現在、これといった目標もなく、毎日がただ過ぎることに危機感を覚えている人もいるでしょう。将来なりたい自分になるためには、キャリアプランを立てる必要があります。キャリアプランの意味から立て方、面接で聞かれたときの答え方まで解説します。
この記事のポイント
- キャリアプランとは
- 将来の目標達成ための計画のことで、人生経験も含む。具体的な目標に向けた計画のことであり、キャリアデザインやキャリアパスとは異なる。
- キャリアプランの重要性と立て方
- 終身雇用崩壊に伴い自分でキャリア設計する必要が高まった。設計しておくと、転職などキャリア選択の際に軸を持って行動できる。面接にも役立つ。
- 具体的なキャリアプランの立て方と注意点
- 具体的なビジョンを逆算し、小さな目標に分割する。定期的な見直しと柔軟な修正が重要。具体的な行動計画に落とし込むことも大切。
キャリアプランとは?
まずはキャリアプランという言葉の意味を解説します。似た言葉との違いも解説するので、ここで意味を理解しましょう。
目標を実現するための中長期的な計画
キャリアプランとは、自分の将来像を実現するために、どのような経歴を積んでいくかという計画のことです。キャリアは「経歴」という意味の言葉ですが、仕事だけでなく、広く人生における経験を意味する場合もあります。
1つの会社で勤め上げたいと考える人もいれば、転職や独立を視野に入れている人もいるでしょう。これから自分がどのようなキャリアを積んでいくか、ひいてはどのような人生を送りたいかを考えるのがキャリアプランなのです。
キャリアデザイン・キャリアパスとの違い
キャリアプランと似た言葉に、キャリアデザインやキャリアパスがあります。
キャリアデザインとは、将来の目標とそれを達成するための計画を具体化することです。これはキャリアビジョン→キャリアプランと順番に描くことで作られます。
会社に在籍している人であれば、さらにキャリアパスを考えることで、精度の高いデザインができるでしょう。
キャリアビジョンとは、キャリアを長い目で見た将来の理想像・目標のことです。その理想を実現するための、具体的な計画がキャリアプランです。そしてキャリアパスは、1つの会社でどのようにキャリアを積んでいくかという計画を指します。
キャリアビジョンからキャリアパスになるに従い、目標が具体的かつ短期的になっていきます。これらの設計・計画のことをキャリアデザインといいます。
キャリアプランを立てる理由
キャリアプランは目標を実現するための中長期的な目標のことです。しかしなぜキャリアプランを立てる必要があるのでしょうか。その理由を3つ解説します。
自分でキャリアを描く必要性が高まったため
現在は終身雇用の崩壊により、自分のキャリアプランを自分自身が考える必要性が高まっています。
少し前までは、1つの会社で定年まで勤め上げることが会社員の人生モデルでした。そのため、新卒で入社した会社でいかに成果を上げて昇進するか、つまりはキャリアパスだけを考えれば大きな問題は起きなかったでしょう。
しかし、定年までの雇用が保証されなくなった今では、1つの会社で勤め上げるという枠を超えて人生を設計する必要が出てきました。キャリアプランを持つことで、これからの不安定な世の中でも軸を持って行動できるようになります。
今やるべきことを明確にするため
キャリアプランを立てることで、今自分が何をするべきかが見えてきます。会社に入り、ある程度仕事に慣れてくると、ともすればただ目の前の仕事をこなすだけの毎日になってしまいがちです。
しかしキャリアプランがあることで、自分が将来の目標に向かってやなければならないことを確認できます。スキルアップや仕事でより成果を上げるための勉強をするなど、今後の行動指針が決まります。目的意識を持つことで、日々の仕事のモチベーションアップにもつながるでしょう。
転職やキャリア選択の判断基準となるため
転勤や異動などキャリアの岐路に立った際、キャリアプランに照らし合わせることで、どの選択をするべきかを判断できます。転職に迷ったときも、今の会社にいることが自分のキャリアプランの実現に寄与するのか、転職した方が良いのかを判断できるでしょう。
逆にキャリアプランがなければ、その場の感情や短期的な見通しだけで判断し、後悔する結果になる可能性があります。キャリアプランは、自分の目指すべき方向を示すコンパスのようなものと言えるでしょう。
