理解力が高く洞察力があり、頭の回転が速い人などを「地頭がいい」と表現することがあります。人によって定義や使い方が異なる表現でもあるので、ここで一般的な使い方を確認しておきましょう。地頭がいい人の特徴や、地頭の鍛え方なども解説します。
「地頭がいい」とはどういうこと?
学力が高い人や知識の豊富な人に対して、「頭がいい」と表現することは多いでしょう。一方で、学力や知識に関係なく、理解力や柔軟な思考を持った人は「地頭がいい」と評されることがあります。
単純に「頭がいい」と褒める場合と、どのような違いがあるでしょうか?
本来の頭の良さを指す言葉
「地頭がいい」とは、本来の頭の良さを指す言葉であり、一般的には学力の高さや知識の豊富さではなく、理解力や柔軟な思考力などを持っている人を褒める表現です。
頭の回転の速い人や対応力に優れている人などを指す場合もあり、明確な定義こそないものの、実践的な知恵のある人に対して使われます。
もともと人材業界やコンサルタント業界において、評価すべき人材として重宝されており、いわゆる「IQ(Intelligence Quotient)」「EQ(Emotional Intelligence Quotient)」を組み合わせた概念と考えている人もいます。
「頭がいい」との違い
単純に「頭がいい」と表現する場合、総合的な学力の高い人を意味します。つまり「勉強ができる人」であり、学校で高い成績を収めている人は頭がいいと評価される傾向にあります。主に答えの決まっている問題を、素早く正確に解くのが得意な人です。
一方で、地頭がいいと評価される人は、物事に対する理解力や応用力が高く、さまざまなアプローチができる人を指します。
ビジネスシーンでは、答えのない問題・課題に取り組まなければならないケースも多く、自分の持っている知識に加えて、知恵を絞って対応をする必要があります。
地頭のいい人は、問題に対して柔軟に対応できる力を持っているため、単に頭のいい人以上に重宝されるケースが珍しくありません。
仕事の場で見られる地頭がいい人の特徴
地頭がいい人は、以下のように理解力があり、コミュニケーション能力が高いのが特徴です。また、臨機応変な対応ができるので、さまざまな状況で良い結果を生み出せます。地頭がいい人の特徴について、詳しく見ていきましょう。
理解力が高い
新たな情報を効率的にインプットして、自分なりに活用できる理解力の高さが、地頭がいい人の特徴の1つです。
ある知識を得た場合に、いわゆる「1を知り10を理解できる」タイプであり、新たな情報をうのみにするのではなく、自分なりに体系化して理解できます。
また、地頭がいい人は物事の本質を捉えられるため、他者に必要な事柄を分かりやすく説明するのも得意な傾向にあります。
状況に応じて、頭の中にある知識・考え方をうまく活用できるので、営業やプレゼンテーションで結果を残せる人が多いでしょう。
コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力の高さも、地頭がいい人の特徴の1つです。相手の立場や気持ちを考えてうまく対応できる人が多く、さまざまなタイプの相手と良質な人間関係を構築できます。
物事の本質をつかむのが得意で、何が重要かを素早く把握する能力に長けているため、交渉をうまく進められる人が多いでしょう。
相手に応じてかみ砕いた説明ができるので、商談を任せられる機会も多くなります。管理者やプロジェクトリーダーとして、活躍している人もいるでしょう。
臨機応変な対応ができる
状況や相手のニーズに応じて臨機応変な対応ができるのも、地頭がいい人の特徴です。与えられた情報から自ら仮説を立て、どのような対応がベストか自分なりに考えられる人が多く、イレギュラーな事態が起こってもうまく対応できるでしょう。
答えの決まっていない問題に対して、自分なりに情報を収集し、さまざまなアプローチを試せる傾向にあります。常に環境が変化し続けるビジネスシーンにおいて、いち早く有効な対応ができるので、多くの企業が地頭のいい人材を欲しています。
地頭がいい人を企業が求める理由
地頭がいい人は、ビジネスシーンの多くの場面で活躍できる傾向にあるため、多くの企業が求めている人材です。地頭がいい人を企業が求める理由としては、主に以下の点が挙げられます。
IT技術の発展に対応するため
環境や技術の変化にスムーズに対応できる人材が多いため、企業は地頭のいい人を欲する傾向にあります。
特にIT技術は日進月歩であり、常に新しい技術が登場しているといっても、過言ではありません。IT技術により、目まぐるしく変化する市場に素早く対応するには、柔軟な思考力を持った人材が必要です。
また、インターネットの普及やAI(人工知能)の発展により、今後さらに人間にしかできない応用力・発想力が求められる環境になるでしょう。
IT技術を活用しつつ、独創的なアイデアをビジネスに応用するために、多くの企業が理解力・応用力の高い人材の採用に注力すると考えられます。
多様化するニーズに対応するため
多様化する消費者ニーズ・顧客ニーズに対応するために、地頭がいい人を求める企業も増えてきました。上記のようにIT技術の発展を背景として、消費者は自分に必要な情報をインターネット経由ですぐに入手できるようになり、好みが細分化しています。
市場全体のニーズも多様化の傾向にあるため、うまく対応できる柔軟さを持った人材を必要とする企業が増えてきたわけです。
地頭のいい人は自ら情報を収集し、そこから何が重要かを見極める力に長けているため、業界・業種を問わず多くの企業が地頭のいい人材を求めています。
地頭を鍛える方法は?
