ビジネスでは、「デッドライン」という言葉がよく使われます。主な使い方を確認しましょう。デッドラインの設定・管理の方法や、デッドライン症候群の改善方法も解説します。設定やタスク管理の方法を覚えれば、スムーズに仕事を進めることも可能です。
ビジネスシーンでのデッドラインの使い方
デッドラインは、英語で「締め切り」「期限」を表す単語です。ビジネスシーンで使う場合には、いくつかの意味があります。それぞれ確認しましょう。
締め切りという意味で使う場合
英語のdeadline(デッドライン)は、日本でも「締め切り」という意味で使われます。「明日の15時がデッドラインなので、提出を忘れないようにしてください」のような使い方が一般的です。
一定の時刻を過ぎると出版物の印刷が間に合わなくなることから、元々は雑誌・新聞の世界における締め切りに使われていた言葉といわれています。今では、幅広い場面で使われる言葉です。
ビジネスシーンでのデッドラインは基本的に、変更できる緩やかな締め切りではなく、「過ぎてはいけない最終期限」として設定されます。相手に強く締め切りを意識させる言葉のため、使いどころについてはよく考えましょう。
限界線という意味で使う場合
デッドラインは、何らかの限界を表す線としても使われます。それを上回ったり下回ったりしてはいけない線です。
実際に線が書かれているかは関係なく、「補充が必要となる境界のライン」「これ以上増えると危険があるライン」などが挙げられます。主な使い方と例文を見てみましょう。
タンクの中身がデッドラインを下回るかもしれない
水位がデッドラインを超える可能性があるため、避難が必要になりそうだ
基本的にはデッドラインは「締め切り」の意味合いが強く、「限界を示す線」を意味する言葉として使う業界は限られているといえるでしょう。
デッドラインの重要性
デッドラインの設定は、ビジネスにおいて重要です。デッドラインが及ぼす作業時間への影響についてや、締め切りを設定することの重要性を紹介します。
「パーキンソンの法則」と作業時間の関係
「パーキンソンの法則」の提唱者であるシリル・ノースコート・パーキンソンによると、一定の条件がそろうと、人間はプロジェクトを早く完了させようとはせず、仕事の量にかかわらず先延ばしにする傾向があるとされています。
「パーキンソンの法則」とは、人間や組織の非合理的な問題点を指摘したものです。時間に関する第1法則では、「仕事は、完了するまでに使える時間を埋めるように拡大していく」とされています。
例えば、あるプロジェクトのデッドラインが1カ月後だとすれば、1カ月間が「完了するまでに使える時間」です。実際には2週間で完了できるプロジェクトであったとしても、人間は期限までの1カ月間を目いっぱい使おうとするということです。
その1カ月間の作業時間の全てが意味のある時間であればよいですが、無駄な時間が発生していることも少なくありません。余分な時間を発生させないためにも、デッドラインの設定の仕方は重要となります。
期限を設定しなければ目標は達成しにくい
もし優先度が低い仕事であっても、デッドラインが設定されている方が仕事を終わらせやすくなります。「締め切りのない仕事」は、優先度が大幅に下がってしまうためです。
他の仕事があれば、その仕事は後回しになってしまいます。もし多少の時間が空いていたとしても、余裕を持ってゆったりと作業を進めるために、「締め切りのない仕事」は放置される可能性もあるでしょう。
期限を設けないと、だらだらと先延ばしになり、目標が達成されない状況が続きます。目標を達成していくためにも、デッドラインを適切に設定していくことが大切です。
デッドラインの設定・管理方法
自分がデッドラインを設定する側に立つ場合、どのように設定・管理を進めればよいのでしょうか?単に「どうしてもずらせない最終締め切りを設定すればよいだけ」と思いがちですが、設定にはコツがあります。主な方法を確認しましょう。
達成可能な目標を設定する
デッドラインを設けるときは、無理のない作業計画を立てるのがポイントです。日程に無理があると、いくら最初に最終締め切りを伝えていても、トラブルが生じるなどして間に合わなくなる可能性があります。
最終締め切りが固定で動かせず、時間がない場合はできるだけ早く業務を開始し、場合によっては担当する人員を増やしましょう。締め切りを延ばせないか、依頼者側と交渉する方法もあります。
