転職したいときに考えること!スキルがないと転職は無理?

現状を打開したくて転職を検討しているなら、具体的に何をすればよいのかを知ることが重要です。単に転職したいと考えているだけでは、転職先でも失敗しやすくなるでしょう。転職したいときに考えるべきことやスキルがない場合の対処法を解説します。

転職したいと思ったときにまず考えること

ノートパソコンを操作する男性

(出典) photo-ac.com

転職したくなったときには、以下に挙げる2つのことをまず考えてみましょう。自分にとって本当に転職が合っているのかを判断しやすくなります。

転職したい理由を明確にする

転職したいと思ったら、なぜ転職したいのか理由を明確にしておきましょう。何となく転職すると、転職先でも同じようなことで悩んでしまう恐れがあります。

例えば、『同僚とうまくいかない』『仕事でミスばかりする』などの理由で転職したいと考えていても、転職先で必ず悩みが解消できるとは限りません。

短期間のうちに何度も転職したり、転職の回数が多かったりすると、次の大事な転職で不利になることもあります。転職したい理由をはっきりさせた上で、もう一度じっくりと転職すべきか考える必要があるでしょう。

今の会社で働き続ける姿を想像する

転職したくなったときには、現状だけを見るのではなく、今の会社で働き続ける姿を想像してみましょう。未来の姿に満足できるかできないかで転職を決めるのもおすすめです。

例えば現在の上司を見れば、自分がステップアップした頃を想像できます。会社の方針に従って働き続けられるのかどうかも、未来を予想する判断材料になるでしょう。

今の会社が『好きか嫌いか』だけでなく、『会社に違和感を感じるか感じないか』『自分に合っているかいないか』『将来的に悩みを解消できるのか』も考えて転職を考える必要があります。

転職活動の前にすることは?

パソコンを前に考え事をする男性

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さまざまなことを考えた上で転職を決意したのなら、しっかりと準備をしておくことが重要です。転職活動を始める前にすべきことを紹介します。

自分が持っているスキルや経験を洗い出す

転職活動に取り組む場合は、最初に徹底した自己分析を行っておきましょう。自分自身のスキルや資格、これまでに培ってきた実績を洗い出すことが大切です。

スキルや経験を洗い出せば、自分がどのような道に進めばよいのかを考えやすくなります。やりたい仕事があるなら、その仕事に必要なスキルや実績があるかどうかも把握しておかなければなりません。

自己分析を行っておけば、志望動機を考える際にも役立ちます。自分の強みを絡めた志望動機を伝えれば、採用される確率も高くなるでしょう。

自分の市場価値を確認する

転職活動の前には自分の市場価値を確認することも重要です。何らかのスキルや経験を持っていたとしても、市場価値が低ければ転職先はなかなか決まらないでしょう。

例えば、かつて人気が高かったプログラミング言語のスキルを持っていても、現在も企業ニーズが高いとは限りません。スキルや実績を主観で捉えていると、市場価値が下がっていることに気づきにくくなるのです。

自分の市場価値を客観的に理解しておけば、自分にマッチする企業を探しやすくなります。転職サイトやビジネスSNSを利用し、どのような会社から注目を受けやすいのか確認するとよいでしょう。

周りの人に相談するのもアリ

転職活動を1人で進めるのには限界があります。周りの人に相談し、意見をもらったりサポートを受けたりしながら転職活動を進めるのがおすすめです。

転職の相談相手としては、会社のOB・OGや転職エージェント、ハローワークが向いています。より客観的な立場から有益な情報を提供してくれるでしょう。

相談相手に向かないのが職場の上司や同僚です。転職の妨害を受けたりあらぬうわさを広められたりするリスクがあります。アドバイスに感情が入ってしまう家族や友人も、相談相手には適さないでしょう。

転職活動前に退職しない方がよい理由

退職届を持っている会社員

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転職活動は今の会社で働きながら行うのがおすすめです。転職活動前に退職しないほうがよい理由を見ていきましょう。

収入が途絶えてしまう

転職先が決まらないうちに今の会社を辞めると、収入が途絶えてしまいます。すぐに仕事が見つかるとも限らないため、お金に困ってしまいかねません。

退職後に失業保険がもらえる人も、自己都合退職の場合はすぐに失業保険をもらえないことに注意が必要です。失業保険の受給開始まで、退職後最低でも2カ月はかかります。

貯金が少なく失業中の生活費に不安があるなら、転職のめどがついてから今の会社を退職しましょう。

仕事のブランクが長くなる可能性

今の会社を辞めてから転職活動を始めても、次の仕事が見つかりやすくなるわけではありません。なかなか転職先が決まらない状況が続くと、職歴のブランクが長くなります。

仕事をしていない期間が長いほど、企業は採用に対して慎重になるでしょう。『能力が低いからどこも採用しないのではないか』『計画を立てるのが苦手なのではないだろうか』と思われやすいためです。

