柔軟性を持って仕事をすることは、社会人にとって非常に重要なポイントです。企業に求められる人材になるため、柔軟性のある人の特徴や、転職の際に柔軟性をアピールするコツを例文付きで紹介します。また、柔軟性を高める方法についても見ていきましょう。
柔軟性がある人の特徴
「柔軟性がある」とは、具体的にどういうことを指すのでしょうか?まずは、柔軟性がある人の2つの主な特徴を紹介します。
臨機応変な対応ができる
柔軟性のある人の最大の特徴は、状況に合わせて臨機応変に対応できる点です。マニュアルや指示通りに正確に業務を遂行する力も重要ですが、仕事ではイレギュラーな事態が発生することも少なくありません。
突然の変更や経験のないことに対しても瞬時に反応して対応できると、どこの会社で働いても重宝されるでしょう。
企業が求人を募集する際に、求める人材像として「指示待ちではなく自ら考えて動ける人」という内容を記載していることも多くあります。
あらゆる事態に対して自ら考えて対応できる人は、多くの企業にとって喉から手が出るほど欲しい人材なのです。
他者の意見を取り入れる
自分の考えに固執せず、先輩や後輩など立場に関係なく、他者からの意見も積極的に取り入れられるのも柔軟性のある人の特徴です。
「絶対に自分が正しい」という考えを持っていると、問題に直面したときに解決策を見出せず、仕事が滞ってしまう可能性があります。
また、他者の意見を聞かないことで、職場の人間関係にマイナスの影響を及ぼすこともあるでしょう。
凝り固まった考えを持たず、あらゆる視点から物事を見ることができる人は、柔軟な立ち回りができます。
自己PRで柔軟性をアピールするポイント
「転職の自己PRとして、柔軟性をアピールしたい」と考える人は少なくありません。他の候補者に差をつけるためにも、柔軟性をアピールする際のポイントについて見ていきましょう。
どんな柔軟性なのか、具体的にアピールする
「私には柔軟性があります」とアピールするだけでは、どのように柔軟性があるのかが面接官に伝わりにくいでしょう。
また、柔軟性は自己PRとして挙げられることも多いため、「また柔軟性か」と思われる可能性もゼロではありません。
そのため「相手の意見を取り入れられる」「ピンチに強い」など、どのような柔軟性があるのかを伝えられると、うまく印象付けることができます。
さらに、信ぴょう性を高めるためには、具体的なエピソードを述べることも重要です。「なぜ・どのように対応したのか」といった、アピールを裏付けるエピソードを事前に用意しておきましょう。
応募先の企業での生かし方を伝える
単に自身の強みとしてアピールするだけでなく、応募先の企業でどのように生かせるかを伝えることで、面接官は採用後のイメージを膨らませやすくなります。
そのためには、企業が求める人材像をリサーチし、欲している人材にマッチした内容を伝えることがポイントです。
応募先の企業が求めている人材を把握しておくことで、しっかり企業研究をしていることもアピールできます。柔軟性の生かし方を上手にアピールできると、やる気も伝わるでしょう。
意思がないと思われないように注意
「相手に合わせるのが得意」というアピールの仕方をすると、伝え方によっては「自分の意見がない」と受け取られてしまう可能性があります。
協調性を持って働けるのはプラスなことですが、自己主張ができないという印象を与えないように気を付けましょう。
「企画を思いついたら、まず他者の意見を聞くようにしています。もらった意見も取り入れながら、案をブラッシュアップすることを大切にしています。」のように、柔軟性を持ちながらも、しっかり自分の意思も通せる芯の強さをアピールするのが重要です。
柔軟性をアピールする自己PR例
実際に面接で柔軟性をアピールする際の例文と、ポイントを紹介します。営業職・事務職・販売職と職種別にまとめているので、希望のものに合った例文を参考にしてみましょう。
営業職
営業の本質は、自社の商品・サービスを顧客に売り込むことです。「柔軟性を生かして、どのような営業として活躍できるのか」を中心にアピールするとよいでしょう。
【例文】
私の強みは、顧客のニーズに合わせた提案ができることです。前職では食品メーカーの営業として、主に既存顧客へのルート営業を行っておりました。
会社ごとに受注がある商品はほぼ固定で、自動的に受注をもらう形が定着していました。しかし、営業として顧客と会話を重ねていく中で「もっと紹介できる自社商品があるのでは?」と感じるようになりました。
そこで営業先についてのリサーチを重ね、それぞれの会社の特性や動向に合わせた提案を行うようになりました。
最初は新しい商品を入荷することに否定的だった担当者も、会社としての可能性を広げられるかもしれないと、徐々に興味を持ってくれるようになりました。
その結果、担当顧客の8割から新規受注をいただくことができました。業界は異なりますが、前職で培ったそれぞれの顧客に合わせた柔軟な提案力は、御社でも生かせると考えております。
事務職
