スケールメリットは、ビジネスシーンで聞く機会がある言葉ですが、意味や使い方が分からない人もいるでしょう。業界別の具体例を知ると、どのように使うかイメージしやすくなります。似た意味の言葉も、併せて見ていきましょう。
この記事のポイント
- スケールメリットとは
- 事業や業務の規模を拡大し得られるメリットを指す言葉で、製造業や飲食業、物流業などさまざまな業界で用いられています。
- スケールメリットの主な効果
- 経営の効率化や生産量の増大、コストカット、認知度の上昇などが期待できます。
- スケールメリットと似た意味の言葉
- 「シナジー効果」「規模の経済」などの言葉が、似たような意味で使われていますが、詳しい意味・使い方が異なるため注意が必要です。
スケールメリットの意味と使い方

スケールメリットを理解すると、経営の効率化を図る際などに活用できます。まずは、言葉の意味や使用例を見ていきましょう。
規模の拡大により得られるメリットのこと
スケールメリットとは、「スケール(規模)」と「メリット(利点)」を組み合わせた和製英語です。主にビジネスシーンで使われ、事業や業務などの規模を拡大すると得られる大きな成果を意味します。
規模を拡大して利益を得る方法は、さまざまな業種で試みられていますが、どのようなビジネスにも当てはまるわけではありません。規模の拡大により固定費が下がる場合に、メリットを享受できます。
英語では「Advantages of scale」「Economies of scale」などで表現します。海外でスケールメリットと言っても通じないので、注意しましょう。
スケールメリットの使用例
ビジネスシーンで、経営について議論する際などに使用するのが一般的な使い方です。以下、例文を見ていきましょう。
【例文】
・グループ企業を統合させ、スケールメリットを享受すべき時期が来た
・広告コストをかけずに知名度を上げられるフランチャイズ経営は、スケールメリットが豊富だ
・全工場に最新設備を導入すれば、スケールメリットを最大化できるだろう
課題解決の方法や、利益を出すためにはどうすればよいかなどを話し合う際に、使用する機会があります。また、アイデアの有益性を適切に伝えたいときにも役立ちます。
スケールメリットがもたらす主な効果

事業規模の拡大・統合などを開始する前に、スケールメリットを生み出すと何が実現できるのかを知ることが大切です。ここでは、どのような効果が期待できるのかを見ていきましょう。
経営の効率化や生産量増加
似たような事業を行っている複数の企業を1つにまとめれば、同じ業務を分散させる必要がなくなり、経営を効率化できます。
例えば、フランチャイズ経営はスケールメリットの恩恵を受けやすい仕組みです。加盟店はロイヤリティを支払う代わりに、本部の商標やノウハウを利用でき、市場調査に基づいたサポートを受けられます。
また、事業規模の拡大により販路が広がれば、生産量を増やせるので多くの利益を生むことが可能になるでしょう。
コストダウンにより競争力が高まる
業務効率化や原料などを一括で購入すると、コストを削減できます。同じ商品を大量生産するための機械化・ルーティン化が進めば、少ない手間で大量生産が可能です。
原料を仕入れる際は、一度に購入する量が多いほどコストを下げられるので、少量を生産するよりも利益を生み出せるようになります。
一般的に、同じ品質の商品・サービスであれば、より安く購入したいと考える消費者は少なくありません。低価格で高品質な商品・サービスを提供できるようになると、ライバル企業に差を付けられるでしょう。
知名度やブランド力の向上
事業規模が大きくなって製品の生産数が伸びると、流通量も増えます。自然と消費者が目にする機会が多くなり、知名度・ブランド力の向上になります。
商品・サービスを購入する際に、有名なものが選ばれるケースは少なくありません。「多くの人が利用している」という事実が、安心感につながるためです。
また、飲食業が店舗数を増やすことで認知度を高めるなどの例も該当します。コストダウンや経営効率化との相乗効果により、ライバル企業よりもさらに有利になる可能性が高まります。
スケールメリットの注意点

スケールメリットの反対語を「スケールデメリット」といい、規模の拡大による失敗を指します。ポイントを押さえておかないと、事業が失敗してしまうことがあるのです。リスクを減らすため、注意点を理解しておきましょう。
需要を見誤ると在庫を抱えるリスクがある
大量生産できても市場を読み違えると、在庫を抱えすぎるデメリットが発生します。トレンドや消費者の好みの変化に敏感にならなければ、売れ残るリスクがあるのです。
流行遅れの商品・サービスを、大量に生産した場合のダメージは大きなものになるでしょう。このような問題は、市場分析に力を入れることで回避できます。
また、売るための仕組みができていないと売り上げが伸び悩むので、販売計画をしっかりと立てることも大切です。
クオリティーの維持が難しい場合がある
事業拡大をして原料などの仕入れを大量に行うには、仕入れ先を確保する必要があります。複数の供給元を探すか、新しい取引先と契約を結ばなければならないケースも出てくるでしょう。
仕入れ先の変更が発生すると、これまで通りの品質維持が難しくなる可能性があります。また、細かい部分に目が届かなくなるなどのリスクも懸念されるため、生産管理に気を配るなどの配慮が必要です。
大量の商品を生産しコストを削減できたとしても、クオリティーが低ければ期待したような売り上げは望めないでしょう。
意思疎通や情報伝達がしづらい可能性がある
事業規模の拡大によりプロジェクトに関わる人数が増えると、意思疎通や情報伝達に時間がかかります。コミュニケーションがしづらい状態では、作業効率が低下し、チームワークにも支障を来します。
意思決定の遅れにより、ビジネスチャンスを逃すという事態にもなりかねません。こうしたリスクを抑えるには、少人数で業務に取り組んでいたときとは違った対応が求められます。
例えば、プロジェクト管理ツールや、コミュニケーションツールの導入などをするとよいでしょう。また、情報伝達に関する手順・ルールを明確化することも大切です。
業界別に見るスケールメリットの具体例

