グループ会社とはどのような会社?メリットや転職のポイントも紹介

就職先や転職先を探すとき、会社の関係性を表す言葉の意味に悩んだ経験がある人もいるのではないでしょうか。その中で、グループ会社とはどのような会社を指すのか、特徴を紹介します。よくある疑問も確認し、仕事探しの参考にしましょう。

グループ会社とは

ビル

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求職活動中には、会社同士の関係性を表す言葉を目にする機会が多々あります。その1つが「グループ会社」です。まずはグループ会社の定義と、ある会社のグループ会社を探す方法を見ていきましょう。

経営上のつながりがある会社の総称

グループ会社とは、経営上のつながりを持つ会社全般を表す言葉です。例えば、A社という親会社に対して子会社B・関連会社Cがあった場合、A社・B社・C社は全てA社のグループ会社とされます。

グループ会社は法律で定められている言葉ではありませんが、親会社や子会社・関連会社など、関わりのある会社を総称して広く用いられています。

法律上、親会社・子会社・関連会社を総称する言葉は「関係会社」です。関係会社という言葉を見聞きした際には、グループ会社とほぼ同義だと考えましょう。

出典:財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 第8条項 | e-Gov法令検索

グループ会社の探し方

ある企業について調べる際、グループ会社が存在するのか気になるケースもあるでしょう。親会社以外のグループ会社を探す方法には、以下の3通りがあります。

  • 検索エンジンに「(親会社の名前)グループ会社一覧」と入力して検索する
  • 親会社のWebサイトからグループ会社の情報を探す
  • 業界地図を確認する

親会社のWebサイトには、グループ会社がある場合、一覧のページが必ずといってよいほど用意されています。検索エンジンで入力するか、親会社のWebサイトのトップから該当のページを探すなどして調べてみましょう。

業界地図(「会社四季報」業界地図)とは、業界ごとの主要な企業の業績や提携関係などを地図のように視覚化したものです。企業同士の資本上の関係を知りたい場合は、出資関係・親会社と子会社といったお金のつながりを表す赤い線をチェックします。

出典:業界地図2024|就職活動には会社四季報 業界地図

グループ会社の主な種類

オフィス

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グループ会社は親会社と子会社・関連会社、そのほかの関わりがある会社の総称です。親会社・子会社・関連会社それぞれについて、定義とグループ会社内での位置付けを紹介します。

親会社

親会社の定義は、「会社法」第2条1項4号において、以下のように定められています。

株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

出典:会社法 第2条4号 | e-Gov法令検索

つまりグループ会社内で、子会社や孫会社など他の会社の経営を支配している会社が親会社と見なされます。具体的には、議決権の過半数以上を有する会社です。

ただし、議決権の割合が50%未満であっても、財務や事業方針の決定を支配していれば親会社とされます。

出典:会社法上の子会社・親会社について教えてください。 | ビジネスQ&A | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

子会社

子会社は親会社によって経営を支配されている会社です。「会社法」の第2条3号では、子会社の定義を以下のように定めています。

会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。

出典:会社法 第2条3号 | e-Gov法令検索

これは議決権の過半数以上を握られている会社があれば、その会社の子会社に当たるという意味です。また親会社の定義と同様に、仮に過半数以上の議決権を自社で持っていたとしても、実質的に経営を支配されている場合は子会社と見なされます。

子会社には、以下のような種類がある点も覚えておきましょう。

  • 完全子会社:親会社が発行済み株式の100%を保有している会社
  • 連結子会社:子会社の資産・損益を親会社の財務諸表に計上し、親会社と子会社の財務諸表を連結して決算を行う会社

グループ会社の経営に大きな影響を与えない小規模な会社であるなどの理由から、親会社と連結決算をしない「非連結子会社」もあります。

出典:会社法施行規則 第218条の3 | e-Gov法令検索

関連会社

関連会社は、親会社に株式を保有されてはいるものの、子会社に比べて親会社が保有する株式の比率が低い会社を指します。具体的な基準は、親会社の株式保有率が20%以上50%未満です。

ただし親会社・子会社の場合と同じく、保有されている株式が20%未満であっても、財務や営業・事業の方針決定に重要な影響を受けている場合は関連会社と見なされます。

「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の第8条5項では、関連会社を以下のように定義しています。

この規則において「関連会社」とは、会社等及び当該会社等の子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいう。

出典:財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則 第8条5項 | e-Gov法令検索

親会社でないグループ会社で働くメリット

会社員のイメージ

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就職活動や転職活動で大手企業のグループ会社を視野に入れているなら、子会社や関連会社といったグループ会社で働くメリットを知っておきましょう。代表的な利点を3つ紹介します。

親会社より入社しやすい

親会社ではなく子会社や関連会社などのグループ会社を選ぶメリットとして、まず親会社よりも入社のハードルが下がるという点が挙げられます。グループの親会社に当たる会社は大手企業であり、数多くの応募者が集まるため、入社は簡単ではありません。

一方で子会社や関連会社は親会社よりも知名度が低いため、ライバルが少なく、採用される可能性が高くなる傾向があります。就職先・転職先を探すときには、親会社だけにこだわらず、グループ会社にも目を向けてみるとよいでしょう。

