チャレンジ精神を言い換えるとどうなる?面接・履歴書のコツも紹介

転職活動の自己PRに使われることも多い「チャレンジ精神」の意味や言い換え表現を紹介します。面接でチャレンジ精神をアピールする方法や注意点も確認しましょう。履歴書に書く際のポイントについても例文とあわせて紹介します。

そもそもチャレンジ精神とは?

ガッツポーズ

(出典) photo-ac.com

チャレンジ精神と一口にいっても、大きく分けて2つの意味に分かれます。ビジネスにおいて必要とされるチャレンジ精神について見ていきましょう。

新しいことに挑むチャレンジ精神

チャレンジ精神の1つ目の意味は、前例がないことや未経験のことに挑戦することです。例えば、未経験である経理の仕事を任されたときに、「経験がない自分には無理ではないか」とマイナスに捉える人が少なくありません。

一方で、「必要な知識を身につけよう」と前向きに捉え、率先して勉強をする人もいます。臆せずに未経験のことに前向きに挑戦できることが企業の求めるチャレンジ精神です。

また、企業は業務の効率化のためのシステムの構築など、新しいことを積極的に開拓していく行動力も求めています。

困難に立ち向かうチャレンジ精神

チャレンジ精神の2つ目の意味は、困難な状況でも諦めずに挑戦することです。

ビジネスシーンでは、さまざまな困難や予期せぬ事態に直面し、物事がスムーズに運ばないことも珍しくありません。企業では、困難から逃げず、積極的に問題解決に向けて挑戦することが求められています。

また、失敗を恐れず難しい課題やプロジェクトに率先して取り組めることも、企業が求めるチャレンジ精神になります。たとえ失敗したとしても大きな成長になり、経験を生かして取り組むことで成果や今後の利益につながるためです。

チャレンジ精神の言い換えにはどんな表現がある?

考え事をする男性

(出典) photo-ac.com

履歴書や面接でチャレンジ精神という言葉を使わずに、別の表現を使うことも可能です。言い換え表現を長所としてだけでなく、短所として捉えた場合についても紹介します。

長所としての言い換え

「開拓者魂」は、新しいことに挑戦しようとする強い気持ちという意味があるため、言い換えとして利用可能です。同じ意味の言葉には、「フロンティア魂」や「フロンティア精神」もあります。

未知なことでも興味を持って前向きに取り組めるという意味合いで使う場合は、「好奇心旺盛」や「探求心」に言い換え可能です。

自分磨きをし、よりよい状態を目指す気持ちや姿勢を表わしたいときは、「向上心」や「ハングリー精神」に言い換えられます。「野心」や「大志」「上昇志向」にも置き換えられるでしょう。

短所としての言い換え

転職の面接では、短所を聞かれることも珍しくありません。長所と短所は一貫したものが望ましいため、短所としての言い換えを覚えておくと役立ちます。

例えば、チャレンジ精神が旺盛で何に対しても臆せず挑戦してしまうため、冷静な判断に欠けるなどです。長所としての言い換え表現である「好奇心旺盛」は、新しいものに目移りしやすいという意味で短所としての言い換えにも使えます。

果敢に挑戦できることは、細かいことをあれこれ考えずに楽観的であるともいえます。楽観的すぎると、起こり得る事態を的確に判断できないことにもつながるため、短所として言い換え可能です。

言い換えが必要な理由

履歴書や面接では、自己PRをしなければなりません。自分の強みをしっかり伝えることが、結果に大きく影響します。

チャレンジ精神は抽象的な表現で漠然としすぎており、十分なアピールにならない可能性があります。もう少し具体性を持った言葉に言い換えることで、より的確にアピールできるでしょう。

また、チャレンジ精神はよく使われる言葉のため、聞き慣れたありきたりな印象になりがちです。別の表現を使うことで、他者との差別化にもなります。差別化することで、より印象に残りやすくなるでしょう。

チャレンジ精神をアピールするときの注意点

面接の様子

(出典) photo-ac.com

企業が求めるチャレンジ精神があることは、自分の強みとしてアピールになります。ただし、伝え方を間違えるとマイナスな印象を与えることもあります。チャレンジ精神をアピールする際に注意したいポイントを紹介するので、面接を受ける際の参考にしましょう。

チャレンジしただけはNG

チャレンジすることや何かを始めるだけであれば、誰にでもできます。大切なポイントは、成果を合わせて伝えることです。

成果を伝えないと、衝動的に何にでも挑戦する人という間違った印象を持たれることもあります。成果をしっかり伝えることで、最後まで諦めずに責任を持って挑戦したというポジティブな印象になるでしょう。

周囲の協力を得ながら達成できたことにも触れると、周囲の人とうまく協力して業務をこなせる人という好印象も残せます。また、たとえ失敗に終わったとしても、失敗から学び次に生かせたり成長できたりしたことを語れるのであれば、失敗経験も強みになります。

話を盛らない

誰でも面接でよい印象を残したいと思うものです。しかし、できる人と思われたいがために、話を盛ってしまったり、うそを交えてしまったりするのはNGです。例えば、やってもいないことをエピソードとして話すことや成果の水増しなどが挙げられます。

