転職活動はいつから始める?ケース別のメリット・デメリットや流れも

初めての転職を検討している人に向けて、転職活動のスケジュールや準備の方法を解説します。面接対策や現職の退職手続きまで、順を追って見ていきましょう。流れや注意点を把握し、準備をしっかりと行ってから転職活動を進めることが大切です。

転職活動はいつから始めるのがいい?

スケジュール帳とペン

(出典) photo-ac.com

転職活動は、在職中に始めるパターンと、退職後に始めるパターンの2つに分けられますが、それぞれに一長一短があります。在職中と退職後、それぞれで転職活動を始めた場合のメリット・デメリットを解説します。

在職中に始めるメリット

在職中に転職活動をすると、金銭面で不安がない点がメリットです。転職活動中も生活が安定することは、大きな安心材料になります。貯金が尽きる焦りがないため、じっくりと転職先を検討できるでしょう。

また、経歴にブランクが空かないことも、今後のキャリアを考えるとプラスに働きます。転職活動をしてほかの企業を見た結果、現職のよさに気付くかもしれません。

もし、転職活動をやめたいと判断した場合でも、現職にとどまるという選択肢を残しておくことができる点も強みといえます。

在職中に始めるデメリット

在職中に転職活動をする場合は、基本的に現職で働いている以外の時間で行うこととなります。特に現職が忙しい人は、転職活動に集中しづらいでしょう。

1日あたりに転職活動に割ける時間が短くなる分、転職活動が長期化することも懸念されます。プライベートの時間を使わなければならないため、長期戦となった場合は、モチベーションの維持も難しくなるでしょう。

また、現職中に他社から内定をもらえた場合、転職先に入社するのはどれだけ早くても最低1カ月の期間を要します。もし、すぐにでも入社できる候補者がいた場合は、その人に負けてしまう可能性もあります。

辞めてから始めるメリット

退職してから転職活動を始めるメリットは、とにかく時間を確保できることです。仕事に就いていなければ転職活動に集中できるため、うまくいけば短期間で転職先が決まる可能性があります。

また、面接の日程調整に、柔軟に対応できることも利点の1つです。転職活動は運やタイミングも重要なため、面接日が遅れることによる機会損失を防ぎやすいことは、大きな強みといえます。

退職後ならすぐにでも職に就ける状態のため、急募のポジションで採用される確率も高まるでしょう。

辞めてから始めるデメリット

退職後の転職活動は、焦りとの戦いです。退職後は収入が途絶えるため、転職活動が長期化するほど、生活費がなくなる焦りが大きくなります。

収入がない焦りから冷静な判断ができず、内定が出た会社によく考えずに入社してしまうかもしれません。

また、転職先がなかなか決まらず経歴にブランクが空いてしまうと、次回の転職活動においてデメリットとなります。ブランクが長いほど、企業にとっては懸念材料となります。

なお、退職をすると企業の厚生年金・健康保険から外れるため、自分で国民年金・国民健康保険の手続きをし、保険料を支払わなければなりません。

転職活動のスケジュール感について

履歴書と封筒とペン

(出典) photo-ac.com

転職活動をする際の一般的な流れを、3つのステップに分けて解説します。初めて転職活動をする人は、ぜひ参考にしましょう。

1:転職の準備

転職活動を思い立ったら、いきなり求人に応募するのではなく、まずは転職活動の準備を行いましょう。

転職活動の準備とは、自己分析・企業分析のなどの『情報収集』や、いつまでに内定をもらうかといった『スケジュール作成』を指します。

一般的に、転職活動にかける期間は、長くても半年程度といわれています。転職活動が長期化してもあまりよいことはないので、自分自身の状況・性格を考慮しながら、転職活動を終了させる目安となるタイミングを決めることは重要です。

2:実際の転職活動

準備が整ったら、実際に転職活動を開始します。まずは書類選考に必要な、履歴書・職務経歴書を用意しましょう。

職務経歴書は、自分のこれまでの経験・スキルをアピールするための書類なので、手を抜かずに作成する必要があります。

書類が作成できたら求人を探し、気になるものがあれば応募していきましょう。転職サイトでは、自分の希望する条件でフィルターをかけられるため、フィルターを活用すれば効率的に求人を探せます。

その後、書類選考が通ったら面接へと進み、内定を目指します。面接対策もきちんと行いましょう。

3:内定後の動きについて

晴れて内定が出たら、承諾するかどうかを検討し、入社を決めた場合は現職の退職調整と転職先の入社準備に移ります。

このとき、すぐに内定は承諾せず、一度時間を置いて労働条件などをしっかりと確認してから回答することをおすすめします。

条件面に納得し内定を承諾したら、現職の退職調整を行いましょう。多くの企業では、就業規則で1カ月前通告と定められています。円満退職をするなら、余裕を持って退職する旨を告げましょう。

退職調整も無事完了したら、引き継ぎを行い、転職先の会社に入社します。

「転職活動」事前準備編

ノートパソコンを操作する男性

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ここからは、転職活動のフェーズごとに、やるべきことを詳しく解説します。まずは、事前準備としてやることを3つ紹介します。