スケールメリットを得ようと、やみくもに事業をまとめてもうまくいきません。何を拡大すれば効果があるかは、業界によって異なります。
ここでは、スケールメリットを生み出すためにどのようなことが行われているのか、業界別の例を見ていきましょう。
製造業
製造業は、スケールメリットを得やすい業種の1つです。最新設備の導入や作業工程の自動化などで、商品のコストを削減できます。
また、大量仕入れにより原材料費を通常よりも安くする方法でも、スケールメリットを得られます。商品の生産コストが下がれば利益が増え、ライバル企業よりリードできるなど、多くのメリットが期待できるでしょう。
物流・運送業
物流・運送業では事業を小規模に行うよりも、規模を拡大して大量の荷物の運送や管理をした方が、固定費を下げられます。
小型のトラックで何度も往復していると、燃料代や人件費がかさみます。一度に大量の荷物を運んだ方が、より多くの利益を得られるでしょう。
荷物をエリアごとに集約する方法も、効率良く配送をするポイントです。目的地への方向が同じ荷物をまとめると、コストを抑えられます。
また、倉庫の大きさや位置も、経営効率に関わってくる部分です。幹線道路の近くに大きな倉庫を配置するなどの方法も、効率化に役立ちます。
人材サービス業
人材派遣・人材紹介などは、企業と人材を結ぶことで報酬を得ています。これらの業種は、良い人材を集めて企業とのマッチングを高めることが仕事です。
多くの登録者数を獲得して実績を増やすためには、広告宣伝費を拡大する方法があります。実績がある企業だと認められれば、ますます良い人材を確保しやすくなるでしょう。
クライアントからの信頼度の高まりや、ブランドイメージの向上も期待できます。
飲食業・小売業
飲食業や小売業も、スケールメリットを享受しやすい業界です。エリア拡大や店舗数増加などにより、仕入れコストを減らせます。
また、知名度が高まると、信頼度の向上にもつながります。実態がよく分からない店に入るよりも、全国展開しているチェーン店を利用する方が、ハードルが低いと感じる人は多いのではないでしょうか。
また、エリア・店舗数を拡大することで、仕入れ先からの信頼度が上がるなどの効果も期待できます。より有利な条件で仕入れができるようになれば、ライバル店との争いに勝利しやすくなるでしょう。
教育・学習支援業
学習塾・スクール・通信教育業などで利益を上げるには、認知度・実績を高めることが重要です。
生徒が「よりレベルの高い進学先へ入学している」「高度な資格の取得に成功している」などの実績があれば、新しい利用者を獲得しやすくなるでしょう。
教室数の拡大・統合をすると実績を伸ばしやすくなり、信頼度の向上が期待できます。また、優秀な講師の獲得や教育環境を充実させることなども有効です。
スケールメリットと似た意味の言葉

事業の規模や組み合わせを変えたいときに使われる言葉は、スケールメリットだけではありません。最後に、同じような場面で使われる用語の意味や例文を紹介します。
シナジー効果
ビジネス用語として使われるシナジー効果の意味は、異なる要素を組み合わせて大きな効果を生むことです。例えば、違う事業同士を組み合わせて、これまでになかった付加価値を生み出す場合などが該当します。
スケールメリットは同一のものをまとめ、自動化・機械化などを取り入れることにより効率化を図るので、意味が異なります。
【例文】
・Aさんの経験とBさんの発想力が組み合わされば、シナジー効果を生み出せるだろう
・買収する企業の選定に失敗し、期待したようなシナジー効果は得られなかった
規模の経済
規模の経済とは、生産量を増やしコストを下げたことで生まれる利益の拡大を指す言葉です。英語では「Economies of scale」と表現します。
商品を作る際の製造費は、固定費と変動費に分けられます。固定費は設備にかかるコスト・家賃など、変動費は原料代・光熱費などです。固定費が変わらずに生産量が増えれば、製品1つ当たりにかかるコストを下げられます。
スケールメリットは、規模の経済とは違い、生産量を増やすことだけにとどまりません。経営・事業・販売など、さまざまな規模を拡大させて得られるメリットを指します。
【例文】
・規模の経済の効果を得るには、どのようにして生産量を増やすかを考える必要がある
・生産量を増やしすぎたため在庫管理にかかる費用が増大し、規模の経済が働かなかった
スケールメリットはビジネス成功に大切な要素

スケールメリットの意味や使い方を理解すれば、企業の利益を最大限に引き出す方法を考える際に役立ちます。事業の規模を拡大させると、経営効率化や顧客の獲得などの成果を得られるでしょう。
規模の拡大による失敗を防ぐには、在庫を抱えすぎるリスクや、情報伝達の方法などの注意点を押さえておくことが大切です。固定費をどのように下げるかを意識しつつ、スケールメリットを生み出すことが、ビジネス成功の鍵となります。