転職すべきかどう決める?いざ転職する際の注意ポイントも解説

転職後の失敗が怖くて悩んでいるなら、転職すべきかどうかの基準を知っておきましょう。自分がこの先どう動くべきかについて考えやすくなります。転職を考える際の判断基準やスムーズな転職に必要なポイントを紹介します。

転職を考える主なきっかけ

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転職を検討する理由にはどのようなものがあるのでしょうか。まずは、転職を考える代表的なきっかけを紹介します。

仕事にやりがいを感じられない

転職を考えるきっかけの1つとして、仕事にやりがいを見いだせないことが挙げられます。今の仕事とは違う仕事をするために、職場自体を変えようという考え方です。

チャレンジしてみたい仕事が見つかったり、業務内容が単調で自分の能力を持て余していたりすると、今の仕事にやりがいを感じられなくなるでしょう。

逆に業務のレベルが高過ぎて失敗が続いている状況でも、やりがいを失ってしまいかねません。仕事にやりがいを感じられなくなる理由は人によりさまざまです。

職場の人間関係が悪い

職場の人との関係がうまくいっていないことは、転職のきっかけになりやすい問題です。厚生労働省のデータを見ても、性別や年齢にかかわらず、多くの人が人間関係の悪化を理由に転職していることが分かります。

仕事内容に不満を感じていても、同僚や上司との関係が良好なら頑張れるものです。しかし、人間関係で悩み始めると、やりがいのある仕事も楽しくなくなってしまうでしょう。

人間関係の問題は、相手も同じ職場にいる限りなかなか改善につながりません。部署移動が困難な中小企業に勤めている場合は、いつまでも我慢を強いられることになります。

参考:-令和2年雇用動向調査結果の概況- P16 | 厚生労働省

給与が低い・評価されない

いくら頑張っても納得できる評価を得られなければ、正当な評価をしてくれる会社に転職したいと考えるでしょう。

会社からの評価で最も分かりやすいものが給与です。なかなか昇給に至らないという場合だけでなく、周囲より自分の給与が不当に低いケースでもやる気は下がってしまいます。

評価制度そのものに納得がいかない場合も、転職を考えてしまいがちです。結果のみを評価してプロセスをまったく見てくれない仕組みなら、努力する意味がないと感じることもあるでしょう。

転職を考えたほうがよい状況

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転職をしたいと思うすべてのケースが転職に向いているわけではありません。転職を考えたほうがよいのはどのような状況なのかを解説します。

やりたい仕事が明確にある

やりたい仕事が明確な場合は、転職を考えてもよいでしょう。目標がはっきりとしているため、転職活動中の業種・職種選びもスムーズに進められます。

やりたい仕事に年齢制限がある場合や、若い人が活躍している分野で働きたい場合は、早めの行動が重要です。悩んでいる間に時間がたつと、希望通りに転職できなくなる恐れがあります。

やりたい仕事が明確にあるケースでは、今の職場でどうにかならないか考えることも大切です。異動や転勤で業務内容を変えられる可能性があるなら、転職しなくてよい場合もあります。

社風が自分と合わない

転職を考えたほうがよい状況の1つに、社風が自分と合わないケースも挙げられます。社風は自分ではどうにもならない要素であるため、どうしても合わないなら会社を変えるしかないでしょう。

仕事以外の要素が評価に結びついたり、仕事の進め方に誠実さを感じられなかったりすることが、社風が合わないと感じる代表例です。

ただし、転職先の社風が自分に合う保証はありません。企業の社風は外からは見えにくいため、転職先を探す際は慎重な検討が必要です。

いますぐ転職しなくてもよい場合とは

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状況によってはいますぐ転職する必要がないケースもあります。以下に挙げる状況に当てはまるのなら、転職を焦らずにじっくりと今後のことを考えてみましょう。

転職したい理由が曖昧

「今の仕事が何となくつまらない」「もっと自分に向いた仕事があるはず」など、ぼんやりとした気持ちで転職を考えているなら、失敗する可能性は高くなります。

転職したい理由が曖昧な場合、転職先でも同じような思いを抱きやすくなるでしょう。どこで働いても満足できずに転職したくなるという悪循環に陥ってしまいます。

転職したい理由がはっきりしていないなら、まずは原因を明確にしましょう。転職したいと感じる原因が分かれば、今の職場で問題を解決できる可能性があります。

人間関係の改善が期待できる

人間関係の悩みが原因で転職を考えている場合は、改善が期待できないか考えてみましょう。仕事自体に不満がないのなら、人間関係の問題さえ解消できれば転職する必要はありません。

『苦手な人がいる』『同僚と仲が悪い』といったレベルの悩みであれば、無理に転職しないほうがよいでしょう。どこに行っても自分と合わない人はいるものです。上司や人事部に相談して配属先を変えてもらうことで、問題を解決できる可能性もあります。

