会社から離職票をもらう方法は?失業保険の対象者やハロワでの手続き

退職後に転職活動を行う予定なら、失業保険をもらいながら転職先を探すのがおすすめです。失業保険の申請には離職票が必要となるため、手元にない場合はもらっておきましょう。会社から離職票をもらう方法や、失業保険の手続きについて解説します。

企業から離職票のもらい方

電話をかける男性

(出典) photo-ac.com

退職前に在籍していた会社から、離職票を受け取る方法を紹介します。いくつかのパターンが考えられるため、全てのケースで対応できるようにしておきましょう。

退職後、メールや電話で申請可能

離職票は、ハローワークで発行される書類です。会社から退職者に関する書類をハローワークへ提出し、ハローワークが離職票を会社に対して発行します。その後、退職者へ離職票を送付するのは、会社です。

会社が退職者へ離職票を送付する義務はありませんが、退職者が希望する場合は必ず送付しなければなりません。雇用保険法第76条3項で定められているルールです。

退職後に会社から離職票をもらいたい場合は、メールや電話で会社に直接申請しましょう。通常は、会社が離職票を送付してくれます。

また、離職票が欲しい旨を退職前に伝えておけば、よりスムーズに書類をやりとりできます。

参考:雇用保険法 第七十六条 | e-Gov法令検索

申請しなくても送付される場合も

会社によっては、退職者から申請を受けなくても、離職票を送付してくれるケースがあります。会社に離職票の送付義務はないものの、退職者の保険に関する手続きは必ず行う必要があるためです。

退職者が出た場合、会社は雇用保険の被保険者でなくなった日の翌日から10日以内に、「雇用保険被保険者資格喪失届」の届出を行わなければなりません。雇用保険法施行規則第7条で義務付けられています。

会社が保険の手続きを行えば、基本的には会社がハローワークから離職票を受け取るため、会社の判断で離職票を退職者に送付することもあるのです。

会社の手続きは退職後10日以内が期限となっているため、退職日から2週間程度で離職票が届く可能性があります。

参考:雇用保険法施行規則 第七条 | e-Gov法令検索

紛失した場合、再発行も可能

会社から送付してもらった離職票を紛失してしまった場合は、再発行が可能です。退職者自身がハローワークに出向き、窓口で直接再発行を申請できます。

離職票の再発行に必要なものは、以下の通りです。

  • 再交付申請書
  • 本人確認書類
  • 印鑑

再交付申請書は、ハローワークで入手できます。申請書を書く際は、雇用保険被保険者証があるとスムーズに記載内容をうめられるので、ハローワークで書類を書くという人はぜひ持っていきましょう。

また、ハローワークの窓口以外に、行政ポータルサイト「e-Govポータル」でも手続きが可能です。

会社にお願いして離職票を再発行してもらうことも可能ですが、余計な手間を取らせてしまうことにもなりかねません。ハローワークで直接再発行を申請した方が、手続き自体もスムーズに進みます。

トップ | e-Govポータル

失業保険の申請には離職票が必要

失業保険

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離職票は、失業保険をもらうために必要となる書類です。失業保険の概要をおさらいし、離職票と似た書類との違いもチェックしておきましょう。

失業保険とは?

失業保険とは、一定の条件を満たす退職者が離職後にもらえる保険です。正確には、雇用保険の基本手当が受け取れることになります。失業保険の原資となるのは、在籍中に支払っていた雇用保険料です。

失業保険は、失業中の生活の安定・早期再就職のサポートのために給付されます。再就職する意思のない人や、何らかの理由ですぐに就職できない人は、失業保険を受け取れません。

失業保険の受給開始時期は、退職理由により異なります。会社都合退職の場合は「7日間」の待期期間後すぐに支給が開始されますが、自己都合退職の場合は待期期間後さらに「2カ月」待たなければなりません。

退職証明書や離職証明書との違い

退職に関する書類は、離職票以外にもいくつかあります。意味を混同しやすい代表的な書類が、退職証明書と離職証明書です。

退職証明書とは、会社を退職した事実を証明する書類です。退職・転職時に必須の書類ではありませんが、退職理由を確認したい転職先から提出を求められるケースがあります。退職者から請求された会社は、退職証明書を交付しなければなりません。