実務から離れる期間が長くなると、スキルの低下も懸念されやすくなります。ブランクが長くなったことに対し、企業を納得させる理由も考えなければならないでしょう。

仕事が決まらないと精神的な負担になる

なかなか仕事が決まらない場合、金銭的に苦しくなったりプレッシャーを感じてきたりするため、精神的な負担が増加しやすくなります。

ストレスがたまってくると職探しを焦ってしまい、転職先の理想を下げることにもなりかねません。自分に合わない転職先を急いで決めてしまう恐れがあります。

良い転職につながらなければ、今の会社と同じような悩みを抱えやすくなり、再び転職を考えるようになってしまうでしょう。精神的な負担により希望条件を妥協しないためにも、転職先が決まった後に退職するのがおすすめです。

転職したいけどスキルがない場合:20代の場合

履歴書の資格欄

(出典) photo-ac.com

スキルを持たない人が転職を成功させるためには、どのような考え方で準備をすればよいのでしょうか。まずは20代の人が持つべき意識を紹介します。

20代半ばまではスキルなしが前提

20代前半から半ばまでの人なら、学校を卒業してからそれほど時間がたっていないため、スキルの有無はそこまで重要視されません。

20代半ばまでの人材を求めている企業も、即戦力としては見ていないのが実情です。やる気や伸びしろといった20代ならではの強みを意識して転職活動に臨みましょう。

新しいことにチャレンジしやすい点も、20代半ばまでの人が持つ大きな強みです。『できること』を重視するのではなく、『やりたいこと』『楽しめること』を重視して転職先を探せるでしょう。

後半になると対策が必須

20代後半になると、前半から半ばまでの人とは違い、企業の見る目がより厳しくなりがちです。スキルは必須ではないものの、ゆっくり習得できるほどの時間も与えてはくれないでしょう。

できるだけ早くスキルアップすることを意識しながら、実務で使える人材としても早めに認めてもらえなければなりません。自分で学ぶ姿勢や業務に慣れようとする自主性が重視されます。

ただし、20代後半といえどもまだまだ若いため、現場経験があるだけでも武器になるでしょう。20代前半から半ばまでの実績を生かせる企業なら、転職活動で有利になります。

20代が身につけたいスキル

スキルを持たない20代の人が優先して身につけたいスキルとしては、コミュニケーション能力や問題解決能力が挙げられます。いずれもキャリアの土台となる基礎スキルです。

コミュニケーション能力や問題解決能力は、すべての仕事で必要とされます。20代のうちにこれらのスキルを磨いておけば、ポテンシャルの高さを示せるためキャリアの選択肢も広がるでしょう。

余力があるならITスキルや英語力を習得しておくのもおすすめです。社会経験が浅い場合は、基本的なビジネスマナーも身につけておきましょう。

転職したいけどスキルがない:30代の場合

履歴書とペンと封筒

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自分にはスキルがないと感じている30代の人は、20代とは異なるアプローチで転職を考える必要があるでしょう。スキルがない30代の人が転職を成功させるコツを紹介します。

契約社員の募集から正社員を目指す

30代でスキルを持たない人が転職する場合、企業側も採用をより慎重に考えるのが一般的です。『20代で何をしてきたのだろうか』と思われるため、転職のハードルは上がります。

スキルがない30代の人が転職のハードルを下げるためには、契約社員から正社員を目指すのがおすすめです。頑張る姿や実績を認められれば、登用試験を受けられるでしょう。

契約社員の募集から正社員を目指す場合は、正社員登用制度がある企業を探すだけでなく、実際に正社員登用をしている実績があるかどうかも調べておかなければなりません。

採用されやすい業種に絞って応募するのも手

専門的なスキルを持っていない30代の人は、採用されやすい業種の企業に応募するのもおすすめです。事務職・営業職・販売職なら、スキルがなくても採用されやすいでしょう。

