職業訓練の面接でよく聞かれる質問とは。落ちやすい人の特徴も

就職や転職の面接でよく聞かれる質問が存在するのと同様に、職業訓練の面接にも頻出する質問があります。聞かれやすい質問を事前に知っておけば、回答を準備できて安心です。面接の準備を万全に整えて、職業訓練への扉を開きましょう。

職業訓練とは

セミナーを受ける男女

(出典) photo-ac.com

よく聞かれる質問をチェックする前に、職業訓練とは何か基本的な部分を確認します。制度への理解を深めておけば、面接を有利に進められるヒントが見つかるでしょう。

スキルを身に付ける公的な訓練校

職業訓練とは、就職に役立つ知識やスキルを無料で習得できる公的制度です。仕事を探している人が対象で、正式名称を「公的職業訓練(ハロートレーニング)」といいます。

受講にかかる費用は原則無料で、テキスト代だけがかかる仕組みです。受講期間は3~6カ月が一般的で、中には年単位で通う長期コースもあります。

ハロートレーニングは、失業保険を受給する人を対象にした「公共職業訓練」と、失業保険を受給できない人を対象にした「求職者支援訓練」の2種類に大きく分けられます。

職業訓練を利用するには、ハローワークの窓口で申し込みをし、書類選考や筆記試験、面接をパスすることが必要です。

学びながら給付金が受け取れる

職業訓練を受けるメリットは、給付金をもらいながら勉強ができる点です。職業訓練は、朝から夕方までみっちりとカリキュラムが組まれています。働きながら訓練を受けるのが難しいため、給付金が支給されるのです。

失業保険を受給する人が対象の公共職業訓練では、失業保険の給付期間が延長されます(最長2年)。本来なら失業保険が打ち切られるタイミングでも、職業訓練校に通っていれば、課程の終了時まで保険を受け取れる仕組みです。

主婦や元学生など失業保険を受け取れない人が対象の求職者支援訓練では、一定の条件を満たした場合のみ、月額10万円の給付金を受給できます。

職業訓練の面接の基礎知識

スマホを見るスーツの男性

(出典) photo-ac.com

職業訓練にチャレンジする予定なら、職業訓練の面接とはどんなものなのか確かめておくと安心です。事前に知識を身に付けておけば、面接当日も戸惑うことなく受け答えに集中できるでしょう。

面接当日の流れ

職業訓練の面接は受付と注意事項の説明から始まり、筆記試験、面接の順に行われます。受付開始時間は9~10時くらいに設定されるのが一般的です。

筆記試験がある場合には、面接の前に実施されます。試験の難易度は中学校卒業レベルです。職業訓練の選考では面接が重視されるため、筆記試験の重要度はそれほど高くありません。

面接は1人あたり10分程度行われます。就職や転職の面接と比べ、短時間で終わるのが特徴です。合否の結果は、ハローワークのホームページや郵送で確認できます。

面接に適した服装は?

本来、職業訓練の面接はカジュアルな服装でも問題ありません。とはいえ、職業訓練の面接を受ける際の服装は、スーツの着用が適しています。面接に対する本気度や就職への意欲を示すこともできるでしょう。

面接までにスーツが手に入らない、ポリシーがあってどうしてもスーツでは受けたくないという人には、オフィスカジュアルがおすすめです。

男性ならジャケットにチノパン、女性ならカーディガンにスカートなど、オフィスに着ていっても違和感のない服装を心がけましょう。社会人として常識的な服装であれば、スーツでなくても問題ありません。

よく聞かれる質問と回答のポイント

資料を記入する男性

(出典) photo-ac.com

職業訓練の面接でよく聞かれる質問はいくつかあります。質問を想定して回答を準備しておけば、面接当日もスムーズに受け答えができるでしょう。

志望動機はなんですか?

「どうして職業訓練に通いたいと思ったのか」は、よく聞かれる質問の代表例です。

志望動機を問う質問に対する答えとして、「スキルを身に付けたいから」では十分ではありません。職業訓練の最終目的は就職なので、「スキルを身に付けて就職したいから」までいえないと、合格は期待できないでしょう。

例えば以下のように、就職への熱意が感じられる志望動機を答えると合格に近づきます。

  • 希望の職種に就職するため、訓練校での訓練が必要だと感じました
  • 就職活動をする中で知識やスキルの不足を実感しました。職業訓練で足りないところを補って、就職につなげたいと考えています

前職を退職した理由はなんですか?