ただし、ひどいパワハラやいじめにより職場に行くのもつらくなっている場合は、体調を崩してしまいかねません。早めの転職を検討しましょう。

待遇や給与面の改善が見込める

待遇や給与面に不満を感じている場合も、状況を改善できる可能性があります。今の会社に在籍している年数が短いなら、実績を積み重ねることで改善を見込めるかもしれません。

在籍年数が長いにもかかわらず給与が上がらないケースでも、待遇や給与のみを理由に転職すると、新たな不満が出てくる可能性が高くなります。転職することで問題を解決できる見通しが立たない場合は、今の職場で様子を見るのが無難です。

会社に事情を説明すれば給与アップに応じてもらえることもあります。今の給与では生活が厳しいことを伝えた上で、給与を上げてもらえないか交渉するのも1つの方法です。

転職で重視したいポイント

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転職を成功させるためには、以下に挙げるポイントを押さえて転職先を探すのがおすすめです。どのようなことに気を付ければよいのかチェックしておきましょう。

未経験でもOKな仕事かどうか

転職先を探す際は、未経験でも受け入れてくれる仕事かどうかを重視しましょう。未経験でもOKの仕事なら転職のチャンスが広がります。

特に年齢が若いうちなら、さまざまなことにチャレンジしてみるのがおすすめです。ただし転職後は仕事を頑張るだけでなく、同時進行でスキルアップも図る必要があります。

未経験OKの代表的な職種としては、営業・販売・事務・製造・SE・プログラマー・介護士が挙げられます。業界で探すなら、IT・建設・運輸・産業メーカー・専門商社がおすすめです。

正規雇用や年収アップをねらえそうか

20代で転職する場合は、正規雇用や年収アップを見込める仕事に就きたいものです。ITエンジニアや不動産営業といった職種なら、未経験でも稼げる正社員をねらいやすいでしょう。

特にITエンジニアは、増え続ける需要に対して人材が慢性的に不足しているのが実情です。未経験者を歓迎する企業なら、採用後の教育でスキルアップも図れるでしょう。

正規雇用や年収アップをねらえそうな仕事は、基本的にスキルや資格を求められます。転職先の業種や職種を絞ったら、必要とされるスキルや資格の習得に励んでおくのもおすすめです。

自分の適職を見つけるには

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自分に合った仕事を見つけるためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。やりたい仕事が分からないときに役立つ適職探しの方法を紹介します。

今までの経験を振り返る

やりたい仕事を見つけるためには、自分が積み重ねてきた経験を振り返ってみましょう。評価されてきたことを見直せば、何が適しているのかを把握しやすくなります。

実際に結果を出した事実以外に、自分自身を分析することも重要です。何ができるのか、何がしたいと思っているのかを、あらためて明確にしてみましょう。

自己分析を行う際は、ノートに書き出して言語化するのがおすすめです。自分自身のことをきちんと整理できるため、能力や性格に合った仕事を見つけやすくなります。

譲れないポイントをピックアップ

転職先を探す際は、自分にとって譲れないポイントを整理しておくのもおすすめです。求める条件をピックアップしておけば、応募する企業を絞りやすくなります。

『希望職種』『生かしたい経験』『最低年収』など、譲れないポイントが複数出てくることもあるでしょう。それぞれに優先順位を付けることで、より自分に合った企業を探せます。

面接時の志望動機を伝えやすくなる点も、譲れない条件を決めておくメリットです。転職の軸を面接時に聞かれたら、仕事内容に関する条件を優先的に伝えると好印象を与えやすくなります。

第三者に相談してみる

自己分析をしようとしても、自分のことを的確に把握できずに行き詰ってしまうこともあるでしょう。そのようなケースでは、第三者に相談してみるのも1つの方法です。

特に自分では得意だと思っていなかったことを、第三者に指摘されて初めて気づくこともあります。上司・同僚・友人など、自分のことを理解している身近な人に相談するのがおすすめです。

ただし、相談相手によっては、転職を止められたり職場に情報が漏れたりしかねません。エージェントやキャリアコーチングなど、転職のプロを活用することも検討しましょう。

転職時期によるメリット・デメリット

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転職活動を行う時期によるメリットとデメリットを解説します。年齢による転職のメリット・デメリットも確認しておきましょう。

