社会人基礎力と聞いても、どのような能力のことなのかイメージできない人もいるでしょう。社会人であっても、初めて耳にした人もいるはずです。社会人基礎力とはどのような能力で、何を目的に作られたものなのか見ていきましょう。
この記事のポイント
- 不機嫌ハラスメントとは
- 不機嫌ハラスメントとは、不機嫌な態度で周囲を不快にさせる行為です。舌打ちや怒鳴り声、無視などが該当します。立場の弱い人などに対してだけ不機嫌な口調で攻撃的に話すのも、不機嫌ハラスメントの一種であり、パワーハラスメント(パワハラ)でもあります。
- 不機嫌ハラスメントをする人の心理
- 不機嫌ハラスメントをする人は、自分の気持ちを言語化するのが苦手だったり、かまってほしいという心理の人に多く、また、ストレス管理が苦手です。意図的に不機嫌な態度を取ることで、相手を萎縮させコントロールしようとする人もいます。
- 不機嫌ハラスメントへの対処法
- 不機嫌な態度を取る人が社内にいると、周囲にも徐々にそのイライラが伝染して、オフィス全体の雰囲気が悪くなります。適度に距離を置くことを心がけましょう。無理に機嫌を取ろうとすると、攻撃のターゲットにされてしまう恐れもあるので注意しましょう。
社会人基礎力とは
社会人基礎力は名前の通り、社会人に必要な基礎的な能力のことです。概要や、誕生した背景などを見ていきましょう。
仕事をしていくために必要な基礎的な力
社会人基礎力は「職場や地域社会で多様な人々と関わりながら、仕事をするために必要な力」のことで、業種や職種に関係なく必要な能力を指します。この言葉は2006年に経済産業省が提唱し、日本の社会に必要な人材力の強化を目的として誕生しました。
社会人基礎力が何なのかが分かると、これからの社会で求められている人材が分かるので、知らない人はチェックしてみましょう。
社会人基礎力が誕生した背景
2005年に発足した「社会人基礎力に関する研究会」で、若年層に不足している「仕事の現場で求められる能力」について検討されたのが始まりです。
社会人基礎力に関する研究会は、産業界・教育界・学界などから有識者を集め、社会人に求められる基礎力や人材の育成について検討するための組織です。
社会人基礎力の目的は、育成や評価の指標として活用しやすい具体的な能力を明らかにし、社会人として必要な能力を身に付けさせるための教育改革を行うことです。
基礎学力・専門知識・人間性を高めるために必要な能力を向上させ、それぞれの能力がよい影響を与え合うような流れを意識して作られました。2018年に新たな視点が取り入れられ、新しい時代に適応した内容となっています。
対象となるのは全ての社会人
社会人基礎力の考え方がまとめられ公表された当初は、若年層を対象にしていました。しかし新しく定義された「人生100年時代の社会人基礎力」では、就学前から中高年の社会人に至るまで幅広い年代を対象にしています。
以前に比べて日本人の寿命が長くなったことで、これまでに想定されていた人生モデルでは対応できなくなってきたことが、対象者を広げた理由の1つです。
長い人生を生き抜いていくために、全ての世代でキャリアを再設計させ、企業や地域社会で力を発揮させることを目標としています。
3つの能力と12の要素に分類できる
社会人基礎力は、3つの能力と12の要素に分けられています。それぞれの能力を詳しく見ていきましょう。
1.失敗しても粘り強く前に踏み出す力
社会人基礎力の1つめは「前に踏み出す力」です。たとえ失敗しても、粘り強く挑戦できる力を必要としています。
前に踏み出す力に必要な要素として挙げられているのが、主体性・実行力・働きかけ力の3つです。主体性は物事に対し積極的に取り組んでいくことで、自分の考えや判断に基づき、責任を持って行動する力を指します。
実行力は、高い計画性を元に物事を遂行する力です。働きかけ力は他者を巻き込んでいく力のことで、自ら行動していくだけでなく他者と協力しながら物事を成し遂げていく力が求められています。
2.疑問を持ち考え抜く力
2つめは、何事にも疑問を持ち「考え抜く力」です。自発的に課題を見つけ、どのように問題を解決すればよいのかを考える力が求められています。考え抜く力の元になるのは、課題発見力・創造力・計画力の3つです。
課題発見力は、目標達成のために何が障害になっているのかを分析し発見する力を指します。問題への対処だけでなく「成績を伸ばすために必要な課題は?」と、考える力も課題発見力の1つです。
創造力は新しいものを生み出す力のことで、従来の考え方に捉われない発想などが該当します。計画力は問題解決に向けた手順を考え、最善策を見つけ出して目的を達成するための準備をする力のことです。
3.目標に向けて協力できるチーム力
最後は、他者と力を合わせて目標を達成するために必要な「チームで働く力」です。発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力の6つの要素から成り立ちます。
この6つの要素は、チームワークを高めるためのコミュニケーションに必要な能力ばかりです。発信力や傾聴力がなければ、スムーズな話し合いができません。
情況把握力がある人は、自分と他者、物事との関係性を理解する能力に長けており、コミュニケーションを円滑にすることができます。また柔軟性があれば、さまざまな意見を取り入れてよりよいアイデアを練れるでしょう。
集団で何かを成し遂げるには、規律性も重要です。規律性は社会のルールや約束を守り、自らをコントロールするために必要となります。
また、集団の中で自分の能力を発揮するには、ストレスとうまく付き合っていくことも、なくてはならない要素です。
2018年に「学ぶ」「統合」「目的」が追加
2018年に社会人基礎力が見直され、幅広い世代が社会で活躍し続けるために必要な「学ぶ」「統合」「目的」の3要素が追加されました。