離職証明書は、離職票を発行する際に会社がハローワークへ提出する書類です。正式には「雇用保険被保険者離職証明書」と呼びます。

会社が作成してハローワークへ提出するだけの書類であるため、退職者が目にすることはほとんどないでしょう。

離職票には2種類ある

離職票とペン

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離職票は2枚セットになっている書類です。それぞれの役割と記入方法を覚えておきましょう。

離職票は2枚でセットと覚えよう

離職票は「離職票-1」と「離職票-2」の2枚でセットになっています。失業保険の手続きを行う際は、2枚を一緒に提出しなければなりません。

離職票-1は「雇用保険被保険者喪失確認通知書」とも呼ばれる書類です。会社を退職して、雇用保険被保険者としての資格を失ったことが証明されています。失業保険をもらうための重要な書類です。

離職票-2には、退職前の給与や退職理由などが記載されています。特に重要な項目が退職理由です。

ハローワークは離職票-2の退職理由を確認して、自己都合か会社都合かを判断するため、退職理由が適切かどうかを提出前にチェックする必要があります。

離職票の記入方法

離職票-1の項目の中には、退職者が記入するものがあります。個人番号の欄は、ハローワークに行ってから記入しなければなりません。

書類下部の「求職者給付等払渡希望金融機関指定届」には、失業保険を振り込んでもらいたい銀行口座を記入しましょう。

離職票-2は会社が記入するため、退職者が記入する欄はほとんどありません。記載内容をしっかりと確認して、署名・捺印を行いましょう。

特に注意しておきたいのが、退職理由の欄です。記載されている退職理由に異議がある場合は、「離職者本人の判断」欄の異議を「有り」にして提出する必要があります。

異議を申し立てた場合はハローワークが事実を調査し、最終判断はハローワークが下します。

離職票が必要になる人

資料に記入する

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失業保険の給付を受けたい人は、離職票が必要です。転職後に早期退職した場合も、離職票があれば失業手当がもらえる可能性があります。

退職後に失業保険の給付金が欲しい

退職後に転職先が決まっておらず、再就職するまで失業保険をもらいたい人は、失業保険の申請時に離職票が必要です。手元にない場合は、会社に請求する必要があります。

失業保険の給付を受ければ、転職活動中も経済面で安心できます。転職先が決まるまでの生活費が不安なら、離職票を用意して失業保険の申請を行うのがおすすめです。

なお、次の就職先が決まっている人は失業保険を受け取れません。全ての失業者がもらえるわけではないため、離職票も希望者にだけ交付する仕組みになっているのです。

転職に失敗し、早期退職した

退職後すぐに転職先へ就職する場合、失業保険はもらえません。しかし、人によっては再就職先が自分と合わず、再び転職を検討したくなるケースもあるでしょう。

通常、自己都合退職で失業保険を受け取るには、離職した日以前の2年間に「12カ月」以上雇用保険に加入していなければなりません。転職先をすぐに辞めてしまうと、この条件を満たせず、失業保険を受け取れないと思っている人もいるでしょう。

しかし、再就職先を早期退職する場合、一定の条件を満たせば、退職後に失業保険を受け取れる可能性があります。一定の条件をクリアする必要はあるものの、失業保険をもらえるチャンスが全くないわけではありません。

このケースでも失業保険の申請を行うことになるため、離職票の準備が必要です。

失業保険をもらえる条件

一万円札

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会社を辞めたら、誰でも失業保険をもらえるわけではありません。失業保険の給付条件を確認しておきましょう。

