仕事が見つからない原因別の対処法を解説。年代別の仕事の探し方も

仕事が見つからない原因は大きく分けて4つあり、適切な対策を行うことが就職・転職への近道です。仕事が見つからないときの対応に加え、年齢に応じた工夫や、安心して求職するための精神的・経済的に安定する方法についても解説します。

仕事が見つからない原因

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(出典) photo-ac.com

仕事が見つからないとき、対策を練るにはまず原因を突き止めることが大切です。仕事が見つからないときに考えられる、4つの原因について解説します。

十分な量の求人をチェックできていない

仕事が見つからない場合、単純にこれまでにチェックした求人の数が少ないことが原因かもしれません。求人を探す手段や媒体が偏っていたり、特定の場所で仕事を探していたりするときに陥りやすい状況です。

求人をチェックする量が十分でも、やりたい仕事を最初から絞りすぎていると実質的にチェックしている量が少なくなります。多くの場合、仕事を探すときはやりたい仕事に絞って探しがちで、興味の湧かない仕事は初めから検討すらしないケースも少なくありません。

2011年に公表された『職業名索引』によると、世の中には1万7209個もの職業が存在します。今まで知らなかった仕事でも、調べているうちに興味を惹かれる仕事があるかもしれません。やりたいと思う業種しか探していなかった場合は、一度視野を広げてみることが大切です。

参考:職業名索引:第4回改訂厚生労働省編職業分類|労働政策研究・研修機構(JILPT)

理想が高すぎる

仕事が見つからない原因として、理想の条件が高すぎることが挙げられます。就業時間が短くて福利厚生が整っていて、業務内容が簡単で給料が高いといったように、希望する条件が全て揃っている求人はなかなかありません。理想だけを考えて仕事を探していても、よい仕事に巡り合うことは難しいでしょう。

仕事を探すにあたって、求人の中からいくつかの条件を妥協して選択することは避けられません。理想と現実の両方に目を向けた上で、妥当な選択をすることが大切です。

自分のやりたいことがはっきりしていない

自分のやりたいことが明確に把握できていないために、なかなか仕事が見つからない場合もあります。

自分のやりたいことをはっきりと言語化するのは難しいものです。周囲の目や世間体が気になってしまい、自分の本当の気持ちが隠れてしまっているケースもあるでしょう。仕事に対する自分の価値観と向き合い、本当にやりたいことは何かはっきりさせることが重要です。

とはいえ、やりたいことができる求人に応募すればよいという訳ではありません。スキルや能力が十分になければ就くのが難しい仕事もあるため、客観的に自分の能力を把握することも大切です。

自信不足あるいは働きたい気持ちがない

仕事が見つからない4つ目の原因は、自信不足や就労意欲不足です。働きたい気持ちがあっても、家庭に専念していた期間や無職の期間が長いと、自信が湧かず求人へ応募するハードルが高く感じてしまうでしょう。

また、仕事をしたいという気持ちが薄いと、見つかるものも見つかりません。仕事をする必要があるなら、仕事への意欲が湧くように工夫をすることも大切です。

希望の求人が少ないと感じる場合の対策

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自分に合った希望の求人が少ないと感じる場合は、より広い範囲で仕事を探してみるとよいでしょう。チェックする求人の母数を増やすことで、希望の求人も増える可能性があります。

複数の求人検索エンジンなどを活用する

求人検索エンジンや求人サイトはいくつもあります。特定の求人検索エンジンに頼って仕事を探している場合は、別のサイトでもチェックするとよいでしょう。また、オンライン上だけでなく、街に出かけてみて掲載されている広告や店先の求人をチェックしてみるのもひとつの手です。

複数の媒体や場所で求人をチェックしても仕事が見つからない場合は、ハローワークや就職・転職エージェントといった就職支援サービスの活用も検討しましょう。ハローワークでは管轄地域の幅広い求人から探せますし、就職の相談やセミナーを無料で受講することも可能です。