面接で話を詳しく聞かれたときに、うまく答えられず、うそがばれてしまうことが珍しくないためです。面接で聞かれることを想定して練習をしたとしても、うそはボロが出やすいため、大きなリスクがあります。

企業が求めているのは、誰もが凄いと思うようなエピソードではありません。たとえ凄くなくても、本当のエピソードは実際に自分がやってきたことなので、より強くアピールできます。

自慢話にならないよう注意

チャレンジ精神に限らず、長所を話すときにも注意したいのが、自慢話にならないようにすることです。実体験のエピソードを盛り込むことは大切なポイントですが、気付かないうちに自慢話になりやすい傾向があります。

特に面接官が質問などで話を広げてくれたときは、つい延々と自慢話をしがちなので、注意しましょう。単なる自慢話で終わってしまうと、アピールにならないどころか、マイナスの評価になることもあります。

企業・募集職種によっては響かない場合がある

企業によって社風や理念が異なるため、求めている人材も異なります。

例えば、ベンチャーなど成長途中の企業や若い世代が多い企業では、チャレンジ精神が大きなメリットになるでしょう。一方、挑戦よりも現状維持を望む企業の場合は、協調性に欠ける、チームの輪を乱すと取られる可能性もあります。

チャレンジ精神が重要視されていない企業には、他の強みを伝えた方が効果的でしょう。応募前に志望企業を研究し、求められている人材をきちんと見極めることが大切です。

面接でチャレンジ精神をアピールする方法

男女二人の面接官

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面接では、どのようにチャレンジ精神をアピールしたらよいのでしょうか?好印象を残せる伝え方を具体的に紹介します。自分のエピソードに当てはめて考えてみましょう。

能力の内容・根拠を伝える

採用担当者はあなたのことを知らないため、「チャレンジ精神がある」と断言するだけでは納得させることはできません。なぜそう思うのか根拠を示すことや、どのようなチャレンジが得意なのか明確にすることが大切です。

話すときは、分かりやすく伝えることもポイントです。結論を述べず説明から入ってしまうと、論点が不明瞭で話の内容が頭に入ってこないことが珍しくありません。「結局、何が言いたかったのだろう」と思われないように、結論を先に述べましょう。

「チャレンジ精神が強みです」と最初に結論を述べることで、その後に続く内容が理解しやすくなります。

どんなことにチャレンジしたのか

採用担当者を納得させるためには、どのようなチャレンジをしたのか、具体的なエピソードを加え、成果や学んだことを述べることが大切です。伝えるときは、チャレンジしたときの状況・内容・行動・結果というように順を追って話しましょう。

分かりやすさを重視し、抽象的な表現にならないように心掛けることも大切です。数字を取り入れて具体性を持たせるのもおすすめです。

例えば、「売上アップに貢献しました」と述べるよりも、「○%の売上アップに貢献しました」とした方が、説得力があるでしょう。

仕事にどう生かしていくのか

採用担当者は、強みから企業に利益をもたらすポテンシャルのある人材か見極めようとしています。そのため、チャレンジして得た成果や学び、能力を仕事にどう生かしていくのかまでしっかりと伝える必要があります。

伝える際は、応募した業務でどう生かせるのか具体的に伝えることが大切です。業務と全く関係のない内容だと、採用担当者は実務で生かせるのか疑問に感じてしまうこともあるでしょう。

業務での生かし方を伝えることで、働くイメージまでしっかり持っていると感じてもらえ、意欲があると思われやすいこともメリットです。

履歴書に書く場合のポイント

履歴書とペン

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採用されるには、まず書類選考を通過する必要があります。面接につながる履歴書を書くには、どのような点に気を付けたらよいのでしょうか?自己PRの書き方など、大切なポイントについて紹介します。

箇条書きなど読みやすさを意識する

履歴書には、さまざまな情報を盛り込む必要があるため、文章量が多くなりがちです。まず大切なのは、採用担当者に読みたいと思ってもらえる書き方にすることです。

たとえ素晴らしい経歴や長所があったとしても、小さい文字でびっしり書かれていると、読みづらいと思われ心象を悪くします。場合によっては、最後まで読んでもらえない可能性もあるでしょう。

自分の長所をただ連ねるだけの書き方は読みにくいため、箇条書きを使うなど読みやすさを意識することが大切です。文字の大きさや改行にも気を配りましょう。

長すぎ・短すぎはNG

自己PRを書くときは、長すぎたり短すぎたりしないように、文字数を意識することも大切なポイントです。特に指定がない場合は、読みやすいとされる300字前後になるようにしましょう。

ただし、300字前後であれば、どのように書いてもよいというわけではありません。だらだらと長所を書き連ねると読みづらいため、相手に伝わらないこともあります。

箇条書きにすると読みやすさが増しますが、それだけで済ませてしまうと、十分なアピールになりません。箇条書きにプラスして、文章で簡潔に強みを伝えるなど工夫しましょう。

