定年退職とはどのような仕組み?退職のタイミングや定年後の選択肢も

多くの企業において、定年制度が運用されています。定年退職後の選択肢には、どのようなものがあるのでしょうか?具体的な退職のタイミングや、再就職の方法についても解説するので、自分の希望に合ったルートを選択しましょう。

定年退職とはどのような制度?

退職祝

(出典) pixta.jp

定年退職とはどのような制度なのか、具体的にチェックしましょう。定年退職の法的根拠についても、併せて解説します。

一定の年齢に達したことを理由に退職する制度

企業があらかじめ定めている一定の年齢に達したことを理由に退職する制度を、定年退職と呼びます。定年退職そのものは、法令によって定められている制度ではありません。

従って、定年退職制度を設けるかどうかは、各企業に委ねられています。厚生労働省が発表した「令和4年就労条件総合調査 結果の概況」によると、定年制を定めている企業の割合は全企業の94.4%です。

定年の有無は企業によって異なるとはいえ、定めている企業が一般的であるといえるでしょう。

出典:令和4年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

一般的に60~70歳を定年に定めている

定年退職の年齢も、企業によって多種多様です。ただし、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の第8条により、定年を定める場合は60歳以上にしなければならないと決められています。

定年退職の年齢は、60~70歳に定められているのが一般的です。厚生労働省発表の「令和4年就労条件総合調査 結果の概況」によると、一律定年制を導入している企業において、最も多かったのが60歳(72.3%)、次いで65歳(21.1%)でした。

従って、60歳と65歳に設定している企業が大多数といえます。定年退職の年齢については就業規則に明記されているため、自社の就業規則をきちんと確認しておきましょう。

出典:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 第2章 第8条 | e-Gov法令検索

出典:令和4年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

定年が存在しない企業もある

企業によっては、定年退職の制度そのものが存在しないケースもあります。定年を定めない主な理由は、以下の通りです。

  • シニア層を積極的に活用したいと思っている
  • 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」で定める高年齢者就業確保措置の一環として、定年を廃止している

定年制度が存在しなければ、一定の年齢に達したからといって、強制的に退職しなければならなくなることはありません。老後も働き続けたいと考えている人にとって、魅力的な環境といえます。

出典:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 第10条の2 | e-Gov法令検索

定年退職のタイミングと退職金の有無

退職金

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定年退職のタイミングや退職金の支給に関する規定は、企業によって異なります。退職のタイミングを正しく理解するためにも、以下で紹介する情報を1つずつチェックしておきましょう。

退職の具体的なタイミングは企業によってさまざま

一言で定年退職といっても、企業によって退職の具体的なタイミングは異なります。タイミングの一例は、以下の通りです。

  • 退職年齢の誕生日
  • 退職年齢の誕生日が属する月の末日
  • 退職年齢の誕生日が属する年の12月31日

ほかにも「退職年齢の誕生日」などのさまざまなパターンが存在するため、就業規則の定年に対する項目をチェックしておきましょう。定年退職制度を設けている企業の場合、退職のタイミングが明記されています。

退職金の支給に関しては就業規則で定められている

定年退職するときには退職金が支給されるケースが多いものの、法令で退職金を支給しなければならないと定められているわけではありません。従って、退職金の有無や具体的な金額は、企業によって異なります。

退職金の支給タイミングや計算方法についても、就業規則に明記されているため、事前に確認しておくのがおすすめです。

あらかじめ退職金の金額を計算しておけば、定年後の計画を立てやすくなります。なお、退職金を受け取った場合は、退職所得として所得税や復興特別所得税、住民税が課税される点は留意しておきましょう。

一例として、厚生労働省が定めているモデル就業規則では、退職金に関して以下のように定めています。参考にしてみましょう。

出典:第8章 退職金|厚生労働省

定年退職後の3つの選択肢

考え事をするベテラン社員

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定年退職後のライフスタイルには、どのようなものがあるのでしょうか?代表的な選択肢を3つ紹介します。

自分の状況・考えに応じて適したものを選べば、定年後の暮らしをより豊かにできるでしょう。

そのまま退職・リタイアする

老後の資金計画に十分な余裕があり、働き続けたいと考えていないのであれば、そのままリタイアするのもおすすめです。受給できる年金額に余裕がある場合や、十分な資産を形成できている際に有用な方法といえます。

定年退職後にそのままリタイアしたいと考えているなら、できるだけ早く資産形成に取り組みましょう。

また、在籍中の企業が定年を65歳以降に設定している場合は、退職時点で年金を受給できる年齢に達しているため、比較的この選択肢を選びやすいといえます。

在籍企業の再雇用制度・OB・OG制度を利用する

今働いている企業でそのまま働き続けたいと考えているなら、再雇用制度やOB・OG制度を利用するとよいでしょう。これらを総称して「継続雇用制度」と呼び、定年に達した後も働き続けたいと考えている人が利用できます。

ただし、再雇用制度やOB・OG制度を利用すると、賃金・雇用条件が変わるケースが多いため、内容を確認してから契約書にサインしましょう。

また、定年を70歳などの高年齢に設定している企業を中心に、継続雇用制度を運用していないケースもあります。まずは、就業規則で継続雇用制度が存在するか確認することが大切です。

別の企業に再就職する

世の中には、シニア層の採用に積極的な企業が存在します。定年後も働き続けたいと考えているものの、「在籍中の企業では働き続けたくない」と思っているなら、別の企業に再就職するのがおすすめです。

再就職先を探すときは、定年後の再就職を支援している企業や、シニア層活躍中と掲げている企業を選ぶとよいでしょう。そのような企業であれば、一般的な企業よりシニア層が働きやすい環境が整っていると考えられます。

定年退職後の再就職先の探し方

パソコンを前に悩む男性

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1度退職し、別の企業に再就職したいと考えている場合、どのように再就職先を探せばよいのでしょうか?代表的な2つの方法を紹介します。自分の状況に応じて、選択するときの参考にしてみてください。

求人情報特化型の検索エンジンを活用する

さまざまな求人を比較・検討して、自分に合った企業を選びたいと考えているなら、求人情報を専門に扱っている検索エンジンを利用しましょう。

求人情報特化型の検索エンジンは、職種・エリアを問わずさまざまな求人を掲載しているため、自分に合った仕事を発見しやすいのがメリットです。

求人検索エンジン「スタンバイ」でも、全国各地の求人を数多く掲載しています。シニア層の採用に積極的な企業もあるため、自分がやりたい仕事の求人がないか確認してみましょう。

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シルバー人材センターを活用する

地元で働きたいと考えている人は、シルバー人材センターを利用するのも1つの方法です。シルバー人材センターとは、地方自治体単位で設置されている公益法人です。働き手を必要とする企業・団体に対し、登録者をあっせんします。

シルバー人材センターを活用する場合は、登録が必要です。60歳以上で就業意欲があり、健康状態に問題がなければ登録できるため、1度チェックしてみましょう。なお、登録後は会費を納入する必要があります。

定年退職とはどのようなものかを理解しておこう

ベテランの会社員

(出典) pixta.jp

定年退職は、企業によって定められた一定の年齢に達したときに、退職する制度です。一般企業では60~70歳に設定されているケースが多く、退職後は継続雇用制度の利用や、別企業への再就職などの選択肢があります。

別企業への再就職を希望する人は、自分に合った企業を選ぶと意欲的に働けるでしょう。「スタンバイ」でも、シニア層の雇用に積極的な企業の求人を探せます。

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