転職での自己分析のやり方は?おすすめツールや注意点も解説

転職を成功させるには、徹底した自己分析が不可欠です。自身の強みややりたいこと、将来のビジョンや自分に合った企業などを知ることで、転職の成功率が上がります。転職での自己分析のやり方やおすすめのツール、注意点などについて解説します。

転職に自己分析が必要な理由とは?

ネクタイを締めるスーツの男性

(出典) photo-ac.com

まずは、転職に自己分析が必要となる理由について知りましょう。自己分析が転職においてどのように役立つのかを理解することで、明確な目的を持って取り組めます。

自分の強みやスキルを明確にするため

これまでの経歴を振り返り分析することで、自身の強みやスキルが明らかになります。強みやスキルと聞くと、経験年数や資格の有無など目に見えるアピールポイントが必要であると考える人も多く、自分には何の強みもないと悩んでしまうことも少なくありません。

しかし、専門的な知識や資格を有していなくても、強みというのは誰にでも必ずあるものです。

これまでの仕事を通して達成したことや褒められたことなど、小さなことでもよいので1つずつ書き出してみましょう。自分自身にできることや得意なことを把握することで、面接での自己PRもスムーズになります。

自分が重視することを見極めるため

世の中には数えきれないほどの求人があるため、やりたいことや希望の労働条件が定まっていないと、応募先の企業を絞るのが困難になります。

「何となく面白そう」や「給料がいいから」などの曖昧な志望動機で転職先を選ぶと、入社後に現実とのギャップに苦しむリスクも高くなります。

「どんなことに興味があって、どんな瞬間にやりがいを感じるのか」といった、仕事においての自分の価値観をしっかりと把握しておくと、自分に合った企業選びが楽になるでしょう。

やりたいことが分からないという人は、絶対にやりたくないことや絶対に譲れない条件を挙げていくのも1つの方法です。

転職が最善であるかを判断するため

新卒にしても転職にしても、仕事や会社が本当に自分に合うかどうかは、実際に入社してみてからでないと分かりません。できる限り理想と現実の差をなくすための最も有効な手段が、徹底した企業研究と自己分析なのです。

転職してから「やっぱり前の会社の方がよかった」と後悔することのないように、自分の将来にとって転職が最善の方法なのかを見極めることが重要です。

「転職で実現したいことは何なのか?」「転職でないとかなえられないのか?」「なぜ応募先の企業なのか?」ということを細かく掘り下げ、転職が最善であると確信が持てるまで自己分析を行いましょう。

自己分析の3つの軸

三本指を立てるスーツの男性

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自己分析において重要な「Will」「Can」「Must」の3つの軸について解説します。この3つの軸がしっかりしていれば目標や気持ちがブレることもなく、転職での自己分析にはもちろん、人事計画やビジネスプランの設計などにも役立てられます。

やりたいこと【Will】

Willは、近い将来から長期的な目標まで「何がやりたいのか?」という自分の意思に関する部分です。実現できるできないに関係なく、まずはこの先やりたいことを挙げてみましょう。

ここで注意したいのが、Willは「転職すること」にはならないということです。

「仕事を変えたい」「休みたい」といった目先の願望ではなく、「英語を使った仕事がしたい」「残業しなくても稼げるスキルを手に入れたい」など、転職によって実現したいことを具体的に洗い出すのがポイントです。

また、5年後・10年後など長期的なスパンでプランを立てた方が、より目標が明確になります。

できること【Can】

Canは、強みやスキルなど「自分にできること」です。就業経験や保有資格などのキャリアに関することだけでなく、コミュニケーション能力や継続力など個人の特性でも問題ありません。

謙遜せずに、少しでもできること・得意なこと・人に褒められたことなどを挙げてみましょう。自分にできることが分からないという場合は、身近な人にヒアリングしてみるのもおすすめです。

正確に把握できていると自己PRにもつながるため、遠慮の気持ちは捨てて自分のよいところをたくさん見つけましょう。

やらなければいけないこと【Must】

Mustは、業務内容や就業環境など「入社したらやらなければいけないこと」です。例えば、ホテルフロントの受付に転職したら必ず接客が発生しますし、リモートワークを実施していない会社に入社したら週5日の出勤が必要です。

このように、「企業にどんなことを求められているのか?」というのが、Mustの部分にあたります。

WillとMustがかけ離れていると入社してから苦労するため、やりたいことだけでなく、入社したら何をやる必要があるのかもしっかり考えましょう。

自己分析のやり方は?3ステップで紹介!

パソコンを見ながらノートを書く

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続いて、自己分析の具体的なやり方を説明します。3つのステップで完結するので、順を追って丁寧に分析していきましょう。

これまでの経歴を振り返る

まずは「どのような仕事をしてきたのか?」「仕事を通じて得たスキル」「成功体験や失敗体験」など、社会人になってからこれまでの経歴を振り返ります。

単に職歴を書き並べるだけでなく、仕事で関わった人や力を入れたことなど、細かい部分まで丁寧に棚卸しを行うとより効果的です。整理しやすくするために、オリジナルの年表を作成してみるのもよいでしょう。