また面接で聞かれた際にも、なぜ転職活動をしているのか、どのような企業を求めているのかを明確に答えられ、説得力が出るというメリットもあります。
キャリアプランの立て方
キャリアプランの具体的な立て方の一例を、3つのステップに分けて解説します。キャリアプランの立て方には、1つの正解があるわけではありません。下記の方法はあくまで1つの例であることを念頭に置きながら見てください。
自己分析をする
自己分析とは、過去を振り返ることで自分自身について理解を深める作業のことです。目標に向かって進むには、まずは現在地を知らなければなりません。自己分析は、今自分が立っている場所を把握する作業とも言い換えられます。
自己分析のコツは、自分の感情を動かす要因と価値観を見つけることです。以下の切り口で自問してみると良いでしょう。
- 今の仕事のやりがいは何か
- 今後どのような働き方をしたいか
- これまでの仕事でやりがいを感じた業務は何か
- 今どのようなスキルを持っているか
自分が今できることや、どのような価値観に基づいて行動しているかを把握することで、スタート地点を把握できます。
将来像を明確にする
現在地が分かったら、次は目的地を決めます。目的地とは、自分が将来なりたい姿のことです。例えば、どのような業種や職種・役職・収入を達成したいかを考えましょう。目標は必ずしも今の会社でできることでなくても問題ありません。実現したい目標があれば、可能性を捨てずに自由に考えることが重要です。
またキャリアプランは仕事のみならず、ライフプランにも関わるため「人生として・生き方として」という視点で自分の将来像を描くことも大切です。キャリアプランとライフプランを別々に考えると、整合性が取れなくなる可能性があります。
目標から逆算して道筋を考える
最後は、自己分析の結果(現在地)と目標とのギャップを埋めるための道筋を立てます。今自分ができることと将来像を比べると、これから身につけるべきスキルや経験が浮き彫りになるでしょう。
道筋を立てる際は、10年後、5年後、3年後、1年後と小さな目標に分割することがポイントです。目の前の目標を着実に達成していくことが、より大きな目標に向かって進む糧となります。
キャリアプランを立てる際の注意点
キャリアプランを立てる際には、いくつかの注意点があります。せっかく立てた目標が絵に描いた餅にならないよう、以下のポイントを押さえておきましょう。
具体的なアクションにまで落とし込む
キャリアプランを立てるときは、具体的なアクションにまで落とし込むことが重要です。アクションプランが漠然としていると、何から始めて良いかが分からず、計画が頓挫する要因になります。
アクションプランを立てるときのポイントは、直近の目標は具体的に、中長期的な目標は適度に抽象的にすることです。先の未来になるほど不確定要素が大きくなるため、ある程度の幅を持たせることで軌道修正をしやすくなります。
一番重要なことは、最終的な目標がぶれないことです。多少の紆余曲折があったとしても、目標に向かって進んでいるのであれば問題ありません。
定期的に見直す
一度立てた計画は、定期的に見直しましょう。どれだけ緻密な計画を立てたとしても、その通りに進む保証はありません。むしろ、計画通りに進まない可能性の方が高いでしょう。
最初に立てた計画に固執すると、そこから外れてしまったときにやる気をなくす原因になります。そのときの状況に応じて柔軟に軌道修正をすることが、キャリアプラン達成の重要なポイントです。
計画通りに進まないことも予定に入れておくと、より現実的なプランになるだけでなく、心にも余裕ができるでしょう。
年代別キャリアプランの考え方
年代によって、キャリアプランの考え方が異なります。新入社員と中堅、ベテラン社員の場合に分けてそれぞれどのように考えれば良いのかを解説します。
新入社員の場合
新入社員の場合は、最初に立てたキャリアプランにこだわり過ぎず、柔軟さを持つことが重要です。新入社員は下積みから始めるケースが多く、いきなり自分のやりたい仕事をさせてもらえるケースは多くないでしょう。
最初のキャリアプランにこだわり過ぎると「思っていた仕事と違う」とギャップを感じる要因にもなるため、幅広く経験を積む姿勢が重要です。
