自己都合の退職でも失業保険はもらえる?計算方法とポイントを解説!

「自己都合での退職でももらえるの?」「本当に生活していけるだろうか?」など、失業保険に対する知識不足が、転職へなかなか踏み出せない理由となっていることがよくあります。

大前提として、失業保険は自己都合での退職でももらえます。給付金額や受給条件は人によってそれぞれ異なるため、自分で計算してみると、退職後のプランをたてやすくなるでしょう。

制度の仕組みや金額の計算方法、手続きの流れなど、失業保険の基本情報を詳しく紹介します。

この記事のポイント

自己都合での退職と会社都合での退職の違い
初回受け取りのタイミングや給付期間が違います。自己都合の場合、最低でも1カ月の給付制限があります。
失業保険の受給条件
雇用保険に加入していることと加入期間、そしてハローワークが認める「失業の状態」であることが条件です。
失業保険でもらえる金額
退職前6カ月間の給与をベースに、賃金日額や年齢によって給付率が決められています。

そもそも失業保険とは?

失業保険の書類

(出典) pixta.jp

退職を考えるとき、多くの人が気になるのが、収入の減少ではないでしょうか。退職後の生活を支えるのが失業保険です。そもそも失業保険とはどのような制度なのか、正しい情報を確認しておきましょう。

失業中の生活を支える手当

よく見聞きする「失業保険」は、実は正式名称ではありません。多くの人が考える「失業中にもらえるお金」は「基本手当」と呼ばれます。基本手当は雇用保険の中の「失業等給付」に含まれています。

雇用保険は強制保険なので、1週間に20時間以上働いていれば、正社員だけでなくパートやアルバイトであっても加入しなければなりません。雇用保険の目的の1つは、失業中の生活を安定させ、新たな働き口をスムーズに見つけられるよう支援することです。

勤めていた会社の倒産や解雇などで思いがけず退職になった人はもちろん、自己都合での退職でも基本手当は支給されます。とはいえ、退職理由や状況に応じて、給付期間や金額などに違いがあります。

出典:ハローワークインターネットサービス 基本手当について

再就職手当との違い

雇用保険の枠組みの中には「再就職手当」という給付金もあります。これは失業中の生活を支える給付金ではなく、早期の再就職を促す目的で設けられているお祝い金のようなものです。

再就職手当を受け取るのは退職後、再就職先が決まったタイミングです。再就職手当を受給するということは、失業手当の給付が終了することを意味します。

再就職手当は早期の再就職を促すものです。そのため、再就職までの期間が短いほど、支給率は上がります。逆に失業保険の給付期間の残りが1/3を切ってしまうと、支給されません。

早過ぎるのも駄目です。退職時にすでに再就職先が決まっている、失業保険の給付手続後7日間の待期期間中に再就職先が決まったという場合も支給対象にはなりません。支給にはその他にもいくつかの要件があるため、確認しておくとよいでしょう。

出典:再就職手当のご案内|厚生労働省

失業保険を受給するための条件

給与明細の雇用保険の欄

(出典) pixta.jp

失業保険の給付には条件があり、ケースによって支払いの可否や給付期間に違いがあります。退職する前に、詳しい受給条件を確認しましょう。

雇用保険に加入していた

失業保険は、雇用保険に加入している人が利用できる制度です。

雇用保険は、出産や育児、介護などさまざまな理由で働けなくなったときに活用できる公的保険で、条件を満たしている人にのみ、該当する手当が支給される仕組みになっています。

パートやアルバイトでも加入できますが、労働時間や継続雇用の見込み期間などの加入要件があり、被保険者になるためにはその要件を満たしていなければなりません。

同じ職場で同じくパートで働いている人が退職後失業保険をもらっているからといって、「自分ももらえるだろう」と安易に考えるのは危険です。

まずは自分が雇用保険に確かに加入しているかどうかをしっかりと確認しましょう。

出典:雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! |厚生労働省

一定以上の被保険者期間がある

雇用保険は受け取る手当により、満たすべき条件が異なります。失業保険(基本手当)の場合も同じで、雇用保険の被保険者だからといって必ずしももらえるわけではありません。

条件の1つは雇用保険の加入期間です。基本手当を受け取るためには、退職以前の2年間に通算12カ月以上の被保険者期間がなければなりません。転職などで職場が変わった場合でも、合計12カ月を超えていれば大丈夫です。

例外もあって、倒産や解雇など会社都合での退職となる場合には、退職以前の1年間に通算6カ月の被保険者期間があれば受け取れます。

出典:ハローワークインターネットサービス 基本手当について

ハローワークが定める失業状態である

もう1つの条件は、ハローワークが言う「失業の状態」でなければならないというものです。

失業保険は「失業した人にお金をあげる」のではなく、再就職の努力をしている失業者の生活を支えるという意味合いのものです。そのため、病気やけが、出産などですぐに就職できない人は対象になりません。

ハローワークで面談を受け、就職する意欲や能力があることが確認されて初めて、ハローワークが認める「失業の状態」にあるということになります。この面談は失業保険を受給する間、原則4週間ごとに行われます。

出典:ハローワークインターネットサービス 基本手当について

自己都合退職でも失業保険はすぐもらえる?