文章の誤字脱字に気を付ける

理想の履歴書は、内容が充実しており、誤字脱字がないものです。誤字脱字が理由で不採用になる可能性は低いですが、注意力が不足している、おおざっぱなどマイナスの印象を与えかねません。

特に秘書・経理などの事務業務や編集・校正など文章に関する業務の場合は、適性を疑われることもあるでしょう。

誤字脱字を防ぐためには、下書きをするのがおすすめです。下書きを見ながら書くことでミスを防げるだけでなく、事前に文字の大きさや改行も調節できるため、全体的にバランスよく仕上がります。

提出前には、必ず見直しをしましょう。自分では間違いに気付けないこともあるため、第三者にチェックしてもらうのもおすすめです。

企業が求めるチャレンジ精神豊富な人

パソコンに向かっている男性と女性

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企業は、具体的にどのようなチャレンジ精神を求めているのでしょうか?企業が求めるチャレンジ精神旺盛な人物像を知り、履歴書や面接でうまくアピールできるようにしましょう。

リスクを理解したうえでチャレンジできる

企業が求めているのは、単にどのようなことにも挑戦できることだけではありません。後先考えずに行動するのではなく、リスクをきちんと把握したうえで挑戦できる人材です。

例えば、かつてない斬新なアイデアの商品を販売するときは、商品が売れないリスクもあります。リスクを的確に認識できれば、データ分析や検証を行うなど対策ができ、リスクを最小限に抑えることもできるでしょう。

どのような状況でも無謀に挑戦するのではなく、リスクを把握しつつ挑むことが求められています。また、リスク回避だけにとらわれず、果敢に挑戦できるバランス感覚も重要です。

周りの協力を求められる人

企業が求めているのは、チャレンジ精神の強みを存分に発揮でき、成果を上げられる人材です。企業という組織の中で成果を上げるためには、周囲の協力が欠かせません。そのため、単独ではなく、周りを巻き込み挑戦できる能力が求められています。

例えば、新商品を作り上げるには、企画・開発・製造・マーケティング・営業など、さまざまな部署と協力しながら進める必要があります。協調性があり柔軟に人に頼れる人でないと、業務がスムーズに進まないことも珍しくありません。

だからこそ、多くの人と協力してチャレンジできる人材が求められているのです。

チャレンジ精神をアピールする際の例文

手帳に記入する男性

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チャレンジ精神をアピールする際に使える例文を紹介します。状況別に紹介するので、自分の状況に合わせてアレンジして使ってみましょう。

新しいことに挑んだ例文

私の強みは、新しいことに挑むチャレンジ精神です。現在は総務部に勤務していますが、年齢・性別・家庭環境などにかかわらず、誰もが働きやすい職場に変えていくことが大きな課題でした。

働き方改革を推進するチームの一員として、従業員から詳しく話を聞き取り、フレックスタイム制やリモートワークを実現させました。ワーク・ライフ・バランスが取れるようになったことで離職率が下がり、優秀な人材の育成にもつながっています。

御社をより働きやすい会社にするために、新しいことでも恐れずに挑み貢献したいです。

困難に取り組んだ例文

現在の職場では、チームリーダーとして20人のエンジニアをまとめています。リーダーに抜擢された当初は、プロジェクトが円滑に進まず納期の遅れが問題でした。

スピードや効率を上げ、スムーズに業務を進めるためには、チーム間の密なコミュニケーションが必要と考えました。週1回チームで進捗会議を開き、情報を共有する機会を設けることで、プロジェクト完了までにかかる時間を大幅に短縮できました。

今ではクライアントからも信頼され、リピート率が9割を超えています。この経験を生かし、御社でもチャレンジ精神を忘れず、さまざまな困難を乗り越えていきたいと考えております。

課題を達成できた例文

私は5年間、販売員として働いています。会社では半年に1回、最も貢献度が高い販売員を表彰する制度があり、表彰されることが入社時からの目標でした。

目標達成のために、お客様ひとりひとりに気を配り、丁寧な接客を心掛けています。また、独学で販売心理学を学び接客に取り入れたり、外国人のお客様のために英語を学んだり、よりよい接客ができるように努めてきました。

その結果、2年目に表彰してもらえ目標を達成することができました。御社でもさまざまな課題を達成するためにチャレンジしたいと考えています。

言葉を選んで長所をきちんと伝えよう

自信ありげなスーツの男性

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チャレンジ精神は、新しいことに挑むことや困難に立ち向かうことです。履歴書や面接では、具体性を持たせるために、開拓者魂・フロンティア精神・好奇心旺盛・向上心などに言い換えるのもよいでしょう。

自己PRに用いるときは、話を盛ったり自慢話になったりしないように意識することが大切です。また、根拠を示すことやチャレンジした内容、成果や学んだことをどのように応募先の企業で生かしていけるのか伝える必要があります。

履歴書を書くときは、読みやすさや誤字脱字に注意しましょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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著書:
人材紹介の仕事がよくわかる本
エンジニア55歳からの定年準備