また、入社前に立てたキャリアプランは、自分自身の経験や知識がまだ浅い状況で立てたものです。そのため、時間の経過とともにより精度の高いものにしていく姿勢を持つのが良いでしょう。
中堅社員の場合
ある程度知識と経験を積んだ中堅社員は、今までの経験を元に、より具体的なキャリアプランを考える必要があります。例えば、専門的な領域に進んでいくのか、管理職を目指すのかといったことです。目指すものと目指さないものの取捨選択も大切になります。
また、現在の自分の市場価値を測ることも重要です。キャリアプランと現職で実現できることにギャップがある場合は、自分をさらにレベルアップしていける企業を探すのもおすすめです。
ベテラン社員の場合
40代以降のベテラン社員の場合は、市場価値の向上に重きを置くことが重要です。定年を過ぎても働いている人がいる一方で、早期退職も視野に入る年齢に差し掛かっているともいえます。これから起こりうるどのような変化にも対応できる準備が必要でしょう。
これまでの経験を生かして事業を推進する役目を目指すのもよし、異分野に挑戦するのもよしです。経験やスキルは豊富に積んでいるはずなので、それをどのように伸ばすかは自分次第です。いずれの場合も、継続的な勉強が求められます。
キャリアプランは面接でも聞かれる
キャリアプランは転職の面接でもよく聞かれます。面接でキャリアプランを聞かれる理由や質問・回答例を解説するので、転職を検討している人はぜひ参考にしましょう。
面接でキャリアプランを聞かれる理由
面接でキャリアプランを聞く目的は、応募者のビジョンが自社とマッチしているかを見極めることです。向いている方向が同じかどうかは、応募者のやりたいことがその企業で実現できるかを左右します。キャリアプランはミスマッチを防ぐための重要なファクターです。
例えば、会社側は管理職として若手の教育や事業の推進を任せたいと思ったとしても、応募者がプレイヤーを希望していれば双方の利害が衝突してしまいます。これではせっかく転職した応募者も、コストをかけて採用した企業もWin-Winではなくなってしまうでしょう。
ただし、これはキャリアプランに正解や不正解があるということではありません。むしろ人それぞれが自分のキャリアプランを持っているからこそ、企業は応募者が自分たちと同じ方向を向いているかを確かめる必要があるのです。
キャリアプランに関する質問例
面接においては、以下のような聞き方でキャリアパスを尋ねられることが多くあります。
- キャリアプランは何か
- 5年後や10年後どうなっていたいか
- 将来の目標は何か
上記はいずれも、将来的にどのような人物になっていたいかを聞かれていることがわかるでしょう。上記に続く質問として、キャリアプランを実現するために現在取り組んでいることを聞かれるケースもあります。
質問の意図を理解することは、面接だけでなくコミュニケーション全般において重要です。的を射た回答ができるよう、質問のパターンを把握しておくことも大切です。
面接で聞かれたときの答え方
キャリアプランを答えるときは、結論(目標)を述べた後に、具体的な計画、最後に今取り組んでいることの順に話すとスマートです。話の内容が具体的かつ現実的であることも意識しましょう。
例えば、キャリアプランを立てたときのように10年後、5年後、3年後それぞれで達成していたい目標を話すと、長期・短期的なスパンで考えられていることをアピールできます。
また、回答の内容が応募先企業と結びついているとなお良いでしょう。興味を持ってもらい、さらに質問をしてもらえることが期待できます。そのためにも、キャリアプランについての回答内容は事前にまとめておくことがポイントです。
キャリアプランを描いて目標を実現しよう
キャリアプランは、今や社会人なら誰でも持っておくべきといっても過言ではないでしょう。キャリアプランを持つことで不安定な世の中を生き抜き、目的を持ってかつ日々の仕事に取り組むことができます。
またキャリアプランに関する質問は面接でもよく聞かれます。自分と企業が向いている方法がマッチしているかを確かめることが目的です。答えるときは、具体的な計画から現在取り組んでいることまでを述べられると好印象です。
ぜひこの記事を参考に、キャリアプランを立ててください。プランの中に転職の選択肢があるようなら、国内最大級の求人サイト、スタンバイをチェックしてみましょう。