親会社の知名度を活用できる

子会社や関連会社といったグループ会社の知名度は、親会社と比べて高くありません。しかし、グループ会社の社員は、自社ではなく親会社のネームバリューやブランド力を活用できます。

例えば親会社の知名度を生かして取引先にアピールし、商談を競合他社より有利に進められる可能性があるでしょう。実績を順調に積んでいけば、将来的に転職を考える際にアドバンテージとして働きます。

私生活でも、親会社の知名度は有利に働く要素です。有名な企業のグループ会社で働いているだけで社会的な信用を得られ、住宅ローンなどの審査にも通りやすい傾向があります。

親会社よりも入社のハードルが低い傾向があるにもかかわらず、親会社の知名度を生かせるのは、グループ会社で働く大きなメリットです。

福利厚生が充実している

大手企業の子会社・関連会社といったグループ会社では、手厚い福利厚生を用意しているケースが多いでしょう。親会社と同じ水準の福利厚生が用意されており、働きやすさの面で親会社に劣らないグループ会社も少なくありません。

親会社とまったく同じとまではいかなくても、規模の近い独立系の他社と比べれば、大きな違いを感じる可能性が高いでしょう。グループ会社で用意される福利厚生の例として、次のようなものが挙げられます。

  • 社員寮
  • 住宅資金融資
  • 短時間勤務制度
  • 保養施設やリゾート施設
  • 財形貯蓄制度

もちろんグループによって、福利厚生の種類は異なります。ただ、福利厚生の充実度から親会社を志望していて、グループ会社でも親会社に近い福利厚生が用意されていた場合は、入社のハードルが低いグループ会社を選ぶのも1つの手です。

親会社でないグループ会社で働くデメリット

考え事をする女性

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親会社よりライバルが少なく、親会社のネームバリューや福利厚生に強みのあるグループ会社(子会社や関連会社)にも、デメリットはあります。入社してから後悔しないよう、あらかじめ把握しておきましょう。

親会社より給与水準が低い

グループ会社には、親会社と比べて給与水準が低い傾向があるというデメリットが挙げられます。特に子会社は給与が親会社の70〜80%と、人によってはかなり低く感じられる水準です。

仮に業務内容がほぼ同じであっても給与水準が低ければ、親会社を狙いたいと考える人も多いでしょう。入社のハードルと給与を比較検討して、メリットの大きい選択をする必要があります。

役職への出世が難しい

高い役職への出世を狙いにくい点も、親会社ではなく子会社・関連会社といったグループ会社で働くデメリットです。グループ会社の役員クラスのポジションには、親会社の人材が出向してきて就くケースもあります。

特に子会社では、課長までは昇進できても、部長クラス以上の役職に昇進するのは難しいかもしれません。人によっては、スキルアップや業績向上に対するモチベーションを下げる原因になり得ます。

ただ、昇進したい気持ちがさほど強くなく、年齢を重ねて業務負荷が増えるのを避けたいという人には、親会社よりも向いている可能性があります。

会社都合で働く環境が変わる場合がある

子会社や関連会社のようなグループ会社には、親会社の都合によって売却や事業からの撤退が決まるリスクがあります。働く人にとって、いつ親会社が変わったり会社自体がなくなったりするか分からない不安は、デメリットとなり得るでしょう。

売却や撤退ではなく、親会社への吸収合併が決まり、リストラの対象になる可能性もあります。雇用は維持された場合でも、環境が大きく変わってそれまでよりも働きにくくなるリスクは否めません。

グループ会社への転職にまつわる疑問

履歴書に書き込む

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大手企業のグループ会社を就職先・転職先として検討しているなら、よくある疑問も解消しておきましょう。主なQ&Aを2つ紹介します。

同グループ内の複数企業への応募はOK?

複数のグループ会社がそれぞれ求人を出しているなら、基本的に併願が可能です。グループ会社といっても、各企業はそれぞれ独立した会社であり、応募者の情報がグループ内で伝わることもありません。

ただし、応募要件によっては併願できない場合もある点に注意しましょう。求人に併願NGの旨が記載されていないか、よくチェックしておく必要があります。中にはグループ会社への応募を本社で一括して受け付ける場合もあるため、要件の確認は必須です。

同グループ内で転職しても大丈夫?

同じグループ内での転職は、基本的には問題ありません。ただし、人事制度でグループ内での転職が認められていることが前提です。トラブルを避けるためにも、まずは人事制度を確認しましょう。

また、人間関係や労働環境などに問題があって転職する場合も、ネガティブな転職理由は伝えないよう注意が必要です。独立系の他社に転職する場合もネガティブな伝え方は避けるべきですが、グループ内の転職では印象がより悪くなりかねません。

グループ会社の意味を理解しよう

オフィスで働く社員

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グループ会社は親会社・子会社・関連会社など、経営上の関わりがある会社群を指す言葉です。それぞれの関係性や定義を正しく理解し、就職・転職活動に役立てましょう。

親会社と比べると、グループ会社には働く人にとってメリットもデメリットもあります。自分が重視する条件を明確にし、どちらを選ぶべきか判断する必要があるでしょう。

Web上の求人を網羅的に掲載しているスタンバイでは、グループ会社の求人も豊富です。積極的に活用しながら、グループ会社への就職・転職を検討しましょう。

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