面接で苦手なことを聞かれるのはなぜ?答え方のポイントを紹介!

「あなたの苦手なことは何ですか?」
面接でこう尋ねられ、戸惑ってしまう人は少なくありません。面接官に好印象を与え、スムーズな転職へとつなげるヒントとして、苦手なことを質問される理由や上手な答え方・例文をチェックしていきましょう。

苦手なことは正直に答えるべき?

考えるスーツの男性

(出典) photo-ac.com

面接対策をする中で、「苦手なことを正直に伝えたらかえって評価が下がるのでは?」と考える人は多いのではないでしょうか。まずは、苦手なことを面接で正直に答えるべきかどうかについて確認していきましょう。 

基本的にうそはNG

面接へ臨むにあたり、まず心に留めておきたいのが「うそは基本的にNG」という点です。

たとえそれが自分の弱点や欠点に通じる質問だったとしても、うそでごまかすのは避けるのがおすすめといえるでしょう。

というのも、面接官は人を見るプロであり、その場しのぎのうそは見破られてしまう可能性が高いからです。いったんうそをつく人という印象を持たれてしまうと、採用を勝ち取るのは難しいといわざるを得ません。

また、1つうそをつくことで、他の回答との整合性が取れなくなり、結果としてうそがばれてしまう可能性も考えられます。生じるリスクの大きさを考えると、やはり面接でうそはつかないのが正解といえるでしょう。

苦手なことは答え方がポイント

面接の場でうそをつくのは基本的にNGですが、とはいえ、むやみに自分の弱点や欠点を伝えてしまうのも問題です。あくまでも正直に答えつつ、同時に悪印象を残さない答え方をする必要があるでしょう。

そこでぜひ意識したいのが、質問に対する答え方です。例えば、あなたの苦手なことが初対面の人との会話だった場合、「初対面の人との会話は苦手です」よりも「初対面の人との会話に苦手意識があります」という答え方の方がネガティブな印象は和らぎます。

うそはつかないものの、答え方を工夫して悪印象を防ぐのがおすすめといえるでしょう。

面接で「苦手なこと」を聞かれたときの答え方は?

面接の様子

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実際に面接で苦手なことを聞かれたときは、いったいどう答えるのが正解なのでしょうか?あらかじめ覚えておきたい主なポイントを整理していきましょう。

苦手なことの内容とその理由を話す

質問の内容を問わず、面接の場では結論から話すのがセオリーです。結論が見えないまま前置きが長くなってしまうと、要領を得ないのはもちろんのこと、幼稚な印象を与えてしまいかねません。

仮にあなたの苦手なことが人前に出ることであるのなら、まずは「わたしは人前に出ることがやや苦手です」「わたしの苦手なことは、人前に出ることです」といった切り出し方がベターです。

加えて「人前に出ると緊張してしまい、思いがけないミスが増えるからです」など、なぜ苦手なのかが分かる理由を伝えるようにすると、スマートに話題をつなげられるでしょう。

具体的なエピソードを入れる

苦手なこととその理由を伝えたら、次に話しておきたいのが苦手にまつわる具体的なエピソードです。

人前に出ることが苦手なケースであれば、「大勢の前でプレゼンをする際、緊張で思うように話ができなかったことがあります」などがあります。

具体的なエピソードを盛り込むことで、あなたの話の説得力が増します。なぜ苦手意識を持っているのかが分かりやすくなり、面接官により強い印象を残すことができるでしょう。

あなたの人柄を効果的にアピールするという点からも、ぜひ実行したいおすすめの方法といえます。

どう対処しているのかを答える

苦手なことを面接で尋ねられたとき、忘れずに伝えておきたいのが、苦手意識のあることにどう向き合い、どう対処しているかについてです。

苦手なことやその理由・具体的なエピソードを話すだけでは、ただの自己紹介で終わってしまいます。採用面接の場であることを踏まえると、苦手なことにどう向き合い、克服しようとしているのかまでしっかりと伝える必要があるでしょう。

