「架電」は、ビジネスの場においては頻繁に用いられる言葉です。しかし、日常生活ではあまり耳にしないため、意味や使い方に戸惑う人もいるでしょう。この記事では、架電の意味と具体的な使い方を解説します。架電に関する疑問を解決し、日々の業務に役立てましょう。
この記事のポイント
- 架電の意味と使い方
- 架電とは、電話をかける行為を表す言葉です。「架電済です」「お客さまへの架電をお願いします」のように使います。
- 架電業務が多い業種
- コールセンター・保険会社・人材紹介会社・不動産会社・配送業者などは、架電業務が多い業種といわれています。
- 架電業務を成功させるコツ
- 会話がスムーズになるスクリプトを作る、会話の内容を記録として残す、一方的に喋らず相手の話も聞くなどが成功に近づくポイントです。
架電とは?
よく使う業種とそれほど使わない業種に分かれるものの、「架電」はビジネスの場には欠かせない言葉の1つといっても過言ではありません。
適切に使うためには、言葉の意味を事前に理解しておくことが大切です。併せて、同じ意味を持つ言葉と反対の意味を持つ言葉も確認しておきましょう。
架電の意味
架電は、電話をかける行為を表す用語です。現在は幅広い業界で使われていますが、元々は専門用語として法律の分野などで使われていました。
日常生活において「電話をかける」の「かける」を漢字で書くことはなく、ひらがな表記が一般的です。架電に「架ける」の文字を使うのは、電話線を通して相手につながる、つまり架け渡す必要があるためと解釈できます。
自分の行為だけでなく、相手への依頼として「架電お願いします」のように使用するケースもありますが、どちらの場合も意味は変わりません。
架電と同じ意味の言葉
架電はビジネスの現場では比較的メジャーな言葉ですが、どこの職場でも必ず使う用語ではありません。業界・職種・企業によっては、類似の言葉を使う場合もあります。
- 電話
- 通話
- コール
- 発信
- 呼び出し
電話は、最も一般的な表現です。単体では電話機を指しますが、「電話をする」のように動詞を付けることで架電同様の意味となります。通話は電話で話すことです。通話中という現在進行形の他、通話履歴といった過去形としても使われます。
コールは電話をするという意味の英語です。「ワンコールして」など、呼び出し音の回数を伝える際にも使われることがあります。発信は電信などの情報を送り出すことを指す言葉です。電話の他に手紙やメール、ファクスなどを送る際にも使われます。
呼び出しは、文字通り相手を呼び出すことを指す言葉です。エントランスでも使われるため、言葉の前後から場所を特定する必要があります。
架電と反対の意味の言葉
ビジネスの現場では電話をかけるだけでなく受ける機会もあるため、架電と反対の意味を持つ言葉も覚えておくとよいでしょう。
- 受電
- 入電
- 着信
受電は電話を受ける、電気の供給を受けることを指す言葉です。ビジネスの場では、前者の
意味で使用します。入電は電話がかかってくる(入ってくる)ことを指す言葉です。
着信は通信が届くことを指す言葉です。一般的には電話に用いられますが、メールにも使われる点が入電との大きな違いといえます。
架電の使い方の例文
架電は、シーンによってさまざまな使い方をする言葉です。すぐに対応できるよう、応用も覚えておきましょう。ここでは、例文を挙げながら架電の使い方を解説します。基本の5つをマスターし、業務をスムーズに進めましょう。
例文1:架電の件
架電の件は、電話で話した内容について言及する際に、電話の件という意味で用いられる表現です。会話の中だけでなくメールやチャットでも使われます。少ない文字数でスマートに伝えられるのが大きなポイントです。
- 先ほどの架電の件で変更がありましたので、資料をお送りいたします
- 先日の架電の件でご相談があります
- 架電の件について進捗をご報告いたします
架電の件を使うのは主に、電話をした相手に対し了承する・報告する・相談する場合などです。この他、顧客に電話した内容を上司に報告し、その件について報告・相談するケースでも使用できます。
例文2:架電件数
架電件数は、電話をかけた回数を表す言葉です。営業職でよく用いられ、アポイントメントの目標や結果として使われます。一般的には何回かけたかではなく、何件かけたかを示す指標のため、用法を間違えないようにしましょう。
- 今月の架電件数は◯件で、前月より◯件増えました
- 今月の目標は1日の架電件数◯件です
- 月の架電件数を15.0%増やし、売り上げアップにつなげよう
営業職の多くは事前にアポイントメントを取り、そこから営業に出向きます。架電件数が増えることで商品を売り込むチャンスも増えるため、業務を行う上で重要な指標といえます。
例文3:架電リスト
架電リストは、名前や電話番号など、電話をかける相手の情報をまとめた一覧のことです。営業リスト・テレアポリスト・コールリストと呼ばれることもあります。
架電リストの作成には、Excelまたは専用ソフトウエアを用いるのが一般的です。通話内容も併せて記録することで、より効率良く業務を進められます。
- 架電リストの作成をお願いします
- 架電リストに新たな顧客を追加しました
- 架電リストを修正しました
営業職で避けたいのは、同じ顧客へ続けて電話する、見込み客を見逃すことです。事前に専用のリストを作成し、それに基づいて業務を進めることでトラブルが防げるため、重要なツールといえるでしょう。
例文4:架電済
架電済は、すでに電話をかけたことを示す言葉です。基本的には社内でのやりとりでしか使いません。架電したことを、メモやメールなどで報告する際に用いるのが一般的です。
- ◯月◯日◯時、◯◯さまへ架電済
- 明日の訪問時間について、担当者に架電済
- 架電リストのお客さま全てに架電済
架電済は職場の同僚とのやりとりの他、架電リストのステータス表示としても使用されます。簡潔に伝えられる点がメリットといえるでしょう。
