フリーランスとは?メリットやおすすめの仕事、なり方を総まとめ

働き方の多様化に伴い、近年フリーランスとして働く人が増えています。フリーランスについて深く理解すれば、自分に合った働き方かどうかを判断しやすくなるでしょう。メリットや注意点、代表的な仕事など、フリーランスに関する基礎知識を解説します。

フリーランスとは?

女性ワーカー

(出典) pixta.jp

フリーランスとは、どのような働き方を指すのでしょうか。個人事業主・自営業・フリーターとの違いと併せて、まずはフリーランスの意味を見ていきましょう。

フリーランスの定義

フリーランスとは、組織に属さず個人で仕事を請け負う働き方です。中小企業庁の「2019年版小規模企業白書」では、以下の条件を満たす人をフリーランスと定義しています。

  • 特定の組織に属していない
  • 従業員を常時雇用していない
  • 消費者向けの店舗などを構えていない
  • 事業者自身がスキルを提供することで成り立つ事業を営んでいる

会社員は会社と雇用契約を結びますが、フリーランスは取引先と業務委託契約を結びます。労働基準法などの法律が適用されない点も、フリーランスの大きな特徴です。

出典:2019年版小規模企業白書 |中小企業庁

個人事業主や自営業との違い

個人事業主は、法人ではなく個人で事業を営んでいる人です。税務署に開業届を提出することで、税法において個人事業主として認められます。

個人で働くという意味では、個人事業主とフリーランスは同じです。ただし、個人事業主はあくまでも税法上の区分であり、フリーランスの中には法人化している個人もいます。

また、自営業とは個人で事業を営む人全般を指す言葉です。フリーランスや個人事業主以外に、法人化している個人も自営業に含まれます。

フリーランスは店舗を持たず従業員も雇わない働き方です。個人事業主や自営業と同じ部分もありますが、イコールではないことを理解しましょう。

フリーターとの違い

フリーランスと意味を混同しやすい言葉としては、フリーターも挙げられます。内閣府の「平成15年版 国民生活白書」では、次の条件を全て満たす人をフリーターと定義しています。

  • 「パート・アルバイト・派遣」または「働く意思のある無職の人」
  • 年齢層は15~34歳(学生・主婦を除く)

働いているフリーターは組織に雇用されて給料をもらっていますが、フリーランスは組織から給料をもらうわけではありません。雇用契約を結ぶという点において、フリーターは会社員と同じであり、フリーランスとは働き方が全く異なります。

出典:平成15年版 国民生活白書 | 内閣府

フリーランスが増えている背景

財託ワークをする男性

(出典) pixta.jp

近年、フリーランスは働き方の選択肢の1つになりつつあります。なぜフリーランスとして働く人が増加しているのか、その背景を見ていきましょう。

働くことに対する価値観の変化

フリーランスが増えている背景の1つが、働くことに対する価値観の変化です。ワーク・ライフ・バランスを充実させたいと考える人が増え、自分に合った働き方を選択するという価値観がより重視されるようになっています。

さまざまな取り組みが始まっている働き方改革でも、生産年齢人口の減少や働く人のニーズの多様化に対応するため、多様な働き方を選択できる社会を目指しています。

企業への所属意識に変化が見られることも大きなポイントです。働き方が多様化していることを受け、企業に雇用されて働くことが当たり前ではなくなってきています。

出典:働き方改革 ~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~ | 厚生労働省

IT人材の慢性的な不足

IT人材が慢性的に不足していることも、フリーランスが増えている理由の1つです。日本のIT人材は今後ますます不足していくことが予想されており、経済産業省の「IT人材需給に関する調査」では、2030年にIT人材が最大約79万人不足すると指摘しています。

多くの企業がDXに向けてさまざまな取り組みを進めていこうとしている一方で、DXを支える人材が不足しているということです。自社で人材を育てようとしても時間がかかってしまいます。

そのため、近年はフリーランスのIT人材を積極的に採用する企業が増えています。フリーランスなら企業の垣根を越えて働けるため、企業側も即戦力として期待できるのです。

出典:IT人材需給に関する調査 | 経済産業省

副業を認める企業の増加

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、原則として企業は副業や兼業を認めるべきであるとしています。このことを受け、副業や兼業を認める企業が増えています。

本業がある身で副業や兼業を行っている場合、厳密にはフリーランスとはいえません。しかし、副業や兼業の収入が一定額を超えると確定申告が必要になり、税法上は個人事業主と同じ扱いになります。

副業を認める企業が今後も増えていくと、本業以外での収入を得る人はますます増加していくでしょう。

出典:副業・兼業の促進に関するガイドライン | 厚生労働省(P.6)

フリーランスのメリット

コワーキングスペース

(出典) pixta.jp

フリーランスとして働くことに興味があるなら、メリット・デメリットを知っておくことが重要です。フリーランスの代表的なメリットを紹介します。

時間や場所に縛られずに働ける

フリーランスの大きなメリットとして、時間や場所に縛られずに働けることが挙げられます。いつでも自分の好きな時間に仕事ができるほか、自宅やカフェなどで作業することも可能です。