前述の例であれば、「人前に出ることに慣れるため、リーダーや幹事といった役割を普段から率先して引き受けています」などがおすすめです。

このステップを踏むことで、あなたの問題解決能力や対応力を上手にアピールできるでしょう。

苦手なことを話す際の注意点

手帳を見ながら考える男性

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面接で苦手なことを話すにあたり、あらかじめ意識しておきたい注意点がいくつか存在します。中でも特に重要なポイントをチェックしていきましょう。

業務に関係ない「苦手」はNG

「苦手なことを教えてください」と尋ねられたときの注意点として、まず挙げられるのが、業務に関係のないことは答えないという点です。

「辛い食べ物が苦手です」「虫は苦手です」などは、確かに苦手なことではあるのですが、採用の参考にはなりません。むしろ「質問の意図を理解する能力が低い」との評価をされてしまう可能性が高いでしょう。

社風や面接官の性格によっては、業務外の答えでも好意的に受け止めてもらえるケースもありますが、やはり業務にまつわる内容に絞って答えるのが無難といえそうです。

苦手なことをたくさん話しすぎない

「質問にはできるだけ多く答える方が好印象」といった考えから、苦手なことについてもできるだけたくさん答えようとする人もいますが、これはあまりおすすめできません。

確かに、質問内容について多く答えることは、面接官への強力なアピールとなるでしょう。とはいえ、苦手なことはあくまでもあなた自身の弱点や欠点です。必要以上に列挙することはネガティブアピールとなり、好印象を与えるという点からは逆効果となってしまいます。

特に、控えめなタイプの人などは苦手なことが多く思い浮かぶ傾向にありますが、ここではあえて1つに絞るのが正解です。

業務に支障が出そうな「苦手」もNG

面接で苦手なことを質問されたなら、採用後の業務への支障まで考えた上で答えることが大切です。

例えば、新規開拓が多い営業職の面接で「出会ったばかりの人とコミュニケーションを取るのが苦手です」と答えてしまえば、採用される可能性は残念ながら低くなってしまいます。

また、ライン作業の機械オペレーターの面接で「ルーチンワークが苦手です」と答えてしまった場合にも、やはり採用の可能性は低いでしょう。

面接の場で苦手なことを質問された際は、「適性がない」と判断されるような答えは避けるのがおすすめです。

苦手なことがないと断言するのも避けて

中には、「苦手なことが特に思いつかない」という人もいるでしょう。しかし、「苦手なことはありません」と面接の場で断言するのはNGです。

人にはそれぞれ長所と短所があります。どんなに完璧に見える人であったとしても、弱点や欠点が1つもないということはまずありません。

にもかかわらず、苦手なことはないと断言してしまえば、面接官は「この人は自分を客観視できないタイプだな」と判断してしまいます。結果として採用は遠のいてしまうでしょう。

どんなに自分をよく見せたい気持ちが強かったとしても、苦手なことがないと断言するのは避けましょう。

そもそも苦手なことを聞く理由は?

パソコンを見ながらの面接

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面接の場において、苦手なことにまつわる質問は珍しいものではありません。しかし、そもそも苦手なことを聞かれるのはどういった理由からなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

自己分析ができているかチェックしている

面接で苦手なことを聞かれる理由として、第一に挙げられるのが、自己分析ができているかどうかのチェックです。

誰であれ、自分自身のネガティブな一面に向き合うのは抵抗感があるものです。自身のプライドや心の平和を守るため、苦手や弱点・欠点から無意識に目をそらしている人は少なくありません。

とはいえビジネスの場において、客観性のなさは大きなデメリットになりかねません。自分自身を客観的に見られているかどうか、転職のための自己分析がしっかりとできているかどうかの判断基準となるのが、苦手なことにまつわる質問といえるでしょう。

問題を克服する力があるか確認している

何らかの問題に直面したときに、それを克服できる人物なのか確認したいというのも、苦手なことについて面接で質問される理由の1つです。

この質問をする際、企業側が知りたいのは苦手なことがあるかどうかではありません。誰にでも苦手なことがあるという前提のもと、それを克服するための努力ができるかどうかこそ、ここでチェックされるポイントといえるでしょう。