例文5:再架電
再架電は、一度電話をかけた相手に再び電話することです。通話した上でもう一度かけるというよりは、つながらなかった相手に対し使うのが一般的です。
- 担当者不在のため、明日再架電します
- ◯月◯日◯時電話出ず。要再架電
- 企画の件について確認事項があるため、明日までに担当者へ再架電願います
顧客や取引先への電話は、携帯電話だけでなく固定電話にかける機会もあります。電話がつながっても相手が不在の場合もあるため、そのようなシーンでは特に重宝するでしょう。
架電が必須の業種
数ある業種の中でも、特に架電を必要とするのは5つの業種です。これらの業種では、架電業務が業績を左右することもあります。ここでは、架電を必要とする5つの業種を紹介します。転職を考えている人は、具体的な業務内容も確認しておきましょう。
保険会社
保険会社では、顧客への契約内容の確認、新商品の案内などを行います。生命保険・自動車保険・火災保険など、保険で扱う商品は顧客の人生に大きく関わるため、架電は重要な業務です。
顧客との信頼関係が重要になることから、やりとりの多くを電話で行います。「架電」を使う頻度が高く、中でも営業職は常に付きまとうといっても過言ではないでしょう。
保険の営業で必要となるのは、自社で取り扱う商品知識、手続きを含む保険の仕組みです。アポイントメントが取れても、商品の説明ができなければ業績を上げられません。
また、顧客の状況を把握し、適切な情報提供を行うために高いコミュニケーション能力も求められます。アップデートが必要な業種ではありますが、業績が給与に反映されるためやりがいはあります。
配送会社
配送会社は一般的に受電業務が中心ですが、顧客への連絡が必要な場合に架電業務が発生します。中でも架電業務が多くなるのは、配送を担当するドライバーです。
ドライバーが顧客へ電話するのは、再配達の依頼への折り返し電話、着払い荷物に対しての事前連絡です。運転中に着信があった際には折り返しの連絡が必要なことから、日によって架電業務の量は変わります。
配送は荷物を配るのが主な仕事で、物流センターから物流センターに荷物を運ぶ運送とは異なります。配送ドライバーの顧客は、主に一般家庭・販売店・企業などです。
主な業務は配送・集荷、荷積みと荷下ろし、伝票作成です。運転する車は軽自動車から大型トラックまで幅広いため、運転する車に準じた運転免許が必要になります。
コールセンター
コールセンターはインバウンドとアウトバウンドに分かれており、どちらに属するかで架電の有無が変わります。
インバウンドは、顧客からかかってくる電話を受けるのが主な仕事です。受電専門のため「架電」を使用する機会が少ない一方で、入電・受電といった言葉を多く使います。
アウトバウンドの仕事は架電がメインです。架電リストや再架電は業務において必要不可欠になることから、営業職以上に「架電」を見かける機会が多いといえるでしょう。
コールセンターは電話で営業したり、顧客の質問に答えたりするため、営業職同様に商品知識が求められます。複数の商品を取り扱う場合は、全ての商品の情報アップデートが必要です。
人材紹介会社
人材紹介会社は、人材を求めている企業と仕事を探している求職者をマッチングさせるのが主な業務となるため、架電は欠かせない業務といえるでしょう。
人材紹介会社は、企業担当と求職者担当を分ける分業型、双方を担当する一気通貫型の2つに分かれます。分業型の場合は片方のみの架電となりますが、一気通貫型は双方への架電が必要です。
求職者を担当する場合は、求人紹介の他に転職に関するアドバイス、履歴書や職務経歴書の添削を行うこともあります。どちらを担当するとしても、コミュニケーション能力が求められるでしょう。
不動産会社
不動産会社は、架電・受電どちらの業務も多い業種といえます。物件の内覧予約や契約手続き、入居者からの問い合わせなど、さまざまな場面で電話が使われるからです。
不動産会社の仕事は事業内容によって変わります。事業内容は大きく開発・販売・売買仲介・賃貸仲介・管理の5つに分かれ、どの部署に属するかで業務内容も変わります。
開発の業務内容は、オフィスビルや商業施設などの企画・建設です。大規模な土地開発を行うデベロッパー、建設を担当するゼネコンに分かれます。
販売が担当するのは、自社建設の物件販売です。売買仲介は不動産を売りたい人、買いたい人をつなげる仕事のため、同じ売る仕事でも販売する物が異なります。
賃貸仲介は、家を貸したい人、借りたい人をつなげるのが主な業務です。管理は、オーナーに代わって物件を管理したり、入居者を募集したりします。
架電業務を成功に導くコツ
架電が中心業務となる職種では、1日に数十件も電話をしなくてはなりません。架電業務を成功させるためにも、以下のポイントを押さえて業務に臨みましょう。
- スクリプトを作る
- 相手の話をしっかり聞く
- 会話の内容を記録する
スクリプトは台本のことです。架電が多い職場ではマニュアルとして配布されることも多いでしょう。話す内容を事前に準備しておくことで、会話をスムーズに進められます。
電話をかけるとなると、自分が話すことを優先に考えがちです。しかし、相手の話を聞くことでニーズを把握できるため、一方的に話すのではなく相手の話にも耳を傾けましょう。
また、会話の記録を残すことで、次のアクションを考えやすくなります。電話を切ってから記録するのではなく、通話中に同時進行で対応できるとなおよいでしょう。
架電でスムーズなコミュニケーションを実現
「架電」はさまざまな業種で使われる、ビジネス用語の1つです。架電件数や再架電といった応用もあるため、シーンに合わせた使い方ができるようにしておきましょう。
架電業務が多い業種への転職を考えている人は、使い方を知っておくと転職先での業務をスムーズに進められます。
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