職歴がある場合、前職を辞めた理由も面接でよく聞かれる質問です。聞かれた場合には、できるだけポジティブな理由を答えるようにします。

たとえ事実であっても、「仕事がきつかった」「給料が低かった」といったネガティブな理由は答えない方がよいでしょう。

以下のように、志望動機につながるような理由を用意しておくと役立ちます。

  • 前職ではビジネスパーソンとして有意義な時間を過ごすことができましたが、より興味のある仕事に転職したいという気持ちが強くなり退職しました
  • 以前より○○に興味を持っていて、キャリアを重ねる中でやりたいことに挑戦したいという気持ちが抑えられなくなり退職しました

どのような就職活動をされていますか?

職業訓練の面接では、現在の就職・転職活動の状況についてもよく聞かれます。訓練を受けて就職する意思を示すためにも、以下のように、前向きな活動をしていると答えるのが理想です。

  • 積極的に進めていますが、やはりスキルや経験の不足で順調には進んでいません。書類選考で落ちてしまう日々が続いています。訓練校で技術を身に付け、就職活動を前に進めたいです
  • ハローワークで求人検索をしたり、セミナーに参加したりしています。応募にはまだ至っていませんが、希望条件に合致する求人を見つけ次第、積極的にチャレンジしていこうと考えています

訓練後はどんな職に就きたいですか?

訓練後のビジョンも、職業訓練の面接でよく聞かれる質問です。

どんな職に就きたいかを答えるときは、応募している訓練の内容と合致する職種を答えるのがポイントです。訓練内容を事前によく調べ、学んだスキルをどんな風に仕事に生かすのかを答えましょう。

ポイントは「○○になりたいです」と職種だけ答えるのではなく、一歩踏み込んだ展望を答えることです。

例えば Web デザインの訓練校に通いたい場合には、以下のように説明するとよいでしょう。

「Webデザイナーになって、クライアントが頭に描くWebデザインを形にしていきたいと考えています。訓練校で身に付けたことをベースにスキルとセンスを磨き続け、求められるデザイナーになっていきたいです」

職業訓練の面接で有効な自己PR

説明をしているスーツの男性

(出典) photo-ac.com

職業訓練の面接でよく求められるのが『自己PR』です。職業訓練の面接に適した自己PRは、就職や転職のときのものとは異なります。違いを知った上で事前に準備をし、面接を有利に進めましょう。

シンプルに伝えたいことをまとめる

職業訓練の面接で行う自己PRは『簡潔であること』が最優先です。面接に長い時間が取れないため、伝えたい内容をシンプルにまとめることが求められます。

職業訓練の面接は1人あたり10分程度と短めです。その中で自己紹介・自己PR・質問などを行わなくてはならないため、面接官は時間にシビアになっています。

伝えたい内容がたくさんあっても、長々と話すと印象が良くありません。話をまとめる力に乏しい人として、評価が下がる可能性さえあります。1分以内を目処に、自己PRをまとめておきましょう。

就活の面接との違いを考慮して作る

職業訓練の面接で行う自己PRは、就職や転職の面接時に使うものとは別の内容を用意しましょう。職業訓練と就職・転職では、求められている人物像が異なるからです。

就職や転職では自社に貢献してくれる人材を求めています。これに対し職業訓練では、訓練に真面目に取り組み、その結果ちゃんと就職してくれる人を求めています。

したがって自己PRでは、自身のキャリアやスキルに関する内容よりも、職業訓練に対する意欲を感じさせる構成にする必要があるのです。

例えば以下のように、就職に対する意思の強さを感じさせる自己PRを作りましょう。

「私は1度決めたことは最後までやり通す、粘り強さを持っています。前職では困難に直面しても諦めず、仕事を完遂させてきました。職業訓練でも持ち前の粘り強さを生かして訓練に打ち込み、希望の職種への就職を勝ち取りたいです。必ず就職して、『この人に訓練をさせて正解だった』と思わせてみせます」

職業訓練の面接で落ちやすい人とは

ノートを広げる女性

(出典) photo-ac.com

面接や自己PRの対策をしても、残念ながら職業訓練の面接に落ちてしまう人はいます。職業訓練にチャレンジしたいと考えている人は、自分が落ちやすい人に当てはまっていないかチェックしましょう。