フリーランスが取引先と締結する業務委託契約では、取引先がフリーランスに働く時間や場所についての指示を行えません。そのため、フリーランスは働く時間や場所を自分で自由に決められるのです。

一方、会社員は働く時間や場所に縛りがあります。雇用契約では使用者が労働者に対して指揮命令権限を持てるため、会社から働く時間や場所の指示を受けたら、従業員は指示に従わなければなりません。

自分のやりたい仕事を選べる

フリーランスは、自分がやりたい仕事を選択できます。得意な仕事やスキルを生かせる仕事を中心に働くことができ、自分がやりたくない仕事はパスすることも可能です。

一方で、会社員は基本的に仕事を選べません。会社から仕事を与えられたら、できるかどうかは別として、その仕事に取り組む必要があります。

やりたい仕事に就けると思って就職した会社であっても、いざ働き始めてみるとやりたい仕事が一向に回ってこないケースも考えられます。フリーランスの場合は自分で仕事を選べるため、このような状況に陥ることは少ないといえるでしょう。

努力次第で収入を増やせる

フリーランスは自分のスキルに応じた報酬を得やすい働き方です。スキルアップして経験を積んでいけば、案件数や単価によっては高収入も狙えます。

業務の内容や時間が会社員時代とそれほど変わらなくても、フリーランスの場合は会社員時代の給料を超える可能性があります。会社員時代に「スキルに見合った評価を得られていない」と感じていた場合、フリーランスになれば高収入を目指しやすいでしょう。

また、残業や副業ができない会社で働いていると、今より収入を増やすのは困難です。一方でフリーランスなら時間が許す限り働けるため、仕事量を増やして収入を上げることも可能になります。

フリーランスの注意点

電話する女性

(出典) pixta.jp

フリーランスにはメリットだけでなくデメリットもあります。「こんなはずではなかった」と後悔することがないように、フリーランスの注意点もメリットと併せて理解しておきましょう。

自分で営業しなければならない

フリーランスは自分で行動して案件を獲得する必要があります。フリーランスになったからといって、勝手に仕事が舞い込んでくるわけではありません。

一方の会社員は、自分で取引先に営業をかけなくても、会社から仕事を与えられます。自由に仕事を選べない半面、仕事がなくて困ることは基本的にありません。

フリーランスの場合は、営業がうまくいかなければ仕事がない状況に陥るリスクが考えられます。仕事がなければ収入を得られないため、好きではない仕事を受注せざるを得ないケースもあるでしょう。

徹底した自己管理を求められる

フリーランスの注意点として、徹底した自己管理を求められることも挙げられます。働き方を自由に決められることから、自己管理ができていなければ生活のリズムが狂いやすくなるでしょう。

会社員として働く場合は上司や会社が監督者となりますが、フリーランスには監督者がいません。何をしても注意されることがないため、誘惑に負けて仕事をさぼってしまうリスクもあります。

フリーランスはお金の管理や確定申告も自分でしなければなりません。会社員は基本的に与えられた仕事をすれば問題ありませんが、フリーランスは雑務なども仕事と並行してこなしていく必要があります。

収入が不安定

フリーランスは会社員と違い、毎月の収入が決まっているわけではありません。収入が不安定になることは、フリーランスのデメリットとして意識する必要があります。

特に、フリーランスとして働き始めた時期は、なかなか仕事が取れないこともあるでしょう。無収入に近い状態になるケースも想定し、当面の生活費を確保しておかなければなりません。

フリーランスは収入が安定していないため、ローンを組みにくいことも留意しておきましょう。車や家など高額な買い物を希望する場合は、会社員の方がローン審査に通りやすくなります。

初めてのフリーランスでおすすめの仕事

タイピング

(出典) pixta.jp

フリーランスになるためには、自分の仕事を選ぶ必要があります。初めてフリーランスに挑戦する場合におすすめの仕事を紹介します。

エンジニア

初めてのフリーランスでは、エンジニアの仕事に取り組むのがおすすめです。IT系人材は需要が高く、案件が常に豊富なため、仕事に困りにくいでしょう。

プログラマー・コーダー・WordPressエンジニアといった職種で活動すれば、初心者向けの案件を見つけやすくなります。スキルアップしながら経験を積むことで、会社員のエンジニアより稼げる可能性がある点も魅力です。

エンジニアの仕事には、在宅案件と現場に常駐する案件があります。契約形態を選べるケースも多いため、自分に合った働き方ができる案件を探してみましょう。

ライター

ライターの仕事も初めてのフリーランスに向いています。特別なスキルがなくても取り組みやすく、初心者向けの案件が多いことがメリットです。

ライターのフリーランス案件は、一般的に文字単価や記事単価で報酬が決まります。数をこなしてスキルを高めていけば、収入もアップさせやすいでしょう。

ただし、参入障壁が低い分、最初はライバルが多く報酬も低めです。取材ライターや通訳といった専門性の高い職種を目指すことで、市場価値の高い人材になれるでしょう。

デザイナー

初めてのフリーランスでおすすめの仕事の1つがデザイナーです。Webデザイナーやグラフィックデザイナーなど、ITに特化したデザイナーなら仕事を見つけやすいでしょう。

デザイナーがフリーランス案件を獲得するためには、ある程度のスキルが必要です。初心者でも案件を獲得しやすくするためには、フリーランスになる前にスキルを磨いておく必要があります。

専門性の高いデザイナーなら、報酬が高くなる傾向がある点も魅力です。近年はゲームデザイナーやUI/UXデザイナーの需要が高いことも覚えておきましょう。

フリーランスになるには?

