失業保険の手続き方法。準備するものや申請の流れ、受給期間を解説

初めての失業状態になる人は、失業保険の手続きをどのようにすればよいのか悩みがちです。申請方法や期限を理解しておけば、手続きをスムーズに進められるでしょう。失業保険手続きの方法や流れ、受給期間について解説します。

失業保険の手続き前に確認すべきこと

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(出典) photo-ac.com

手続きを行う前に、そもそも自分は失業保険をもらえるのか確認しておきましょう。計画的な転職活動を行うためには、支給開始時期や支給日数を確かめることも大切です。

受給要件を満たしているか

失業保険を受け取るためには、以下2つの受給要件を満たしている必要があります。

  • 再就職する意思と能力がある
  • 退職前の雇用保険加入期間が一定期間以上ある

再就職する意思は、ハローワークで求職の申し込みや活動をすれば証明できます。何らかの理由ですぐに働けない人やしばらく働くつもりがない人は、再就職する意思や能力がないとみなされて失業保険を受け取れません。

自己都合で退職した場合は、退職前の2年間で雇用保険に12カ月以上加入している必要があります。会社都合退職者や、自己都合でも正当な理由で辞めた人は、求められる期間が1年間で6カ月以上に軽減されます。

いつから受け取れるか

失業保険の受給開始タイミングは、退職理由により異なります。自己都合退職者より会社都合退職者のほうが早く受け取ることが可能です。

会社都合退職者の場合は給付制限期間がないため、支給申請を行えばすぐに失業保険の支給が始まります。一方、給付制限がかかる自己都合退職者は、申請手続き後2~3カ月待たなければなりません。

退職理由にかかわらず、申請手続き直後は待機期間と呼ばれる7日間の期間が設けられています。給付制限がない会社都合退職でも、待機期間中は失業保険の支給を受けられません。

何日分もらえるか

失業保険の総支給額は『基本手当日額×給付日数』の計算式で求めることが可能です。基本手当日額は退職前の賃金や年齢により変わり、給付日数は退職理由によって異なります。

会社都合退職者の給付日数は90~330日です。60歳未満の場合は、年齢が高く雇用保険の加入期間が長い人ほど、給付日数も多くなります。

一方、自己都合退職者の給付日数は90~150日です。雇用保険に20年以上加入していなければ、給付日数が150日にならないため、40歳未満の人のほとんどは給付日数が90日または120日になります。

失業保険手続きの流れ

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失業保険を受け取るための手続き方法を紹介します。スムーズに手続きを進めるためにも、申請から受給までの大まかな流れを覚えておきましょう。

必要なものを準備する

失業保険の手続きを行う際は、ハローワークへの申請に必要なものを用意しておかなければなりません。手続きをスムーズに進めるためにも、以下に挙げるものを早めに準備しておきましょう。

  • 離職票
  • 個人番号を確認できる書類(マイナンバーカード・通知カード・個人番号の記載がある住民票など)
  • 身元を確認できる書類(運転免許証・運転経歴証明書・マイナンバーカードなど)
  • 最近撮った写真2枚(縦3.0×横2.4cm)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

離職票の離職理由が自己都合となっている場合に異議があるなら、証拠書類をそろえた上で提出時に相談してみましょう。判定の結果、会社都合退職扱いにしてもらえることがあります。

ハローワークで求職を申し込む

申請に必要なものがそろったら、自分の住所を管轄するハローワークに書類を提出し、求職を申し込みましょう。失業保険の受給資格を得られたら、雇用保険受給者初回説明会の日時が知らされます。

説明会は今後の手続きについて詳しく説明が行われるものであり、必ず参加しなければなりません。求職を申し込んだときに渡される『雇用保険受給資格者のしおり』と筆記用具を持参しましょう。

説明会に参加すると、『雇用保険受給資格者証』や『失業認定申告書』が渡されるほか、1回目の失業認定日も知らされます。

※2022年5月現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、手続きや説明会の実施方法等が変わっているハローワークがあります。詳細については、利用するハローワークのwebサイトなどでご確認ください。