自らの能力を鍛えるために何を学ぶかという視点は、大人が学び続けていくために必要です。統合は、これまでのキャリアや経験などを、複合的に考えて仕事に生かしていくことを意味します。
自己実現や社会貢献といった目的を叶えるために、行動することも必要です。目的を実現するために何を学ぶかを考え、これまで培ってきた経験に基づくスキルや能力などを統合することが、自らのキャリアを切り開いていくために求められます。
社会人基礎力の具体的な鍛え方
社会人基礎力を鍛えれば、職場や地域社会で活躍できる人材に近付けます。具体的な鍛え方を見ていきましょう。
「主体性」は自分の考えを持つことから
主体性を養うには、自分の考えをしっかりと持つことから始めましょう。主体性に欠ける人は、つい他の人の意見に流されがちです。他者の優れた意見に耳を傾けることは有意義ですが、自分なりの結論を出さなければ自分を軸にした考えを持てません。
自分の考えを持つには、日頃から思いついたことや感じたことをメモする癖をつける方法がおすすめです。決断を人に委ねるのをやめ、自らの意志で判断する場面を増やすことも効果的だといえます。
難しく考えなくても「今日は1駅歩いて帰ってみよう」「たまには知らない場所へ出掛けてみよう」など、簡単にできることから取り組んでみましょう。
思い込みをやめ「課題発見力」を高める
課題発見力は、現状を正しく分析しながら問題を見つける力のことです。考え抜く力を養うために必要な課題発見力を高めるには、思い込みを一度なくして物事を考える方法をおすすめします。
人は物事を中立的に考えているつもりでも、ついこれまでの経験を元に考えてしまうものです。主観や先入観から抜け出すには、前提を疑ってみましょう。
例えば製品やサービスなどを購入する際、ユーザーが選択可能な2つの機能を提示されたときに、「これ以外にも必要な機能があるのでは?」と考えられる人は前提を疑える人です。
また課題を発見するには、問題や論点からずれずに全体を見る力も求められます。
「発信力」向上にはアウトプット量を増やす
チームでの仕事を成功させるには、発信力が欠かせません。発信力は相手に意見や気持ちを伝える力のことで、相手を説得したり、自分の考えを理解してもらったりするのに必要です。
発信力を鍛えるには、見たり聞いたりしたことや学んだことなどを、アウトプットする癖をつけることがおすすめです。人に情報を伝える機会を増やすと、発信力を向上させられます。
発信力が足りないと「自分の意見を言ってくれない」「何を考えているのか分からない人」と思われ、チームワークが高まらないでしょう。
ストレスを意識的にコントロールする
ストレスを感じたときに意識してストレス解消に努めることは、人間関係のストレスを減らしたり仕事の効率をアップさせたりするために重要です。
人は誰しもストレスを感じるので、ストレスの原因を根本からなくすことはできません。ストレスが全くない状態では、ほどよいプレッシャーをかけられず、自分の力を発揮できない原因になることもあります。
ストレスをため込む前に、軽い運動をしたり趣味に打ち込んだりして発散しましょう。仕事やプライベートが充実していると、つい睡眠時間を削ってしまいがちですが、睡眠をしっかりとることもストレスコントロールに有効です。
社会人基礎力を磨くコツ
社会人基礎力を磨くコツを知っていると、社会や企業から求められている能力をより高められます。どのようなコツがあるのか見ていきましょう。
自分を客観的に捉え不得意を明らかにする
社会人基礎力を磨くには自分自身を客観的に見て、何が得意で何が苦手なのかをはっきりとさせましょう。得意分野を伸ばし、苦手分野を改善していくことで、能力を全体的に向上させられます。
客観的な目線を持たないと間違った方向に努力する原因になるので、自分で判断できないときは、上司や家族などの第三者に相談するのも1つの方法です。
自己分析をして得手不得手を明らかにすることは、転職活動で履歴書を書く際にも役立ちます。時間の経過とともに、できることが増えたり苦手分野が変わったりすることもあるので、定期的に振り返る時間を持つことが大事です。
研修や講座などを利用する
自分の苦手分野や不足している能力を見つけたら、独学で改善していくのも1つの方法ですが、研修や講座などを利用しプロの指導を仰ぐ方法もあります。
個人向けに開催されている講座は、気軽に利用できるところが魅力です。講座の一部を無料体験できるサービスを利用すれば、どのように学んでいくのかをイメージしやすく、契約後の後悔を減らせます。
オンラインで受講可能なものを選べば移動時間が必要ないので、忙しい人でも挑戦しやすいでしょう。
長期的に学んでいく姿勢が大切
社会人基礎力は社会人として活躍している人なら、ある程度は身に付いている可能性が高いものばかりですが、要素が多岐にわたるので全ての能力を一度に伸ばすことは難しいでしょう。
一度に改善しようとせず、長期的に学んでいく姿勢で取り組むことが大事です。日頃の生活の中で、社会人基礎力を意識していきましょう。
例えば前に踏み出す力を伸ばしたいなら、主体性をアップさせるために人の話を聞いてばかりではなく、自分の意見を持つことを意識して行動する方法がおすすめです。
企業や社会から求められる人材になろう
社会人基礎力を伸ばせれば、企業や社会から求められる人物に近づけるでしょう。さまざまな世代で、職種や業種などに関係なく必要とされる能力なので、現在の職場で活躍したいときだけでなく転職する際にも役立ちます。
転職活動や仕事の目標に向かう中で、自分に何が足りないのか分からなくなったときは、社会人基礎力の3つの能力と12の要素を振り返って、点検してみましょう。
足りないものを見抜いた上で集中的に訓練すると、苦手分野を克服でき、今までよりも活躍できるようになるはずです。