「ブリーフィング」は近年のビジネスシーンで使われるカタカナ語の1つです。しかし、耳にする機会はあっても定義の理解が曖昧で、使うのを避けている人は多いかもしれません。意味や使い方・似た言葉との違いを知って、仕事上の会話に生かしましょう。
ブリーフィングとは
IT企業や外資系企業の台頭に伴い、近年ではカタカナ語が使われるシーンが増えています。「ブリーフィング」もその1つです。言葉の意味や始まりをチェックして、正しい理解に役立てましょう。
「簡単な報告・事情説明」を意味する言葉
ブリーフィングとは、簡単な報告や事情の説明を意味する言葉です。「要点を絞って説明すること」「短時間で話す」を表す英語「brief」から派生しており、日本においてもビジネスシーンで使われるようになりました。
ブリーフィングの起源は航空業界、さらには軍事用語にまでさかのぼります。軍事行動中はわずかな意思のずれが命取りになります。生存確率を上げて作戦を成功させるため、活動前にブリーフィングをして司令の確認を取っていました。
航空業界でも同様に、小さなミスが顧客の命を奪う結果になりかねません。航空業界でブリーフィングが取り入れられたのは、自然の流れといえるでしょう。航空業界にも浸透したブリーフィングは、やがてほかの業界にも取り入れられていったのです。
ビジネスにおけるブリーフィング
現在では仕事の場で、ブリーフィングという言葉が頻繁に使われます。ビジネスシーンで耳にした場合、かつての軍事用語とはニュアンスが異なります。急にブリーフィングと聞いても困らないように、例文を交えて意味を確認しましょう。
「簡潔な社内共有」を指すビジネス用語
ビジネスの場面でのブリーフィングは、「社内での簡潔な情報共有」を指す言葉として使われます。社外の関係者との打ち合わせをブリーフィングと呼ぶのは一般的ではなく、社内用語として用いるのが基本です。
次から次へとやるべきことが発生する仕事の現場では、重点を置くポイントが曖昧になりがちです。ブリーフィングを通して要点を再確認すれば、会社全体で同じ方向を向き、無駄のない業務遂行を期待できます。
使われるシーンと例文
ブリーフィングという言葉は、さまざまなシーンで登場します。例えば朝礼で1日の流れを確認するときです。
- 仕事を始める前に、本日の業務内容についてブリーフィングを行います
ブリーフィングのタイミングとしては、取引先との打ち合わせ前や業務の引き継ぎ時なども挙げられます。
- 取引先にプランを提案する前に、カフェでブリーフィングしておこう
- 15時から引き継ぎに関してのブリーフィングを行いたいのですが、ご都合はいかがでしょうか?
例文を参考に、自分の職場で使う可能性が高いシーンを具体的にイメージしてみましょう。
業界でも変わるブリーフィング
一般的なビジネスシーンとは違った意味合いで、ブリーフィングという言葉を使う業界もあります。
例えば、医療業界でのブリーフィングは、患者の状態や手術の内容などについて事前に確認することです。人命に関わることであり、「簡単な」というニュアンスはありません。
航空業界でのブリーフィングは、フライトに関わる乗務員全員で行います。打ち合わせの内容は、航路上の天候や乗客へのサービス対応・緊急時の役割などです。
事前の打ち合わせというニュアンスは共通していますが、細かい意味が異なります。ニュース記事や社外の会話で耳にしたときは、業界にも注目してみましょう。
ブリーフィングに似た言葉と対義語
ブリーフィングと似た言葉との違いが分からず、使い分けに困る人もいるでしょう。類義語とのニュアンスの違いや、対義語の「デブリーフィング」の意味も解説します。
「ミーティング」との違いは?
ブリーフィングとよく似た言葉に、「ミーティング」があります。どちらも打ち合わせを指しますが、意味合いが異なる言葉です。両者の違いは、打ち合わせをする目的にあります。
情報の共有がメインのブリーフィングに対し、ミーティングは何らかの決議をするのが目的です。ブリーフィングでは特定の人が一方的に話すのが通常ですが、ミーティングでは双方向の議論を行い、新しいアイデアやプランを決めます。
対義語の「デブリーフィング」もチェック
ブリーフィングの対義語は「デブリーフィング」です。ブリーフィングが事前に重要な点を確認するのに対して、デブリーフィングは業務・プロジェクトの後に成果の報告・評価をします。
区切りが付いたタイミングで、うまくいった点と問題点を洗い出す作業をします。デブリーフィングを通して改善方法を考えないと、いつまでも同じところでつまずきかねません。
デブリーフィングを適切なタイミングで行うことで、目的に向かって効率的に業務を進められます。
ブリーフィングを含むビジネス用語
ブリーフィングは単体で使われるほかに、別の単語と合わせてビジネス用語になる場合もあります。ブリーフィングから派生した言葉も2つチェックしておきましょう。
エレベーターブリーフィング
派生語として有名な言葉の1つが「エレベーターブリーフィング」です。エレベーターテストとも呼ばれ、エレベーター内のわずかな時間の中で上司に報告して、判断や承認を仰ぐ手法です。
仕事では、報告・打ち合わせの時間を十分に確保できないことは珍しくありません。エレベーターが目的階に到着するまでの時間に内容を伝えられれば、日常でも忙しい人との打ち合わせがスムーズに進むでしょう。
ブリーフィングシート
「ブリーフィングシート」もブリーフィングから派生した言葉です。ブリーフィングシートは規模が大きい会議の前に配られる説明資料で、一般的には会議の要点をA4用紙1枚程度にまとめてあります。
会議の規模が大きくなって、個別の参加者の疑問や不明点に細かく対応できないケースは珍しくありません。話の途中で疑問が生まれたときに、ブリーフィングシートを見れば解決できる内容になっているのが望ましい状態です。
ブリーフィングで要点を確認しよう
ブリーフィングは、業務の開始前や社外の関係者との打ち合わせ前に、簡単に社内で情報を共有することです。参加者が同じ理解を持つのが目的であり、何かを決めるために開くミーティングとは異なります。
ブリーフィングを通して要点や方向性について参加者の認識を統一し、チーム意識を持って業務に取り組める利点があります。
また、対義語のデブリーフィングもビジネスにおいて重要な概念です。エレベーターブリーフィングやブリーフィングシートといった派生語も把握し、言葉を正しく使いましょう。