メンバーには、本来のデッドラインよりも早い期日を伝えるようにしておけば、万が一トラブルが生じた場合でも挽回が可能です。
具体的なタスクの管理を行う
デッドラインを設定したからには、その期日までに何らかのタスクを進めることになります。プロジェクトに参加するメンバーが多いほど、タスク管理は複雑です。
まずは、どのようなタスクがあるのか確認し、何をいつまでに終わらせるのか、細かく設定していきましょう。他のメンバーの進捗を確認する必要があれば、時間がどのくらいかかるのか、各メンバーとすり合わせておく必要もあります。
タスク管理でも、無理のない運用が求められます。特に複数人の連携が必要な作業では、多少の余裕を持って管理をしましょう。
マネジメント手法の活用も有効
複数のタスクを進めていく場合、タイムマネジメントが重要になります。個々の作業が細かい分、それぞれを時間内に終わらせなければなりません。
具体的には、タスクに制限時間を設けるやり方がおすすめです。「タイムボクシング」と呼ばれる手法は、タスクの優先度や作業にかかる時間を把握し、それぞれに制限時間を設けるやり方です。
例えば、何らかの入力作業をしようと考えているのであれば、入力にかかるトータルの時間がどのくらいなのかを考えましょう。大まかにトータルの時間が分かったら、集中できる範囲で制限時間を設定します。
作業中は集中して取り組み、制限時間が来たら休憩を挟んで、再度取りかかるようにしましょう。複数のタスクをスムーズに進める上でも、有効な手法です。
デッドライン症候群を改善するには?
「締め切りを守れない」「締め切り直前に慌てる」という人は、デッドライン症候群の可能性があります。改善するには、何をすればよいのでしょうか?デッドライン症候群の概要や、対策を紹介します。
デッドライン症候群とは
デッドライン症候群は、「先送り症候群」「先延ばし癖」とも呼ばれます。具体的には、締め切り間際まで仕事を進める気になれず、いつまでも先延ばしにしてしまう状態です。
先延ばしにする癖があると、常に締め切り間際になってから慌てることになります。場合によっては間に合わず、周囲からの信頼を失うリスクもあるでしょう。
余裕のあるスケジュールを組んでいても、前半はほとんど仕事が進まないため、全ての仕事がたまっていきます。夏休みの宿題を最終日まで残してしまうようなケースも、デッドライン症候群の一種です。
デッドライン症候群の原因を特定する
デッドライン症候群の原因は、人により異なります。まずは、自分がなぜ仕事を先延ばしにしてしまうのか、原因を突き止めましょう。原因を突き止めれば、改善のきっかけになります。
一生懸命仕事をしているはずなのに、締め切り間際に慌ててしまう場合は、多すぎる仕事量が原因となっている可能性があります。または、完成度を重視しすぎているのかもしれません。
やる気が起こらず仕事を放置している場合は、仕事への興味を失っているか、モチベーションを維持できない原因がどこかにあります。ほかにやりたいことがあり、仕事に集中できていないとも考えられるでしょう。
元々の性格的な傾向もありますが、原因がはっきりしている場合は「仕事量を減らす」「完成度に固執しすぎない」「興味が持てる仕事に転職する」といった対策が考えられます。
前倒しして作業を進める
締め切り直前にならないとやる気が出ない場合、本当の最終締め切りに間に合わなくなるリスクがあります。可能であれば自分で締め切りを設定し、前倒しで仕事ができるよう心掛けましょう。
ただし、自分で設定した締め切りでは、やる気が起こらない可能性もあります。もし社内の仕事であれば、本来のデッドラインよりも早い締め切りを伝えてもらえるよう、同僚に周知するのもよいかもしれません。
締め切りを守りたい気持ちを伝えれば、協力してもらえる可能性はあります。締め切りを守る癖がつけば、徐々に前倒しで仕事を進められるようになるでしょう。
ビジネスシーンに欠かせないデッドライン
ほとんどの仕事には、締め切りが設定されています。中でも最終締め切りは「デッドライン」と呼ばれ、基本的に遅れることは許されません。
もし締め切り直前まで動けない「デッドライン症候群」に陥っている場合は、原因を考えてみましょう。
もし、今の仕事に問題を感じているのであれば、転職を検討するのも有効な対策です。「スタンバイ」で、求人情報をチェックしてみるのもよいでしょう。