退職届

(出典) pixta.jp

受給条件にかなっていると、とりあえず失業保険は受け取れます。しかし、退職に至った理由によって、初回入金のタイミングに違いがあるため注意が必要です。

会社都合での退職と自己都合での退職、2つのケースでいつ初回入金が行われるのか、詳しく解説します。

会社都合退職の場合は制限期間がない

失業保険の受給資格決定日から7日間は「待期期間」とされます。待期期間には失業保険の支給はありません。これは会社都合の場合も自己都合の場合も同じです。

会社都合の場合には、この待期期間以降は失業保険である基本手当が支給されることになります。ただし、入金されるのは受給資格決定日のおよそ1カ月後です。

ハローワークで面談が行われる「認定日」の後、28日分がまとめて入金されます。公式には「認定日」の後1週間程度での入金となっていますが、それより早く入金されることも少なくありません。

自己都合退職は1カ月~3カ月の給付制限あり

自己都合による退職の場合には、7日の待期期間の後、さらに1カ月~3カ月間支給のない「給付制限」があります。

給付制限の期間は、退職理由や退職のタイミングにより違います。退職日が2025年3月31日以前は2カ月、2025年4月1日以降は1カ月となります。これは法律改正によるものです。

加えて、退職日が2025年4月以降の人は、職業訓練を受けることで給付制限をなくせます。退職前の1年間に職業訓練を受けた場合も同様です。これは「給付制限の解除」と言います。

退職前の5年間に正当な理由なく2回以上の退職を繰り返している場合、給付制限は3カ月です。職業訓練を受けると、これも解除できます。

重責解雇の場合も給付制限は3カ月ですが、職業訓練による制限の解除はありません。

出典:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ

失業保険はいくらになる?計算方法

電卓を見て考えるビジネスパーソン

(出典) pixta.jp

退職を考えているなら、失業保険がいくらくらいもらえるのか、しっかりと把握しておきたいものです。

算出方法は決められているため、やり方さえ分かれば自分がいくらくらいもらえるのかも分かります。ステップごとに、算出方法を解説します。

まずは「賃金日額」を計算

まず1日当たりの給与「賃金日額」を計算しましょう。これが基本手当の支給額を決める基礎になります。賃金日額は、退職前6カ月間の給与を全て合算し、それを180日で割って算出します。この際、ボーナスは含みません。

例えば26歳男性が退職前6カ月間に90万円の給与を得ていたとすると、賃金日額は5,000円です。

90万円÷180日=5,000円

賃金日額には最低額と最高額が決められています。最低額は2,869円です。上の方法で算出した賃金日額が最低額よりも少ない場合には、2,869 円を賃金日額とします。

最高額は年齢により異なります。実際の賃金日額が最高額よりも多い場合には、最高額が賃金日額になることを覚えておきましょう。最高額の一覧は以下の通りです。(※2025年4月現在)

  • 60 歳以上65 歳未満:1万6,490円
  • 45 歳以上60 歳未満:1万7,270円
  • 30 歳以上45 歳未満:1万5,690円
  • 30 歳未満:1万4,130円

出典:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ

賃金日額を基に「基本手当日額」が分かる

次に、基本手当の1日当たりの支給額「基本手当日額」を計算しましょう。基本手当日額は賃金日額に給付率を掛けて算出します。給付率は50~80%で、基本的に賃金日額が低いほど給付率は高くなります。

26歳男性で賃金日額が5,000円の場合、給付率は80%ですので、基本手当日額は4,000円です。

5,000円×80%=4,000円

なお、賃金日額同様、基本手当日額の最低額と最高額も決められています。最低額は2,295円で、最高額の一覧は以下の通りです。(※2025年4月現在)

  • 60 歳以上65 歳未満:7,420円
  • 45 歳以上60 歳未満:8,635円
  • 30 歳以上45 歳未満:7,845円
  • 30 歳未満:7,065円

また失業認定は4週間に1回となるため、1回当たりの支給額は基本手当日額の4週間分(28日分)です。

4,000円×28日=11万2,000円

出典:雇用保険の基本手当(失業給付)を受給される皆さまへ

給付期間を確認すると総支給額が分かる

失業保険は退職理由と雇用保険の被保険者期間によって、給付期間が決められています。会社都合による退職や就職困難者に認定された場合は、給付期間が長めに設定されています。

自己都合による退職の場合の給付期間は以下の通りです。(※2025年4月現在)

  • 被保険者期間が1年未満:90日
  • 被保険者期間が1年以上5年未満:90日
  • 被保険者期間が5年以上10年未満:90日
  • 被保険者期間が10年以上20年未満:120日
  • 被保険者期間が20年以上:150日

現在の会社に4年勤めた後退職するケースで、基本手当日額が4,000円の場合は「被保険者期間が1年以上5年未満」で「給付期間は90日」に該当します。総支給額は以下の通りです。

