トーク力の高さは、日常的なコミュニケーションに役立つのはもちろんのこと、転職面接でのアピール要素にもなります。面接でトーク力をアピールする場合のコツや、知っておきたい注意点をチェックしていきましょう。トーク力が高い人の特徴も紹介します。
トーク力とは?
トーク力とは、具体的にどのようなスキルを指す言葉なのでしょうか?まずは、トーク力の詳細から確認していきましょう。
伝えたいことを分かりやすく効果的に伝えるスキル
トーク力とは、一般的に、伝えたいことを分かりやすく効果的に伝えるスキルをいいます。
知人との会話中や、プレゼンテーションを聞いているときなどに、「この人の話は分かりやすいな」「聞きやすいな」と感じた経験はありませんか?この、聞き手にとって分かりやすく聞きやすい話をするスキルが、トーク力の基本といえるでしょう。
全く同じテーマの話でも、話し手のトーク力の程度によって聞き手の理解度は大きく変わります。相手に「この人の話はよく分からない」と感じさせてしまえば、コミュニケーションはうまくいきません。
それがビジネスであれ、プライベートであれ、コミュニケーションがスムーズにいくか否かを左右するのがトーク力といえるのではないでしょうか。
トーク力は長所としてアピールできる
トーク力は、ビジネスシーンにおいてとても重視されるスキルです。「トーク力に自信がある」という人は、転職面接の場でもぜひ積極的にアピールしていきましょう。
コミュニケーションは、ビジネスシーンにおいて必要不可欠です。特に営業や販売のような職種は、コミュニケーション能力が業績に直結するといっても過言ではありません。こうした職種を目指す場合、トーク力の高さは大きな武器となるでしょう。
トーク力が高い人の特徴
「自分のトーク力について、客観的に見てどうなのか分からない」という人もいるでしょう。セルフチェックのヒントとして、トーク力が高い人に共通して見られる特徴を次に紹介していきます。
会話を通じて相手と信頼関係を築ける
トーク力が高い人の特徴として、まず挙げられるのが、会話を通じて相手と信頼関係を構築できることです。
しばしば誤解されがちですが、単に会話がうまい人とトーク力がある人とは別物です。単に会話がうまいだけでは、お互いの信頼関係を育むには至りません。
トーク力のある人は、相手の気持ちや考えに配慮をしながら自分の主張や考えをしっかりと伝えられるため、会話を通じて相手との信頼を構築することができます。会話相手に「この人は信用できる」と思ってもらえるのがトーク力のある人といえるでしょう。
相手の話を引き出すことができる
自分が話をするだけでなく、相手の話を自然に引き出せるのも、トーク力が高い人の特徴です。
一般的に、人は一方的に話を聞かせようとする人よりも自分の話に興味を持って聞いてくれる人に好意を抱きます。どんなに話がおもしろい人であったとしても、矢継ぎ早に話したてる人にはストレスを感じてしまうでしょう。
トーク力が高い人は、「わたしは○○かと思うのですが、△△さんはどう思われますか?」「○○は△△さんの得意分野でしたよね?ぜひお話を聞かせてください!」などのように、相手が気持ちよく話ができるような流れを上手に作ることができ、相手の話を引き出すスキルも高い傾向にあります。
相手によって伝え方を変えられる
トーク力が高い人は、会話の相手によって伝え方を変え、よりスムーズなコミュニケーションができる人です。
聞き手の理解度は人によってまちまちです。相手を問わず同じような伝え方をした場合、「難しくて分からない」と感じる人がいる一方で「もっと深い部分が知りたい」と思う人も出てしまい、不満を感じさせる原因になってしまう可能性があります。これがビジネスの場合、知らず知らずのうちにクライアントの不評を買うことにもなりかねません。
しかしトーク力の高い人は、会話中の相手の反応を見ながら相手が必要としている内容を分かりやすく伝える話し方を工夫できます。そうすると聞き手の理解度も高まり、「この人の話は分かりやすい」という評価を得ることができるのです。
転職面接でトーク力をアピールするコツは?