就職・転職エージェントは対象者が限定されているものもありますが、就職支援が一部の業界に特化しているケースが多くあります。その分、心強い支援が期待できますが、視野を狭めないように複数の就職エージェントに登録することが大切です。

視野を広げて探してみる

複数の方法で仕事を探すことに加えて、固定観念に囚われず新しい業界・業種にも視野を広げて探すことが重要です。最初から思考の外に追いやってしまっていた求人も改めて検討してみましょう。応募をしない求人でも、なぜ応募しないかしっかりと理由を定めることで、自分の中で探す仕事の基準がよりはっきりします。

例えば、会社名を知らない、あるいは有名ではないという理由だけで求人を飛ばしてしまっていないでしょうか。日本にある会社のうち、99.7%は中小企業です。名前を聞いたことがないというだけで求人を除外してしまうと、ほとんどの会社を初めから除外してしまうことになります。

自分に合った求人を見つけるためには、視野を広く持つことが非常に重要です。

参考:日本を支える中小企業|中小機構

やりたいことが分からない場合の対策

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やりたい仕事が明確に言語化できていないと、自分に適した仕事を見つけることはできません。仕事探しと並行して自己分析を積み重ねて、将来について考えることが大切です。

自己分析をしてみる

『やりたいことが分からない』ということは、『自分の価値観を明確に把握できていない』ということです。考えたり判断したりするときの基準となる価値観を言語化することは難しいですが、自分に合った仕事とは何かを知るためにとても重要です。

自己分析は、得意なことと苦手なこと、やりがいを感じることや熱中することを書き出すことから始めます。これまでの人生を振り返って、自分が何を大切にしていたかを考えてみましょう。特に、大きな決断を下すときには、その人の価値観がはっきりと表れやすい傾向があります。

自分のことは客観的に把握しにくいため、周りからどう見えているか、あるいは向いてそうな仕事は何か、身近な人の意見を聞くことも大切です。

自己分析は一朝一夕で完了するものではありません。継続的に周囲の意見も聞きながら、時間をかけて自分なりに噛み砕いて納得していく作業が必要です。習慣化して少しずつ進めていきましょう。

やりたいことが見つからないときの考え方

やりたい仕事が見つからないときは、向いている仕事を探すのも有効です。

向いている仕事なら余計な負担を感じずに続けやすいですし、仕事を続けるうちにスキルや能力が身に付いて、やりたいことが見つかるかもしれません。

また、向いている仕事なら成果を上げやすく、周囲から高く評価されるかもしれません。それをきっかけに、その仕事が好きになる可能性もあります。まずは大きな苦労をせずともこなせる仕事から始めてみましょう。

その後のキャリアについても考えておこう

仕事探しをしていると、どうしても目の前ことばかり考えてしまいがちです。しかし就職がゴールではなく、就職してからがスタートといっても過言ではありません。

目先のことだけでなく、将来の生活やキャリアにおいて、何年後にどうなっていたいか思い描くことも大切です。せっかく就職できてもすぐに退職・転職せざるをえなくなっては、成功とは言えないでしょう。遠い将来について考えるのが難しければ、まずは数年後のキャリアに目を向けてみましょう。

将来を想定することで、やりたい仕事が何なのか判断する基準も生まれるでしょう。欲しいものやなりたい状態を思い描くことで、就職活動への意欲も湧いてくることが期待できます。

年代別の仕事の探し方

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仕事が見つからないのは、自分の年齢に応じた適切な探し方ができていないからかもしれません。年代別に適した仕事探しの方法について解説します。

20代は興味のあることを中心に探そう

20代であれば、スキルや能力が十分に伴っていなくても、今後の伸びしろを見込んでポテンシャル採用されるチャンスもあります。20代は就職が決まりやすい年代なので、未経験やスキル不足をあまり気にせず、興味のある仕事に応募するとよいでしょう。