失業の認定を受ける

失業保険を受給するには、指定された日に失業の認定を受けなければなりません。失業の認定は原則として4週間に1回行われます。

失業認定日には、失業していることや仕事を探しているかどうかをチェックされます。仕事探しは失業認定日ごとに2回以上行うのがルールです。

ハローワークで求人を閲覧するだけでは、仕事を探していることになりません。実際に求人へ応募したり、ハローワークが実施するセミナーに参加したりする必要があります。

失業の認定を受けたら、通常は5営業日後に失業保険を受け取ることが可能です。失業認定と受給を繰り返しながら、求職活動を進めていくことになります。

失業保険手続きの期限

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失業保険はもらえる期間が決まっており、期間が満了すると残りの分は受け取れなくなります。満額もらいたいなら、受給期間と延長について理解を深めておきましょう。

受給期間は退職日の翌日から1年間

失業保険の受給期間は、原則として退職日の翌日から1年間です。受給期間を過ぎると、給付日数を消化していなくても残りの分は受け取れません。

自己都合で退職した人は、給付制限期間があることも気を付ける必要があります。失業保険を満額受け取りたいのであれば、退職後なるべく早く手続きを行いましょう。

例えば、失業保険を90日分受け取れる会社都合退職者は、遅くとも受給期間が終了する3カ月前にはもらい始める必要があります。自己都合退職なら、より早めに手続きを済ませておかなければなりません。

理由があれば受給期間の延長も可能

妊娠や出産などの理由により、受給期間内に30日以上働けなくなった場合は、受給期間を最長4年間延長できます。

延長の申請ができる期間は、延長後の受給期間の最終日までです。例えば、受給期間が2年間に延長されるケースでは、2年間の最後の日でも申請できます。

ただし、受給期間を延長しても給付日数を消化しきれなかった場合、残りの分はもらえません。延長を申請するケースでも、できるだけ早めに手続きを行う必要があります。

手続きの期限を過ぎた場合

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失業保険の申請が間に合わない場合は、どのようにすればよいのでしょうか。時効が適用されないことや、もらわない選択肢があることを押さえておきましょう。

基本手当は2年の時効が適用されない

雇用保険にはさまざまな給付の種類があり、一般的に失業保険という場合は、雇用保険の『基本手当』を指します。失業保険はあくまでも俗称です。

雇用保険の給付のうち、就業手当・再就職手当・就業促進定着手当・育児休業給付金・介護休業給付金といった給付には、2年の時効があります。各給付の申請期限を過ぎた場合でも、時効が完成するまでの2年間は申請が可能です。

一方、雇用保険の基本手当には、2年の時効が適用されません。受給期間1年を過ぎると失業保険の残りはもらえなくなるため、期限を過ぎないよう十分な注意が必要です。

失業保険をもらわない選択肢もある

失業保険の申請手続きが間に合いそうにない場合や、すぐに再就職できそうな場合は、受給を見送る選択肢も考えてみましょう。

失業保険をもらうと、雇用保険の加入期間がリセットされます。将来的に再び失業保険をもらうことになった場合、雇用保険の加入期間が短くなっているため、もらえる金額も少なくなってしまうのです。加入期間が足りなければまったく受け取れない恐れもあります。

失業保険を受け取らずに雇用保険の加入期間を延ばし続ければ、いざというときに手厚い保障を受けられます。何度も転職する可能性を考慮することにはなってしまうものの、失業保険をもらわない選択肢があることも覚えておきましょう。

失業保険を受け取りたいなら早めの手続きが肝心!

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失業保険を受け取る場合は、ハローワークで申請手続きを行う必要があります。失業の認定を受けるためには、実際に求人へ応募したりセミナーへ参加したりしなければなりません。

受給期間は退職日の翌日から1年間と決まっており、理由がなければ延長は不可能です。失業保険を満額受け取りたいなら、早めに手続きを始めましょう。