転職面接でトーク力を武器にしたいと思ったら、どのようにアピールすればよいのでしょうか? 覚えておきたいアピールのコツを紹介します。
仕事に生かせることを強調する
転職面接でトーク力をアピールする場合、意識したいのが仕事に生かせる点を強調することです。
「私にはトーク力があります」と話すだけでは、その意図が相手に伝わりません。転職先企業での業務に生かせると伝えることで、初めて効果的なアピールとなりうるでしょう。
そのための方法として、トーク力があったからこその成功体験を話すことです。得意先とのコミュニケーションがうまくいき成約につながった、といった具体的なエピソードを紹介することで説得力を高めることにつながります。
「この人なら自社の力になってくれる」と企業側に感じさせることが上手なアピールのコツといえるでしょう。
応募する職種に合わせて効果的に伝える
応募する職種に合わせて効果的に伝えることも大切です。
例えば、あなたの応募する職種が直接クライアントと接する機会が多いものであるのなら、「会話を通じてクライアントの要望を把握し、適切な提案ができます」といった伝え方が効果的でしょう。
相手を理解する力や相手の状況に応じて提案する力があるという点をアピールすることで、企業側に対し「即戦力になりそうな人材だ」との印象を与えられます。応募する職種にあなたのトーク力が生かせるのか、生かせるとしたらどのようにしてアピールできるのかを、事前にしっかりと考えておくことが大切です。
転職面接での注意点
転職面接でトーク力をアピールする場合に、事前に注意しておきたいいくつかの点があります。中でも特に重要なポイントを整理していきましょう。
面接評価のハードルを上げすぎないよう注意する
面接の場でトーク力を必要以上にアピールしてしまうと評価のハードルを上げてしまう可能性があります。
「わたしはトーク力に自信があります」と自らアピールすれば、それに対する相手の期待値は自然と高まります。あなたの面接中のトーク力に面接官が注目するあまり「大したことないな」と、かえってネガティブな印象を与えてしまうことになりかねません。
日頃からトーク力を高めるための努力を重ね、その強みをさらに磨いていくことにより面接の場で自然と、「この人はトーク力の高い人だ」と面接官を納得させることができるでしょう。
論理的にわかりやすく話す
面接官に「トーク力が高い人だな」と思ってもらうためには、論理的かつ分かりやすい話し方をすることが大切です。何を言いたいのかが明快に伝わる、相手が理解しやすい話し方をすることで、トーク力の高さを効果的にアピールできることにつながります。
そのためにおすすめなのが、まず結論から話すことです。具体例としては、「わたしは○○だと考えます。その理由は〜」「それは○○でした。具体的なエピソードとしては〜」といった話し方が挙げられます。
初めに結論を話すことで、相手はあなたの主張を踏まえた上で詳細を理解することができます。「結局何が言いたいんだろう?」と思わせることがないため、聞き手の集中力を途切れさせることもありません。
まず結論を話し、その後で理由や具体例を話すといった構成にすることが、分かりやすい会話のポイントといえるでしょう。
表情やジェスチャーを意識する
人と人とのコミュニケーションは、言葉だけで行われるものではありません。表情やジェスチャーは、欠くことのできないコミュニケーション要素の一部です。
言葉には意識を向けているのに、表情やジェスチャーが適当になってしまう場合は少なくありません。例えば、ユーモアあふれるエピソードを真顔で語ると、チグハグな印象を与えてしまいます。話の内容に合わせた表情やジェスチャーを意識することが大切です。
トーク力は他の表現にも言い換え可能
トーク力は他の表現に言い換えることができます。トーク力の上手な言い換え方について、例文と合わせて紹介します。
「伝える力」への言い換え
トーク力は「伝える力」と言い換えることができます。以下、伝える力を使った自己アピールの例文を紹介します。
【例文】
「わたくしの強みは、自分の考えを相手にわかりやすく伝える力があることです。人と会話をする際は、どう話をしたら相手にうまく伝わるのかを常に考えるようにしています。
前職では、この伝える力を評価され、顧客へのプレゼンテーションを多く担ってきました。わたくしはこのような顧客へ的確に伝える力や交渉力を生かして、御社の業務に貢献したいと考えています」
「コミュニケーション力」への言い換え
「コミュニケーション力」も、トーク力を言い換えた表現です。以下、コミュニケーション力を使った自己アピールの例文を紹介します。
【例文】
「わたくしの長所は、人とスムーズな意思の疎通ができるコミュニケーション力です。
他者との間を取り持つことができる能力を買われ、学生時代から前職に至るまで調整的な役割を多く担ってきました。例えば会議で意見がまとまらなかったときなどは、それぞれの意見を引き出しながら集約する形で、みんなが納得できる結論を導き出すことができました。
このコミュニケーション力を生かし、社内の同僚や先輩とよい関係を築くのはもちろんのこと、顧客とのパイプ役として御社の業務に尽力したいと考えています」
「聞く力」への言い換え
トーク力がある人は同時に聞く力も高い人です。自分には人の話をしっかりと聞く力がある人におすすめなトーク力の言い換え表現が、「聞く力」です。以下、聞く力を使った自己アピールの例文を紹介します。
【例文】
「わたくしは、人の話をしっかりと聞くことができます。
社会人として仕事をする中で、お客様からあなたはいつも話を真剣に親身になって聞いてくれると言われることが多く、聞く力について自覚するようになりました。
相手の立場に立ち、しっかりと話を聞くことで相手の本音や話の目的を引き出し、顧客ニーズをつかむことができます。この強みを生かし、顧客に必要とされる営業として御社の業績アップに貢献したいと考えています」
トーク力は仕事で生かせる
トーク力の高い人は、分かりやすく効果的に話ができるだけでなく、相手の話を上手に引き出せる人でもあります。
社内の風通しをよくしたり、顧客との信頼関係を築いたりできることから、トーク力の高さは仕事においても重宝されるスキルといえるでしょう。
トーク力があることを転職面接で上手にアピールすることにより、企業側に「この人なら任せられる」との印象を持ってもらえることにつながるでしょう。
コミュニケーションでまごころを伝える、ビジネスマナーの専門家。池坊短期大学教授。日本女子大学大学院人間社会研究科博士課程修了。勤務校でビジネスマナーやコミュニケーション、就職の面接対策講座を担当。企業や官庁関連機関で就労支援講座を行う。
All Aboutプロフィールページ
著書:
VUCA時代をよりよく生きるためのキャリア形成とコミュニケーションスキル(ナカニシヤ出版)
心地いい人がしている、人づきあいに役立つ習慣術(ぱる出版)
新社会人のためのビジネスマナー講座(ミネルヴァ書房)