これまでやってきたことについて深堀りすることで、自己PRや今後の目標を設定する手助けにもなります。

自分の性格や価値観を分析する

次に、これまでに起こした行動の傾向などから、自分の性格や価値観を分析します。人生を幼少期から思い返し、「どんな子どもだったのか?」「何をして遊ぶのが好きだったのか?」など、現在の人格が形成されるまでの歴史を振り返りましょう。

子どもの頃や学生時代の話は、一見転職には関係ないように思えるかもしれませんが、どんな背景があって今の自分ができあがったのかを理解するのは大切なことです。

子どもの頃からこれまでにおいて、意思決定をする際の判断基準などで、自身が重視している価値観が浮き彫りになることもあります。

将来のビジョンを明確にする

自分がこれまでどんなことをしてきて、どんな性格なのかを理解したら、最後は将来のビジョンについてです。

3つの軸で紹介した「Will」に該当する部分で、これから成し遂げたいことなど人生においてのゴールを設定します。

未来年表を作成して1年ごとに目標を設定するなど、より細かい計画を立てるほど人生全体のビジョンが明確になります。

仮にこの先の環境や気持ちの変化に伴い、180度ビジョンが変わっても問題はありません。その通りに進まなければいけないというものでもないため、深く悩みすぎずに現時点での目標を立ててみましょう。

自己分析におすすめのツールは?

パソコンを操作しながら考える男性

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自己分析にはどうしても主観が入ってしまうことも多く、自分自身を客観的に深く分析するのは難しいと感じる人もいるでしょう。ここでは、自己分析に役立つおすすめのツールを紹介します。

エニアグラム

エニアグラムは1960年代に作られ、現在では世界中に広まっているメジャーな心理学テストの1つです。

90問の質問に答えることで「改革する人」「人を助ける人」「達成する人」「個性的な人」「調べる人」「忠実な人」「熱中する人」「挑戦する人」「平和をもたらす人」の9つのタイプに分類され、自分の性格や価値観を客観的に知ることができます。

インターネットで無料でテストを受けることができ、手軽に性格診断が行えるのも特徴です。

日本エニアグラム学会

CIY(COLOR INSIDE YOURSELF)

CIY(COLOR INSIDE YOURSELF)は、123問の質問に回答すると、26万通り以上の結果の中から資質や個性が診断されます。

結果に応じたオリジナルのアイコンが作成され、ゲーム感覚で楽しみながら性格診断ができる人気のアプリです。

1人1人の診断結果に基づいて、自動で自己PR文を作成してくれるのも大きな特徴です。

AIに職業選択おまかせ|採用サービスCIY®(シーアイワイ)

ストレングス・ファインダー

クリフトンストレングス(旧:ストレングスファインダー)は、アメリカの心理学者ドン・クリフトンが考案した強み発見ツールです。診断を受けるためには専用の本かアカウントを購入し、webかアプリ上で実施します。

34の資質の中から上位5つの強みが判定され、自身の強みや仕事への生かし方を把握できます。

クリフトンストレングスオンライン才能テスト | JA - ギャラップ

転職で自己分析をする際の注意点

書類を手にしている男性

(出典) photo-ac.com

最後に、転職で自己分析を行う際の注意点について解説します。応募先の企業にしっかりと自己分析ができているという印象を与えるためにも、次の2点には気を付けましょう。

客観的な視点を持つ

自己分析を行う際には、客観的な視点を持つことが重要です。自分で自分を見る視点と、人から見た視点が100%一致することはなかなかありません。

自分では当たり前と思っていることが、人から見たらすごい才能ということもありますし、その逆もまたしかりです。

主観だけで分析するのではなく、人から言われたことを思い出したり、他己分析を依頼したりするなど、客観的な意見も取り入れましょう。自己分析を作成したら、一度身近な人に内容をチェックしてもらうのもおすすめです。

新卒の就活よりも深堀りが必要

新卒の場合は就業経験がないため、自己分析は興味のあることや、これからやってみたいことなどが中心となります。

しかし、転職においてはこれまでの経験やスキルなどが重要視されるため、新卒時代の感覚で自己分析を行うと転職活動が難航する可能性が高くなります。

新卒よりも深堀りが求められることを意識し、徹底的に自分自身について掘り下げましょう。また、長所やスキルだけでなく、短所やできないことなどマイナス面も把握しておくことも重要です。

しっかり自己分析して転職を成功させよう!

転職のイメージ

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転職というのは、人生をよりよい方向に進めるための1つの手段です。理想とする人生を歩んでいけるよう徹底的に自己分析を行って、自分にとって最適な道を選ぶことが求められます。

これまでの人生や自分自身に対して、とことん向き合う機会というのはそう多くはないため、疲れてしまうかもしれません。

しかし、自分を知ることが転職成功への第一歩となるため、3つの軸やツールを活用しながらじっくりと自己分析を行っていきましょう。

井上真里
【監修者】All About キャリアカウンセラー/起業・経営ガイド井上真里

採用コンサルタントおよび現役人事。慶応大学卒業後、東証一部上場企業2社で人事を担当。20代で独立し企業の採用コンサルティングを行う傍ら、個人の面接指導やキャリアコンサルティングに従事。書籍、雑誌、テレビなどメディアに出演。現在はキャリアコンサルタントおよび企業の人事責任者として、個人側・企業側双方の立場から、心も経済的にも豊かなキャリアを描くための支援を行う。
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著書:
就活女子のための 就活迷宮から抜け出すトビラ (TAC出版)