい、マイナスの感情に支配される人もいるのです。
また、過去にミスで叱責されたことで、大きなプレッシャーを抱えてしまう人もいます。
失敗しても挽回できるチャンスがあると思えば、絶望することはありません。同じミスを何度も繰り返している場合、原因を追究し対処することが大切です。
忙しすぎてプライベートの時間がない
仕事が忙しすぎてプライベートの時間を確保できない場合、働きたくないと感じるでしょう。
業務量が多すぎる・残業が常態化している・人手が足りていないなどの問題があると、仕事内容や人間関係に問題がなくても、働きたくないと感じます。
また、体力的な負担が大きい仕事をしているのに休養が足りなければ、心身を十分に回復させられません。キャパシティをオーバーしてしまうと、ある日、突然出社できない状態になってしまう懸念もあるでしょう。
全く休めない状態では「何のために仕事をしているのか？」と感じ、無気力になる場合もあります。
働きたくないと感じたときの対処法6選
働きたくないと感じていても、対処法を実践すれば改善できる可能性があります。現状を変えるには、できそうなことから挑戦していくことが大切です。どのような対処法があるのか、見ていきましょう。
なぜ働きたくないのか理由を明確にする
働きたくない気持ちが大きくなったときは、理由を言語化して明確にすることが大切です。理由を明確にすれば、解決策が見えてくるケースは少なくありません。
ストレスを感じている対象や、不満に思っていることなどを書き出してみましょう。
文章にできないときは「上司」「イライラする」「つまらない」など、心に浮かんだ断片的なキーワードを挙げていくだけでも構いません。
次に、「上司のどのような点に不満を感じているのか」「何にイライラしているのか」など、キーワードを掘り下げて文章にまとめていきましょう。
書き終えたら、自分で解決できるものに○、そうでないものに×などの印を付けて分類します。自分の力で何とかなりそうな問題への対処法を考えましょう。
仕事のやり方を見直す
「仕事を定時で終えられない」「業務量が多い」などの問題を抱えている場合は、仕事のやり方を見直すと改善できる可能性があります。
例えば「仕事に優先順位を付ける」「人に頼る」といった方法により、楽になる場合もあるでしょう。効率的に仕事を進められれば、負担が減ります。
1人で思い詰めていると視野が狭くなりやすいので、上司や同僚に相談してみる方法もおすすめです。アドバイスを受ければ、意外に簡単に解決できる可能性があります。
また、明らかに業務量が多すぎるときは、調整してもらえる場合もあるでしょう。
目標を設定してモチベーションを上げる
「何のために働いているか分からない」「働く気力がない」など、モチベーションの問題があるときは、目標を設定しましょう。簡単なことからクリアするようにすれば、ゲーム感覚で仕事ができます。
また、目標を達成できたときのご褒美を用意する方法もおすすめです。仕事の先に待っているものを想像すれば、頑張れるでしょう。
「好物を食べる」「お気に入りの動画を見る」など、ささやかなご褒美であっても、楽しみが待っていると思うと働きたくない気持ちを和らげられます。
仕事を休んでストレスを発散する
仕事で疲れた心身を回復させると、またやる気が湧いてくるのはよくあることです。思い切って会社を休んで、しっかり休養したり、友人と遊んだりしてストレスを発散しましょう。
特に、仕事が忙しくて働きたくないと感じているときに有効です。疲れていると、1日中横になっていたいと考えがちですが、できれば気分転換になるようなことを取り入れましょう。
「好きな音楽を聴く」「散歩する」など、簡単にできてリフレッシュできるものがおすすめです。
第三者に話を聞いてもらう
1人で悩んでいると視野が狭くなり、悪いことばかり考えやすくなります。第三者に相談すれば、問題を客観視できます。
信頼できる友人や家族などに相談できればよいですが、難しい場合はカウンセラーなどの専門家を頼るのもおすすめです。カウンセラーは話を引き出すプロなので、自分でも気付いていなかった心の声を知るきっかけになるかもしれません。
相談相手が見つからないときは、厚生労働省で開設しているポータルサイト「こころの耳」などを利用するとよいでしょう。働く人のメンタルヘルスをサポートすることを目的にしており、電話やSNS、メールなどで相談できます。
出典：相談窓口案内｜こころの耳：働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
転職を検討する
職場や業務内容そのものに問題があるのなら、転職という方法もあります。新しい環境に身を置くことで、モチベーションが復活する効果が期待できるでしょう。
「職場でハラスメントが横行していて、相談しても改善されない」「異動や業務内容の変更を申し出ても取り合ってもらえない」など、自分の力ではどうにもならない問題を抱えている場合、転職は効果的な方法です。
これまでの経験を生かして働けるに越したことはありませんが、やりたい仕事があるなら、未経験業種への転職も視野に入れましょう。
働きたくない・働けない場合の対処法2選