就職する意欲に欠ける人

就職に対する意欲が感じられない人は、職業訓練の面接に落ちやすいでしょう。職業訓練は『就職を望む人たち』のために用意されている学びの場であるためです。

職業訓練を受ける最終目的は、スキルアップではなく就職にあります。就職する意欲を感じさせない人は、不合格になりやすいと考えられます。

無料で資格を取りたい、ハローワークですすめられた、失業保険がもらえる期間を延長したいなどの理由で面接を受けている人では、合格をつかみ取るのは困難です。

「スキルを身に付けて是が非でも就職してやる!」という意気込みで面接に臨んでいる人は、受かりやすい人といえるでしょう。

職業訓練を受ける必要がない人

すでに多くの資格を持っていたり、華々しいキャリアを持っていたりする人も、職業訓練の面接に落ちやすい人です。このような人たちは、職業訓練を受ける必要がないとみなされます。

職業訓練は、スキルがなくて就職に困っている人が対象です。多くの資格を持っている人は、就職や転職の際に有利になる武器をすでに持っていると判断され、不合格となるケースが多いでしょう。

これまでの仕事の中で魅力的なキャリアを積んできた人や、専門的な業務をこなした経験がある人も、職業訓練は不要とみなされます。輝かしいキャリアがあれば、就職・転職市場でも引く手あまたと判断されるでしょう。

協調性がない人

協調性がない人も、職業訓練の面接で不合格になりやすい人です。職業訓練中は、受講者同士で協力する必要があります。

職業訓練の受講者には、さまざまな年齢・性別・キャリアの人が含まれています。自分とは異なるバックボーンを持つ人たちと協力しながら訓練を積んでいく必要があるため、協調性に乏しい人は歓迎されない傾向があるのです。

協調性の有無は、訓練後の就職・転職活動の成否にも関わります。他者と協力して物事を進められる人は、組織で動く企業にとっても欲しい人材です。

訓練を重ねた後でちゃんと就職できる人を求める訓練校にとって、協調性のない人は訓練を進める上でも、就職の面でも魅力的ではないと知りましょう。

面接通過のためにできる準備

ノートを書き込む手元

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職業訓練に本気でチャレンジしたい人は、面接対策を行いましょう。適切な準備をしておけば、面接をパスする確率を上げられます。

話す内容を決めて練習しておく

面接対策の基本は、想定される質問に対する答えを準備し、実践形式で練習を重ねることです。ぶっつけ本番で挑むと、緊張で伝えたい内容を伝えられなかったり、うまく話せなかったりします。

職業訓練の面接は短時間で終了します。話す内容を事前に準備しておかなければ、満足な自己アピールができないままに終わってしまう可能性もあるでしょう。よく聞かれる質問を確認し、話す内容を事前に整理しておくのがおすすめです。

回答を準備したら、家族や友人、ハローワークのスタッフなどに面接官役をやってもらい、シミュレーションを重ねましょう。本番に近い練習を積み上げれば、面接でも緊張せずに話せる状態に仕上がります。

訓練校の見学会に参加する

訓練校が開く見学会に参加するのも、面接対策になるでしょう。訓練への理解が深まって、面接での受け答えの精度が上がります。

訓練校がどんなところで、具体的にどんな訓練を行っているのか、知っているのと知らないのとでは、面接での受け答えの内容が変わるでしょう。

どんな訓練を行うのか事前に知っておけば、訓練を仕事に生かす方法が見えてきて、「訓練後にどんな仕事に就きたいか」という質問に、より具体的に答えられるようになります。

志望動機や自己PRも作りやすくなるため、より面接官にアピールできる答えを返せるようになるはずです。

逆質問の準備をしておく

逆質問とは、面接の最後でよく行われる「最後に何か質問はありますか?」という問いかけです。逆質問をされたときのために質問を準備しておけば、職業訓練への意欲をさらにアピールできます。

質問がなければ「特にありません。ありがとうございました」と面接を締めくくっても問題ありません。しかしやる気をアピールして合格を引き寄せたいなら、質問できるようにしっかり準備しておくのがおすすめです。

「入校までに準備しておいた方がいいことはありますか?」「受講生はどんな企業に就職されていますか?」など、気になるポイントを聞いてみましょう。

面接の不安を払拭して一歩を踏み出そう

タブレットを手にしたスーツの男性

(出典) photo-ac.com

職業訓練は、知識やスキルが乏しくてなかなか就職先が決まらない人にとってうれしい制度です。志す職種に関連の深いコースがある場合には、積極的に利用したい制度といえるでしょう。

職業訓練の選考では面接が重要視されるため、職業訓練にチャレンジするなら、面接対策を万全に整えておく必要があります。

よく聞かれる質問をチェックして回答を用意し、実践を想定して練習を重ねれば、訓練や就職に対する思いを存分にアピールできるでしょう。