有給取得の理由は伝えなくてOK。拒否された場合の対処法は?

有給を取得する際には、どんな理由で申請したらいいか悩みませんか? そもそも有給を取得するときに、理由を伝える必要はあるのでしょうか。有給取得時にうそを伝えた場合や拒否された場合の対応に加え、トラブルが起きにくい取得理由を紹介します。

有給はどのような理由でも取れる

手帳とペン

(出典) photo-ac.com

有給を取得するときに理由を求められる場合もありますが、実際には取得理由を会社に伝える義務はありません。有給取得時の一般的な理由に加えて、有給の取得に関わる近年の動きについて解説します。

有給取得理由は「私用」でOK

有給取得時に具体的な理由を会社に伝える必要はなく、申請書の理由欄は未記入のまま提出しても問題ないケースが大半です。ただし空欄であることを理由に書類不備とされないために、「私用のため」と書くのが一般的です。

会社内でのローカルルールは別にして、法的には有給の取得理由を伝えることは義務付けられていません。また、理解のある上司に申請書を提出する場合は、正直に具体的な理由を記載しても問題ない可能性もあります。

取得理由を聞くこと自体が問題に

本来は、理由によって有給を付与するか否かを、会社が判断することはありません。理由を伝えることで、パワハラやセクハラに該当する恐れもあります。

そのため、近年では理由欄のない申請書を用いる会社が増えてきており、取得理由を聞く会社の方がマイナーといえるでしょう。

業務を円滑にするために、たとえば「登山で電波が入らない場所に行く」など、緊急時のことを想定したやりとりが、お互いの合意のもとでされるのは問題ないでしょう。ただし基本的には、会社として取得理由を聞くことで起きる問題があることも知っておいたほうがよいといえます。

働き方改革で有給取得は義務に

働き方改革に伴って、有給を10日以上付与される労働者を対象として、年に5日の有給を取得することが義務付けられました。正社員だけでなく、管理監督者や契約社員、アルバイト・パートも対象に含まれます。

通常の有給では理由が必要ないことはもちろん、取得義務のある5日分の有給でも取得理由を伝える必要はありません。

虚偽の申告をしてもいい?

電話をかけようとしている男性

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取得理由を伝える必要はないことから、虚偽の理由で取得を申請しても問題ないと考えるかもしれません。虚偽の申告をした場合の問題点について解説します。

うそをつくと処分の対象になる可能性あり

そもそも理由は「私用のため」で十分なため、うそをつく必要はありません。理由が必要ないとはいえ、理由を申告する場合でも虚偽の報告をしてはいけません。就業規則で虚偽の報告をしてはいけない旨の規定があると、懲戒処分を受ける可能性があります。

処分がなくても、うそをついたことが発覚すると社内での信頼を失い、人事評価や昇級に影響する恐れがあります。虚偽の理由を書かなくても申請が通る場面で、余計なうそをつくのは無意味です。

ただし申請時点から予定が変わった場合はうそをついたことにはならず、トラブルに発展する恐れもありません。

角が立たない有給の理由

休暇を取っているデスク

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「私用のため」では取得理由として味気なく感じる場合は、ほかの理由を書くことも可能です。あまりにプライベートな理由だと上司からの印象が悪くなる恐れもあるため、適切な理由を用いることが欠かせません。

角が立たずに有給を取得するために使える、4つの理由を紹介します。

病気による体調不良やけがのため

誰にでも体調不良やけがに見舞われることはあります。急に体調を崩したりけがを負ったりすることもあります。上司が受け入れやすい理由であることに加えて、直前でも取得しやすい理由として、体調不良やけがは問題が起きにくいでしょう。

実際に体調不良になったケースのほかに、通院のためや家族の療養のために取得することも理由として反感を買いにくいでしょう。

けがをしたから病院に行くために休むほかに、けがの療養のために通院することを理由にするのも受け入れられやすいでしょう。

冠婚葬祭のため

冠婚葬祭を理由として有給を取得するのもいいでしょう。法事には通夜、告別式だけでなく、四十九日や一周忌、三回忌などの法要があり、定期的に集まる場が設けられます。法事を理由に有給を取得するのは、定期的に決まった休みを取るのに違和感はありません。

友人や親族の結婚式に参加するために取得するのも、人の祝い事に関わることであるため、上司としてもすんなり受け入れやすいでしょう。

家庭の事情

家族の療養や冠婚葬祭はもちろん、子どもの入学式や卒業式、運動会などを理由に有給を取得するのも有給の使途としてありでしょう。授業参観などの学校行事は平日に行われるため、有給を取得して平日に会社を休む理由として適切といえます。

特に共働き世帯では、子どもの学校行事を理由に有給を取得するのは理解が得られやすいでしょう。学校行事に限らず、子どもとの時間を大切にするために、旅行に行ったり買い物に行ったりすることもいいでしょう。

役所の手続き

役所での手続きは、平日の日中にしか対応してもらえないケースが多くあります。公的な手続きを理由に有給を取得することもおすすめです。

公的な手続きとしては、印鑑の登録や引っ越し・育児に関する申請、納税に関わる申請が挙げられます。運転免許証の更新やパスポートの取得・更新も、有給を取得するための理由としていいでしょう。

ただし役所での手続きには1日を要するものもあれば、数分から1時間ほどで済むものもあります。簡単な手続きでは終わり次第、出勤することをすすめられる可能性があるため注意が必要です。もちろん途中からの出勤を促されても従う必要はありません。

有給取得を拒否されたら

電話をしている女性

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有給の取得申請を行ったにもかかわらず、却下されてしまう場合もあります。企業の視点で、有給取得を拒否して問題がないケースと、違法とみなされるケースを解説します。

企業は有給の時季変更権を持つ

労働者が有給の取得を申請したら、基本的に企業には取得を認める義務があります。しかし条件次第では、企業が有給の取得日の変更を行うことが可能です。

取得日を変更する権利は「時季変更権」と呼ばれ、期日の迫っている業務がある場合や当人の業務を引き受ける人がいない場合は時季変更権を行使できます。ただし行使する場合は、代わりに有給を付与できる時期を労働者に知らせることが求められます。

取得時期の変更を要求された場合は、外せない用事がある場合を除き、変更に従うといいでしょう。

正当な理由がない有給拒否は違法

企業が時季変更権を行使した場合を除き、正当な理由なく有給の取得を拒否することは労働基準法違反です。6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられます。

取得を拒否された場合にはまず、労働組合に相談するといいでしょう。労働組合がない場合や労働組合に相談しにくいのであれば、労働基準監督署に相談します。そのほか弁護士に相談して、代理人を依頼することも可能です。

参考: 労働基準法117条 | e-Gov法令検索

有給取得の理由を求められた場合は「私用のため」でOK

有給申請の用紙

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有給を取得するときに、会社に理由を伝える必要はありません。空欄のまま申請書を提出するよりは、「私用のため」とだけ書いて提出するのが一般的です。

働き方改革で10日以上の付与日数がある労働者には、企業側から5日を取得する義務が課され、有給取得に向けた整備が進んでいます。近年ではパワハラやセクハラを避けるために、理由欄のない申請書が用いられるのが主流になりつつあります。

「私用のため」以外の理由を伝えたい場合、病気やけが、冠婚葬祭、家庭の事情、役所の手続きなどであれば会社側も違和感なく受け入れられるでしょう。

企業は有給取得日の時季変更権を持ち、条件次第では希望日での取得を断ることが可能です。しかし合理的な理由のない拒否は違法であるため、労働組合や労働基準監督署に相談するといいでしょう。