回答の際は、苦手なこととその対処法はセットで伝えることが大切です。そうすることにより、「問題が起きても前向きに行動して解決できる人」との好印象を与えられるでしょう。

会社や職種とのマッチ度を見ているケースも

企業によっては、苦手なことの質問を通じて自社とのマッチ度を確かめているケースもあります。

例えば、応募しているのがアパレル企業なのに対し、「流行に乗るのが苦手」なタイプの人はミスマッチといえるでしょう。

また、業務内容だけでなく、社風に合う人物かどうかを見極める目的で苦手なことを質問するケースもあります。個人の判断を尊重する社風の企業に、「自分で判断するのが苦手」というタイプの人はやはり不向きといわざるを得ません。

企業側には、できるだけ自社に合うタイプの人を採用したいという思いがあります。それをなるべく汲み取った上で回答するのが好ましいでしょう。

苦手な「人」について聞かれた場合は?

バインダーに記入する

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面接の際、苦手な「こと」「もの」ではなく「人」について質問されることもあります。そんなときはどう回答するのが正解なのか、おすすめの対処法を紹介します。

苦手な人とも協力して働けるとアピールしよう

苦手な人について質問されたとき、何より大切なのが、苦手な人であったとしても協力して働けるというアピールをすることです。

この質問は、多くの場合、自己分析や会社とのマッチ度に加え、協調性の有無を見極める目的で行われます。苦手な人が相手でもそれなりにコミュニケーションが取れなければ、業務に支障が出るのはもちろんのこと、職場の雰囲気を壊してしまうでしょう。

苦手な人について答える際は、苦手なタイプをただ伝えるだけでなく、苦手意識の有無を問わず協力して仕事ができることをアピールする必要があるのです。

苦手な人を答える際のポイント

苦手な人を答える際は、苦手なことにまつわる質問と同様にうそはつかず、正直に答えるのがおすすめです。

とはいえ、淡々と苦手なタイプを答えるだけでは個人的な好き嫌いで終わってしまいます。面接での質問であることを考えると、苦手だと感じてしまう具体的な根拠も合わせて伝える必要があるでしょう。

なおこのとき、苦手な人と行動する場面で意識していることを一緒に答えると、好印象を与えられます。ネガティブな印象のままで話題が終わらないよう、工夫が大切になるでしょう。

「苦手な人」のNGな答え方

苦手な人にまつわる質問に答える際、しっかりと意識したいのが、ただの悪口で終わらせないことです。

苦手な人についての話題では、ついつい嫌悪や怒りから口調がきつくなったり、険しい表情になったりしてしまいがちです。冷静さが求められる面接の場において、これは決して好ましいことではありません。

そこでおすすめなのが、プラスイメージの言葉を最後に持ってくるという方法です。具体例としては、「そのようなタイプの人を反面教師として、自分自身を振り返るよう心掛けています」などが挙げられます。

こうした工夫をすることで、ネガティブな印象になりがちな質問もポジティブな印象で終わらせられるでしょう。

面接で答える「苦手」の見つけ方

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自分の「苦手」について、面接の場で考えて答えるのはなかなか難しいものです。事前に答えを用意する際のヒントとして、スムーズな苦手の見つけ方をチェックしていきましょう。

過去の失敗から考える

面接の答えにぴったりの苦手を見つけるにあたり、まず実践したいのが、過去の失敗から考えるという方法です。

失敗経験には、多くの場合何らかの形で自分の苦手が絡んでいます。以下より、主な具体例を紹介していきましょう。

  • 思いつきの行動で周囲に迷惑をかけた:先の見通しを立てるのが苦手
  • 本番で実力が出せず悔しい思いをした:プレッシャーを感じるシチュエーションが苦手
  • 「でも」「だって」が多い人が好きではない:ネガティブな人が苦手