転職する理由を明確にする

転職活動を始める前に、『なぜ自分は転職をしなければならないのか』を整理しましょう。転職する理由は、現職に何らかの問題があるからではないでしょうか?それを転職によって解決しようとしているはずです。

そのため、現職における『どのような問題を解決すべきか』を、はっきりさせることが重要です。それは転職活動のゴールともいえます。ゴールがはっきりしていないと、転職が成功したかどうかは判断できません。

転職理由を明確にすることは、転職のゴールを設定することであり、『自分が目指すべきものを理解する作業』なのです。

自分を理解するために「自己分析」

転職活動においては、自己分析が非常に重要です。自己分析とは、自分の強み・弱みを知り、どのような環境で力を発揮できるかを理解することです。

正確な自己分析ができて初めて、自分に合った職場が分かるといっても過言ではないでしょう。

自己分析が曖昧なままだと、例えば給料・福利厚生といった自分にとって重要度の低い要素で、会社を決めてしまう可能性があります。そうなると、いざ入社してから「思っていたのと違う」と感じ、転職活動が失敗に終わってしまうかもしれません。

自己分析のやり方

自己分析の手法は数多くありますが、その中でも代表的なものは以下の通りです。

  • 自の強み・弱みを書き出す、他人にも聞いてみる
  • モチベーショングラフを作成する
  • WILL・CAN・MUSTを考える

自分が思う自分の強み・弱みと、他人が思うそれはしばしば異なります。自己分析をするときは、ぜひほかの人にもヒアリングしてみましょう。

モチベーショングラフとは、過去の自分を振り返り、どの場面で感情の起伏が起こったかを可視化する手法です。自分がどのような状況でやる気を出せるかを、把握するのに役立ちます。

WILL・CAN・MUSTは、『自分のやりたいこと(WILL)』『今自分ができること(CAN)』『これからやるべきこと(MUST)』を書き出す作業です。目標に向かって、自分が今何をすべきかを理解するのに有効です。

「転職活動」情報収集編

資料を見ながらパソコンを操作する男性

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転職活動の準備が終わったら、求人や企業の情報収集を行いましょう。各サービスでの情報収集のポイントを解説します。

求人サイトで情報収集

求人サイトとは、企業の求人の掲載に特化したサイトのことです。あらゆる業界・業種の求人を扱う『総合型』のサイトや、特定の業界・ターゲットに特化した求人を掲載する『特化型』の大きく2種類に分けられます。

求人サイトのメリットは、数多くの求人を自分で検索して探せることです。希望の条件でフィルターにかけることもできるので、希望に合った求人を見つけやすいでしょう。

ただし、求人の応募から面接の日程調整、内定後の対応まで全て自分でしなければなりません。自分のペースで転職活動を進められる人には、おすすめといえます。

転職エージェントで情報収集

転職エージェントとは、担当のエージェントが自分に合った求人を紹介してくれるサービスのことです。転職エージェントも、『総合型』と『特化型』に分けられます。

転職エージェントを利用するメリットは、求人の紹介にとどまらず、面接の日程調整から年収交渉、キャリアパスの相談にまで乗ってくれる点です。自分1人で転職活動を進める自信がない人にはおすすめです。

しかし、エージェントに任せきりにしないよう注意しましょう。エージェントもほかの求職者を担当しているため、自分からも積極的に動かなければ、ほかの求職者を優先されてしまう可能性があります。

ハローワークで情報収集

ハローワークは、行政による就職支援サービスです。対面で求人の紹介をしてくれるほか、プログラミングなどの職業訓練を実施していることがメリットです。

また、各地域に庁舎があるため、地域に密着した転職支援を行ってくれます。

しかし、ハローワークに求人を出す企業のレベルにはバラつきがあります。大手企業がハローワークに求人を出すケースは少なく、中小や零細企業の求人が多い傾向にあるでしょう。

意識して集めるべき情報

求人票には、多くの情報が記載されているため、全ての求人票の隅々まで目を通すことはなかなか気が進まないかもしれません。

その場合は、求人票に記載されている情報の中でも、特に下記を重点的に把握しておきましょう。

  • 給与や昇給モデル
  • 労働時間
  • 福利厚生
  • 売上高

しかし、これらだけでは不十分です。面接の際に、詳しい業務内容や社風、キャリアアップの環境などを聞いておくことも重要です。

「転職活動」面接でよく聞かれる質問

バインダーを持ったスーツの女性

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転職活動の面接で聞かれる質問は、いくつかのパターンに分けられます。頻出の質問には、あらかじめ回答を用意しておくことで、本番でもスマートに答えられるでしょう。

自己紹介と自己PR

自己紹介と自己PRは、必ずといっていいほど聞かれる質問です。両者はしばしば混同されがちですが、厳密には異なります。

自己紹介の目的は、『自分の人となりを知ってもらうこと』です。面接の冒頭で聞かれることが多く、「もっとこの人の話を聞いてみたい」と思ってもらう必要があります。第一印象を左右するものなので、ハキハキと明るく話しましょう。

