退職する際は、挨拶メールを送るのがマナーです。失礼のない好印象なメールを送るには、退職挨拶メールの役割や送信のタイミングを知ることが大切です。社内・社外向けの基本的なルールや例文も紹介するので、実際に送信する際の参考にしましょう。
退職の挨拶メールの役割とは?
退職する際、挨拶のメールを送ることは知っていても、具体的にどのような役割があるのか知らない人もいるのではないでしょうか?まずは、退職の挨拶メールの役割について確認しましょう。
感謝の気持ちを伝える
仕事を教えてもらったり、困ったときに助けてもらったり、感謝したい人はいるのではないでしょうか?退職の挨拶メールの大きな役割は、これまでお世話になった人たちへ感謝の気持ちを伝えることです。
また、去り際に好印象を残す役割もあります。特に同業他社に転職する場合は、現職の人たちや取引先の人たちと再び関わる機会があることも考えられます。
そのため、たとえ退職の原因が現職への不満だったとしても、ネガティブなことは書かずポジティブな印象にすることが大切です。
会社の信用を守るため
取引先など社外向けの挨拶メールには、会社の信用を守る意味合いもあります。それまで信頼していた担当者が突然いなくなるとなれば、不安に感じるものです。
退職や後任者についての連絡がないままだと、「無責任な人」と思われ、それまで築いてきた会社との信頼関係に悪影響を及ぼすことも考えられます。
後任者や引き継ぎについてきちんと記したメールを送信することで、不安を取り除き安心してもらう役割もあるのです。
退職挨拶メールを送るタイミングはいつ?
退職挨拶メールは、適切なタイミングで送ることが大切です。社内・社外でタイミングが異なるため、それぞれいつなのか紹介します。
社内は最終出勤日が基本
社内へのメールは、最後の挨拶という意味合いが強いため、最終出勤日に送信するのが基本です。
業務に支障が出ないよう忙しい時間帯ではなく、退社の1時間前以降に送信するのがよいとされています。退職日までにたまった有給を消化する予定の人は、最終出社日に送りましょう。
ただし、企業によっては独自のルールを設けているケースもあります。1週間前に送信する、終業時間が過ぎてから送信するなどさまざまなので、事前に確認してルールを守るようにすることが大切です。分からない場合は、先輩や上司に相談しましょう。
社外は退職日の2~3週間前
退職を公表したら、なるべく早く社外の取引先などに知らせることが大切です。具体的には、退職日の2〜3週間前が理想です。
退職までの社内の引き継ぎも忙しい中で、取引先を訪問して後任者の紹介や挨拶をしなければならないことも考えられるためです。
十分な時間が取れなかったり、きちんと引き継ぎができなかったりすると、会社の信用を失うことにもつながるため、時間に余裕を持って行動しましょう。
退職挨拶メールの基本的なマナー
退職挨拶メールを送信する際は、基本的なマナーを守ることが大切です。社内・社外共通なので、しっかり把握し失礼のないようにしましょう。
退職理由や転職先は明確にしない
退職の理由は人それぞれですが、メールでは『一身上の都合』とし、詳しい理由を含めないのがビジネスマナーです。詳しく書くことで、同僚や上司に失礼になることや不快にさせることもあるためです。
身近な人への個別メールだとしても、文書として残るため、ネガティブなことは書かないようにしましょう。
また、転職先について触れるのも控えるのがマナーです。挨拶メールの役割は、感謝の気持ちを述べることや会社の信用を守ることです。必要ない内容は、極力書かないようにしましょう。
一斉送信する際はbccにする
メールを送る相手が多い場合は、一斉送信しましょう。「常識がないと思われないか」「失礼にならないか」と不安に感じる人もいるかもしれませんが、特に問題はありません。
ただし、宛先に注意を払う必要があります。一斉送信するときは、『bcc』で送るのがマナーです。
特に社外の複数人に送る場合は、異なる取引先の人などお互いに面識のない人同士が含まれることもあります。他人同士のメールアドレスが、知られてしまわないように配慮することが大切です。
なお、『to』が空欄のままだと送信できないので、自分のメールアドレスを入れましょう。
お世話になった人には個別で送信する
上司や先輩、取引先の担当者など、特にお世話になったと感じている人には、個別で挨拶メールを送ります。強く印象に残っている思い出話やエピソードなどに絡めて感謝の気持ちを述べると、より思いが伝わるでしょう。
送別会など、退職が決まってから何かをしてもらった場合は、改めてお礼の言葉を述べるのもマナーです。たとえ不平不満があったとしても、去り際に好印象を残せるように、全体を通してポジティブなイメージが残るように意識しましょう。
社内への退職挨拶メールのポイントと例文
社内向けに退職挨拶メールを送る際の大切なポイントを紹介します。一斉送信と個別送信それぞれの例文も紹介するので、活用しましょう。
シンプルかつ明確にする
大切なポイントは、分かりやすいように『シンプルさ』と『明確さ』を意識して書くことです。まず、件名は一目で内容が分かるようにしましょう。
1日に多くのメールを受信することが珍しくない職場では、不明瞭な件名だと読み飛ばされてしまったり、見落とされてしまったりするためです。