4,000円×90日=36万円

出典:ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数

失業保険を受け取るための手続の流れ

窓口対応をする女性

(出典) pixta.jp

自己都合による退職の場合、受け取るまでに時間がかかります。退職後はできるだけ手際よく手続を進め、時間のロスを少なくしたいものです。失業保険を受け取るための、手続の流れを解説します。

必要書類をそろえておく

手続に必要な書類は以下のようなものです。

  • 雇用保険被保険者離職票
  • マイナンバーが確認できる書類
  • 本人確認書類(運転免許証や保険証など)※
  • 証明写真2枚※
  • 本人名義の通帳またはキャッシュカードなど
    ※マイナンバーカードがある場合は本人確認書類と証明写真は不要

ハローワークが発行する雇用保険被保険者離職票は、退職した会社経由で手元に届きます。退職後2週間経っても届かないときは、きちんと処理されているかを退職した会社に確認しましょう。

マイナンバーが確認できる書類とは、マイナンバーカードや通知カード、マイナンバーが記載された住民票です。

ハローワークへ申請する

書類の準備ができたら、ハローワークに持参しましょう。ハローワークでは、提出書類などを確認し、受給資格を決定します。

この際、再就職への意思があることを示すために、求職申込もしなければなりません。雇用保険受給者初回説明会の日程も知らされます。

求職申込はハローワークのオンラインサービスも利用できますが、失業保険の手続には実際にハローワークに足を運ぶことが必要です。最寄りのハローワークは厚生労働省のサイトから確認できます。

出典:ハローワーク |厚生労働省

雇用保険受給者説明会に参加

雇用保険受給者初回説明会には、申請の際に受け取った「雇用保険受給資格者のしおり」と筆記用具を持参し、必ず出席するようにしましょう。

説明会では、失業保険の仕組みや基本手当の受給に必要な情報が提供されます。1回目の失業認定日が知らされるのもこの日です。

「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」もここで受け取ります。雇用保険受給資格者証は基本手当の受け取りに必要なものです。大切に保管しましょう。

7日間の待期期間を過ごす

受給資格の決定を受けてから7日間は待期期間となります。受給資格が決定するのは、ハローワークで失業保険の申請をした日です。そのため、雇用保険受給者説明会とは前後することもあります。

待期期間は本当に失業していることを確認するための期間です。待期期間に働いていることが分かれば、失業保険の支給が取り消されることもあります。この期間はアルバイトはもちろん、フリーランスの副業なども控えましょう。

失業認定を受けて振り込みを待つ

待期期間を過ぎたら、求職活動によってハローワークが認める「失業の状態」であることを示さなければなりません。4週間ごとの失業認定日には求職活動の状況などが確認され、「失業の認定」を受けます。この認定を受けなければ失業保険は受給できません。

「失業の状態」を認めてもらうためには、前回の失業認定日から今回の失業認定日までの間に、原則2回(給付制限が3カ月の場合には3回)以上の求職活動が必須です。

求人サイトを閲覧したり友人に就職先を尋ねたりするだけでは、求職活動とは見なされません。実際に応募する、ハローワークや他の公的機関が主催・認可する講習会やセミナーに参加する、再就職に役立つ資格試験を受験するなどのアクションが必要です。

失業保険を受給する際のポイント

失業保険書類とパソコン

(出典) pixta.jp

失業保険は条件を満たしている人だけが利用できる制度です。安心して再就職先を探すためにも、うっかり条件から外れてしまわないよう注意しましょう。

健康保険や年金の手続も忘れてはいけません。失業保険受給中に注意しておきたい、2つのポイントを解説します。

失業保険中のアルバイトについて

7日間の待期期間中のアルバイトは厳禁です。この期間に働いていると「失業の状態」とは見なされず、受給資格を取り消されてしまいます。

待期期間後は、短時間であればアルバイトも可能です。ただし原則として週20時間以上働くと「就職」と見なされます。失業保険を受け取りながらアルバイトをするなら、週20時間がリミットです。

週20時間未満でも、1日の労働時間が4時間を超えた日は不支給となります。また4時間未満であっても、賃金によっては失業保険が減額されることもあるため、注意が必要です。

出典:~基本手当受給中のパート、アルバイトについて~

健康保険・年金の支払いを忘れない

失業保険の受給中に健康保険や年金の支払いを継続するためには、自分で手続をしなければなりません。うっかり忘れていると保険料未払いとなり、サービスが受けられなくなったり、将来の年金額に影響が出たりするでしょう。

家族の扶養になっているケースを除けば、任意継続健康保険または国民健康保険の納付手続が必要です。年金は国民年金になります。手続は居住地の市区町村役場や年金事務所で行います。

保険料が減額されるケースや免除申請などもあるため、支払いが厳しいと感じる場合には、手続の際に相談してみましょう。

自己都合退職でも上手に失業保険を利用しよう

失業保険の書類とボールペン

(出典) pixta.jp

自己都合による退職の場合でも失業保険は受け取れます。ただし給付制限があり、給付期間も短めです。受け取りまでに時間がかかるため、退職したらできるだけスピーディーに申請するようにしましょう。

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