座右の銘に面白さをプラス!面接官の印象に残る座右の銘の選び方

採用面接で、座右の銘を聞かれることがあります。面接官が何を確認しようとしているのかを知り、事前に準備しておかないとうまく答えられません。面接官の印象に残る面白い座右の銘や、答え方のポイントをチェックしましょう。

そもそも座右の銘とは?

マジックペンを手にしている男性

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座右の銘は、採用面接で聞かれることが多い質問の1つです。意味を理解していないと、間違った回答をしてしまいます。まずは、どんな意味を持つ言葉なのかチェックしましょう。

教訓とする言葉

座右の銘は、いつも自分のそばに置いて、繰り返し確認したくなる言葉を表します。「座右」は「身近なところ」を意味し、「銘」は「金属や鉱物などに刻み付けた文字」という意味です。

自分の考えや行動を戒めたり励ましたりする、教訓のように利用します。「信念」と言い換えてもよいでしょう。

間違った行動をしそうになったときや、どのように生きるべきか迷いが生じたときなどに、座右の銘を思い出して軌道修正するのです。

企業が座右の銘を聞く目的

面接をする男性面接官

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なぜ、座右の銘を聞かれるのかが分かっていないと、面接官の印象に残る答えを言えません。どんな目的で座右の銘を聞いているのか、見ていきましょう。

応募者の価値観を知るため

座右の銘からは、応募者の価値観を確認できます。企業と応募者の相性を探るために、「応募者が何に価値を置いているのか」を知ることは効果的です。

例えば、座右の銘を尋ねたときに「時は金なり」という答えが返ってくれば、時間の使い方に大きな価値を見出している人だと判断できます。

企業と応募者の価値観があまりにもかけ離れていると、応募者が仕事で実現したいことをかなえられません。企業側はできるだけ長く働いてくれる人を求めているので、価値観が違いすぎないか気にしているのです。

応募者の人となりを測っている

採用面接は限られた時間の中で、応募者の人となりを探らなければなりません。少ない時間でも効率よく相手の本質を見極めるために、座右の銘を尋ねています。

例えば、「質素堅実」を座右の銘にしている人と、「豪放磊落(ごうほうらいらく)」を座右の銘にしている人では想像できる人柄が違うでしょう。前者は実直な印象を与え、後者は大胆な印象を与えます。

一緒に働く上で、人柄を知ることは大事です。人柄が社風にマッチしている人は、相性がよい人材だといえます。

仕事への取り組み方を見るため

その人の座右の銘を知れば、仕事への取り組み方も見えてきます。ゴールが同じだったとしても、達成するまでの取り組み方は人それぞれです。何を大切だと思うかによって、その人の行動方針が見えてきます。

例えば、「急がば回れ」が座右の銘なら、時間がかかっても安全な方法を選択する人です。「案ずるより産むが易し」を座右の銘にしている場合は、あれこれ心配するよりも実際にやってみることを重視している人だと分かります。

座右の銘によって、どのように仕事を進めるタイプなのかも見えてくるものです。何気ない質問のようですが、慎重に答える必要があることが分かるでしょう。

おすすめの面白い座右の銘「ことわざ」

国語辞典

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面白いと思える座右の銘を持っていると、面接官により強く印象付けられます。座右の銘を考える際に参考になる、ことわざをチェックしましょう。

しゃくとりの屈めるは伸びんがため

「しゃくとりの屈めるは伸びんがため」とは、「将来成功するために、不遇な状況にあっても必死に耐えること」を意味します。「しゃくとり」はしゃくとり虫のことで、伸び縮みしながら動く虫の動きが由来となっている面白いことわざです。

しゃくとり虫が前進しようとするとき、身を縮ませる様子は何かに耐えているように見えますが、縮んだ後は必ず前に進むことが由来となっており、前向きな意味で使えます。

【例文】

私の座右の銘は「しゃくとりの屈めるは伸びんがため」です。営業成績が伸びず落ち込んでいるときに主任からかけてもらった言葉で、仕事で思うようにいかないことがあったときに思い返しています。

つらいことを乗り越えれば必ず成長できると信じ、理不尽だと思えることがあっても耐えられました。どんな仕事でも、前向きに取り組んでいきたいです。

 

山椒は小粒でもぴりりと辛い

「山椒は小粒でもぴりりと辛い」は、料理や漢方薬などに使用される植物の山椒が由来となった、面白い言葉です。刺激的な香りや味がするので、風味付けなどに重宝されます。

「山椒の実のように体が小さくても、思いもよらない才能や力を秘めていること」を意味することわざです。

「人は見た目だけでは判断できない」と戒めることわざでもあり、一見実力がなさそうに見えても、よい働きをする人や優れた才能の持ち主を賞賛する際に使用します。

【例文】

私の座右の銘は「山椒は小粒でもぴりりと辛い」です。私は小柄であることがコンプレックスでしたが、この言葉に勇気をもらい、存在感のある人物になりたいと願って内面を磨いてきました。