事務職は、営業や顧客に対して細やかなサポートが求められる職種です。自分ができることはもちろん、関わる人にどのような柔軟性を持って対応できるのかをアピールできると好印象です。
【例文】
相手の求めていることを先読みして柔軟に対応する力は、自身の強みだと思っております。前職では、営業事務として営業のサポートや電話応対、請求書の作成などを行っておりました。
会社が用意したマニュアルに沿って仕事を進めること以外にも、営業と顧客とのやりとりを見て、必要になるであろう資料や書類をプラスアルファで準備するよう心掛けたところ、営業から仕事がやりやすいという言葉をもらうことが増えました。
そこで、ニーズを先読みするためにマニュアルを改定し、営業事務全体に共有しました。すると、営業事務全体の仕事の効率性が上がり、部署の売上を前年比150%まで上げることができました。
事務職は前面に出る仕事ではありませんが、縁の下の力持ちとして大きな影響力を持つと考えています。営業の人や顧客の希望を組みながら柔軟に対応することで、御社でも業務をスムーズに遂行できる事務職として活躍したいです。
販売職
販売職においては、顧客と一期一会であることも多いでしょう。1回の接客でどのような対応ができるのかを伝えられると、販売員としての能力をアピールできます。
【例文】
前職の家具販売では、顧客1人1人に合わせた柔軟な提案を大切にしていました。例えば、ソファを探しにきた顧客の希望や生活スタイルをヒアリングしてみると、実は座椅子の方が合っていると感じるケースは少なくありません。
とはいえ、ソファを探している顧客に、いきなり座椅子を提案しては見当違いだという印象を与えてしまいます。そのため、日常会話を織り交ぜながら、さりげなく顧客に合った商品を紹介することを心掛けていました。
すると、「あのお店に行けば自分に合った商品が見つけられる」という口コミが広がり、店舗としては過去一番の来客数を記録することができました。
顧客が目的としている商品だけが正解と思わず、1人1人に最適な提案をすることが販売職の役割だと考えています。御社でも即戦力になれるよう、努めていきたいです。
柔軟性をより高めるための方法
最後に、柔軟性をより高めるための3つの方法を紹介します。すでに柔軟性を強みとしている人も、これから伸ばしていきたいと考えている人も、ワンランク上の社会人になれるよう行動していきましょう。
新しい環境に身を置く
臨機応変な対応力を身に付けるには、経験を積むことが重要です。さまざまな場面に直面することで、それぞれの状況にふさわしい対応方法が分かってきます。
毎日同じ場所に行き、同じ人に会い、同じ行動をしていては新しい発見はありません。自身にとってのコンフォートゾーンを抜け出し、新しいことに挑戦してみましょう。
習い事を始めてみたり転職をしたりなど、新しい環境に身を置くことで経験値を上げることができます。
余裕を持って行動する
何事も時間に追われれば追われるほど、選択肢は少なくなっていきます。例えば、納期までに1週間の猶予がある場合、「後輩に教えながら進める」「分担して少しずつ進める」「1日ごとにノルマを決める」など、さまざまな進め方が想定できるでしょう。
しかし、今日中に提出しなければいけない急ぎの案件である場合、後輩への指導や日々のタスク化という選択肢はなくなります。
このように、ぎりぎりのスケジュールで動いていると、状況に合わせて柔軟に対応することは難しくなるのです。
また、時間の余裕は心の余裕にも直結しています。常に穏やかな気持ちで冷静な判断を下せるよう、時間に余裕を持った行動を心掛けましょう。
知識量を増やす
本を読んだり、さまざまな人の話を聞いたりし、知識量を増やすことで対応の引き出しも増えていきます。普段の生活で1日に関わる人の人数は限られており、さらにその中で新しい知識を得られる機会は数えるほどでしょう。
その点、本からはあらゆる価値観や知識を習得することができます。新しい価値観や知識を得ることは視野を広げる手助けにもなるため、1日1冊など日常的に読書をする習慣をつけるのがおすすめです。
柔軟性を持って活躍できる人材になろう
その場の状況に合わせて臨機応変に対応できる柔軟性のある人は、業種や職種を問わず、どこの企業でも活躍できるでしょう。
柔軟性のある働き方ができる人はそれほどまでに重宝される存在であり、柔軟性をうまくアピールできれば転職にも有利に働きます。
自身の強みとしてどのような柔軟性があり、入社後にどのように生かせるのかをアピールして、転職先でも大いに活躍できる人材を目指しましょう。
採用コンサルタントおよび現役人事。慶応大学卒業後、東証一部上場企業2社で人事を担当。20代で独立し企業の採用コンサルティングを行う傍ら、個人の面接指導やキャリアコンサルティングに従事。書籍、雑誌、テレビなどメディアに出演。現在はキャリアコンサルタントおよび企業の人事責任者として、個人側・企業側双方の立場から、心も経済的にも豊かなキャリアを描くための支援を行う。
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