これから就職・転職を目指す人は、地頭を鍛えておくと、自分が望む企業に採用される可能性を高められます。以下のポイントを押さえつつ、自分なりに地頭を鍛えておきましょう。
思考手法を知る
地頭のいい人の特徴である理解力・応用力を高めるには、常に考える癖をつけることが大事です。日常生活において、疑問を持ったことを深く考えるようにしてみましょう。
問題に直面したら、まずは全体像を捉えるように努め、問題の本質は何か、どのような構造になっているかを考えることで、思考力が鍛えられます。
なお、予想のつかない問題や、答えのないように感じられる問題を考えるには、「フェルミ推定」の考え方が役立ちます。フェルミ推定とは、なかなか予想がつかない数字を、論理的な思考を積み重ねて推定する方法です。
例えば、「国内の1日の宅配ピザの注文数」や「国内の年間のペンの消費量」などを、すぐに調査できる数字を使いながら、できるだけ正確に推定します。
ビジネスでも役立つ場面が多くあるので、自分なりに考えてみましょう。答えを導き出すのも重要ですが、思考力が身に付いていくその課程も大切です。
地頭がいい人のまねをする
自分の周りにいる、地頭がいいと思う人の思考法・考え方のポイントなどをまねしてみましょう。細かい行動やアプローチの仕方、情報収集のやり方などを参考にすると、効率的に地頭がいい人の思考法・行動指針などを身に付けられます。
可能ならば、地頭がいいと思う人からアドバイスをもらうのがおすすめです。上司・同僚・チームメンバーの中に参考にすべき人がいれば、気軽にフィードバックを受けられるでしょう。
地頭を鍛える習慣もチェック
地頭を鍛えるには、日々の習慣も重要です。以下のように、読書をしたり日常的に答えを出す習慣をつけたりすると、徐々に考える力が養われます。
習慣は、一朝一夕で身に付けるのは困難なので、まずは継続して取り組むところから始めましょう。
読書をする
地頭を鍛えるには、読書を通じて思考のベースとなる知識・考え方のコツなどを、積極的にインプットすることが大事です。多くのジャンルの本を読むことを習慣づければ、さまざまな知識・考え方に触れられます。
また、ボキャブラリーも身に付くので、問題・課題を考える際にうまく言語化できるようになるでしょう。問題・課題を正しく理解し、最適な解決策を導き出すには、まずは状況を言語化することが重要です。
読書によって多様な考えを知り、豊富な知識をインプットしておけば自分の中の引き出しを増やせるので、解決に至る筋道も立てやすくなります。
答えを出す習慣をつける
日頃からさまざまな問題に対して、自分なりに答えを出す習慣をつけましょう。クイズがあれば少し時間を取って考えてみたり、読書の感想を言語化したりなど、ちょっとした工夫で思考力を鍛えられます。
日常的に文章を書くことでも、自分の思考を整理でき、考え方の癖や改善点が明らかになるのでおすすめです。
また、フェルミ推定の考え方をベースとして、日常の問題・不明点について答えを推測してみるのもよいでしょう。
できるだけ相手を否定しない
さまざまな相手と会話をする中で、自分の考え方・価値観とは違う意見に出会っても、できるだけ否定しないことも大事です。「多様な考え方の人がいるからこそ面白い」と考えられるようになれば、思考に柔軟性を持たせられるようになります。
特に、会話の際には否定から入らないように注意しましょう。否定しても基本的に相手の意見は変わらず、反発されてしまう可能性があります。
議論・討論の場であれば別ですが、日常会話では基本的に相手を否定せず、さまざまな考えを受け入れることで思考の幅を広げられます。会話の相手とも、良好な関係を維持できるでしょう。
趣味を楽しむことも有効
地頭を鍛えるには、趣味を楽しむのも有効です。近年は、いわゆる「脳トレ」に力を入れている人もいますが、趣味に没頭することでも脳に良い影響を与えられます。
趣味を通じてさまざまなアプローチを試すことで、自分なりに問題・課題の解決方法を導き出せるようになり、他者にはない知恵・ノウハウも蓄積できます。
趣味で培った知恵・ノウハウは、ビジネスシーンでも生かせる可能性があるので、興味のある分野には積極的に関わるようにしてみましょう。無理に嫌いな学習を続けるよりも、趣味に没頭した方が、結果的に地頭が鍛えられる可能性もあります。
地頭を鍛えてビジネスシーンで活躍しよう
地頭がいい人は、理解力やコミュニケーション能力などが高い傾向にあり、状況の変化にうまく対応できます。
ビジネスシーンでは、明確な答えのない問題に直面することも少なくありません。限られた情報の中で状況を正確に把握し、スムーズに解決策を導き出せる人は、業界・業種にかかわらず重宝されるでしょう。
これから就職・転職を目指す人は、自分なりに地頭を鍛える習慣をつけることが大事です。日常的に読書をしたり、答えを出す習慣を身に付けたりなど、自分なりに思考力を磨いていきましょう。
なお、就職・転職を目指すならば、業界トップクラスの求人数を誇る「スタンバイ」の活用がおすすめです。業種や勤務地・雇用形態など、さまざまな条件で求人を探せます。転職に役立つ情報も得られるので、この機会に利用してみましょう。