スキルなしでも経験ならある場合や、特にやりたいことが決まっていない場合も、採用のされやすさを優先して応募すれば転職先が決まりやすくなります。

営業職や販売職で重視されるのはコミュニケーション能力です。接客経験がある場合も有利になるため、アルバイトやパートで経験しているならアピールするとよいでしょう。

30代が身につけたいスキル

30代が習得したいスキルとしては、適応力が挙げられます。現場に順応できる人柄や柔軟な姿勢を持つ人は、どの企業でも重宝されるでしょう。

マネジメント能力も30代で身につけておきたいスキルです。現場監督能力や新人教育能力が備わっていれば、チームやプロジェクトのリーダーとして期待されます。

ただし、30代ならあくまでも即戦力として雇いたいのが企業側の本音です。希望する業種や職種があるなら、専門的なスキルもできる限り磨いておきましょう。

転職したいけどスキルがない:40代の場合

履歴書の職歴欄に記入する

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40代でスキルがない場合も、転職を成功させられる可能性は十分にあります。40代の人がどのような考え方で準備すればよいのかを見ていきましょう。

ポータブルスキルを生かす

実用的なスキルや資格を持たない40代の人は、ポータブルスキルを生かす方法があります。ポータブルスキルとは、業種や職種にかかわらず使い回しがきく能力のことです。

論理的思考力・交渉力・プレゼン力などが、ポータブルスキルの代表例として挙げられます。20代で身につけたいコミュニケーション能力や問題解決能力も、ポータブルスキルに該当する能力です。

今までの経験を思い返せば、自信につながるポータブルスキルがいくつか見つかるでしょう。仕事のやり方や人との関わり方でアピールできることがあれば、それは立派なポータブルスキルです。

人脈を生かした転職を目指す

スキルがない40代に関しては、企業側も採用に消極的なのが実情です。40代で転職を考えるなら、友人や知人、仕事のつながりから転職先を紹介してもらう方法も視野に入れましょう。

自分のことをよく知っている人に仕事を紹介してもらえば、自分に合った職場が見つかりやすくなります。転職活動を省略できる点も人脈を生かした転職のメリットです。

ただし自分には合わないと感じても、紹介者を立てるために辞めづらくなります。採用する企業の期待値が高くなるため、プレッシャーも感じやすくなるでしょう。

40代が身につけたいスキル

企業側が40代の転職者に求めているのは即戦力性です。希望の業務に直結する資格を取得しておけば、即戦力性のアピールにつながります。

社会的なニーズがなくならない仕事のスキルを磨いておくのもおすすめです。代表的な職種としては、高齢化が進む中で人手不足が深刻な介護職が挙げられます。

マネジメント経験があるかどうかも、40代の転職で見られやすいポイントです。過去の経験を生かしながら、マネジメントスキルの向上につながる勉強をするのもよいでしょう。

転職の流れ

ネクタイを締める男性

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転職活動の具体的な進め方についてステップ別に解説します。準備や応募などの作業をどのように進めればよいのかを押さえておきましょう。

転職活動前にまずは準備

本格的な転職活動を始める前に、まずは入念な準備をしておく必要があります。自分に合った仕事が見つかりやすくなるよう、キャリアの棚卸しや自己分析を行っておきましょう。

企業や業界の研究も必須です。気になる企業や業界を見つけたら、自己分析で把握した自分の強みをどのように生かせるのか、企業・業界研究で深掘りしなければなりません。

転職活動のスケジューリングも行っておきましょう。いつまでに転職したいのか、スキルを磨く時間は確保できるのかなど、できるだけ具体的に予定を立てるのがおすすめです。

書類作成・応募などの転職活動

準備が整ったら具体的な転職活動に移ります。志望求人への応募に欠かせないのが、履歴書や職務経歴書といった応募書類の作成です。

企業は応募書類に目を通した上で、応募者に面接を受けてもらうかどうかを決めます。応募書類の内容が選考結果に大きな影響を与えることも多いため、きちんと作り込みましょう。

書類選考を通過したら面接を受けます。応募書類と同様に、面接も事前にしっかりと対策を練っておくことが重要です。

内定後は退職に向けて動く

面接も無事に通過して内定をもらったら、転職先に入社の意志を伝えましょう。内定を受けるかどうか回答する期間は、1週間程度に設定されるのが一般的です。

転職先の内定を受諾した後は、現職での退職手続きを行います。退職の意志を伝える時期や引き継ぎの期間などを、就業規則できちんと確認しておきましょう。

退職するからといって現職への対応をおろそかにするのはNGです。後任者が迷わずに仕事を進められるよう、最後まで気を抜かずに引き継ぎを進めましょう。

転職に成功する人の特徴

青空の下手帳を記入するスーツの男性

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転職がうまくいく人には共通した特徴があります。転職に成功する人の考え方を知り、自分の転職活動の参考にしましょう。