仕事でも「ぴりりと辛い」と思ってもらえるような、するどいアイデアを出していきたいです。

 

人間万事塞翁が馬

「人間万事塞翁が馬」は「不幸だと思ったことが幸福につながる場合もあるから、簡単には判断できない」という意味があります。中国の故事に由来することわざです。

老人が飼っていた馬が逃げてしまい悲しんでいると、逃げた馬が別の馬を連れて戻ってきます。老人は得をしたと思い喜びますが、今度は馬が原因で息子がケガをしてしまいました。

再び悲しみに暮れる老人でしたが、ケガをしたおかげで息子は戦争に行かずに済み、思いがけない幸運を手にしたという面白い話がもとになっています。

「人生は思いもかけないことがあるから、不幸な出来事に振り回されてはいけない」という戒めの意味でも使われている言葉です。

【例文】

私は「人間万事塞翁が馬」を座右の銘にしてから、思いもよらないトラブルに対して必要以上にクヨクヨしなくなりました。

どんなに注意していても、小さなミスやトラブルが発生することはありますし、その度に振り回されていては時間を無駄にしてしまいます。

仕事でミスが起きた場合も、落ち込むことに時間を使いすぎるよりも、同じミスをしないために何が大切かを建設的に考えることが大事だと考えています。

 

おすすめの面白い座右の銘「四字熟語」

辞書と本

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四字熟語の中にも、座右の銘として使えるものは豊富にあります。面接官の印象に残る面白い言葉や、答え方の例を見ていきましょう。

猪突猛進(ちょとつもうしん)

「猪突猛進」は、「猪がまっすぐに進む様子」を意味する四字熟語です。座右の銘として使う際は、目標に向かってちゅうちょなく突き進む「行動力」をアピールする目的で使うとよいでしょう。

人によっては、後先を考えずに物事を行ってしまうイメージを持つことがあるので、伝え方に注意する必要があります。

【例文】

私の座右の銘は「猪突猛進」です。慎重すぎて失敗した経験から立ち直れずにいたときに、尊敬する先輩から教えてもらいました。

目標を達成するまでの計画は慎重に立てつつ、計画を実行に移す際は脇目を振らずに突き進むことを意識して行動しています。ライバルに後れを取らないように、進むべき時期を見誤らず前進したいです。

 

七転八起(しちてんはっき)

「七転八起」は、ダルマが語源となった面白い四字熟語です。ダルマを転がしたとき、必ず立ち上がってくる様子から、何回倒れても立ち上がるという「くじけない気持ち」を表しています。

粘り強さや諦めない強さを感じさせるので、座右の銘としてよく使われている言葉です。

【例文】

私の座右の銘は「七転八起」です。数年前、交通事故に遭ったときに足をケガして入院しました。術後しばらくたってリハビリが必要になり、あまりの痛さに途中で逃げ出したくなりました。

そんなとき、理学療法士さんに「七転八起の精神で頑張ろう」と声をかけてもらい、最後まで頑張ることができたのです。今では、事故に遭う前と変わらず歩けるようになりました。

仕事で困難に直面したとき心の中で唱えていると、リハビリのつらさに比べれば頑張れると感じ、勇気が湧いてきます。

 

点滴穿石(てんてきせんせき)

「点滴穿石」は、「一滴の水が長い間滴り続けると、石に穴を開けられる」という意味の四字熟語です。些細に思えることでも、長い間根気よく続ければ大きな結果を出せるという前向きな意味で使われます。

【例文】

私の座右の銘は「点滴穿石」です。小さなことも積み重ねれば、大きな成功をもたらすという意味を持っています。

私はこれまで、何度も簿記の試験に落ちました。前職では、仕事量が多く残業を、長時間の残業をせざるを得ない状態だったので、途中で投げ出しそうになったこともあります。

しかし、まとまった勉強時間が取れなくても毎日続けることが大事だと感じたので、1日1時間の勉強を続け、日商簿記検定試験2級に合格しました。コツコツと努力を積み重ねることの大切さを忘れずに、仕事に取り組みたいです。

 

おすすめの面白い座右の銘「名言」

辞書を開き勉強するイメージ

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歴史上の偉人は、多くの名言を残しています。座右の銘を印象的にアピールしたいときに、役立つ名言をチェックしましょう。

牛のように図々しく進んで行く

明治から大正にかけて活躍した文豪の夏目漱石は、後輩の若い作家に宛てた手紙に「むやみにあせってはいけません。ただ牛のように図々しく進んでいくのが大事です。」と、書いて励ましました。

