課長になる平均の年齢っていくつ?管理職に求められるスキルとは?

「課長」に昇進するには、どの程度の経験が求められるのでしょうか?昇進する時期の目安や、課長職に就いている人の平均年齢を紹介します。課長職以上の管理職に求められるスキルや、スキルを伸ばす方法も見ていきましょう。

課長の年齢とは?

会話をする二人の社員

(出典) photo-ac.com

一般的に、課長職に昇進するのはどのくらいの年齢なのでしょうか?課長職の平均年齢と勤続年数を紹介します。業界ごとの動向や、課長職の平均収入についても見ていきましょう。

課長職の平均年齢・勤続年数

課長職に昇進する年齢の目安は、一般財団法人 労務行政研究所の発表によると最短で33.9歳、標準で39.4歳です。平均的に、30代のうちに課長職へ昇進する人が多いと考えられます。

課長職の平均年齢は、男女別に公開されています。厚生労働省が2021年に発表した「令和3賃金構造基本統計調査」によると、男性48.7歳、女性49.0歳です。

昇進の年齢と平均年齢を考えると、30~40代で課長職に昇進した後、男女ともに課長職を続けている人が多いと考えられます。なお、課長職に就いている人の勤続年数は男性20.8年、女性18.9年です。

課長職の平均年齢や勤続年数には、大きな男女差は見られません。

参考:
役職別昇進年齢の実態と昇進スピード変化の動向|一般財団法人 労務行政研究所
令和3年賃金構造基本統計調査|厚生労働省

課長職に就ける年齢は企業規模や業界次第

課長職に就ける年齢は、企業規模・業界によっても異なります。企業規模が小さい方が、昇進の年齢が早い傾向です。大企業では人数が多いため昇進の平均年齢は高くなる傾向ですが、実力による抜てきも考えられるでしょう。

日本企業と外資系企業でも、課長職に昇進する年齢は傾向が異なります。日本企業はある程度年功序列を重視する企業もあり、若いうちの昇進は少ないといえるでしょう。

対して外資系企業は、能力を重視しています。活躍が見込まれる人材はすぐに抜てきされるため、課長職に昇進する年齢も低くなる傾向です。

課長職の平均収入

課長職になると、どの程度の収入が見込めるのでしょうか?前述の厚労省調査によると、平均月収は男女計で47万6,300円です。性別ごとに見ると、男性48万4,600円、女性42万2,100円となっています。

係長職の平均月収が男女計36万7,800円、部長職が57万7,900円であることを考えると、係長職から課長職に昇進することで、月収が10万円前後アップする形となります。課長職と部長職にも10万円程度の開きがあり、昇進のたびに月収が大幅に上がります。

平均月収は性別によってやや開きがあり、同じ役職であっても女性の方が4~10万円程度低い値になる傾向があります。

そもそも課長職の役割は?

中高年の管理職イメージ

(出典) photo-ac.com

課長職は、社内でどのような役割を求められているのでしょうか?組織から見た課長職の役割と、課長職に昇進したときに行う仕事内容について解説します。

課長職=社内の中間管理職

課長職は「課のトップ」です。肩書や名称は会社によって異なるものの、1つの部署を率いる立場となります。

ほかの役職とは、何が違うのでしょうか?係長は、部門よりも下のチームを率いる役割です。部長職になると、複数の課をまとめる役割を果たします。

係長職と部長職の間に位置する課長職は、社内の中間管理職に該当するでしょう。組織のルールにもよりますが、一般的に課長職に昇進すると管理職としての役割が求められます。

課長職の主な役割

課長職の役割は、課に属する部下をまとめることです。部門が目指す方向性と、目標を定めることも課長の役割になります。

係長職より統率する部下が増えるため、自分の頑張りよりも部下のモチベーションアップや実力発揮が重要です。

部下が増えると、個人でカバーできる範囲を超えてきます。全てのことを自分でやろうとするのではなく、部下を使いこなすマネジメント能力が重視されるでしょう。

管理職としては現場に近いこともあり、部下と上司を取り持つ役割もあります。自分の目で現場を見て、必要な業務や新しい事業の開拓を上司に打診することも求められるでしょう。

課長職に求められるスキル

打ち合わせをしている社員

(出典) photo-ac.com

課長には、人の上に立つためのスキルが求められます。部下をまとめ、中間管理職として働く際に必要とされるスキルについて見てみましょう。

リーダーシップ

課長職は、多くの部下をまとめ上げることが求められます。部下を指導・統率するリーダーシップは、課長職に必要な能力です。

リーダーシップは「指導力」や「統率力」と訳されます。指導力は、部下の成長や実力発揮をサポートするための力です。環境を整えるために、実現可能な目標を設定するのも指導の一環といえるでしょう。