検索のイメージ

(出典) pixta.jp

フリーランスのなり方にはいくつか方法があります。その中でも代表的なものを紹介するので、自分に合うと感じたなり方で仕事を探してみましょう。

クラウドソーシングを利用する

フリーランスの案件探しでメジャーな方法が、クラウドソーシングを利用することです。さまざまなジャンルで豊富な案件が紹介されているため、手軽に仕事を探せます。

幅広い難易度から案件を選べることも特徴です。初心者向けの案件も多く、初めてフリーランスに取り組む人でも、クラウドソーシングを利用すれば経験を積みやすいでしょう。

クラウドソーシングのデメリットは、報酬から手数料が差し引かれてしまうことです。一般的には報酬の10~20%程度の手数料がかかるため、その分手取りは下がります。

知人に紹介してもらう

フリーランスになる方法としては、知人に仕事を紹介してもらうのもおすすめです。仕事を通じて知り合った人に相談すれば、自分の能力に合った仕事を紹介してもらえる可能性があります。

他の方法でフリーランス案件を獲得する場合、最初に自分の能力をアピールしなければなりません。しかし、知人の紹介なら能力のアピールを省略しやすいため、案件獲得のハードルが下がるでしょう。

現在取引中のクライアントからの評価が高まれば、クライアントが仕事を広げてくれるケースもあります。初心者向けの案件を地道にこなしていくことが大切です。

求人サイトを活用する

初めてフリーランスに挑戦するなら、求人サイトを活用する方法もあります。求人サイトなら多彩な求人からクライアントを探すことが可能で、初心者向けの案件も豊富です。

案件ごとに手数料が発生するクラウドソーシングと異なり、求人サイトでは基本的に手数料がかかりません。手取りが下がらないため、収入を安定させやすくなります。

フリーランス案件を求人サイトで探すなら「スタンバイ」を利用してみましょう。全国の求人が豊富に掲載されているため、自分に合ったフリーランス向けの案件を探してみてください。

スタンバイ|国内最大級の仕事・求人探しサイトなら

フリーランスが収入を増やすためのコツ

収入をチェックする手元

(出典) pixta.jp

フリーランスになりたての時期は、どうしても収入が低くなってしまいます。収入を増やすためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。

ポートフォリオを充実させる

フリーランスが仕事を獲得するためには、自分で営業を行う必要があります。営業をかける際には、過去の成果物を並べたポートフォリオの提示が必須です。

自信のある成果物を選び、魅力的なポートフォリオを作れば、クライアントへの良いアピール材料になるでしょう。案件をこなしていくことで成果物は増えるため、ポートフォリオも更新していくことが重要です。

ポートフォリオの内容は、クライアントが求めるものに合わせましょう。希望する業務とは関係のない成果物を並べても、アピール材料としては弱くなってしまいます。

クライアントとの信頼関係を築く

フリーランスとして仕事を始めたら、クライアントと良好な信頼関係を築くことが大切です。クライアントからの評価が高くなれば、単価アップや案件数の増加を期待できます。

コミュニケーションをしっかり図り、納期をきちんと守っていれば、クライアントとの信頼関係を築きやすいでしょう。求められているもの以上の成果物を提出することで、クライアントからの評価をより高められます。

長く一緒に働きたいとクライアントに思ってもらえれば、自然と仕事は増えていくものです。同じクライアントの仕事が多くなれば、自分で営業して案件を取りにいかなくても収入を増やせます。

スキルを磨く

フリーランスは常にライバルとスキルを比較されます。収入を増やすためには、仕事をしながらスキルアップにも励むことが重要です。

特定分野における専門スキルが磨かれていけば、獲得できる案件の数も増えていきます。より難易度の高い案件を獲得できるようになるため、時間単価も上がっていくでしょう。

フリーランスになる前にも、ある程度のスキルを磨いておくことが大切です。アピールできるスキルを取得している状態なら、最初から高単価案件の獲得も狙えます。

フリーランスへの転身にチャレンジしよう

パソコンを操作する女性

(出典) pixta.jp

フリーランスになれば、時間や場所に縛られずに働くことが可能です。メリットとしては、自分のやりたい仕事を選択できることや、努力次第で収入をアップさせられることなどが挙げられます。

一方、フリーランスは自分で営業しなければならないほか、徹底した自己管理も求められます。収入も不安定になるため、当面の生活費も用意しなければなりません。

フリーランスを目指すなら、メリット・デメリットを理解することが重要です。自分に向いている働き方だと判断できれば、しっかりと準備をした上でフリーランスへの転身にチャレンジしてみましょう。