転職の理由・目的がはっきりしている

退職理由・志望動機・やりたい仕事など、転職の理由や目的が明確になっている人は、転職に成功しやすくなります。

理由や目的がはっきりしていれば迷いなく動けるため、転職活動の下準備がスムーズに進みます。転職先を探す際、応募する会社も絞り込みやすくなるでしょう。

面接でも説得力のある分かりやすい受け答えができるようになり、面接官に好印象を与えられます。入社後のミスマッチを回避しやすくなる点もポイントです。

企業側の採用ニーズを考えられる

転職に成功する人の特徴としては、企業側の採用ニーズを把握していることも挙げられます。自分の希望だけで企業を選ぶのではなく、企業がどのような人を求めているのか把握しているのです。

企業側の採用ニーズをしっかりと理解するためには、徹底した企業研究が欠かせません。求人情報と併せて企業情報も深掘りすることで、企業目線でのニーズを捉えやすくなります。

企業の採用ニーズをきちんと把握できれば、作り込んだ自己PRや志望動機を面接官にアピールできるでしょう。採用ニーズに合わせてスキルアップを図ることも可能です。

希望の条件を明確にする

年収や休日日数など分かりやすい部分にばかり目を向けていると、転職に失敗しやすくなります。他の要素の調査がおろそかになり、入社後に不満が発生しやすくなるためです。

転職に成功する人は希望条件に優先順位をつけています。絶対に譲れない条件と妥協できる条件を明確にして転職先を探し、ミスマッチの発生を回避しているのです。

年収・休日・待遇にばかりこだわるのではなく、社風や成長性も考慮して企業を選んでみましょう。さまざまな視点から転職先を比較すれば、自分に合った企業が見つかりやすくなります。

スキルがないけど転職したい人におすすめの職種

ベッドへ案内する介護職員

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スキル不足から転職先がなかなか決まらないという人のために、転職先として特におすすめの職種を紹介します。どのような部分が転職に向くのかをチェックしておきましょう。

挑戦のハードルが低い「営業職」

企業の自社商材を販売する営業職は、転職したい人におすすめの職種です。基本的には専門的な知識やスキルが必要ないため、未経験者でも挑戦しやすいでしょう。

営業職はコミュニケーション能力があれば適応しやすい職種です。商材を販売するための知識や技術は、入社後に取得すれば問題ありません。

さまざまな業種で営業職が求められているため、ある程度自分の好みを反映させられる点も魅力です。インセンティブが出る企業なら、努力次第で高収入も狙えます。

人手不足に悩む「介護職」

社会の高齢化により人手不足に悩んでいるのが介護業界です。常に多くの求人が出ている上、30代以上や未経験でも採用されやすいメリットがあります。

資格を必要とするケースもあるものの、基本的には無資格で応募できます。入社後に働きながら資格を取得することも可能です。

人と接することが好きな人や明るく笑顔が絶えない人は、介護職に向くでしょう。夜間や休日に働くことが多くなるため、労働時間に制限がある人は慎重な検討が必要です。

手に職をつけたいなら「ITエンジニア」

介護職と同様、ITエンジニアも慢性的な人手不足が続いています。今後ますます需要が増加すると予想され、採用ニーズが高い職種です。

企業によっては実務経験がない応募者でも積極的に採用しています。スキルアップしていけば、年齢にかかわらず高収入を目指せる点も魅力です。

ただし、ITエンジニアとして働くためには、ある程度のスキルを応募時に示す必要があります。まったくスキルがない状態なら、エンジニアのスキルを習得する勉強が必須です。

転職を成功させるには自分を知ることが重要

デスクワークをするスーツの男性

(出典) photo-ac.com

スキルを持たない人が転職を検討するなら、年齢や目的に合った準備をする必要があります。自己分析や企業研究を行ったり、自分の市場価値を把握したりすることも重要です。

転職の理由や目的を明確にし、企業側の採用ニーズも考えれば、転職に成功しやすくなります。自分に何が必要なのかを理解し、しっかりと準備をした上で転職活動を始めましょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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人材紹介の仕事がよくわかる本
エンジニア55歳からの定年準備