在籍中に雇用保険に加入している

失業保険を受け取るためには、辞める前の会社で雇用保険に一定期間加入している必要があります。

雇用保険は、基本的に全ての企業が加入しなければなりませんが、中には未加入のブラック企業も存在するため注意しましょう。

退職時に「雇用保険被保険者証」と「資格取得確認等通知書」をもらっていれば、雇用保険に加入していたことになります。

退職までの2年間に雇用保険の加入期間が「通算12カ月以上」あれば、失業保険を受け取れる条件を満たせます。

ただし、会社都合退職の場合や正当な理由がある自己都合退職の場合、必要な通算加入期間は「6カ月以上」です。

再就職する意思がある

失業保険をもらえる条件としては、再就職する意思があることも挙げられます。転職したくても転職先を見つけられない人が、失業保険を受け取れるのです。

病気・ケガで療養中の人や、出産・育児・介護を理由にしばらく働けない人、退職後に再就職する意思がない人は、失業保険の給付を原則受けられません。

失業保険を受け取っている間は、転職活動を行っていることを証明する必要があります。定期的にハローワークへ足を運び、職探しや諸手続きを行わなければなりません。

条件を満たせばアルバイトでもOK

失業保険は、アルバイト・パートでも受け取れる可能性があります。雇用保険や再就職する意思があることなどの条件を満たしていれば、退職前の雇用形態は問いません。

例えば、31日以上雇用され、週20時間以上の労働が見込まれるケースでは、アルバイト・パートでも雇用保険へ加入できます。

給与明細に雇用保険の控除項目がある場合は、雇用保険に加入していると判断できるでしょう。雇用保険は、基本的に給与から天引きされているためです。

離職票が届いた後の失業保険申請フロー

失業認定証

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失業保険を受け取るためには、ハローワークでさまざまな手続きを行わなければなりません。離職票をもらった後の、申請手続きの流れを紹介します。

ハローワークで申し込み

会社から離職票が届いたら、まずはハローワークで失業保険の受給申し込みを行わなければなりません。申請を受けたハローワークは退職理由の判定を行い、受給資格を決定します。

ハローワークの申し込みで必要な書類は、以下の通りです。

  • 離職票2枚
  • 個人番号確認書類
  • 身元確認書類
  • 写真2枚
  • 本人名義の預金通帳、またはキャッシュカード

ハローワークによっては印鑑が持ち物に挙げられているところもあります。念のため持っていくと安心でしょう。

失業保険の手続きは、平日の8:30から17:15に行えます。土日祝日や年末年始は申し込みできません。

受給資格決定手続き以外に、「求職の申し込み」も行う必要があるため、時間に余裕を持ってハローワークに行きましょう。

参考:雇用保険の具体的な手続き

雇用保険受給者初回説明会の参加

受給資格が決定したら、雇用保険受給者初回説明会の日時が知らされ、雇用保険受給資格者のしおりも渡されます。

雇用保険受給者初回説明会に出席する際は、雇用保険受給資格者のしおりや筆記用具の準備が必要です。受給説明会に参加しなければ失業保険はもらえないため、指定された日時に必ず出席しましょう。

受給説明会では、失業保険の受給について重要な説明が行われます。受給説明会に出席したら、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を渡され、1回目の失業認定日が知らされます。

4週間ごとに失業認定日を更新

失業保険の給付を受けるためには、原則として4週間ごとに失業の認定を受けなければなりません。失業の認定とは、失業状態にあることを確認する手続きです。

失業の認定を受けるためには、前回の認定日から今回の認定日までの間に、原則として「2回以上」の求職活動の実績を証明する必要があります。失業保険は、失業の認定を受けるたびに支給されます。

自己都合退職で失業保険をもらえない期間がある場合は、給付制限期間とその直後の認定対象期間を合わせた期間中に、原則として2~3回以上の求職活動の実績が必要です。

失業保険の受給

失業保険は、原則として失業認定日から約5営業日後に、指定した銀行口座に振り込まれます。土日祝日や年末年始を含む場合は、支給が遅れることもあります。

会社都合退職なら給付制限期間がないため、申し込みから約1カ月で初回分の給付をもらえるでしょう。

一方、給付制限期間がある自己都合退職の場合、初回の給付金が振り込まれるのは早くても約3カ月後です。

また、失業保険を受け取れる期間には制限があることにも注意しましょう。原則として退職の翌日から1年間を過ぎると、給付日数が残っていても給付金を受け取れなくなります。

離職票をもらって失業保険を申請しよう

契約書に記入する

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退職後に会社からもらえる離職票は、失業保険の支給を受ける際に必要な書類です。会社から送付されてこない場合、会社に申請すれば送ってもらえるでしょう。なくした場合は、自分で再発行することも可能です。

退職後の転職活動中は収入がなくなるため、失業保険をもらえれば安心して転職先を探せます。じっくり腰を据えて転職するなら、離職票をはじめとした必要書類を準備し、失業保険を申請しましょう。