在職中に転職活動をするメリット

在職中に転職活動をすれば、給料をもらいながら仕事を探せるため、経済面での不安がありません。精神的な余裕を持ちながら転職活動を進められます。

離職期間のブランクができないことも、在職中に転職活動をするメリットの1つです。ブランクがなければ転職活動で有利になります。

なかなか就職先が決まらない場合は、転職をあきらめて今の職場に留まることも可能です。転職活動が今の仕事を見つめ直すきっかけになる可能性もあります。

在職中に転職活動をするデメリット

在職中の転職活動は、現職の隙間時間で進めることになるため、選考スケジュールを組みにくくなる点がデメリットです。情報収集の時間も確保しづらいでしょう。

転職先が求める入社時期に応じられない恐れもあります。急募求人に応募しているなら、すぐに転職できないことは不利になるでしょう。

仕事をしながら情報収集・企業研究・面接対策などを行わなければならないため、心身の疲労がたまりやすくなることもデメリットです。

退職してから転職活動をするメリット

退職後に転職活動を行えば、時間をかけて情報収集や企業研究ができます。精神的に余裕を持って転職活動を進められることがメリットです。

1日に複数の面接を入れることもできるため、再就職までスピード感のある活動ができます。実際に働き始めるタイミングもスムーズに決められるでしょう。

再就職までにスキルアップしたり資格を取得したりしたい場合も、退職すれば勉強の時間を十分に確保できます。能力を高めてから転職活動をしたい人におすすめです。

退職してから転職活動をするデメリット

退職後に転職活動をする場合、ブランクが長くなる恐れがあります。退職してから転職活動を始めたからといって、すぐに転職先が見つかるとは限りません。

離職期間が長くなるほど就職活動では不利になります。再就職まで収入がないことになるため、経済面で不安な時期を過ごさなければならなくなる点もデメリットです。

転職先がなかなか決まらず貯金も減っていく状況になると、転職先の希望条件を妥協することも考えられます。不満を感じながらの再就職になれば、また転職したくなる恐れもあるでしょう。

30~40代で転職するメリット・デメリット

在職中・退職後といった時期だけでなく、年齢による転職のメリット・デメリットも考えてみましょう。

30~40代のいわゆるミドル層がキャリアアップのために転職をする場合、スキルを厳しく見定められる傾向があります。新しい職場に対応する柔軟性や高い専門性、場合によってはマネジメント力など、実務能力以外のスキルや特性も幅広くチェックされるでしょう。

一方、厳しいチェックを乗り越えた末の転職は、待遇面で成功する可能性も高くなります。また、ミドル層であるからといって、未経験職種が全くないわけではありません。求人を丁寧に探せば、新しい職種へのチャレンジも可能です。

退職までにしておくべきこと

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退職前後にはさまざまなことをしなければなりません。スムーズに退職するためにも、退職までにしておくべきことを確認しておきましょう。

円満退社に向けた退職の意思の伝え方

退職の意思表示を行う際は、直属の上司に口頭で伝えましょう。上司と相談して退職日が正式に決定してから、退職関連の書類を提出するのが基本です。

会社への不満を退職理由にすると、改善策を提示されて引き留められる可能性があります。『やりたい仕事が見つかった』『家庭の事情』など、個人的な理由にすれば引き留めを受けにくくなるでしょう。

退職の意思表示をしてから実際に退職できるまでは、約1カ月の期間を要するのが一般的です。社内承認を得る期間と引き継ぎ期間があるため、退職意思はできるだけ早めに伝えましょう。

業務の引き継ぎはしっかりと

円満退社をするために、業務の引き継ぎはしっかりと行っておくことが大切です。引き継ぎが甘いと、退職後に後任者や会社から連絡を受け、転職先で仕事に集中できなくなる恐れもあります。

大半の企業では、退職の意思表示から退職までの期間を、就業規則で1カ月と定めています。引き継ぎの内容が多い場合は、1カ月以上前から準備しておきましょう。

口頭では伝わりにくい引き継ぎ内容は、文字に起こしておくのがおすすめです。マニュアル化してパソコンに保存しておけば、後任者がスムーズに業務を進められるでしょう。

退職時の社内手続き

会社から貸与されているものがあるなら、最終出勤日までに返却しておかなければなりません。返し忘れがあると退職後に会社へ出向かなければならず、無駄な手間が発生します。

会社から貸与される代表的なものは、社員証・鍵・作業着・名刺・書類・社用携帯・データです。私物を会社に置いている場合も退職までに回収しておきましょう。

業務によってはセキュリティ関係の手続きが必要になることもあります。データの持ち出しや不正行為を疑われないように、会社と確認しながら作業を済ませておきましょう。

退職時の公的手続き

退職時に発生する公的な手続きは以下の通りです。

  • 健康保険
  • 年金
  • 失業保険
  • 住民税
  • 所得税

どのような手続きが必要になるのかは、すぐに転職する場合と再就職まで期間が空く場合とで異なります。すぐに転職する場合は転職先に書類を提出するだけで済む作業がほとんどですが、期間が空く場合は自分でしなければならない作業が多くなります。

雇用保険被保険者証・年金手帳・離職票など、会社から受け取る書類をきちんと管理することも重要です。退職時の資料をしっかり確認し、状況に合わせてやるべきことを確実にこなしましょう。

スムーズな転職には事前の準備をしっかりと

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転職したいと思うなら、自分の状況や考えを見直してみることが大切です。転職したい理由が曖昧なケースや現状の改善が見込めるケースでは、すぐに転職しなくてもよいでしょう。

やりたい仕事があったり社風が合わなかったりして転職するなら、譲れない条件を決めておくのがおすすめです。自分に合った仕事を探しやすくなります。

転職時期や転職年齢によるメリット・デメリットも理解し、事前の準備をしっかりと進めてスムーズに転職活動を進めていきましょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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著書:
人材紹介の仕事がよくわかる本
エンジニア55歳からの定年準備