職務経歴書で転職が多いのはNG?転職経験の多さを武器にする方法

職務経歴書の書き方は、転職回数の多い人ほど一工夫が必要です。採用担当者が注目する職務経歴欄のポイントと、印象を格上げする転職理由・自己PRの書き方をマスターしましょう。具体的な活用方法が分かる例文も紹介します。

転職が多い人ほど職務経歴書が重要

履歴書

(出典) photo-ac.com

転職した経験が多いと、採用選考の際に引け目を感じる人がほとんどです。実際のところ、転職回数は選考に影響するのでしょうか?

転職が多いと不利になる?

転職が多いと思われる回数については、選考を受ける企業によって変わりますが、1つの目安は20代で3回、30代で5回以上になるでしょう。選考でも、転職回数の多さが悪いイメージにつながる場合もあります。

これは1つのことを長く続けることを良しとする日本人の気質の面と、「すぐに辞めてしまうかもしれない」「前職を解雇されたなど、何か問題があるのでは?」という印象を与えてしまうことが関係しています。

職務経歴書でネガティブイメージを払拭

一方で、「転職回数は選考に何ら影響しない」とする採用担当者もいます。近年では転職経験よりも、個人のスキルを重視する企業が増えてきたためです。

企業側の目的は、会社に貢献できる人材を確保することです。そのため、必要とされる経験・スキルを有していれば、何度転職していようとマイナスにはなりません。

ただしこれは、企業側が納得する転職理由がある場合に限ります。転職経験が多い人ほど、職務経歴書でどうアピールしていくかが転職成功の肝となるでしょう。

職務経歴書から採用担当者が知りたいこと

履歴書を手にするスーツの男性

(出典) photo-ac.com

書類選考を通過するには、履歴書と職務経歴書で採用担当者の興味を引く必要があります。職務経歴書で明確にすべき、3つのポイントを見ていきましょう。

求める経験・スキルを持っているか

採用担当者が最も知りたいのは、転職希望者の得意なことや持ち味が、求人している業務にマッチするかどうかです。この部分が曖昧になってしまうと、採用後にどう働いてもらうかがイメージできません。

情報不足による不採用とならないよう、自分の持っている経験・スキルをなるべく具体的に記入しましょう。資格・知識はもちろんのこと、社交性・柔軟性・協調性といった人間的資質もスキルのうちです。

どのような業務経験の中で、経験・スキルを培ってきたのかアピールしましょう。

これまでに挙げてきた具体的な成果

「○○の経験・資格があります」と書くだけでは、まだまだアピール力が足りません。実績を客観的な基準となる数字で表し、職務経歴書に記載した内容に説得力を持たせることが大切です。

営業や販売なら売上の社内順位や表彰、事務なら取引企業数と1日に処理する書類の数などを提示すると分かりやすいでしょう。さらに、その数字を出すために、何をしたのかまで書ければ文句なしです。

経験の浅い20代前半だと、目立つ実績がないかもしれません。その場合は、過去の自分を引き合いに出します。「半年でいくら売上が伸びた」など、入社時から現在までの成長にフォーカスしましょう。

転職を繰り返した理由

転職回数にかかわらず、転職者は必ず離職理由を聞かれます。採用担当者は単純に転職理由を知りたいというよりも、その答えから人柄や仕事への意欲を測ろうとしているのです。

そのため転職の経緯には、不平不満と取れる内容は記載しません。また、本当の理由を隠していると思われないよう、誰にでも当てはまるような曖昧な理由も使わない方が賢明です。

転職が多い人は、より離職理由の重要性が高くなります。早期退職のリスクがないことをそれとなく伝え、採用担当者の懸念を払拭しましょう。

職務経歴書の作成前に確認しよう

資料に記入する手元

(出典) photo-ac.com

転職回数が多いと、必然的に職務経歴書も長くなります。そのため記載の仕方には、採用担当者が読みやすく、アピールしたい部分を目立たせるテクニックが必要です。

職歴の省略は基本的にNG

職歴は短期間であっても、全て正確に伝えなければいけません。職務経歴書が履歴書と一致していないと、採用担当者は違和感を覚えるでしょう。

たとえ1カ月しか働いていなくても、省略するのはNGです。入社後に発覚した場合、虚偽の記載を理由に解雇されるかもしれません。

経歴詐称の不法行為にあたる可能性もあり、大事になればキャリアに傷を付けてしまいます。

派遣社員や契約社員であっても、職務経歴書には職歴を漏れなく記載しましょう。なお、派遣先の変更やアルバイトの経歴は省略しても構いません。

職歴ごとにボリュームを調整

職歴の省略はしませんが、全ての職歴について同量の文章を書く必要はありません。職務経歴書は20代で2枚、30~40代で3~4枚に収めるのが適切です。

転職回数が多い場合は、志望する職種にマッチする職歴を重点的にアピールし、それ以外の職歴は自己PRにつながる部分を端的に記載して、全体量を調整しましょう。

ただし、「経験業務の8割が営業職」のように、中核となってきたキャリアに限っては、たとえ事務職希望であっても営業の職歴をしっかり書きます。

こうした場合は業務内容を徹底的に見直し、希望する職種に生かせる経験を見つけ出しましょう。

職務要約や職務年表を利用

転職の多い人が積極的に活用したいのは、職務要約と職務年表です。職務要約とは、職務経歴書の冒頭に書く、職務経歴を5~6行で簡潔にまとめた文章を指します。

いわゆる本のあらすじにあたり、読者の興味を引きつける役割を果たす部分です。「詳しい内容を見てみたい」と採用担当者に思わせるような、魅力的な導入にしましょう。

一方の職務年表とは、1職歴を1行で記載したものです。転職が多い場合は、職歴を年代順で記載しないこともあります。その場合は職務年表(=略歴)を追加して、採用担当者にキャリアの一連の流れを伝えると親切です。