一方の自己PRとは、『自分のアピールをするためのもの』です。自分の強み・培ってきたキャリアを軸に、話を組み立てる必要があります。

ポイントは、『企業の求める人物像にマッチしている部分をアピールする』ことです。そのためには、企業研究が欠かせません。

転職の理由

転職理由もほぼ必ず聞かれる質問ですが、答えるときには注意が必要です。転職理由を答えるときは、必ず『ポジティブな内容』を話しましょう。

確かに、転職を考えたきっかけは現職への不満かもしれません。しかし、それを正直に話してしまうと、「また同じことが理由で退職するのではないか?」と懸念を抱かれてしまいます。

現職への不満も、見方を変えればポジティブな動機に変えることができます。ポジティブな言い換えをとっさにすることは難しいので、事前に回答を準備しておくべき質問の1つです。

志望動機について

志望動機は、転職理由と一緒に聞かれる場合がほとんどです。志望動機の質問でチェックされていることは、『企業研究をしっかり行っているか』です。

回答するときは、まずはその企業に関心を持ったポイントを端的に答えましょう。その後に理由について、その会社ならではの強み・特徴と一緒に答えることがポイントです。

企業研究をするときは、志望動機も一緒にまとめておくとスムーズでしょう。

逆質問の対策もポイント

面接の最後に「何か聞きたいことはありますか?」と、候補者から企業へ質問できる『逆質問』の時間が設けられることも少なくありません。

ここでは、企業に対して確認しておきたいことや、気になることを質問できます。しかし、逆質問は単なる質問タイムではなく、評価の対象です。

基本的には聞きたいことを聞けばよいのですが、注意点が2つあります。まずは、『必ず何か質問する』ことです。「特にありません」と答える人もいますが、これは企業に対して興味がないことを、暗に示しているようなものです。

また、待遇・福利厚生に関する質問ばかりすることも避けましょう。「給料や仕事以外の部分で判断する人だ」と思われてしまうためです。

多くの企業で逆質問タイムが設けられるので、事前に面接官の印象に残るような質問を用意しておくことが重要です。

「転職活動」退職準備編

退職届を提出する男性

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現職の退職調整のときにもめてしまうと、円満退職は遠のいてしまいます。気持ちよく送り出してもらうための、退職準備のコツを解説します。

直属の上司へ退職の意思を伝える

転職先が決まったら、まずは直属の上司に退職する意思を伝えましょう。このとき、直属の上司より立場が上の人や、人事部に伝えるのはよくありません。

ほかの人は知っているのに、直属の上司が退職することを知らない状況が生まれてしまい、管理能力を疑われてしまうためです。

直属の上司へ伝えるときは、できれば対面で時間を取ってもらうのがマナーです。アポを取る時点では、「大事な話があります」と用件を濁しておきます。時間は業務後か、始業前が望ましいでしょう。

業務の引き継ぎはしっかりと

退職調整が完了すると、退職日までの期間を使って後任へ引き継ぎを行います。引き継ぎの際は、引き継ぎ書類を作り、営業の場合は顧客・取引先へ、後任とあいさつ回りに行きましょう。

引き継ぎをしっかり行わないと、転職後も問い合わせを受けるなど面倒なことになる可能性があります。また、後任や会社にも迷惑がかかり、後味の悪い退職となってしまうかもしれません。

引き継ぎは、現職での最後の仕事と捉え、抜かりなく行うよう心掛けましょう。

会社への返却物・事務手続きも忘れない

退職が近くなると、会社から借りていた備品の返却や、退職書類の記入などの手続きが発生します。会社への返却物には、以下が一例として挙げられます。

  • 名刺
  • 健康保険被保険者証
  • 携帯電話
  • 社員証
  • 業務に関係する書類

退職後ブランクが空く場合は、国民年金・国民健康保険への切り替え手続きが必要です。この辺りの説明も、退職手続きの際に案内があるのが一般的なので、よく聞いておきましょう。

転職活動では事前準備が大きなポイント!

履歴書と封筒とペン

(出典) photo-ac.com

転職活動を在職中にやる人もいれば、退職後にやる人もいますが、多くの人は在職中に行う傾向にあります。在職中なら収入が途絶える心配がなく、じっくりと企業を選ぶことができます。

転職活動を始めるときは、事前準備が大切です。転職の理由や目的の深堀り、自己分析も時間をかけて徹底的に行いましょう。

また、面接対策も怠ってはいけません。面接での質問は、半ば定型化されている部分もあるので、定番の質問には回答を用意しておくことが重要です。準備をしっかりと行い、転職を成功させましょう。

水野順子
【監修者】All About 女性の転職・女性のキャリアプランガイド水野順子

官公庁、企業人事、人材紹介会社勤務を経て、キャリアカウンセラーとして独立。こころとキャリアの専門家として、女性のキャリアデザイン、ダイバーシティ、女性の働き方を中心に幅広く活動中。今までに20000人以上をカウンセリング。
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