働きたくない気持ちがあまりにも強いと、日常生活に支障が出てしまうでしょう。何日か休めば、気分が変わって働けるようになるケースもありますが、そうでない場合もあります。
どうしても働けない場合、どのような対処法があるのか見ていきましょう。
専門医に相談する
働きたくないと感じる原因が、精神的なものという可能性もあります。「仕事に行こうとすると体調が悪くなる」「仕事だけではなくプライベートでもやる気が出ない」などの状態に陥っている場合は、専門医に相談しましょう。
無理して出社し続けると状態が深刻化する懸念があるので、早めに対処することが大切です。家の近くの心療内科や精神科を調べ、予約しましょう。
原因が思い当たる場合はその内容や、いつから仕事に行きたくないと感じているのかなどの情報を簡単にまとめておくと、問診の際に役立ちます。
上司に休職を相談する
数日休んでも不調から回復しないなら、長期的な休暇を取って本格的に心身を休めましょう。有給と長期休暇を合わせて、できるだけ長い休みを取る方法があります。
それでも回復しない場合、期限を定めない休職を願い出る方法がおすすめです。しかし、収入がなくなるのが不安で、長く休みたくないと感じる人もいるでしょう。
健康保険に加入している人が心療内科や精神科などを受診し、仕事に就くことができないと判定されたときは「傷病手当金」を受けられます。受け取れる額は休職前の3分の2程度にはなりますが、生活費の心配を減らせます。
出典：病気やケガで会社を休んだとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会
【出社】働きたくない人におすすめの職業5選
人間関係がうまくいかないと、働きたくないと感じる原因になります。出社する必要があるものの、人との関わりが比較的少ない職業を5つ紹介します。
工場の製造作業
工場内の製造ラインは1人で作業するケースが多く、人と関わらず黙々と仕事をしたい人におすすめです。
あいさつや報告などの必要最低限のコミュニケーションができれば、それ以上は求められないケースが多いでしょう。
また、生産内容やコストをはじめとした生産計画があらかじめ組まれているため、自分で決定する機会が少なく、決められた作業を淡々とこなしたい人にも向いています。
トラックドライバー
長距離トラックや町中の宅配便ドライバーなどの仕事は、多くの時間を運転に費やすため、人と関わる機会が少ないといえます。
人と接する際も決まった形式の会話で済ませられ、人間関係に疲れがちな人でも働きやすい仕事です。長時間の運転や荷物の運び出しなどがあるため、体力に自信がある人に向いています。
同じルートを走る場合も多く、決まった流れで仕事を進めやすいでしょう。学歴や経験などに関係なく人材を募集しているケースが多く、さまざまな働き方がある点も魅力です。
ガス・水道の検針員
検針員は担当地区の顧客の家を回り、ガスや水道のメーターを確認する仕事です。屋外にあるメーターをチェックし、端末に情報を入力します。
地中にメーターがある場合、特殊な器具を使ってふたを開けます。入力された内容をもとに使用量が決定し、利用者が料金を支払う仕組みです。
基本的に1人で行動するため、人と協力して仕事を進めるのが苦手な人でも働きやすいといえます。雇用形態によっては営業所から出発するだけでなく、自宅から直接検針に赴く場合もあります。
警備員
施設警備員や工事現場での車両誘導などの仕事もおすすめです。ルーティンワークが多く、自分で決断を下さなければならない場面はそれほど多くありません。
働く時間帯の選択肢が幅広く、自分の生活に合った働き方を選びやすいといえます。できるだけ人と接したくない人や、体力に自信がある人は夜間の警備員を選ぶ方法もあるでしょう。
深夜手当が付く分、昼間の仕事よりも高収入を得やすいですが、昼夜逆転の生活によって体調を崩す恐れがある点がデメリットです。
清掃員
清掃員も1人でコツコツとできる仕事です。清掃員はホテル・病院・オフィス・商業施設など、さまざまな場所を清掃します。
基本的にルーティンワークが多く、柔軟な対応力を求められる場面が苦手な人にも向いています。広い場所を短時間で清掃する場合は、チームを組んで作業に当たるのが一般的です。
作業自体は1人で行うケースが多く、淡々と仕事に向き合えます。残業が発生しづらく、ライフスタイルに合わせて働きやすいので、プライベートを重視したい人にもおすすめです。
【在宅も可】働きたくない人におすすめの職業4選
通勤や人間関係が面倒で働きたくないと感じる人にとって、在宅で働ける仕事は魅力が大きいといえます。自分次第で働く場所を快適に整えられるので、ストレスが少ないでしょう。在宅で働きやすい、おすすめの職業を紹介します。
エンジニア
システムエンジニアやプログラマーなどIT系のエンジニアは、社内・社外・フリーランスなど多様な働き方があり、リモートワークのエンジニアを募集している企業もあります。
ただし、事前にスキルや経験を積むことが必要とされるケースが少なくありません。十分な実務経験を積んだ後、フリーランスとして働くことも可能です。
作業中は1人で黙々と進める必要がありますが、顧客が求めるシステムを設計するため、打ち合わせやヒアリングなどをする機会があります。仕事を請け負う段階ではコミュニケーション能力が必要です。