転職の多さを武器にした職務経歴書の書き方

履歴書に記入する

(出典) photo-ac.com

経験の豊かさや視野の広さをアピールできるかどうかが、数少ない採用枠を勝ち取る決め手となるでしょう。ここでは、転職経験をプラスに働かせる職務経歴書の書き方を紹介します。

業務内容別に分類する

職務経歴書の書き方には、「編年体式」と「キャリア式」があります。編年体式とは年代順に職歴を並べたもので、キャリア式とは業務内容ごとに職歴をまとめたものです。

転職回数が多く、特に全てのキャリアに一貫性がない場合は、編年体式ではなくキャリア式を用いた方が、スキル・能力をアピールしやすくなります。

志望している職種にマッチする職歴の見出しを頭に持ってきて、最もアピールしたい部分をうまく目立たせましょう。職歴ごとにまとめることで、転職回数の多さから注意をそらす効果も期待できます。

転職の経緯を記載する

ネガティブな転職理由はNGですが、うそをつく必要はありません。印象のよい転職理由を書くコツは、本当の理由を別の方向から見た言葉に変えることです。

例えば、「やりたい仕事ができない」という理由なら、「基礎は身に付いたので、もっと難しい仕事にチャレンジしたい」と、ステップアップの意図を含ませてみましょう。

この離職理由にする場合、「次の職場でこのように貢献したいと思った」という志望動機へつなげられます。退職理由から志望動機まで一貫性を持たせ、全ての転職経験が糧になっていると印象付けましょう。

意欲と目的意識を明確に

職務経歴書には、意識して意欲と目的意識を盛り込みましょう。「できること」「やりたいこと」がはっきりしている人材は、魅力的です。

まずは、それぞれの職務内容について、客層・サービスの種類・目標・達成するための方法を洗い出してみます。仕事には、どこかしら似た部分があるはずです。

そこで見つかった共通点こそ、「仕事において自分が何を大切にしたいのか」という目的意識になり、「培ってきたスキルをどう生かしたいのか」という意欲になるでしょう。

例文で学ぶ!採用したくなる職務経歴書

履歴書を手にする女性

(出典) photo-ac.com

職務経歴書は、自分をプレゼンテーションする絶好の場です。どのように書けば採用担当者が興味を持つのか、具体例とアピールポイントを確認しましょう。

スキルが分かる職務経歴

キャリア式でまとめる場合は、職務経歴欄の最初に職種を記載します。販売であれば「職種:販売」として、続けて営業関連の職歴について、それぞれ例のように詳しい内容を記載していきましょう。

【例】

会社名:○○株式会社
従業員数:5,000人
事業内容:家電製品の販売、付帯工事
雇用形態:契約社員
期間:20××年×月~20××年×月

○業務の概要
冷蔵庫・洗濯機・エアコン等、白物家電を担当。店頭での接客対応、お客様の希望に添う機能を持つ商品を提案・販売。

○主な実績
・××年上半期 販売実績100万円(目標達成率100%)

ポイントは、職務経歴は箇条書きを使ってすっきりとまとめ、読みやすさにこだわることです。採用担当者が知りたいであろう、志望している職種に共通する部分を端的に述べましょう。

納得できる転職理由

転職理由は本来、職務経歴書に載せる必要はありません。しかし、転職回数が多い場合はあえて転職理由欄を設け、全ての職歴において前向きな転職であったことをアピールするのがおすすめです。

【例文】

「今の仕事では、お客様の話から要望を読み取り、満足度の高い商品を提案する部分に魅力とやりがいを感じています。

しかし、現在は契約社員として働いており、今後も正社員への登用は見込めません。収入面を含むキャリアの将来性に限界を感じ、高いモチベーションをキープできる環境で働くために転職を決意しました。」

 

上記の例文では、仕事への意欲を見せた上で、正社員になれないことへの将来的不安を伝えている点がポイントです。ポジティブかつ明確な転職理由で、採用担当者の共感を引き出しましょう。

意欲が伝わる自己PR

以下の例文は、家電量販店から不動産会社への異業種転職の自己PR例です。

【例文】

「家は人生で1番大きな買い物だといわれています。家電の販売もやりがいはありますが、さらに規模の大きな不動産販売で自分の力を試してみたいと思いました。

今の業務を通じて、接客マナー・的確な商品説明の仕方・購入意欲を高める話し方など、さまざまなスキルが身に付いています。この経験による強みを、不動産の営業にも生かしていくつもりです。」

 

異業種・異職種へ転職する場合は、なぜそれを選んだのかを伝える必要があります。また、企業が求める人材へ通じるスキルを強調すると、即戦力として認識されやすくなるでしょう。

職務経歴書で積極的に自分を売り込もう

履歴書とスーツ

(出典) photo-ac.com

転職が多くても、同じ職種ばかりなら、取り扱ったサービスの幅広さが武器になるでしょう。さまざまな職種を経験していれば、順応性や引き出しの多さが魅力になるかもしれません。

職務経歴書とは、その武器・魅力を雇うメリットとして提示するためのツールです。経験・スキル・目的意識がしっかりしてさえいれば、転職の多さは気にしない企業もあります。

レイアウトを工夫して経験・スキルに注意を引き、採用担当者に「話を聞いてみたい」と思わせる職務経歴書を作成しましょう。