「理想をかなえるためには自分が信じる道を力強く、根気よく進んでいくことが大事だと諭す内容」となっています。

牛は、おっとりとしているようですが、大きな体格をしているので力強さがあり、少々のことには動じません。牛を図々しいと表現するところは面白いですが、受け取り方次第では深い意味が感じられる言葉です。

【例文】

私の座右の銘は、夏目漱石が残した「牛のように図々しく進んで行く」という言葉です。学生時代、自分が進む道を決められず悩んでいたときに出会って以来、大切にしています。

前職で何度も競合他社に負け、思ったような結果を出せないことに焦っていたときも、この言葉を支えに粘り強く挑戦し続けることができました。

 

人生は一度きり

フランスのデザイナーであるココ・シャネルの名言です。「人生は一度きりしかないのだから、困難にめげず、楽しみを見つけて前に進むべき」という意味があります。

ココ・シャネルは、世界中で知られているラグジュアリーブランドの創設者として有名ですが、その人生は決して順風満帆なものではありませんでした。そんな彼女が語った言葉だからこそ、説得力を感じさせるものとなっています。

【例文】

私は大きな決断をしなければならないとき、「人生は一度きり」という言葉を胸に、迷いを断ち切ってきました。挑戦した方が自分や周囲にいる人の利益になると感じたら、迷いを捨てて積極的に取り組むようにしています。

職務を遂行するにあたり、たとえ困難な道であっても、どこかに自分なりの楽しみ方を見つけるようにしながら前進していきたいです。

 

天才とは努力する凡才のことである

物理学者のアインシュタインは「天才とは努力する凡才のことである」という名言を残し、努力の大切さを伝えています。

最初から天才の人は存在せず、努力を続けてきたからこそ、天才だと呼ばれるようになるという意味です。天才的な物理学者だと評されている人の言葉だけに、重みが感じられます。

【例文】

私は自分に特別な才能が何もないことに、悩んでいた時期があります。そんなとき、アインシュタインの「天才とは努力する凡才のことである」という言葉に出会い、自分には努力が足りないと感じました。

才能だといえるものを見つけるには、さまざまなことに挑戦しなければなりません。努力を続けることは無駄ではないと思うとモチベーションがアップし、うまくいかないことがあっても物事を途中で投げ出さないようになりました。

 

座右の銘を選ぶ際のポイント

手帳に記入している女性

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座右の銘の選び方が分かっていないと、人柄や考え方などを面接官にうまく伝えられません。どんな選び方をすればよいのか見ていきましょう。

自分が共感できる言葉を選ぶ

座右の銘は、自分に無関係のものを選ぶのではなく、共感できるものを選ぶことが大切です。面接官は応募者の価値観や人柄を知りたいと思って質問しているので、上辺だけでよいと思った言葉を言っても意味がありません。

「本心から共感できる言葉」を選ぶと、それを座右の銘にした理由や、どのような場面で強く意識するのかといったエピソードを詳しく伝えられるようになります。

うまくいかない出来事や深い悩みにぶつかった結果、○○を座右の銘にして乗り越えようと思った、という要領で説明できるものを選びましょう。

企業理念に沿ったものを選ぶ

転職活動をするにあたって座右の銘を決めようと思っているなら、入社を希望する会社の企業理念に沿うものを選びましょう。企業との価値観が近いものを選んだ方が、自社との相性がよいと判断してもらえます。

「この会社で働きたい」と思った会社の企業理念と、自分の考え方に大きなズレがある場合は、転職先の決め方が間違っている可能性があります。

座右の銘を持っていると面接対策だけでなく、自分にふさわしい会社を選ぶときにも役立つのです。

仕事内容に合ったものを選ぶ

仕事内容によっても、マッチする座右の銘は変わります。例えば、接客業や販売職などは、人との接し方が重要な仕事です。

「人とのつながりを大切に考えている」と感じられる言葉を座右の銘にしている人であれば、仕事への適性を感じられます。チームワークが重要な仕事も同様です。

志望動機にもつながってくるので、矛盾がないようにしたい部分だといえます。自己PR・長所・短所など、ほかの項目と見比べたときに大きなズレがない座右の銘を選ぶことも大事です。

自分を表す面白い座右の銘で好印象を

女性面接官と社員

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座右の銘の中には、成り立ちや物事の見方が面白いものがあります。採用面接で座右の銘をうまく答えられれば、好印象を与えられるでしょう。その場で適当なものを答えようとしてもうまくいかないので、事前に準備することが大事です。

同じ言葉であっても、どのように解釈するかによって、その人の個性が見えてきます。自分の考え方を端的に表せるものや、生き方のヒントにしているものを選び、人柄や考え方を上手にアピールしましょう。