統率力は、多くの部下をまとめ、指揮する力です。部門内のトラブル解決や、部下のモチベーションアップを図る試みも課長に求められます。

マネジメントスキル

課長には、マネジメントスキルが求められます。管理職として、会社の資源や自らをコントロールする能力が必要です。

マネジメントスキルは、管理能力を意味します。社内で管理する対象は、部下・資金・商品などが該当するでしょう。

課長職になると、部下や組織内の経営資源を管理する役割を与えられます。会社での「管理能力」とは、利益を上げることです。資源を有効に活用し、最大限の利益をもたらすことが課長に求められるものと考えておきましょう。

現在では、多様性を意味する「ダイバーシティ」もマネジメントスキルと見なされます。人種・考え方・性別・年齢など背景を問わず、グローバルな考え方で人材を活用する経営戦略です。

フォロワーシップ

課長職に必要とされる「フォロワーシップ」は、組織の一員としてリーダーを支える能力です。課長職は中間管理職でもあり、経営層や上司の意向に沿って動くことが求められます。課長であっても、組織の意向を理解しフォロワーとして働く意思が大切です。

部下に対しても、フォロワーシップは発揮できます。相手をサポートする「フォロワー」となって、部下が実力を発揮できるような環境を整えるのも課長職の仕事です。

上司と部下、両方の立場で動く課長職は、バランスを取りながら最終決定権を持つ経営層とよい関係を結ぶことが求められるでしょう。

それぞれのスキルを磨く方法は?

テーブルで打ち合わせをしている様子

(出典) photo-ac.com

課長職に必要とされるスキルを磨くには、何をすればよいのでしょうか?リーダーシップ・マネジメントスキル・フォロワーシップを磨くため、心掛けたいポイントを紹介します。

リーダーシップを高めるポイント

リーダーシップは、行動によって生まれます。アイデアの提案・周囲へのサポートなど、まずはできることから始めてみましょう。積極的に行動すると、自然と周りを引っ張る力がついてきます。

行動に伴って、相手とのコミュニケーションを意識しましょう。一方的な働きかけではなく、関わった相手の意向や気持ちを確認し、必要とされているフォローや助言を心掛けます。

リーダーとして活躍するには、視野の広さも必要です。長い目で見て利益が生まれるかを重視し、中長期的な目標を設定することを考えましょう。

マネジメントスキルを高めるポイント

マネジメントスキルを高めるには、考え方を変えるところから始めましょう。課長職になると、経営層の考えを理解することが必要です。

まずは、視点を変えて上層部の立場に立ったつもりで全体を見渡してみましょう。自分が売り上げ・結果を出して活躍するだけでなく、会社全体の仕組みや経営手法について学ぶことが大切です。

考え方を変えるための手助けとして「ディズニーストラテジー」が役立ちます。ディズニーストラテジーは、ディズニー創業者のウォルト・ディズニーが使用していた手法です。

アイデアを無制限に出す「ドリーマー」、現実的に計画が達成できるか判断をする「リアリスト」、問題点を洗い出す「クリティック」の3種類の立場で、1つの物事を考えます。

フォロワーシップを高めるポイント

フォロワーシップを高めるには、「自分の意思で考えること」と「一歩踏み込んで上司の意図を理解すること」が求められます。

課長職は、上司の意思を部門全体に伝えるのが役割です。ただ伝えるだけでなく、自分で内容を理解し、納得感を持って業務に取りかかりましょう。部門全体に考えを浸透させるには、まず自分が納得しなければなりません。

また、上司からの通達を一方的に伝えるのではなく、お互いにコミュニケーションが取れる関係性を築くのも大切です。上司には確認を怠らず、部下に対しては相談しやすい環境を作っておきましょう。

課長を目指すなら必要なスキルを伸ばそう!

エリートビジネスマンのイメージ

(出典) photo-ac.com

日本では、30~40代で課長職に昇進するケースが平均的です。昇進後は上司と部下の間を取り持ち、課全体を統率する役割を求められるでしょう。

部下を統率するリーダーシップと、課をまとめるマネジメントスキルが課長に必要なスキルです。組織の一員として周囲をサポートする能力であるフォロワーシップも求められるでしょう。

管理職の仲間入りを果たした後は、経営層と同じ目線で全体の利益を意識し、課長職に求められるスキルを伸ばしていきましょう。

小松俊明
【監修者】All About 転職のノウハウ・外資転職ガイド小松俊明

国立大学法人東京海洋大学グローバル教育研究推進機構教授。サイバー大学客員教授を兼務。「できる上司は定時に帰る」「エンジニア55歳からの定年準備」「人材紹介の仕事がよくわかる本」他、キャリアやビジネススキル開発に関する著書がある。元外資系ヘッドハンターであり、企業の採用や人材育成事情に詳しい。
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