Webライター
Web上で読まれる記事を書く人を、Webライターといいます。企業に属して自社メディアに掲載する記事を作成する働き方や、フリーランスとしてさまざまな仕事を請け負う働き方があります。
パソコンがあればどこでも仕事ができるため、通勤のストレスや職場の人間関係に悩まされにくいでしょう。クライアントなどとのやりとりが発生するため、コミュニケーション能力は必須です。
フリーランスになれば、個人の裁量で働く時間や仕事量などを決定できます。しかし、安定して稼ぐためには、自ら営業して仕事を獲得する努力が必要です。
動画制作・編集スタッフ
広告や企業のプロモーションビデオ、SNSコンテンツなどの動画の制作・編集は、自宅でコツコツとできる仕事の1つです。
クライアントが理想とする動画を作成するため、カットやテロップ入れなどを行って、魅力的な動画を作成します。
クライアントとのコミュニケーションは必須ですが、案件を任された後は個人で仕事ができます。
十分な経験や技能、集客のアイデアを持っている人は、YouTubeなどの動画配信プラットフォームに動画を公開して、広告収入を得る働き方も可能です。
データ入力のスタッフ
手書きの書類やアンケートなどを、Excelなどに入力する仕事です。派遣社員として企業に赴いて働く方法や、業務委託として在宅で働く方法などがあります。
働く上で特別な資格は必要ありませんが、顧客情報や注文情報などを素早く正確に入力する技術が必要です。
決められた期限までに納品できるように、作業を進めていきます。業務委託の場合、安定した収入を得るには数をこなす必要があるでしょう。
<h2>働きたくない人に検討してほしい働き方</h2>
さまざまな働き方を知ると視野が広がり、再び働きたいと思えるようになるかもしれません。働きたくない人に検討してほしい働き方を紹介します。
インセンティブのある仕事
「収入が実力に見合っていない」「正当に評価されたい」と感じる人は、インセンティブのある仕事を選ぶのも1つの方法です。インセンティブとは成功報酬を意味し、成果次第で大きな収入を得られます。
報奨金によって頑張りを実感できるため、モチベーションが上がりやすいでしょう。インセンティブを取り入れているケースが多い職種は、営業職や販売職、コンサルタント、Webマーケティング職などです。
個人ではなく、チーム単位でインセンティブが払われるようになっている企業もあります。
在宅でできるフリーランスという働き方
「自分のペースで働きたい」「働く場所を柔軟にしたい」と感じる場合、フリーランスになる方法があります。自分の裁量で働く時間と場所を決められますが、納期や品質を守ることが必要です。
働いた分が全て自分の収入になるところも、メリットといえます。しかし、作業だけに没頭すればよいわけではなく、確定申告などの事務作業も自分でしなければならない点はデメリットです。
また、安定した収入を得るには、スキルの底上げや営業能力も求められます。
働きたくない人が自分に合った仕事を見つける方法
現職以外の職種にも目を向けると、解決の糸口が見えてくる場合があります。さまざまな仕事の存在を知り、自分に合った仕事を見つけましょう。自分に合っている仕事の探し方を紹介します。
どんな仕事があるかを知る
まず、世の中にどのような仕事があるのかを調べてみましょう。思いもよらない仕事が見つかり、選択肢が広がるきっかけになるかもしれません。
また、仕事を固定観念やイメージだけで決めつけないことも大切です。気になる職業を見つけたら、仕事内容ややりがいなどを徹底的にリサーチしてみましょう。
実際に働いている人の声を聞くと、参考になります。身近にその職業に就いている人がいない場合、求人サイトやSNSなどで情報収集する方法がおすすめです。
詳しい仕事内容や求められる人物像、収入などの情報は、厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」でも確認できます。
出典：ホームページ | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
自分自身を理解する
好きなことと得意なことが同じとは限りません。自分を理解することで、どのような仕事に向いているのかを理解できるようになります。
これまで自分に合う仕事を見つけられたことがない人は、自己分析が足りていない可能性があります。自分の強みや弱み、仕事で褒められた経験、価値観などを掘り下げてみましょう。
また、1人で考えるだけでなく、家族や友人など自分をよく知る人たちに意見を聞いてみるのも良い方法です。正確な情報を得るには、客観的に発言してくれる相手を選びましょう。
働きたくないと感じたら仕事や働き方を変えてみよう
働きたくないと感じたときは、仕事に行けなくなる前に現状を見つめ直してみましょう。問題点が分かれば、対処しやすくなります。企業に属さず、自分の得意分野を磨いて生きていくのも1つの方法です。
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