20代にとってはこれから長い職業人生が待っています。今のうちに興味のある仕事を経験しておいて、30代、40代でその経験を生かせるようにしておくことが重要です。

30代は前職の経験を生かせる仕事を探そう

30代では即戦力になるようなスキルや能力が求められます。20代で培ったスキルや能力、経験を生かして仕事を探しましょう。

未経験の業界・業種に飛び込むこともできますが、それまでと全く異なる分野だと就職が難しいかもしれません。別の分野に就職を希望する場合は、それまでの経験を生かせることを上手にアピールできるように準備が必要です。

40代はマネジメント経験を生かして探そう

40代での就職・転職は人生で最後の就職・転職活動となる場合が多くなるでしょう。体裁よりも中身を重要視して、覚悟を持って仕事を探すことが大切です。自分の身の丈に合ったやりがいのある仕事を選びましょう。

40代は会社で部下を持ち、中間管理職として働くことが求められます。スキルや能力に加えて、マネジメント経験をアピールすることが重要です。部下への仕事の采配や進捗マネジメントのほか、会社の経営層から下りてきた計画を実行できる能力が必須です。

仕事が見つからないときの不安解消法

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仕事が見つからないと不安や焦りが募り、自己嫌悪に陥ってしまうこともあるでしょう。自信を失うことは、就職・転職活動にも悪影響を与えて負のスパイラルに陥ってしまう恐れもあります。就職・転職活動中の負のスパイラルを避けるための、4つの不安解消法について紹介します。

アルバイトや短期の仕事をする

社会との接点が少ないと不安だという人は多く、日々お金が減っていくことも焦燥感につながります。

社会との接点を保ち、経済的な問題も解決できるように、アルバイトや短期の仕事をこなしましょう。少しでも誰かと会話したりお金を稼いだりすることで、仕事探しの意欲も維持できます。

すぐにお金を稼げるようなスキルがあるなら、クラウドソーシングや知人の紹介で直接仕事を請け負うのもおすすめです。スキルを磨いて今後の就職に生かせるだけでなく、個人事業主として働く道も広がります。

資格取得やスキル獲得のために勉強をする

資格取得やスキル獲得のために勉強をするのも、不安解消に役立つでしょう。勉強の跡が残るように工夫すると、少しでも前に進んでいる実感が湧いて不安が紛れます。勉強して取得した資格やスキルが、面接でのアピールやその後の仕事で役立つこともあるでしょう。

ハローワークでの職業訓練は基本的に無料で受講可能ですが、テキスト代や試験の受験料は自費負担です。職業訓練中は失業手当や職業訓練受講手当をもらえる場合があるので確認してみましょう。

現状の雇用保険の有無のほか、ものづくりや医療、保育など訓練を受けたい科目によってコースが異なります。自分の探している仕事に適したコースを選ぶとよいでしょう。

周囲に不安を打ち明けてみる

不安な気持ちや焦燥感を自分1人で解決するのは難しいものです。不安を1人で抱え込まずに、身近な人に気持ちを打ち明けてみると、ストレスが和らぐこともあります。誰かに自分の気持ちを伝えることで心が軽くなる現象は『カタルシス効果』と呼ばれます。

気持ちが軽くなることに加えて、何気ないアドバイスが閉塞感の突破口になる可能性もあります。不安なときは自分の殻にこもらないで、勇気を持って誰かに打ち明けてみましょう。

相談窓口で相談してみるのも1つの手

身近に相談できる人がいなかったり、身近な人に相談するのに抵抗があったりするときは、公共の相談窓口を利用するとよいでしょう。

『総合労働相談コーナー』は労働基準監督署に設置されていることが多く、直接対面して相談することが可能です。

電話で相談したい場合は、『働く人の「こころの耳電話相談」』のフリーダイヤル(0120-565-455)に電話しましょう。受付時間は月曜日・火曜日の17〜22時および土曜日・日曜日の10〜16時で、メールでの相談も可能です。

