現在治療中の病気や持病、既往症を履歴書に書いてしまうと、採用してもらえないのではないかと心配している人もいるかもしれません。履歴書の健康状態欄には何を書けばよいのか、病気・けが・既往症などケース別の例文とともに解説します。
この記事のポイント
- 採用担当者の目線
- 採用担当者が知りたいのは、通常業務に支障があるのか、特別な配慮や設備が必要なのかという点です。
- 書き方の基本ルール
- 病名や治療法などではなく、通常業務に支障があるかないかが分かるように記載します。
- 病気や後遺症があっても転職を成功させる方法
- 自分の健康状態に無理のない働き方や、病気や障害に理解のある転職先を見つけることで、転職を成功させられます。
履歴書の健康状態はどう書く?
履歴書にはできるだけポジティブなことを書いて、自分をアピールしたいものです。そのため、履歴書の健康状態の欄に持病や既往症などのネガティブな情報を書くと、採用してもらえないのではないかと心配する人もいます。
履歴書の健康状態欄の意味と書き方について、基本ルールを確認しておきましょう。
通常業務に支障がなければ「良好」
履歴書の健康状態欄は、採用の合否を大きく左右する要素ではありません。採用担当者が気になるのは、通常の業務に支障がないか、特別な配慮や設備が必要かどうかということです。
現在病気やけががあっても、業務を行うことに何の問題もないという場合には、「良好」と書きます。高血圧や頭痛などの持病があっても、薬でコントロールできているのであれば、「良好」とシンプルに記載するだけでよいでしょう。
病気やけがが原因で退職した経験があったとしても、現在は治っていて業務が問題なく行えるのであれば、記載する必要はありません。この場合にも「良好」とだけ記載します。
配慮が必要なことは記載
業務そのものには問題がなくても、定期的な通院のために、休暇や早退の申請が必要なケースもあるでしょう。この場合にも「良好」と書きます。業務に問題がないことをはっきりさせるためです。そして、通院が必要であることを書き加えます。
この場合、病名や症状を記載するかどうかは個人の判断になりますが、基本的には記載不要です。
業務そのものに支援が必要、できない作業がある、配属に配慮が必要といった場合には、配慮してもらいたい内容とその理由を簡単に記載します。病名については、簡単に説明した方が理解してもらいやすいかもしれません。
うそはNG
履歴書は全ての項目をきちんと埋めることが基本です。どのような理由であれ、空欄で提出することがないようにしましょう。
通常業務に影響を与える可能性がある場合には、正直に書くことで誠実な人となりを評価してもらえます。健康状態欄がなければ、備考欄などに書くとよいでしょう。
うそをついて「良好」と書き、入社後に実際の健康状態がばれてしまうと、信頼関係が崩れてしまいます。その後の人間関係にも支障が出るでしょう。
なお、休職期間がある場合には、履歴書ではなく職務経歴書に記載します。
履歴書の健康状態の書き方【ケース別例文】
さまざまなケースで実際に使える記載例文を紹介します。病気やけがとひと口にいっても、症状や日常生活への影響、対処方法などはそれぞれに異なります。「自分のケースではどう書けばよいのか」と迷っている人は、参考にしてみてください。
けがのケース
<履歴書を記載する時点でけがをしているが、入社予定日には完治しているケース>
「良好」
「良好(現在、骨折の治療中ですが、今月末で治療は終了します)」
<治療が完了したけがに後遺症はあるが、通常業務を問題なく行えるケース>
「良好」
「良好(過去に治療したけがの後遺症がありますが、業務に支障はありません)」
<けがの治療は終わっているが、一部の業務を免除してもらいたいケース>
「治療を終えたたけがの後遺症でしびれがあります。通常業務に支障はありませんが、1人で行う高所作業は免除させていただきたいと思います。」
<過去に大きなけがをしたせいで定期健診が必要だが、通常業務に支障がなく、通院も公休日であるケース>
「良好」
「良好(現在、治療を終えたけがの定期健診に通っていますが、通常業務に支障はありません)」
<けがで一定期間頻繁な通院が必要なケース>
「現在、けがの治療をしています。治療が終わる〇月まで2週に1回、通院のため半休を希望いたします。」
病気のケース
<持病があり薬を服用しているが、通常業務や日常生活に支障がないケース>
「良好」
<持病があり薬でコントロールできているが、自己注射などでシフトや休憩時間に配慮が必要になるケース>
「糖尿病の持病があります。通常業務は問題なく行えますが、1日に数回自己注射をするために短時間席を外すことがあります。ご理解いただければと思います。」
<持病そのものは業務に支障を与えないが、配慮が必要なシーンが想定されるケース>
「良好(通常業務に支障はありませんが、腰痛の持病があるため、重いものを運ぶなど腰の負担になる作業はできません)」
<うつ病などの精神疾患を患っているが通常業務に支障はなく、定期的な通院のために休暇や早退を申請する必要があるケース>
「良好(業務に支障はありませんが、持病の治療で3カ月に1回ほど通院のための半休を希望します)」
既往症のケース
<過去にうつ病などの精神疾患を患っていたが、現在完治しているケース>
「良好」
<過去に持病があったが手術や治療で完治し、経過観察のため通院しているが、休暇や早退の申請は必要ないケース>
「良好」
<過去に病気で休職していたが現在は回復しており、経過観察のための通院で休暇や早退を申請する可能性があるケース>
「良好(治療を終えた病気の経過観察で、6カ月に1回程度通院のための休暇取得を希望します)」
<治療が完了した病気の後遺症のため一部の業務を免除してもらいたいケース>
「以前、脳梗塞で治療を受け、現在は治っています。通常業務に支障はありませんが、めまいのリスクがあるため、高所作業の免除をお願いいたします。」
記載に迷うケースでは
書くべきかどうか、あるいはどう書けばよいのかと迷うケースもあるでしょう。その場合に考えておきたい2つのポイントを解説します。
個人情報の記載には慎重な判断を
履歴書の内容は正直でなければなりませんが、病気・けが・障害は個人情報であり、全てを開示する必要はありません。
また、既往症や服用している薬の内容などの情報は個人情報保護法が定める「要配慮個人情報」であり、履歴書に記載する必要のないものです。これは、うつ病などの精神疾患についても同様であることを覚えておきましょう。
現在治療中であっても通常業務に直接影響を与えない場合には、無理に記載しないことでプライバシーを守れます。
出典:「要配慮個人情報」とはどのようなものを指しますか。また「要配慮個人情報」にかかる留意点は何でしょうか。 |個人情報保護委員会
業務に支障が出ない転職先を選ぶ
治療中の病気やけががある、障害や後遺症があるという人は、現在の健康状態でこなせる職種や働き方を選ぶ必要があります。デスクワーク中心の業務やテレワークであれば、負担を軽くできるかもしれません。
企業の規模や理解度もチェックしましょう。通院などのためにシフトや休暇に配慮が必要な場合、規模の小さな会社では穴埋めできる人がいないかもしれません。万が一病気が再発した場合のことを考えると、十分な人員を確保できている企業の方が安心です。
病気や障害などへの理解が深く、バリアフリーや多様な働き方を受け入れている企業もあります。
健康状態に合った企業選びで転職を成功させよう
履歴書の健康状態欄は、通常業務に支障があるかどうかを採用担当者に知らせるものです。過去の病歴はもちろん、通常業務に支障がない治療中の病気についても、特に記載の必要はありません。
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