一斉送信の場合は込み入った内容にせず、退職理由を『一身上の都合』とシンプルにしましょう。個別送信の場合は、思い出話を含めるなど少し込み入った内容でも構いません。
退職後の連絡先は臨機応変に
個人的な連絡先を記載するかどうかは、特に決まりがないため、臨機応変に対応しましょう。その後も関係を続けたいと思うのであれば、連絡先を書いておくことで、関係を続けたいという気持ちが伝わるでしょう。
また、連絡が取れれば困ったときに問い合わせられるため、残された従業員にとっては心強いかもしれません。
人によっては、仕事とプライベートは分けたい、今後は関わりたくないと思うケースもあるでしょう。その場合は、無理に連絡先を書く必要はありません。
一斉送信するときの例文
複数人に一斉送信するときは、以下の例文を参考に作成しましょう。
件名:退職のご挨拶/氏名
お疲れ様です。〇〇部〇〇課の〇〇です。
この度、一身上の都合により退職することになり、本日が最終出社日になりました。
本来であれば、直接ご挨拶すべきところ、メールでの連絡となり申し訳ございません。これまで至らない点が多々あったかと思いますが、皆様には大変お世話になり、心から感謝しております。
今後もこの会社で培った経験やスキルを生かしていきたいと思っております。下記に今後の連絡先を記しておきますので、何かございましたらお気軽にご連絡ください。
メールアドレス
携帯番号皆様の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
今まで本当にありがとうございました。署名
上司向けに個別送信するときの例文
上司宛ての個人的な挨拶メールの例文を紹介します。上司に限らず、特にお世話になった人向けにもアレンジして使ってみましょう。
件名:退職ご挨拶/氏名
〇〇部〇〇課〇〇様
お疲れ様です。〇〇部の〇〇です。一身上の都合により、本日が最終出社日となりました。
本来であれば、直接挨拶すべきところ、メールでのご連絡となり申し訳ございません。〇〇部長には、入社当時から多くのことを経験させていただき、心より感謝しております。今でも初めてプロジェクトを任せてくれた日のことを鮮明に覚えております。貴重なアドバイスや温かいサポートをいただき、本当にありがとうございました。
〇〇部長から学んだことや経験を生かして、これからも頑張っていくつもりです。
今後の連絡先を以下に書いておきますので、今後ともお付き合いいただけますと幸いです。
メールアドレス
携帯番号末筆ではございますが、〇〇部長のご大幸とご健勝を心よりお祈り申し上げます。
署名
取引先への退職挨拶メールのポイントと例文
取引先の人は、社内の人とは関係性が異なるため、記載する内容も変わります。気を付けたいポイントと併せて、そのまま使える一般的な例文を紹介します。
退職日や後任者を明確にする
取引先の人へのメールでは、退職日や後任者について言及することが大切です。退職日や後任者について触れられていないと、「今後はどうなるのだろう」「業務に支障が出るのではないか」と不安を抱かせてしまいます。
場合によっては、それまで築いてきた信頼関係が崩れ、会社の信用を失ってしまうことにもつながりかねません。会社に迷惑をかけないためにも、きちんとした対応を心掛けましょう。
後日、後任者とともに訪問する予定の場合は、そのことについても触れておくとスムーズです。
退職後の連絡先は書かない
取引先の人の中には、何度も顔を合わせ親しくなった相手がいるかもしれませんが、個人的な連絡先は書かないようにしましょう。それまでの取引先との関係は、あくまでも現在の会社を通してのものであるためです。
もし連絡を取り合いビジネスにつながった場合は、現在の会社から顧客情報を無断で利用していると思われるリスクもあります。
また、現在の会社だけでなく、自分自身の信用を失う原因になることもあるため、退職理由や転職先について触れるのも避けましょう。
一斉送信するときの例文
社外への退職挨拶メールの、一般的な例文を紹介します。
件名:退職のご挨拶/株式会社〇〇 氏名
〇〇株式会社
営業部の皆様いつもお世話になっております。
〇〇株式会社の〇〇です。この度、一身上の都合により〇月〇日付けで〇〇株式会社を退職することとなりました。
皆様には大変お世話になり、心より感謝しております。後任は〇〇が担当させていただきますので、何かございましたら下記にご連絡をいただけますと幸いです。
後任者名
連絡先本来であれば、直接ご挨拶に伺うべきところですが、メールでのご連絡となり申し訳ございません。
末筆ながら、皆様の益々のご発展とご活躍を心よりお祈り申し上げます。署名
後日訪問する予定の場合は、「お時間をいただけるようでしたら、後任の〇〇とご挨拶に伺わせていただきたく存じます」のような一文を加え、スケジュール調整をするとよいでしょう。
マナーを守り、感謝の気持ちを伝えよう
退職の挨拶メールを送るタイミングは、社内・社外で大きく異なるため注意しましょう。また、一斉送信する際はbcc送信にする、退職理由は明確にしないなど、基本的なルールを守ることも大切なポイントです。
社内へ送信する際は内容を簡潔にし、退職後の連絡先は必要に応じて記載するようにします。社外への退職挨拶メールでは、後任者を明記し、退職後の連絡先を記載してはいけません。
今後も付き合いが続く可能性もあるため、失礼のないようによい印象が残る挨拶文にしましょう。