無料で相談できるので、身近な人に気持ちを打ち明けるのが難しいときは利用してみましょう。

参考:相談窓口等一覧|厚生労働省

収入が少ないときに使える支援制度

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仕事が見つからないと経済的な心配が大きくなるものです。収入が少ないときは生活福祉金貸付制度や住居確保給付金といった支援制度を活用しましょう。

生活福祉資金貸付制度を活用する

収入が少ない場合は、生活福祉資金貸付制度を利用するとよいでしょう。

生活福祉資金貸付制度にはいくつかの給付制度があり、収入が少ない場合や失業中は総合支援資金を申請できます。生活を立て直すための生活費に加えて、住宅入居費や一時生活再建費も借りることができるのです。

総合支援資金を貸付してもらうには、貸付によって自立が見込まれる人など、いくつかの条件があります。離職中に総合支援資金の貸付を申し込むには、ハローワークで休職申し込みと職業相談を行うことが必須です。貸付を希望する場合はまず、ハローワークに相談してみましょう。

参考:生活福祉資金の特例貸付 総合支援資金について|厚生労働省

参考:失業して生活にお困りの方など、一時的に生活資金などが必要な方を支援するための「生活福祉資金貸付制度」があります。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

住居確保給付金を利用する

家賃が払えない可能性があるときは、住居確保給付金を利用するとよいでしょう。会社員だけでなく、個人事業主も利用できます。

住居確保給付金は原則3カ月間、家賃に相当する金額を受給可能です。住居確保給付金を受給するには4つの条件を満たしている必要があり、収入や貯蓄の状況に加えて、復職のために努力をすることが求められます。

  • 主たる生計者が離職・廃業から2年以内であること
  • 直近の月の世帯収入額が、住民税の均等割が非課税になる額の1/12と家賃の合計を超えていないこと
  • 世帯の預貯金額が自治体の定める金額を超えていないこと
  • 定められた求職活動に取り組むこと

参考:住居確保給付金:制度概要|厚生労働省 

失業してお金がないときに使える支援制度

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失業して収入がないときに利用可能な支援制度についても紹介します。支援制度を活用して再就職を目指しましょう。

失業保険を活用する

失業保険が適用されると、再就職までの生活費や就職活動に伴う費用が原則として1年間、支給されます。

特定の理由に基づく自己都合退職の場合は、離職以前の1年間のうち、6カ月以上の雇用保険の被保険者期間があれば受給対象となります。一般的な自己都合退職の場合は、離職以前の1年間で12カ月以上の被保険者期間が必要です。

求職者支援制度を活用する

求職者支援制度は、失業保険を受給できない人や収入が少ない人が対象者です。月額10万円の職業訓練給付金を受給しながら、職業訓練や就職サポートが無料で受けられます。訓練期間は原則、2〜6カ月です。

職業訓練給付金を受給するには条件があります。

  • 収入が月に8万円以下で、世帯収入が25万円以下であること
  • 世帯の金融資産が300万円以下で、現住所以外に土地や建物の所有がないこと
  • 8割以上の職業訓練に出席すること
  • 同世帯に同給付金の受給者がいないこと
  • 過去3年以内に不正に他の給付金を受給していないこと

収入および貯蓄・資産が少ないことが主な条件です。職業訓練中は基本的には全カリキュラムに出席する必要があります。

参考:求職者支援制度のご案内 |厚生労働省

見つからない理由を把握して対策を練ろう

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仕事が見つからないときは、原因を把握した上で適切な対策を練り、意欲的に取り組むことが重要です。年代によっても、適切な考え方は変わってきます。

なかなか仕事が見つからず、精神的および経済的に不安を抱えてしまったときは、支援制度や相談窓口を活用しましょう。精神的に安定した状態でいることで自信がつき、継続して努力するモチベーションや就職の成功につながるでしょう。