過去の実体験をもとに考えることで、より説得力を感じさせる回答になるはずです。

得意なことの反対を考えてみる

思うように苦手なことが見つからない場合におすすめなのが、得意なことの反対を考えてみるという方法です。

人の長所と短所は、相反する関係にあるのが一般的です。あなたが考える自分の長所の反対を考えることで、自然と苦手なことが明らかになるでしょう。以下、主な具体例を紹介します。

  • 決断力や行動力がある↔じっくり考えるのが苦手
  • リーダーシップを取り、集団をまとめるのが得意↔裏方の役割が苦手
  • ルールのもと、確実に結果を出すことが得意↔臨機応変な対応が苦手

自分自身を深く見つめ直すことで、転職に必要な自己分析もスムーズに進められるでしょう。

面接を受ける企業・職種を参考にする

前述の通り、苦手なことにまつわる面接での質問は、自社にマッチする人材かどうかを見極める目的で行われるケースが少なくありません。

思いついた苦手なことが、企業側に「マッチしない」と判断されてしまえば、残念ながら転職はうまくいかないでしょう。

せっかくのチャンスを逃さないためにも、質問への回答は、面接を受ける企業や職種を踏まえつつ考えるのがおすすめです。うそをつかないことが前提ではありますが、企業側に不安や疑問を抱かせてしまう回答にならないよう注意する必要があるでしょう。

面接で答える苦手なことの例文

手帳に記入する

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「苦手なことはピックアップできたけれど、実際にどう文章にすればよいか分からない」という人もいるのではないでしょうか。苦手なことを面接の場で答える際の基本的な例文を紹介しましょう。

人前で話すことが苦手

「わたしは人前で話すことに対して苦手意識があります。

昔から人前に出ると緊張で頭が真っ白になってしまい、伝えたいことが思うように伝えられません。

あるとき職場の先輩から「人前で堂々と振る舞えないと、同僚だけでなくお客様にも不安を感じさせてしまう」と指摘されたことをきっかけに、このままではいけないと考えるようになりました。

それ以来、率先して会議で発言をするなど、あえて人前で話す機会を作るようにしています。その成果もあって、徐々にではありますが、以前ほど緊張せず人前で話ができるようになりました」

ルーチンワークが苦手

「わたしはルーチンワークが苦手です。同じことの繰り返しをしていると、つい集中力が欠けてしまい、思いがけないミスをしてしまうことがあるからです。

ちょうど仕事でルーチンワークをする機会があったので、どうしたらミスなく進められるかをじっくり考えました。具体的には、ステップごとのチェックシートを作ったり、ミスが増えがちな工程そのものを改善したりするといった方法です。

その結果ミスも減り、今ではルーチンワークへの苦手意識が以前よりも減っています。創意工夫の意識も高まり、より前向きに仕事に取り組めるようになりました」

素早い判断が苦手

「わたしの苦手なことは、素早く判断することです。迷っているうちにタイミングを逃してしまい、後悔した経験が多々あります。

特に印象に残っているのが、クライアントからの問い合わせへの対応です。判断に迷ったために明快な回答ができず、不信感を与える結果になってしまいました。

その経験から、どうしたら素早く判断ができるかを考えて試行錯誤した結果、はじめにもっとも優先するべきことを決めることが有効だと分かりました。

優先順位を決めることにより、判断基準が明確になり、素早い判断ができるようになりました。このノウハウは、仕事だけでなくプライベートでも非常に役立っています」

苦手なこともプラスの印象に置き換えて

3人の面接官

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面接での苦手なことにまつわる質問は、多くの場合、自己分析ができているか・問題を克服する能力があるか・業務内容や社風にマッチするかを見極める目的で行われます。

こうした目的に的確に応えられるよう、苦手なことの内容や理由・具体的なエピソードを交えた回答をするのがおすすめといえるでしょう。

なお、実際に質問に回答する際は、苦手なことを改善するために実践している対処法や、その効果を含めて話すとよい印象を与えられます。ネガティブな話題もポジティブな印象となり、面接の成功率をグッと高められるでしょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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著書:
人材紹介の仕事がよくわかる本
エンジニア55歳からの定年準備